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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販と実店舗はブランドの両輪。片方だけで乗り切れるほど単純な問題ではない

2018年9月12日 ネット通販 0

ブログが作動しない原因は、「サーバーのデータが改ざんされたから」だとサーバー側から来た。
 
先月、お盆前にユニクロのネット通販で990円(税込み1065円)に値下がりしたユニクロUのボーダー柄Tシャツを買ったところ、なぜか、5000円未満なのに送料無料で送られてきたことを書いたが、やっぱり引き落とし額も1065円で、送料を追加で取られていなかった。謎は深まるばかりである。
 

 
ユニクロとジーユーのネット通販は少しだけ細かい部分が異なるが、基本的な部分は同じだ。両方を使っていて思うことは、在庫が店舗とネットで一元化されていないことの不便さである。店頭に行くと、ネット通販では売り切れた商品、掲載をやめた商品が安値で叩き売られていることがある。その逆もある。店では売り切れだが、ネット通販には在庫がある。こういうときにイマイチ不便さを感じる。とくにユニクロはネット通販専用の割引クーポンがときどき当たる。すごろくゲームみたいなのをやると当たることがある。
 
「やった500円引きクーポンが手に入ったから使おう」と思っても、ネット通販で在庫切れになっていれば使うことはできない。仕方なく店頭で商品を掘り出して500円引きせずに買うしかない。ジーユーもネットと店頭では在庫をそれぞれ別に構えている。
先日、ジーユーが11月に原宿にネット通販専用の「試着専門店」を出店することを発表したが、これが真の威力を発揮するのは、ネットと店頭の在庫が一元化されたときだろうと思う。現時点で1店舗だけ出店したところで売上高が飛躍的に伸びるわけでもないし、消費者の利便性が格段に向上するわけでもない。
さっき、書いたように在庫が一元化されていないと、試着してそれをネット通販で買おうと思ったって、買えない場合がある。ユニクロだとどこの店に在庫が残っているかということもネットで調べられるから、残っている店にわざわざ出向いて買わねばならない。在庫が一元化されていれば「ネットにはないけど、〇〇店なら残っているから〇〇店から発送させる」ということが可能になる。ジーユーの試着専門店が真の威力を発揮するのはこのシステムが構築されたときだろうと思う。それまではテストケース、話題作りではないかと思う。
 
ZARAも今年5月~8月末までネット通販専用の試着専門店を期間限定出店していたが、明らかにテストケースで、深地雅也さんは東京出張のときに試しに出向いたそうだが、あまりピンと来なかったと感想を述べていた。まあ、東京のファッション村の連中は絶賛していたのだが。
 
そのZARAはネット通販と店頭の在庫の一元化に手を付けており、ファーストリテイリングよりも一歩先んじている。
とはいえ、ファーストリテイリングもネットの使い方は国内アパレルの中では上手い方で、店舗をあと600店も出店するといいながら、いきなり手数料がバカ高いZOZOに出店した「しまむら」の迷走ぶりに比べると天と地ほどの差がある。
とくに店舗数を徐々に減らしながら、売上高を増やし続けているユニクロのネット通販戦略は各段に上手いと言わねばならない。
 
在庫一元化のZARAや店舗数を漸減させながら売上高を増やすユニクロを指して「店舗を見捨てた」という指摘があるが、それはちょっと短絡的で、単に自分の商売ネタとして煽りたいだけではないかと思う。ZARAもユニクロも実店舗があるからこそのネット通販戦略なのである。ユニクロが店舗数を減らしているのは不採算店を閉鎖しているだけのことでその穴埋めをネット通販が行っているといえる。ZARAは現在国内に約100店舗ある。ユニクロやワークマンのように800店舗も出店する気は毛頭ないだろう。ZARAは今後店舗は少しずつ増やしつつも、明らかに売れそうにもない場所には出店せずにネット通販を拡充させると考えられる。
 
両者とも「ネット通販だけで大丈夫」とはまったく考えていない。
 
大きな売上高を獲得する、ないし維持するには、ネット通販と実店舗は両輪である。そうでなければ、どうしてAmazonがわざわざ実店舗を出店する必要があるのか。また規模は大きく違うが、夢展望がどうして実店舗を出店する必要があったのか。ネット通販だけでは限界があるから、実店舗を出店したことはいうまでもないだろう。
結局は、実店舗だけでもネット通販だけでもダメで、両方のバランスをどうするかということが各ブランドの課題だといえる。ナノユニバースのようにネット通販は伸びても実店舗の売上高が減り続けているのはまったく望ましくない。
 
ZARAもユニクロも他のブランドも自分達が考える「適正なバランス」があるのだろう。
そのバランスを模索している段階だといえる。「ネット通販の拡大こそ正しい戦略」と断じて煽り立てるのは、かつてチェーストアオペレーションや、ブランドのSPA化、クイックレスポンス対応などを煽り立ててきたのと同じだといえる。有象無象のコンサルの飯のタネでしかない。現在、チェーンストアオペレーションの優等生だった大手総合スーパーの惨状はどうか。SPA化とクイックレスポンス対応にまい進してきた大手総合アパレルの惨状はどうか。一つの手法が全ブランドに通用するはずもなく、それぞれのブランドが自身に適したやり方とバランスを見つけ出すほかない。そういう断じ方と煽り方こそが、今の画一的なアパレルを生み出したのではないのか。
 
 

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