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南充浩 オフィシャルブログ

売上高百億円以上のジーンズ専業メーカーはエドウインだけになってしまった

2012年1月19日 未分類 0

 リーバイ・ストラウス・ジャパンの23年11月期連結決算が発表された。
(リーバイ・ストラウス・ジャパン社のHP参照)

売上高   91億9000万円(前期比30・2%減)
営業損失  12億4200万円
経常損失  11億5400万円
当期損失  16億900万円

と減収赤字だったが、前期よりも赤字額は縮小しており、期初の見通しよりも赤字額は減額している。
そういう意味ではわずかに好転の兆しがあると言えなくもないが、苦しい決算には変わりない。

24年11月期連結は

売上高     97億円
営業損失    9億円
経常損失    8億5500万円
当期損失    9億2000万円

と引き続き赤字決算を見通す。

まだまだ厳しい状況が続きそうだ。

ちなみに品目別売上高も開示されているのでご紹介したい。

メンズボトムス       136万3000本   61億3900万円
レディースボトムス     44万8000本   15億5700万円
メンズトップス        53万7000枚   12億900万円
レディーストップス     16万1000枚    2億8100万円
その他               1000枚      200万円

となっており、22年11月期連結と比べて全品目で枚数も金額も減っている。

今回のリーバイ・ストラウス・ジャパンの決算を受けて、売上高100億円を越えているジーンズ専業メーカーは、エドウイン商事だけとなってしまった。
ジーンズという単品を製造販売することで、売上高100億円以上を維持するためには、莫大な数の卸売り先が必要となる。ジーンズ専業メーカー各社が、ジーンズ専門店チェーンと密接に結びつくのは自然な流れだった。

しかし、ジーンズ専門店チェーンも淘汰されており、ピーク時と比べると企業数そのものが減っている。
ロードランナーしかり、フロムUSAしかり、アイビー商事しかり、三信グループしかり、カジュアルハウス306しかりである。さらにピーク時に勢いがあったものの、まったく停滞しており存在しているかどうかも分からなくなったジョイントのような例や、ジーンズ専門店を脱却してSPA化したポイントのような例もある。

ジーンズ専業メーカー各社の売り先がこの15年で激減した。

さて、このような状況で専業メーカー各社ができることは、

1、残存しているジーンズ専門店チェーンとがっちり取り組むこと(ライトオン、マックハウスなど)
2、セレクトショップや他ジャンルとの協業やコラボ商品を増やすこと
3、自社直営店をある程度の数量出店すること

だろう。

1に関しては、少ない売り先に各社が集中するので、弾き飛ばされる専業メーカーが多数出てくることになる。
現状で言えば、エドウイン(子会社のリーも含む)とリーバイスの2ブランドに集約されている。

2に関しては、2005年ごろから各社が活発に取り組んでいるが、いかんせん、セレクトショップ1店ごとのジーンズ取り扱い数量は少ない。取り組み先を数十社に増やしたところで、販売できる本数はジーンズ専門店チェーンとは比べ物にならない。

3に関しては、エドウインの直営店展開とリーバイスストアのフランチャイズ展開が図抜けている。他の専業メーカーはアウトレット以外に直営店舗をほとんど持たないに等しい状況であり、直営店戦略が遅れていると断言しても言いすぎではない。

こうして考えると、ジーンズ専業メーカー各社は、売上高の大小を競うのではなく、売上高は縮小させてブランド価値を高める必要がある。例えば売上高は20億~50億円程度に縮小し、ジーンズ・チノ・ワーク・ミリタリーボトムスのファクトリーブランドのような位置づけになることが理想ではないだろうか。

しかし、残念なことに専業メーカー各社でも国内の自社縫製工場を縮小閉鎖する動きが目立っている。
国内に大規模な自社縫製工場を維持しているのはこれまたエドウイン商事くらいである。
また会社規模に見合った国内自社縫製工場を維持しているのはドミンゴ、ブルーウェイくらいだともいう。
「リーバイス」は元からグローバルブランドであるため、日本国内に自社工場は持っていなかった。

これまでモノ作り型で数十年間暮らしてきた企業が、いくら病むにやまれぬ状況とはいえ、心臓部である国内自社縫製工場を縮小廃止してしまうのは、自ら強みを捨てているに等しいと感じる。
国内自社縫製工場を持たない専業メーカーなど単なるOEM/ODM企業と同じではないか。単なるOEM/ODM企業なら安い取り組み先はいくらでも探せる。山ほどあるOEM/ODM企業と対抗して専業メーカーが勝てるとは到底思えない。

背に腹は代えられない状況とはいえ、もう一度、自社の強みを再認識した取り組みを選択されることを切に願う。

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