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南充浩 オフィシャルブログ

半世紀以上も変わらない?マスコミの体質

2012年3月7日 未分類 0

 繊研新聞でかつて記者をされていた藤田雅美さんのブログを読んでいたら、こんな一節があって驚いた。

噛付き亀のFB論 32 人工流行と自然発生的流行
http://fashionjp.net/​creatorsblog/fujita/2012/02/​32.html

『「流行記事」の場合も、どうやら、そのウラに火付けを企んでい​る犯人がいる。(略)どうも「流行はなになにです」というのに、​一定の方向というか、ワクみたいなものがある。そのワクの外のも​のは、どんなに大流行しても取り上げない。たとえば、ヘップバー​ン刈りというのが大へんに流行した。しかし、そんなに流行したの​に、どの流行記事も前もって予言しなかった。なぜだろう。一方は​火付け犯人がわかっていたし、一方はあっという間に火事になった​ので前もってわからなかったのである。一方は「人工流行」であり​一方は「自然発生的流行」だというわけである。』(花森安治 週​刊朝日 1956年5月27日号)

とのことである。

藤田さんは、1956年5月の週刊朝日から引用されているのだが、昨今言われる「報道しない自由」というマスコミの報道姿勢や、ブームを作らんかなとするステマを繰り返す広告代理店とマスコミ各社の手法そのものである。
繰り返すが、これは1956年の記事なので、今から50年以上前に書かれたものだ。

マスコミや広告代理店、ブームの仕掛け人と言われる人々の体質は半世紀以上も変わっていないということだ。
変わったのは使う道具だけである。
古くは新聞・雑誌が主流で、次にテレビに移り、今はインターネットになった。ただそれだけのことである。

半世紀以上も体質が変わらないことに唖然・愕然とさせられる。

最近一番ホットな「トマトが痩せる」という報道だって、昨日(3月5日付け)の日経ビジネスオンラインの記事にもあるように「根拠があいまい」なのである。
どうにもトマトブームを仕掛けた「仕掛け人」がいるように思える。
過去の「痩せる」食べ物ブームだってそうだ。それを捏造し過ぎて「あるある大事典」というテレビ番組が打ち切られたのは記憶に新しい。

また、尖閣諸島での中国船衝突事件に端を発した「反中デモ」が千人単位の参加者を集めたにも関わらず、マスコミからすれば「ワクの外」としてあまり大きくは採り上げられなかった。

55年前と違う点は、インターネットが存在することだろう。

トマトブームにしたって、特定のタレントゴリ押しにしたってインターネット上では反対意見が多数掲載される。
「反中デモ」だってマスコミは報道しないけれども、インターネットで動画中継されており、合計で一万人を越える人間が視聴していた。
新聞・雑誌・テレビがいくら煽ったり、黙殺したりしてもインターネットでそれなりの数の人間が、マスコミ報道とは異なる報道を目にしている。

以前から何度も言うように、筆者はインターネット称賛論者ではない。
ネット上には玉石混交の情報が無数に存在していることも承知している。
それでも、やはり有用なツールではあると感じる。

食べログのインターネットを使ったステマがバレたのも、逆にインターネットのおかげであった。

新聞・雑誌・テレビという旧世代のメディアが55年前と同じ手法を使うのは、彼らの意識が55年前と変わっていないということだろう。
彼らはインターネットの存在について理解はしているけれども実感できていないということなのかもしれない。

ただ、これほどまでにインターネットが普及した現在、55年前と同じ意識のままではブームを作ることも、ワク外の動きを黙殺することも、例え大手マスコミであっても不可能になったということだけは確実だろう。

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