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南充浩 オフィシャルブログ

疑似アウトレットよりもお買い得な通常店のセール商品

2011年12月15日 売り場探訪 0

 このところ、アウトレットについて書いているが、もう少しお付き合い願いたい。

売れ残り品やデッドストックとなった在庫品を現金化できるという意味から、本来、アウトレットは非常に有意義なものであった。これは、各識者に共通する認識だろう。
日本国内においても初期段階のアウトレットはそうであった。

しかし、日本国内に次々とアウトレットモールが建設されるに従って、テナント出店するブランドも多店舗化してしまい、各ブランドともにそこまでの在庫品を持ちあわせていないのが現状である。

また「HAKATA PARIS NEWYORK」のブログで書かれているように

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/9ee8169a753e8d690dd09dbd19ec7ddf

日本に目を向けると、ブランドメーカーはここ数年、売上げが落ち込んでいるため、企画生産する商品を絞り込み、数量も抑えている。また、売れ筋商品は利益率の高いレギュラー売場で販売したいと考え、正価のうちにショップ間を移動させるなど、消化に全力を注いでいる。これが商品をアウトレットに流通させにくくさせ、専用品の投入に走らせる一因でもある。

という理由もある。

残念ながら、現在のアウトレットショップは、店内の商材の半数以上は、それ専用に作った廉価商品である。
例えて言うなら、店頭価格2940円での販売を想定した量販店プライベートブランドに、「○○」とか「××」というブランドタグを付けて販売しているのに等しい。

だからそんな商品を買っても消費者はちっともお得ではないし、ブランド側も自社商品が2940円並みのクオリティとして認識されてしまうため、長期的視野で見るとブランド価値を自ら下げているといえる。

1月から通常店でもセールに突入する。
実は、このセールに向けても各ブランドは「セール用」商材を製造投入する。
その場合もアウトレットと同じく値札が違うので、そのことさえ知っていれば見分けはつく。
しかし、セール用製造商材の店内構成比率は、アウトレットよりも低く、だいたい3割前後くらいではないだろうか。
セール用製造商材を選ばない限り、アウトレット店よりも通常店のセールの方がお買い得であるという逆転現象が起きて久しい。

昨日、あべのキューズモールで大学生と思われる3人組みに遭遇した。
余談だが、あべのキューズモールにはユニクロ、チャオパニックティピー、ウィゴー、ライトオンと、筆者の愛用する格安ブランドがそろっているため定期的に足を運んでいる。

すでにキューズモールでは、各店舗ごとにセールが始まっており、7990円のデニム裏ボアジャケットが4990円に値下がりしたり、昨年の在庫のノルディック柄ウールカーディガンが990円にまで値下がりしたり、とお買い得品があちらこちらに散乱している状態である。そういえば、8990円のコーデュロイカーゴパンツが2990円に値下がりしてた店もある。
ついでに言うなら、どの店舗にも、まだセール用製造商材は投入されておらず、正味の値下げ品ばかりである。

そうした店頭を見て、大学生らしき1人が、他の2人に向かって
「アウトレットの方が安いよ」と自慢気に語っていた。

この大学生の「アウトレットの方が安い」というのは幻想である。
アウトレット店の店内は半数以上は、廉価製造商品である。
現在の通常店の店頭は、正味の値下げ品しか並んでいない。
どちらがお買い得なのかは、明白である。

あべのキューズモールで、4990円に値下がりした定価7990円の裏ボアデニムジャケットを買う方がずっとお買い得なのである。

廉価製造版を並べた「疑似アウトレット」店がはびこることで、ブランド価値を棄損していることは先ほど述べたが、そのほかに、通常店のセールを売れにくくしている側面もあるのではないだろうか。
通常店の正規品をいくら値下げしたところで、「アウトレットの方が安い」という固定概念があれば、通常店での買い物は控えるだろう。昨夜の大学生のように。

正規セール品を最終的にアウトレットに移送すれば売れるかもしれないが、
そうするためには、運送費やそれに付随する諸経費が余計にかかることとなる。
それよりも通常店の店頭でセール時期に投入商品が無くなる方が効率が良い。

アウトレット店も結構だが、通常店の店頭を活性化することなしに、枝葉に力を入れたところでカンフル剤程度にしかならない。それならばいっそのこと、各企業の在庫品を集めて安く売り捌く「催事屋」にでも商売替えをしたらどうだろうか?

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