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南充浩 オフィシャルブログ

知られざる実力派企業

2012年8月24日 未分類 0

 先日、久しぶりに高野口産地の岡田織物を訪問した。
何度も書いているように高野口産地は、和歌山県の高野山のふもとに位置し、カットパイルと呼ばれる素材を活かしてフェイクファーやモケット、金華山織りなどの素材を製造する産地である。

この岡田織物はほとんどフェイクファーに特化して製造販売する企業だ。

繊維業界の中でも高野口産地はそれほど知られていない場合がある。
もちろん岡田織物も知られていない場合もある。
高野口産地で製造するフェイクファーの特徴も知られていない。

安いアジア製に比べると、毛足が柔らかく滑らかで、少々引っ張っても毛が抜けないという特徴がある。

岡田織物はだいたい国内販売が7割、海外販売が3割という売り上げ構成となっている。
海外と聞くと、経済成長著しい中国か?と連想する方も多いが、ここはヨーロッパのラグジュアリーブランドへ販売している。
今秋物として、某イタリアブランドにはストール用に800反を販売したというし、某フランスブランドにはスカート用として2000メートルを販売した。
通常生地の反物は50メートル巻きが多いので、1反=50メートルと仮定すると、フランスブランド向けのスカート用生地はだいたい400反くらいとなる。

日本の有名アパレルブランドが、1型あたり3反~5反程度、多くても10反程度しか買わないことを考えると、イタリアブランドもフランスブランドも莫大な量を岡田織物から購入していることになる。

さて、残念なことに岡田織物のこの実績も世間的にはあまり知られていない。
おそらく繊維業界でも大部分の方はご存知ないかもしれない。

今回は岡田織物を一例に出したが、同じように知られていないが、実績のある企業は他にもたくさんあるにちがいない。
そういえば、デニム生地製造のクロキもヨーロッパのラグジュアリーブランドに生地を定期的に販売している。
これもクロキ側が情報発信を国内にしないので、あまり知られていない事例かもしれない。

そういう意味では国内製造業には、この他にもまだまだ隠れた実力企業が存在するのではないか。

このような企業と、デザイン力・発信力のある企業、販売営業力のある企業が上手く結び付いていないのが、現在の日本の繊維産業が苦戦している原因の一つではないかと感じる。

どこか一部が詰まっており、全体の流れが悪くなっているパイプラインを見ているような歯がゆさがある。

これも言うは易し、行うは難しなのだが。

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