若い女性のボトムスの着こなしとしてショートパンツやミニスカートをレギンスやカラータイツと重ねることが定着している。
ショートパンツorスカート+レギンス、タイツという着こなしの定着がジーンズ不調の要因の一つでもある。


さて、タイツとほぼ同じ形状ながら生地の薄さが異なるパンストという商品がある。
筆者と同じ年代の40歳前後のOLや、若くても服装既定の厳しい会社に勤めているOLならまだ着用者は存在するのだろうか。
97年に繊維ニュースに入社してすぐに婦人肌着を担当したことがある。
おそらく2年半くらいは担当したはずである。

婦人肌着メーカー各社を取材して驚いたのが、担当者から役員までほとんどが男性だということであった。
体感だが9割は男性ではなかっただろうか。女性は現場担当者くらいしかいなかった記憶がある。
もうあれから10年が過ぎているので当時とはずいぶんと変わっているとは思うが、婦人肌着メーカー各社の男性社員比率の高さは今もって謎である。

最初はとまどった業界だが、慣れてくるとそれなりに対応できるものである。
今思うと、当時30歳そこそこだった筆者、50歳前後と思しきメーカーの役員、40歳代のメーカーの部長と、むさくるしいオッサンが3人集まって、ブラジャーやショーツやパンストを手にしながら「ああでもない、こうでもない」と熱く話し込む様は、俯瞰するとなかなか異様だったのではないかと想像する。
仕事でなければ、単なる変態の同好会のようでもある。



それはさておき。


97年当時からすでにパンストの需要はすたれ始めていた。
当時は「生足ブーム」で、通勤時以外はパンストを穿かないという女性が増え始めていた頃である。
その流れはすっかり定着して、今に至る。
その当時、取材先からは「パンストを穿かないのはドレスコードに反する」というような声まで出ており、筆者は「何故ドレスコードに反するのかわからん。だいたいそんなドレスコード自体が存在したのだろうか?」と現在までさっぱり理解できないままである。


97年ごろからすでにパンストの需要は減り始めており、各社の報道やメーカーの展示会を見続けている限り、この15年間順調に減り続けてきたといえる。
90年代後半は「生足」だったが、2005年ごろからはレギンスやタイツ、トレンカなどがパンストに代わって需要を伸ばしたと見ている。

今の25歳くらいの女性にすれば、パンストなるアイテムは15年前から見たことも穿いたこともないアイテムであるといえる。そして年齢的な計算をすると、今25歳の女性は15年前には10歳であるから、まだ小学校中学年である。そこから「パンスト」なる不思議なアイテムとは親しむ機会がないまま25歳を迎えたということになる。


さて、昨年あたりから久しぶりに肌着メーカーや靴下メーカーの展示会にお邪魔する機会が増えた。


現場担当者の話を伺うと「最近、パンストの需要が伸びてきています」という。
定番の肌色パンストの需要が伸びているのかどうかは分からないが、編み柄の入った物や黒色の物、カラーバリエーションの物などは徐々に売れ行きが伸びているという。
とくに10代、20代の若い女性が購入しているらしい。

面白いことに、その若い女性たちはパンストを「薄手タイツ」だと認識して購入しているとのことである。

初めて見る「パンスト」というアイテムは、なるほど形状的には「薄手タイツ」である。
そこに編み柄を入れたり、カラーバリエーションを増やせばタイツで育った世代も抵抗なく受け入れることができる。

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(編み柄入りのパンスト)











怪我の功名と言えば失礼すぎるだろうか。
「パンスト」を知らない世代が、タイツで育ったが故に「薄手タイツ」だと認識して、購入し始めるとはなかなか面白い現象である。
アツギナイロンやグンゼなどはこの芽を大事に育てなくてはならないだろう。

しかし、同時にクレームもあるという。
「すぐに破れたり伝線したりする」というものだ。

それはそうだろう。もともと「パンスト」は耐久性の無い商品で、長く穿き続けることはできない。
必ず破れたり伝線したりする。男性なのでわからないがどんなに丈夫な製品でも1ヶ月間は持たないのではないだろうか。
タイツは厚手なので、耐久性に優れている。
少なくとも「パンスト」よりはずっと丈夫である。

「薄手タイツ」だと認識して買った彼女らがこの違いを納得するか、販売側はどう納得させるか、が「薄手タイツ」定着のカギになるのではないだろうか。