百貨店・量販店の大量閉店が話題だ。
百貨店では、北花田阪急、西武八尾、西武筑波、そごう柏、三越千葉、多摩センター三越の閉店が発表された。
また東洋経済では「伊勢丹松戸、伊勢丹相模原、伊勢丹府中も閉店候補に挙げられている」と掲載されている。

量販店だとイトーヨーカドーの20店舗の閉鎖、ユニーの25店舗の閉鎖がすでに発表されている。

アパレルの直営店ではワールド、イトキン、オンワード、TSIの各社が大量閉店を発表して昨年から話題となっている。

こうしてみると日本が不景気だという印象を受ける。
実際、今秋開催の展示会を回っても、あまり良い話は聞かない。
苦戦傾向のブランドの方が圧倒的に多い。

しかし、アメリカも大量閉店が次々に発表されている。
アメリカの市場に詳しいマックスリーさんのブログから引用しよう。

http://www.apalog.com/maxre/archive/238

今年、倒産した企業店舗若しくは一部を閉鎖した店舗をざっとリストアップしてみると・・・

フィニッシュライン(150店舗)ピアワン・インポーツ(100店舗)シアーズ(78店舗)コールズ(18店舗)スポーツオーソリテイ(140店舗)メンズウエアハウス(250店舗)パックサン(175店舗)オフィスデポ(300店舗)エアロポステール(154店舗)ラルフローレン(50店舗)

カナダのジョーフレッシュはマンハッタン店を全店閉鎖し、JCペニーでの販売も契約期間が終わったと思われ完全に姿を消してしまいました。セレクトショップや細かい企業をあげればもっとありますが、これだけでも1415店舗。既に閉店した店もあれば、これから3年内に閉鎖というのもあります。今年の特徴として売り場面積の大きな店舗が多く含まれています。

最近では米国コーチが、卸売りをしているデパートから、トータル店舗数の25%にあたる、250店舗の撤退を発表しました。昨年は、自社アウトレット等で、低価格商品を露出しすぎて、ブランド価値の低下、昨年は70店舗の閉鎖を行い、新デザイナーの元に立て直しを計っている真っ最中。デパートでも、ハンドバッグの売り上げが落ちている事から投げ売り状態。卸売り店舗の閉鎖は同様の処置と言える。

そして、なんといっても、最も衝撃的だったのが、米国最大のデパート、メイシーズの100店舗の閉鎖。

である。アメリカも相当に洋服が売れにくくなっている。

そういえば、先日、ラルフ・ローレンも「デニム&サプライ」の廃止を発表した。

そして、中国でも大閉店ラッシュが始まったようだ。

中国小売業は「死屍累々」の惨状 閉店ラッシュはネットの影響でなく中国経済そのものの低迷が原因だ
http://www.sankei.com/column/news/160922/clm1609220004-n1.html

8月末に山東省青島市の大型百貨店、陽光百貨と全国展開の百貨大手である百盛集団の重慶市万象台店、さらには大連で有名な久光百貨が相次いで閉店したことを取り上げ、深刻な業績不振が閉店の原因であると分析している。

 大連久光百貨の場合、今年上半期の売り上げが前年同期比で48・8%も激減した。重慶市万象台店のオーナーである百盛集団全体の売上総額も前年同期比で12%減となったという。その結果、百盛集団は万象台店だけでなく、今年に入ってから西安市の東大街店と重慶市の大坪店も閉店させることとなった。

 記事によると、売り上げ急落・業績不振は今、全国の百貨店業が直面する共通の問題となっている。たとえば全国展開の新華百貨は今年上半期の純利益が69・2%も減り、杭州解百集団のそれは20・5%減となった。

 こうした状況を踏まえて、北京商報記事は今後、全国における百貨店の「閉店ラッシュ」はさらに広がっていくだろうと予測している。

スーパー業の場合、華潤万家という全国チェーンが今年に入ってから727店舗を閉店させ、「閉店ラッシュ」の最高記録を更新したという。有名なカルフール・グループも中国全土で18店舗を閉店し、人人楽というスーパー大手は11店舗を閉めた。

 上述の「百度百科・閉店ラッシュ」によると、中国小売業の閉店ラッシュは昨年からすでに始まっている。2015年の1年間、全国の小売業界で約865店舗も閉店の憂き目にあったが、今年に入ってから、この勢いはさらに増しているという。

今月5日、中国社会科学院財経戦略研究院は「流通青書・中国商業発展報告(2016~17)」を発表したが、その中で、今後5年以内に、中国全国の「商品交易市場」、つまり百貨店やスーパーやショッピングセンターなどは、約3分の1が淘汰(とうた)されていくと予測している。

とのことで、中国の閉店ラッシュの原因は、明らかに経済失速である。
個人的には中国という国の経済成長が大幅に伸びるということは今後起きないと見ている。

一方、米国の衣料品不振の原因についてマックスリーさんは

これだけの店舗が一気に閉鎖に追いやられたのは、様々な事情が複雑に絡み合っており、ファストファッションの登場から、インターネット販売への移行、アウトレットやオフプライス店人気、若年層がモールへ行かなくなった、アスレジャートレンド、消費者が物よりも体験を求めている、生活の中にデジタル機器が真に入り込んだ人類最初の世代、ミレニアルズの存在、等々。
ひと昔前の様に、一つのトレンドが終わったら次ぎの仕掛けをというだけでは対応しきれない複雑な事情が交差しています。

と分析しておられるが、日本の大量閉店の原因もほぼ同じではないかと思う。

ただ、細かい点でいえば日本のアスレジャートレンドは米国とは違うし、若年層がモールへ行かなくなったということもない。逆に地方の若い人はイオンモールには足を運んでいる。
しかし、インターネット販売への移行、低価格店の人気、物よりも体験という点は日本でも共通する原因といえる。

しかし、いずれにせよ日米ともにオーバーストアで供給過剰であることは間違いない。
中国は「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンがあちこちに作られているから元からオーバーストアなのである。

さて、このオーバーストアの時代にどのように生き残るつもりだろうか。
今までと同じようなやり方では閉店ラッシュに巻き込まれてしまう。
ネットショップを始めただけではすでに何十万店もあるネットショップの海に埋没してしまう。

いまだに恐ろしいほどの無邪気さで「ネット通販を始めたらすぐさま何百万円・何千万円も売れる」と妄信している業者がいて驚かされてしまう。

ネットショップ妄信者がいる一方で、海外進出に無邪気な期待をかける人々もいる。
しかし、米中ともに大量閉店ラッシュを迎えている上に、欧州は景気が良くない。海外進出すること自体は拡販のためには当然といえるが、無邪気に過度な期待をするのはちょっとおバカさんだといえる。

衣料品のビジネス環境は国内外ともに厳しいという前提に立って事業計画を立てるほかない。

北京レポート 腐食する中国経済
大越 匡洋
日本経済新聞出版社
2016-08-26



中国バブル崩壊の全内幕
宮崎 正弘
宝島社
2016-07-01