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南充浩 オフィシャルブログ

綺麗事ばかりのプロフィールなんて・・・・

2010年11月12日 未分類 0

 12年前のブランドデビュー以来、変わらずお付き合いさせていただいている「Si-HIRAI(スー・ヒライ)」デザイナーの平井達也さんが、「サンヴェットモン」というブランドのホームページを紹介してくださった。

平井さんによると「サンヴェットモン」デザイナーの水野直昭さんは、独立前の職場の後輩にあたるそうで、今でも交流があるという。
水野さんは、以前「ヴェットモン」というブランドを展開しておられたが、ブランドを休止してその3年後に、新ブランド「サンヴェットモン」として再デビューされたという経緯がある。

平井さんが注目されたのは、新ブランド「サンヴェットモン」のHPのブランドプロフィールの部分である。
http://www.saintvetement.com/brandprofile.html

画面は字が小さく文章が長いので多少読みづらいが、ブランドが変わるにいたった経緯、休止の間にしていたこと、新ブランドのスタンスが丁寧にインタビュー形式でマイナス面の要素も含めて書かれている。

元来「ヴェットモン」は大手企業の資本参加によって展開されていたブランドであったが、その企業が資本を引き上げたことからブランド休止に至ったという。ブランド休止後、水野さんはアパレル企業で3年間働いた後、再び「サンヴェットモン」を立ち上げた。
ブランドプロフィールにはさすがに「資本が引き上げられたから」とは語られていないが、「様々なところに問題が発生し、解決不能になり止めざるを得なくなりました」と素直に自分の言葉のように語られている。

また休止中についても「大量生産、大量消費を改めて学んで」と説明されている。

平井さん同様に、自分もなかなかに良い説明だと感じた。

通常、ブランドや企業の成り立ちは、とかく「きれいごと」しか語られていない印象がある。ましてや自社のHPやパンフレットにおいては、それこそ胸やけするくらいのきれいごとで埋め尽くされている場合が多い。
しかし、実際に取材をしてみると、マイナスの要素も含む紆余曲折を経て企業やブランドが成長してきたことがわかる。そういう話にはやはりリアリティがある。綺麗事で埋め尽くされたプロフィールにはリアリティがない。

少し誇張して表現する。

「○○ブランドは、開始数年後に、一旦経営が厳しくなりましたが、大手企業××の善意のみによって援助され、そこからもう一度がんばりました。そして20年後ようやく本社ビルを持つに至りました」

というような経歴説明がしばしばある。

しかしここには、なぜ経営が厳しくなったのかが説明されていないだけでなく、大手企業××の援助の意図がわからない。多くの場合、大手企業××が善意のみで援助するわけがない。またその後、20年間どのようにがんばったのかがまったく見えない。リアリティが皆無であるために、読み手に何の感動も印象も与えない。おそらく記憶にも残らない。

自分の(自社の)マイナス面をさらけ出すのは大変な勇気がいると思う。だからといって自社経歴やブランドプロフィールが完全な綺麗事に終始すると、読み手側にはまったく響かない。そういう意味では「サンヴェットモン」のブランドプロフィールはある程度正直にマイナス面をカミングアウトすることで、好印象を与えている。

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