似たような見え方をしているブランドでも一方は売れて一方はそうでもない場合がある。

これが大手アパレル企業同士が繰り出したブランドなら、企業体力のある方がだいたい勝つからわかりやすい。
ところが、小規模ブランド同士だとどういう優劣があってそうなるのかがいまいちわからない。

単純に物だけを比較するならほぼ同等の売れ行きとなるはずだが、世の中はだいたいそうではない。
きっとそれ以外の要素で格差ができるのだろう。

販促とかプロモーションとかそういう部分も大きい。

たとえば、ベーシックでオーソドックスで玄人受けするようなブランドがあったとしよう。
小規模ブランドなので当然、商品の価格は安くない。
このブランドは専門店への卸売りをメインとしている。

このブランドが売上高を拡大するためには、取引先数を増やすか、既存の取引先への販売量を増やすかである。
既存の取引先への販売量を増やすことは、店頭での衣料品の売れ行きが鈍っている現状ではあまり望めない。
となると、取引先数を増やす必要がある。

専門店はバイヤーと呼ばれる人が仕入れを担当している。
小規模な専門店なら店長がバイヤーを兼ねている。


新しいバイヤーが飛びつくような説明や見せ方が必要なのだが、その際に

「○○という雰囲気を重視しています。全体から良い雰囲気が出ていると思います」

というような説明ではきっと新規バイヤーはあまり注目しない。

たぶん、わかりにくいのだと思う。

今、消費者に受け入れらるブランドはどこかにわかりやすさがあると感じる。
それは価格だったり色柄だったり、シルエットだったり型紙だったり、デザイナー自身のキャラクターだったり生地だったりである。

そういう要素がなくても「○○するときには必ず着てもらいたいブランド」というような生活スタイル提案でも構わない。

なにか「わかりやすさ」が必要だと思う。

しかし、作り手側からすれば、そんな素人に向けたような「わかりやすさ」がバイヤーに必要なのだろうかと疑問に感じることだろう。
ここでよく思い返してもらいたいのだが、昔に比べて現在はバイヤーも素人化が進んでいる。
素人に向けたわかりやすさを打ち出すくらいでちょうど良いのだろう。


ひどく極端な言い方をするなら「ぼくのブランドはこれが得意です」「ここに特徴があります」と言い切ってしまうくらいの「わかりやすさ」を打ち出す必要がある。

それにしてもブランドというのは面白いもので、デザイナーやプロデューサーの知名度が高いからといって、長続きするわけではない。
それで長続きするなら今頃巷はタレントブランドであふれている。

たしかにタレントがデザインやプロデュースを行うブランドは知名度が高い分、好発進する場合が多い。
けれども長続きしない。せいぜい持って3年である。5年も続けば大記録達成である。

タレントがデザイン、プロデュースするブランドはあまり商品自体のクオリティは高くない。
だから知名度抜群でも3年目くらいからほとんどは失速してしまう。
やはり商品のクオリティは重要なのである。

反対に商品のクオリティが一定水準を超えているなら、販促を工夫するだけで売上高を伸ばすことができる。

一口に販促と言っても様々な手法がある。

その中でもブランドの「わかりやすさ」を作るというのも効果的な手段の一つである。