通常のファッションブログはあまり評価をしていない。
個人的にはたくさん存在するプチプラブランドを使ったコーディネイトブログは好きで、あれがあればファッション雑誌なんていらないんじゃなないかと思ってしまう。

欧米のメゾンブランドがどうしたとか、ファッショニスタがどうしたとか、セレブがどうしたとか、その類のことばかり書いているブログを定期的に読むことはないし、たまに読んでもそれほど評価していない。

そんな中で、Knower Magは評価している。
ファッションやトレンドだけのことではなく、業界の問題点も指摘しているからだ。

Knower Magは月間PV数が100万の大人気ブログで、筆者のこのブログよりもはるかに評価が高い。
筆者のブログはだいたい月間PV数が11万くらいだからその10倍である。
さすがに世間的に評価の高いだけのことはある。

12月23日のエントリーは実に良い問題提起をしておられる。

http://www.neqwsnet-japan.info/?p=6336

タイトルが「アパレル通販の説明文が分かりにくい、たった1つの理由」とあるが、そこを切り口として小規模ブディックや小規模専門店がどうしてダメになったかを指摘しておられる。
余計なお世話だが、もう少し違うタイトルにした方が伝わり易かったのではないかと思ってしまう。

まず、通販サイトで良く書かれているような商品説明文を取り上げている。

「メランジの暖かみのある素材感が特徴的なVネックニット。
ネック部分はシャツやカットソーと合わせた際に、綺麗な見えかたとなるようデザインされています。
ラグランスリーブのゆったりとしたシルエットが、今シーズンらしいリラックス感のあるスタイリングを演出してくれます」

とある。実際に使われている商品説明文である。

こちらに至っては全文を正確に理解できる人は少数ではないでしょうか?
「ラグランスリーブ」も大概ですが・・・あなたは「メランジ」を正確に説明できますか?

これらは一般単語ではなくれっきとした「専門用語」です。にも関わらず何のことを表現しているのか全く補足が無く、既に知っている前提で商品説明が展開されることが多い。どこのサイトでもどこの雑誌でもこの現象は見られます。

この指摘は正しい。
筆者は以前に某新聞社の依頼で「素人から見たファッション用語」の編纂に協力したことがある。
一応、毒モ、もとい読モの女性が分からなかったファッション用語を抜粋してそれに解説を加えるという作業だった。

驚くことに、業界人なら基本と認識されているような言葉でさえ、この毒モ、いや読モは知らないのである。

例えば「鳩目」。

今までどうやってこの人は生活してきて、読モの仕事をこなしてきたのかと不思議でならなかった。

読モでさえ知らないなら一般の人はもっと知らないと考えるべきだろう。

そしてその原因の一つをこう分析する。

どうしてアパレルはこんなにもわかり難い商品説明をしたがるのでしょう?
実はこれら通販サイトの商品説明などは「ブランドのプレス情報」をそのままコピーペーストしている場合がほとんど。ここに問題があるのです。

そしてさらにこう続ける。

そのためプレスさんがリリースする情報は「格好つけているもの」が多いのです。

たとえ数千円のアウターであったとしても「イタリアのファブリックメーカーに別注をかけたメランジ調のニットウェア」なんて専門用語バリバリで”それっぽく”伝えようとします。

これをもしブランド側がエンドユーザーを意識して・・・

「イタリアのファブリックメーカー(生地製作の専門会社)に別注をかけたメランジ調(霜降りの様な風合いのこと)のニットウェア(編み立てた洋服のこと、いわゆる”セーター”)」

なんて説明をしていたら格好悪くって仕方ありません。イメージを最重要視するプレスさんがこうした「格好つけたコンパクトな文章を望む」のはある意味当然と言えます。

問題はそれを何も考えずに「コピーペースト」してしまう小売店です。

こうなると問題は通販サイトだけではなく小売店全体に共通してしまう。

ここから、現在の小規模洋服専門店が不振を極める状況の分析に突入する。

小売店の役割とは何でしょうか?ブランドの意向やデザイナーの考えをお客様に説明し、魅力を理解してもらい、お買い上げ頂くことです。小売店が持つお客様への接触能力、説明能力などを駆使して、難解なファッションの世界を「翻訳」するのが本来の仕事のはずです。

しかしながらもちろん、小売店がこういった姿勢になってしまった理由もあるのです。

インターネットがまだ存在しなかったDCブランド繁栄の時代。ブランド側は余程の資金力がなければ各地方に直営で販路を作るわけにもいかない。そのためその土地土地のショップさんに「商品を卸す」形式で販売を委託していました。

