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南充浩 オフィシャルブログ

立て続けに「アウトレット専用商品」に関する記事が

2012年3月28日 未分類 0

 最近、アウトレットモールに対する記事が立て続けに掲載された。

不況下の小売り優等生・アウトレットに異変(東洋経済オンライン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120321-00000000-toyo-bus_all

「アウトレット専用に開発・製造されました」コレって“アウトレット”?(週刊プレイボーイ)
http://wpb.shueisha.co.jp/2012/02/20/9858/

東洋経済オンラインはアウトレットモールが増えすぎて飽和状態に達しつつあることを伝えており、

アウトレット市場は00年以降、年率5%以上の成長を続けてきたが、11年は前年比約2%の成長にとどまったとされる。東日本大震災の影響があるものの、業界内には「一時の勢いはない」(大手デベロッパー)との声も出始めている。

という。

筆者はアウトレットにあまり行かないが、たまに立ち寄るとどこのアウトレットも同じようなラインナップのテナントが並んでいることに驚く。
ショッピングモールやファッションビルへの出店ブランドが同質化しており、どこの商業施設でもそう変わらないが、アウトレットもそうなってしまっている。
根本的な問題として、アウトレットの商品はお得か?という問題がある。

ラグジュアリ―ブランドを買うにはアウトレットが必要だと思うが、通常のSPAブランドやセレクトショップの商品を買うのにアウトレットまで出かける必要があるとは到底思えない。
通常のSPAブランドやセレクトショップは、何らかの形態でほぼ年間通じて割引を行っている。
さらに驚くことに、通常店の方が処分価格が安く、アウトレットの方が高いという場合すら珍しくない。
価格だけで考えるなら通常店をこまめにチェックして安くなったタイミングで買えば良い。

そして、上の2本の記事に共通しているのが、
アウトレットとは名ばかりで、「アウトレット店専用」で売るために製造された商品がかなり増えている。
という事実である。

東洋経済オンラインから抜粋すると

ところが、店舗数が増えるにつれて、近年「リーマンショック後に在庫圧縮が進み、(アウトレットに)回せる商品が減っている」(大手メーカー)。いきおい、売り場を維持するためにアウトレット向けの専門商品が作られ始め、中には「5割以上が専用商品になっている店もある」(同)。

とある。

また週刊プレイボーイでも

「今、アウトレットモールでは、最初からアウトレットで販売する目的で開発・製造された専用商品が増殖しているのです」(A氏)

と伝えている。

残念ながら両方とも事実である。

これに対して
「アウトレット向けに専用低価格品を作って販売するのも一つの新しいビジネススタイル」と弁護する意見もあるが、それでは郊外型ショッピングセンターと競合になるのではないか。
例えば、Bというブランドが郊外型ショッピングセンターに低価格店を出店し、近隣のアウトレットモールにも出店したとする。
同じような商品が同じような価格で両方に並ぶこととなるが、消費者は同じような価格だからと言って2枚両方買うことは無い。必ずどちらか1枚を選ぶ。
さらに言えば、どっちで買っても同じということになれば、消費者はその時々に応じて使い分け、最悪の場合売り上げを自店同士で二分してしまう可能性もあるのではないか。
筆者には新しいビジネススタイルとは到底思えない。

それ以前に、「アウトレット用に専用商品が作られている」という事実が経済誌である東洋経済に掲載されるならまだしも、大衆誌である週刊プレイボーイに掲載される事態を重く見なくてはならないのではないか。
これまでは、業界内の「公然の秘密」だった事例が、一般大衆に広く知られることとなり始めている。
今までのような商品の調達方法を続けて行くと、今後消費者がアウトレットから離れる可能性が高くなるように思う。

アウトレット頼りのブランド経営もそろそろ考え直す時期に差し掛かっているのではないか。

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