日本人の特性として、議論・批判・批評を嫌うところがあると思う。
司馬遼太郎さんの著書によると、幕末の長州藩士は例外的に議論好きだったとあり、反対に薩摩藩士は上の命令には絶対服従だったとある。

さて、前回は、日本は「物作り志向」が強いという話題をしたかったのだが、
何時の間にやら日本の繊維産業の特殊技術を紹介し、それに対して共感している自分があった。

今回は、反対の立場に立って書いてみようかと思う。
いわゆるディベートというやつの脳内練習だと思ってほしい。

個人的見解ではユニクロは「物作り志向」が強い日本人的SPAブランドだと思う。
ユニクロが万人に受けた理由は、低価格高品質にあると考えている。
あの価格の割には品質はそこそこ高く、下手な百貨店アパレルのSPAブランドと同等の品質がある。
この品質とは何かというと、使用している素材や縫製の質であり、物性においてのスペックは高い。
シナジープランニング代表の坂口昌章さんによると「日本人はこの20年間、ひたすらに低価格高品質の商材開発に明け暮れていた。それは一種狂信的ともいえる状況にあった」とおっしゃっておられ、ユニクロは、その「低価格高品質」の一つの到達地点と言えるのではないだろうか。


反対に海外ファストファッションを考えてみたい。
主にファストファッションとは、開発までの時間が短く流行を早く採り入れ、価格が安いことと定義されるため、
GAPやアバクロは含まれず、ファストファッションの定義に当てはまる海外ブランドはH&Mとフォーエバー21となる。
この2ブランドは、低価格ではあるが、使用素材と縫製という観点では著しく低品質である。ファストファッションとは言いづらいがZARAもまた低品質である。「物作り志向」の強い日本人にはまったく受け入れられていない。GAPのように100店舗まで出店することは到底不可能だろう。20店舗出店ですら成立する可能性が低い。

しかし、良いところを探すとするなら、デザイン性、色柄のトレンド性、イメージ打ちだしの上手さ、ということになるだろうか。これはユニクロに欠けている部分である。
そして、今回は敢えて反対の立場から書いてみるが「物性の高さだけがファッションだろうか?」という問題がある。ファッションとはブランドイメージ、広告宣伝の上手さ、見た目のカッコよさなども含まれており、逆にこれらがないブランドはちっとも「ファッショナブルではない」と言うことにもなる。
それは実用品の世界である。
H&M、ZARAが多くの諸外国で受け入れられているのは、様々な経済的要因もあるが、一つには「ファッショナブル」だったからという要素もあるだろう。その意味では、海外ファストファッションは品質は著しく低いものの、「ファッションブランド」だと位置付けることも可能ではないだろうか。


逆説的だが、H&Mやフォーエバー21が日本国内で支持され、20~30店舗体制まで拡大できたとき、初めて日本人は過度の「物作り志向」から脱却することができるのではないかとも思う。