現代ならばブランドファンは直営の通販サイトで全国どこに住んでいても気軽に購入することが可能ですが、その当時は購入する手段がないわけです。わざわざ高い交通費と時間をかけて都内に足を運び購入するというのも頻繁にできるわけじゃない。「すぐ行ける距離のお店に取り扱いが欲しい」というニーズが存在するわけです。

消費者的にもブランド的にも「地方の小売店に商品を卸す」という行為は必要不可欠だったわけですね。

そうなると小売店側としては、ブランドのイメージや価値が確立されていれば、「並べるだけである程度売れる」状態が作れたわけです。

インターネット通販がここまで洗練される以前の時代の小売店競争は「いかにして売れるブランドを競合店を出し抜いて取り扱うか」が肝でした。

ここに関して異を唱える人はいないでしょう。

「ブランドにおんぶに抱っこ」と言ったら各小売店に失礼ですが、実情として近いものはあったはずです。それに慣れきった各取扱店は「自店の魅力追求」なんてノウハウはすっかり失われてしまいました。「ブランドの指示通りするのが当たり前」と言わんばかりにプレス情報やブランド公式画像をそのまま商品説明欄にコピーペーストしてしまうところばかりなのです。

現に今地方の通販サイトを見て「特色があるコンテンツ」「独自で魅力を伝えている商品ページ」を開発しているところは皆無のはずです。本来の小売店の役割であるはずの「ブランドの意向を分かりやすく翻訳する」という行為ができていないのです。

現代はほとんどのブランドが直営通販を行う様になりました。当然卸先で販売するよりもブランド側は利益を確保できるためそちらを追求するようになります。ブランドの直営通販は「強烈な品揃え」という武器を備え、地方小売のパイを奪っているのが現状です。「ブランド側の指示通りやってるのに、なんで売れないんだ!?」なんて競争の激しい小売業界に生きているとは思えない冗談みたいな話も耳にします。

長文だが一気に引用した。

現在の小規模専門店の多くは「人気ブランドをそろえること」と「セール開始のタイミング」とこの2つくらいしか気にしていない。
しかし、人気ブランドはあちこちのショップでも置かれているし、直営店や直営通販サイトもある場合が多いから、その取扱いがアドバンテージとなることはない。

それに対して凡百の専門店がやっていることと言えば「バッティングだ」とブランド側にケチを付けることだけである。
しかもそれは新興ブランドや小規模ブランドに対してなされる。
大手ブランドや有力ブランドにはしない。

反対に大手ブランドや有力ブランドに対しては「あそこにも卸しておられますが、うちにも同じ物を卸してくださいよ」なんて感じに、自らバッティングを仕掛けに行っている有様である。
何がバッティングだよと呆れ果ててしまう。

もう一つはセール開始のタイミングを考えることである。
某商業施設は何日からセール開始だからそれに合わせるか、それよりも前倒しするか、それを考えているだけに過ぎない。後倒しという選択肢は絶対にない。
なぜなら大型商業施設に対して勝ち目がないことだけはよく理解しているからだ。

ランチェスターの法則を持ち出すまでもなく、小資本と大資本が同じ土俵で戦ったら絶対に大資本が勝つ。
小資本が生き残るためには土俵を変えなくてはならない。
ランチェスターの法則ではそれを「一点突破主義」と説明するが、まあ、大手流通と同じブランドを取り扱っていたら、絶対に負ける。

当たり前だ。大手流通の方が同じブランドとはいえ、品揃えが豊富である。
小規模店が5型しか取り扱えないところを大手なら10型、15型取り扱える。
当然、客はそちらに流れる。値引きも大手の方が値引き率が高い。
同じ商品が安く売られたらそちらを買うのは当たり前である。

そうさせないためには、小売店が大手とは異なる「独自化」を図るしかない。
それは品揃えなのか、サービスなのか、店主の漫談なのか、何かの分野で「独自化」するしかない。

それができない小規模小売店は淘汰されて当然である。

店主が朝から晩まで苦労しているとか消費者には関係ない。
苦労が売りなら「店主の苦労日記」とでも題したブログででも発信するべきで、発信もしていないくせに「察してくれ」というのはどれほど傲慢で上から目線なのかと呆れるほかない。

独自化に踏み出す勇気がない小規模小売店は、余力のあるうちに廃業するのが最も賢明な方策だろう。