2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみたhttps://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2

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