矢野経済研究所の統計をもとに、こんな記事が掲載された。
市場動向の分析としては的確で冷静だといえる。

2015年の国内インポートブランド市場規模は2兆3000億円超
https://www.wwdjapan.com/business/2016/08/26/00021366.html

矢野経済研究所が発表した2015年の国内インポートブランド市場の調査によると、同市場の規模は前年比107.6%の2兆3664億円(小売金額ベース)だった。

とある。
5年連続のプラス成長だそうで、その要因はインバウンド需要だとする。
しかし、

一方、衣料品・服飾雑貨品に限ると、前年よりも大きな伸長が予想されていたにも関わらず、同102.6%の1兆2866億円にとどまり、価格の値上げによる中間層の消費減退の深刻さを印象付けた。

とのことであり、これについては半分は正しくて半分は正しくないように感じる。
たしかに中間層の収入が減少し、下層化しつつあるのは事実だと思う。
しかし、それ以上にインポートブランドへの欲求が多くの人々から減っているのではないかと思う。

インポートブランドのほとんどは高額ゾーンから上に位置する。
高額ブランドやラグジュアリーブランドと呼ばれるのがほとんどである。
そういうものへのニーズが可処分所得の高低にかかわらず薄れているのではないかと思う。
とくに40代以下はそうではないか。

現代の20代、30代、40代で「収入が増えたら高額インポートブランドの服を買いたい」と強く思っている人がどれだけいるだろうか。
20年前には売春をしてラグジュアリーブランドのバッグを買う女子高生が多数出現したが、そういう人は今はあまりいない。
LVの刻印があるン十万円もするようなバッグを分不相応にほしがる人はほとんどいないのではないか。

「若者のおしゃれ離れ」は本当に起こっているのか
http://diamond.jp/articles/-/99973

ここではそのことに触れられている。

「シャネルやルイ・ヴィトンといった、特定の高級ブランドにこだわりはない。ネットでいろいろなブランドの品物を比較できるので、その中でデザイン的に気に入ったものを注文する」(25歳女性)

「婚活パーティーなど特定のTPOに合わせて使うことがあるが、決して『高級ブランドのアイテム=洗練されたスタイル』とは思っていない」(29歳女性)

といった具合で、高級ブランドへのわけのわからない憧れがなくなったことが指摘されており、それは正しいと感じる。

筆者は46歳の初老のオッサンだが、今後いくら金持ちになってもそういうラグジュアリーブランドのほしいとは思わない。時計も靴も興味がない。
服も時計も靴もそこそこの価格のもので十分である。
デザインも悪くないし、品質も悪くない。

そしていくら「一生物」とはいえ、トレンドは移り変わるので、その高額品が「時代遅れ」になってしまうことは必ずある。そうした場合、ン十万円の大枚をはたいていれば泣くに泣けない。
リフォームすれば良いのだが、それを持ち込むの面倒な話である。

だったらそこそこに安い物をトレンドや気分に応じて使い捨てたほうが効率的である。

おそらく同じように考える人が増えているのではないかと感じる。

毎日の昼食を500円くらいに抑えている人間が無理をしてLVのバッグを買ったって滑稽なだけではないか。
それにそのバッグ以外の服や靴は安物なのだからつり合いが取れていない。
見るからに「私は無理をして切り詰めてまでバッグを買いました」と宣言しているようなものである。

ちなみにインバウンド特需が終わった2016年度の見通しは

16年の同市場規模は同91.5%の2兆1649億円と、一転して大幅な減少が予測される。

とのことである。

まあ、妥当な見通しだろう。

個人的に高額インポートブランドがさほど売れなくなったことは我が国の社会の成熟化ではないかと感じる。
毎日の昼食を290円に切り詰めてLVやらシャネルのバッグを買ってもそれが「すごいこと」とは思わない。
それなら毎日800円の昼食を食べられたほうが良いのではないか。

そしてファッショニスタwwwwやイシキタカイ系が大好きな欧米はそういう社会である。
貧民が無理をしてまでラグジュアリーブランドを買わない。
あれは金持ちが買うためのブランドである。

そういう意味では日本の社会も欧米に近づいているといえ、ファッショニスタwwやイシキタカイ系は喜ぶべきではないか。

今後、我が国の景気がどれほど好転しようと、かつてのように無理をしてまで高額インポートブランドを買い漁るような時代は二度と来ないだろう。