以前、某所で勝手に消されたのと同じ内容をもう少し詳細に書いてみる。(笑)

繊維業界に携わるようになってからもう23年くらいになるが、何年間か繊維業界とはほとんど接触しない仕事をしていた時期がある。

レストランや飲食店を取材に行ったり、ギフト問屋や雑貨メーカー、雑貨店に取材に行ったり、そこに向けて営業をしたりという仕事をした。

扱う物が異なれば商習慣も当然異なる。
最初は面食らうことも多かったが、慣れてくると、それはそれでなんとか過ごせる。

異業種には異業種の良さがあった。

もちろん、担当者によって異なる場合が、あるので、一概に言うことはできないが、繊維・アパレル業界よりも割合にキッチリとした要望を突き付けてくることが多かった印象がある。
で、こちらが製作した物に対して、先方が修正を要望することも当然にあった。
その場合、先方の意向通りに修正するとそれでOKとなる場合がほとんどだった。


翻って、繊維・アパレル業界は、先方の要望が非常にあいまいで具体的でない場合が多い。
おそらく、どんな要望をしたら良いのかという確固たるイメージが先方にもないのだろう。

そして「とりあえずかっこよく仕上げて」とか「かわいく作ってください」とかそんな雲をつかむような要望を押し付けてくる。
呆れ果てるほかないのだが、かっこよくといったっていろんなかっこよさがある。
ガンダムも仮面ライダーもウルトラマンもエヴァンゲリオンもそれぞれにかっこいい。

だからといって全部を作るわけにもいかない。
だから普通であれば、「ガンダムっぽく仕上げてください」というような要望を言うべきなのである。

で、そんな曖昧模糊とした要望を出すから、何度も修正が必要になる。
まったく不毛で無駄な時間と労力を費やすわけであり、先方は何にも考えてないから脳みそが楽チンで良いだろうと思うが、それでも何度も修正のやり取りをするわけだから、この脳みそ楽チンマンだって結構な時間と労力を実は割いていることになる。本人は気が付いていないようだが。

製品のサンプルにしろ、ウェブのデザインにしろカタログ製作にしろ、とにかくそんな曖昧模糊とした発注が多い。

アパレルが効率化できないのはこういう体質に因る部分もあるのかもしれない。

同じ感想を持っている人が実はけっこう存在する。
そういう人たちはアパレルに限らず様々な業種の企業とやり取りをしているが、彼らが口をそろえるのは「アパレル業界の企業(まれに個人も)からの要望がもっともフワっとしていて明確でないからやりにくい」という部分である。

あるデザイン会社の社長は、「アパレル業界は今までよほど下請けベンダーが優秀だったのではないか」と半ば感心しながら皮肉を言うことがある。

他業種ならあんなにフワっとした要望で商品にしろ、ウェブサイトにしろ、カタログにしろ、まともなものは出来上がらないからだ。
フワっとした要望をムードで修正させる。
だから異様に時間がかかって展示会ギリギリに仕上がる。

そんな自転車操業の繰り返しでアパレルはやりくりしているところが多い。

だから筆者は、長くアパレル業界の悪癖に染まり切ったような人間や組織が業界を改善改革できるとはまったく思っていない。

異業種からの参入者のほうがまだ可能性が高いのではないかと思っている。

フワッとした要望を出して、それを下請けベンダーに察せさせるという、「察してちゃん」な体質のままでは、クラッシュするアパレル企業が今後も続出するだろう。
そろそろアパレル業界に属する人間は、「察してちゃん」をやめて、要望の明確化を真剣に考える必要があるのではないか。
そんなくだらない連想ゲームに時間を費やせるほどの余裕はないはずである。