今日はちょっとした雑感にすぎないのだけど。

先日、久しぶりに難波の「なんばシティ」に寄ってみた。
大阪ではバブル期ごろに人気を集めた商業施設だが、人気のピークはバブル期で終わったという印象は強い。
ただし、南海電鉄難波駅から直結しているし、高島屋ともつながっているから今でも人通りは多い。
大阪の有力商業施設の一つであることには変わりない。

これまでの売り場構成だと地下2階がメンズだったのだが、久しぶりに足を踏み入れた地下2階は以前とは様変わりしていた。
そういえば、昨年後半くらいから改装工事をしていた。

以前だと、タケオキクチ、ポールスミス、メンズビギ、メンズメルローズなど、DCブームのころに人気だったメンズブランドが一堂に会する売り場だった。
ゴルチエの店舗があった時期もある。

改装後初めて足を踏み入れたのだが、あまりの変貌ぶりに驚いてしまった。

まず、タケオキクチとポールスミスの店が隣り合って並んでいたのだが、その場所はコクミンドラッグと手芸店のユザワヤに変わっていた。そこから通路を挟んで向かいには、靴屋があってメンズブランドの店が数店舗ならんでいたのだが、それらはすべてぶっこ抜きでユニクロに変わっていた。

ユニクロの通路を挟んだ対面の店は以前はメンズビギだったが、これも和雑貨店とシルバニアファミリーの店に変わっている。



地下2階にメンズブランド店はほんの3~4店舗ほどしか残っていない。
オンリーの「スーパースーツストア」は残っていた。

メンズの洋服ブランドはここまで削られるのかと本当に驚いた。
タケオキクチよりもコクミンドラッグのほうが消費者ニーズがあると、少なくとも商業施設側は思っているということである。
まあ、冷静に考えればその通りで、消耗品を販売しているコクミンドラッグの方がタケオキクチよりも買い物頻度は高い。

ポールスミスよりもユザワヤなのである。
メンズビギよりも和雑貨店、シルバニアファミリーなのである。
たしかにメンズビギの服よりもシルバニアファミリーのウサギちゃんの方がかわいくて心が癒される。

今回の改装プランがどういうコンセプトだったのかは取材していないので知らない。
コンセプトありきでそういうテナントを誘致したのかどうかもわからないが、少なくとも施設側は、メンズブランドを集積するよりもこちらのほうが売り上げ効率が高くて集客力があると判断したということだろう。

売上高にすごくこだわっているわけではなかったとしても、そういう判断がどこかにあったことは間違いない。

ファッション全般に対する興味は明らかにバブル期やDCブーム期、90年代半ばよりも低下している。
その中でもメンズファッションへの興味はさらに低下していると感じる。

いわゆるかっこいいコーディネイトに興味がないかというとそんなことはない。
多くの人がそこそこにお洒落な、そこそこにトレンドに沿った服装をしている。
まったく興味がなくなっているわけではないが、昔ほどの気合は入っていないと思う。
逆に気合を入れなくても、そこそこに小奇麗に見える洋服が、安価で手に入るようになったからだと思う。

以前から何度も書いているが、90年代後半くらいまでは、DCブランド店に並んでいる洋服と、イズミヤやジャスコの平場に並んでいる低価格の洋服は見るからに異なっていた。
もちろん同じようなトレンドソースを用いて、売れ筋をコピーしながら作っていたが、DCブランドに並んでいるような洋服はイズミヤやジャスコの平場では並んでいなかった。
シルエットや色・柄、ディテールが異なっていた。正確に言うとコピーしきれていなかった。

だからそういう物がほしければブランド店で高い商品を買うほかなかった。

このケチな筆者ですら、黒いスーツをDC系の店で5万円も払って(バーゲン時に)購入しているのである。
今ならせいぜい高くても28000円くらいだし、安ければ1万円くらいで買える。

なぜ、低価格品とブランド品の見た目が変わらなくなったかというと、以前にも書いたことがあるが、デザインノウハウが大手アパレルから流出しているからである。
大手アパレル各社の度重なるリストラによって多くのデザイナーやらパタンナーが野に放たれた。
彼らも生きていかねばならないから、さまざまな働き口を見つける。

OEM/ODM会社を興す人もいたし、低価格ブランドに入社・契約した人もいる。
商社の製品事業部に入った人もいる。

この結果、かつてのDCブランドのような商品がどこでも作れるようになった。
カネさえ適正に支払えばだれでもそれなりの見栄えの商品が作れてしまうのが今のこの業界である。

見た目が変わらなくなれば多くの人は安い方の商品を買う。
これは不道徳でもなんでもなくて当たり前の行動である。

だからそこそこに見栄えの良い服をそこそこの安値で多くの人はそろえている。

ファッションに興味がなくなったわけではないが、以前ほど気張る必要がなくなったということではないか。
その象徴がこのなんばシティの地下2階ではないか。

ユニクロが中心で、コクミンドラッグやユザワヤ、和雑貨、シルバニアファミリーが周りを固める。
奥にはパラっとメンズブランドが残って、ユニクロで扱っていないスーツ、ネクタイは、スーパースーツストアで補完する。

パルで最大の売上高を誇るブランドはチャオパニックでもガランテでもルイスでもなく、スリーコインズなのである。

ファッションはもはやサブカルか?
http://www.senken.co.jp/report/fashion_museum_tokyo/


このコラムに対して自分なりの答えを返すとするなら、ファッションはサブカルにすぎない、である。

ファッション展覧会(展示会ではなく)と特撮展覧会の混み具合の差に衝撃を受けたそうなのだが、そもそもファッションブランドがアニメや特撮キャラのプリントを施したTシャツやら洋服を堂々と販売しているご時世だ。20年ほど前はそんなものはアニメイトくらいでしか手に入らなかったが、今は著名なブランドがアニメや特撮、漫画とコラボしている。そしてそのほうが集客力が高いのである。

記事は後半で、ラグジュアリーブランドの展覧会が盛況なことを伝えているが、それを持ってファッションの人気があるとは言えないのではないかと思う。

1つは、ラグジュアリーブランドの知名度が高いこと

ルイ・ヴィトン展ならファッションをあまり知らない人でも見てみたいと思うが、メンズビギ展やファイブフォックス展なら見てみたいと思う人はかなり少なくなるだろう。

2つ目は展覧会はあくまでも展覧会であるということ

どういうことかというと展覧会では「見て」終わりである。
じゃあ、展覧会で陳列されていた商品を「買う」かというとまた別である。
価格が高くて買えない人もいるだろうし、保管場所に困るから買わない人もいるだろうし、普段の自分のコーディネイトと合わないから買わない人もいるだろう。
「買う」となるとおそらく、極端に人数は減るだろう。

「見る」だけの展覧会だから多くの人が集まったと考えたほうが適切ではないか。

今後こういう傾向はますます強まると思っている。
30万円するカリスマブランドの革ジャンを着ていたら「スゲー、カッコイイ」と尊敬されるようなマヌケな時代は90年代で終わっており、そんな時代はもう二度と来ない。

そろそろ業界人は考え方を変えたほうが良い。
なんばシティの地下2階はその象徴ではないか。