家具インテリアにはほとんど興味がなく、必要に迫られて国道沿いのニトリや家電量販店の家具売り場を物色して必要最小限の商品を買うくらいだ。

だから、大型家具はもう10年以上何も買っていないし、今後もよほど不具合が出ないと買い替える予定もない。
捨てるのにもお金が必要だし。

今、新しく買いたいのは扇風機で、15年くらい使ってきた扇風機がついに昨年夏に動かなくなってしまった。
別にダイソンの羽のない扇風機なんて欲しくなくて、オーソドックスな5000円くらいまでの扇風機が欲しい。
それをまた15年くらい使うつもりだ。(家具ではなく家電だが)

まあ、そんな人間なのでニトリやイケアが人気がある理由がわからない。
売れる理由はわかるのだが、そんなに年に何度も家具店で買い物をする人が多数いる理由がわからない。

家具店でそんなに年に何度も買う物があることが信じられない。

しかし、そんな「家具音痴」の人間を後目に、ニトリの勢いはすごいと思う。(自分はほとんど利用しないけど)

ニトリ/タカシマヤタイムズスクエア出店で、商業施設の客数が増加
https://ryutsuu.biz/strategy/j031426.html

ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は3月14日、昨年12月に新宿の「タカシマヤタイムズスクエア」南館に出店した「ニトリ新宿タカシマヤタイムズスクエア店」の客数が平日で1万5000人、土日は2万5000人~3万人が来店し、想定を大きく上回っていると発表した。

ニトリのオープン当初は、タカシマヤタイムズスクエア全体の客数が前年同期比で15%増となり、現在でも約12%増の客数で推移しているという。
タカシマヤタイムズスクエアのレストラン街も盛況となり、客数増による相乗効果があったと評価している。



とのことで、ニトリに百貨店が助けられる時代が来るとは、10年前に誰が想像しただろうか。
百貨店マンはこの事実を直視すべきで、少しばかりの新規事業を立ち上げた経営者を「労働強化」を理由に引きずり降ろしている余裕など百貨店という斜陽産業には本来ない。

似鳥会長は、「現在、百貨店から出店してほしいという要望が多数出ているが同じ場所には、出店できないので、交渉をすすめている最中だ」と語る。

という一文があるが、今後、都心百貨店の多くにニトリが出店することになると考えられる。

新宿高島屋タイムズスクエアにはユニクロも入っており、もう百貨店が従来型の品ぞろえやブランドラインナップだけでは集客できなくなっていることは、大丸梅田へのユニクロの出店を見てもわかる通り、公然の事実といえる。

また、百貨店が「小売りの王様」ではなくなって久しいが、ついにドラッグストアにまで売り上げ規模を抜かれてしまった。

ドラッグ店市場規模 百貨店超え 6.4兆円、16年度5.9%増
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15I8C_V10C17A3TI1000/


百貨店売上高が6兆円を下回る状況の一方で、ドラッグストアは6兆4千億円となり、売り上げ規模だけでいえば百貨店を追い越してしまった。
もっとも、これには中国人観光客による爆買い効果も含まれているため、どこまでがドラッグストア本来の実力かというのは、見解の別れるところではある。

百貨店の苦戦の理由は、以前にも書いたと思うが、高級婦人服への過度な特化があると思う。
これは、松岡真宏さんの持論で、

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100507/214292/?P=1

に述べられている。

どうして高級衣料の消費が低迷しているかというと、

1、可処分所得の伸び悩みあるいは低下
2、高級衣料と低額衣料の見た目にほとんど差がなくなったこと

を理由として何度も挙げているが、それ以外に、一般大衆の意識変化があるのではないかと思う。

90年代半ばごろまでは、「ボロ家に住んで50円のパンを食べていても洋服だけに特化して凝る」というオシャレさんが多数いた。
それが2000年代から、「洋服もインテリアもアクセもサプリも雑貨も食事も自動車も全てトータルで垢抜けていること」が、「オシャレ」だという感覚に変化したと見ている。

でなければ、定期的にニトリやイケアに足を運ぶ人が多数現れる理由がわからない。
家具や食器なんてなんでもいい、と筆者のように考えると10年に一度くらいしかそんな店に足を運ばない。

ただし、身の回りすべての物に気を使ってそろえると、各商品が高額品では破産してしまう。
そんなことができるのは本当の金持ちだけだ。

中間層以下がすべての物に気を使ってそろえようとすると、収入や貯蓄の範囲で賄うなら、ある程度の低価格品・お値打ち価格が求められることになる。

感度は最先端でなくても構わないが、そこそこのセンスが必要とされる。

これを「高感度低価格」とまとめれば良いのか、「中感度低価格」とまとめれば良いのか悩むところではあるが、「最高感度高価格」が対象外となることだけは間違いない。

そういう「そこそこの感度でそこそこ安い」という商品が服ならユニクロやジーユーだろうし、家具インテリアならニトリということになる。

収入が伴わないのに、洋服に限らず借金してまで「最高感度高価格」商品を買い集めることが「下品」「分不相応」「愚か」という風に多くの人が判断するようになった。

業界人からすると「感性の退化」ということになるのかもしれないが、甲斐性無しの貧乏人たる筆者からすれば、随分と健全で成熟した考え方だと感じられる。

この風潮が今後一転して「最高感度高価格品」を求めるようになるとは考えられない。

だから衣料品業界としては、これに対してどう取り組むかが課題となる。
やり方は様々あるだろう。

企業規模やブランド規模に応じて、高価格に特化して数少ない顧客に寄り添うというのも正解の一つである。
ただし、大幅な売り上げ増は見込めない。

一方、高感度低価格をさらに進めるというのも正解の一つである。
ただし、こちらはどの分野にしろスケールメリットが求められる。

これまでの意識やこれまでの仕組み・やり方をまるで変えることなく、中途半端なままで、高額商品に取り組んだり、逆に低価格商品に取り組んだりすることがもっとも危険で、何一つ効果が得られない。
それで疲弊しきっているのが、一部を除いた現在のアパレル業界といえる。

もちろん、「中感度中価格」という方針も正解の一つだが、それとても、従来の百貨店向け・専門店向けアパレルの意識のままでは到底消費者には支持されない。
ワールド、オンワード樫山、三陽商会、イトキン、ファイブフォックス、TSIホールディングスをはじめとする百貨店・専門店向けアパレル各社(中小も含めて)の衰退と没落を見ればそれは明らかである。

ニトリに助けられる百貨店の報道を見ながら、つらつらとそんなことを考えた。

ニトリ 成功の5原則
似鳥昭雄
朝日新聞出版
2016-08-19