ジーンズカジュアルをメインとするチェーン店を見ていると、ことメンズにおいては今秋冬、目玉となる商品がない。今シーズンぜひとも買わねならないアイテムが見当たらない。

メンズの服というのは元来バリエーションも少なく、デザインや色柄の幅も狭いのだが、それでも今秋冬は「核」となる商品が見当たらない。メンズで「これは今季のマストアイテム」といえる物はあまり存在しない。

ダウンジャケットブームは終わっており、今では必需品需要か、買い足し・買い替え需要しかない。
レディースのトレンドゾーンではメルトンコートが注目されているが、カジュアルチェーン店のメンズでメルトンコートに注目する消費者はそう多くはないだろう。

フェアアイルニットブームも終わっており、すでに消費者は2,3枚は所有している。
フェアアイルニットなんて2,3枚も持っていれば十分で、それ以上は破損による買い替え需要しか期待できない。


それはさておき。


これは単なる感想だが、ウールの原価高騰からか、昨年あたりから各商品のウール含有率が低下している。またウール100%の商品は生地が薄くなっている。
セーターやマフラー類はウールの含有率が下がっており、例えば今秋冬のGAPのマフラーは店頭で調べた限りではほとんどがアクリル100%である。昨年もそうだったが、実は数年前はウール100%のマフラーの方が多かった。その当時はGAPのウールマフラーを最終処分値で何枚も買っていたが、昨年からは買わなくなった。
今年は店頭で見る限りにおいてウール100%のマフラーはないのではないか。

メルトンのPコートやチェスターコート、ダッフルコートは冬の定番だが、これも数年前と比べると生地が薄くなっている。昨今はメルトンでもツイードでも「薄く軽く柔らかく」なる傾向が強いが、それは去年や今年に始まった傾向ではない。10年くらい前からずっとその傾向である。
その中でも昨年くらいからはとみに生地が薄くなっている。
これは果たしてコートなのか?と疑うほどの薄い生地の物もあり、寒さの厳しかった昨年冬ならちっとも防寒の役には立たなかったのではないかと推測する。


また数年前までは、薄いメルトンコートには薄く中綿を入れている物もあったが、去年今年の店頭を見るとそんな配慮をした商品はなく、裏地すら付けていない商品が増えている印象がある。
これも縫製コスト削減の一環だろう。


こうして見ると、マスブランドの商品のクオリティは数年前より明らかに低下している。
10年前の商品と比べるともっと低下している。


アパレル首脳やショップ幹部、SPAブランド幹部、百貨店役員を取材すると「最近の若い人は良い物をしらない」という答えが返ってくる。
しかし、そういう商品を提供していたのはほかならぬ彼らではないのか。
もちろん、そうでない商品政策を維持してきたブランドはあるが、それは少数派である。
中には「今の若いバイヤーは良い物をしらない」と指摘される方もおられる。それはその通りなのだが、あなたもそういう粗悪品を提供してきた一味ではないのか。

粗悪品で育った若者がバイヤーなり企画担当者になり、コスト削減と利益確保と店頭価格維持のためにさらに粗悪品を製造販売する。

次世代は、そのさらなる粗悪品で育った若者がバイヤーなり企画担当者になるだろう。
原料高騰も後進国の人件費高騰も緩和されることはないから、さらなる粗悪品を企画製造販売することになるのは目に見えている。

オリジナル性に乏しく(丸パクリが多い)、低価格だがファストファッションほど安くなく、使用素材のクオリティもそれほど高くないとなれば、日本のファッションブランドの売りは一体どこにあるのだろうか?