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南充浩 オフィシャルブログ

過剰供給と過剰仕入れで滞留するローゲージニット

2011年10月28日 未分類 0

 昨日、レディースのローゲージニットのことを書いたのだが、少し補足したい。

ローゲージニットは分厚いため、インナーとして着ることはなかなか難しい。
ほとんどがアウターとして利用される。しかし、防風性が皆無であるため、真冬に着用することは適さない。
おそらく16度~22度くらいの気候の時にしか着用できない。
着用期間は10月下旬から11月末。長くても12月上旬までである。

数年来、毎年秋冬にはローゲージニットが期待されているものの、それほど売れずに終わる。
今秋は例年以上に注目されていたが、10月20日の小売店には店頭在庫として滞留しているようだ。

昨日その要因として先に挙げた気温の問題を書いた。

取材したニットメーカーはさらにあと2つの要因を挙げて下さった。

1、ブームと見込んでローゲージニットを製造したメーカーが多く供給過剰に陥った
2、ブームと見込んで自店のキャパシティ以上のローゲージニットを仕入れた小売店が多かった

この2つである。

1つ目は、ニットを得意とするメーカーは毎年ローゲージニットを一定数量製造している。
ブームが来ると見込めばこれを多めに製造する。
今秋は、例年よりも期待値が大きかったので、ニットメーカー各社は数量を多めに製造した。
また普段はあまりニットを製造しないアパレル各社も、ブームと見込んでローゲージニットを製造した。
その結果、供給過剰に陥ったというわけである。

2つ目は、小売店のバイヤーといえども人の子であり、確信を持って発注できる人間などほんの一握りである。
バイヤーは常に迷いながら仕入れている。
ブームであると聞けば、それを無意識で多めに発注することも珍しいケースではない。
また、いつもならA社からだけ仕入れているのに、B社からも仕入れてしまうというようなこともある。
その結果、自店のキャパシティを越えた数量のローゲージニットを仕入れてしまっている小売店も多いようだ。
例えば50枚なら完売できる顧客を持った店が、70枚仕入れてしまっているということである。
しかもいつもならA社から50枚だけ仕入れているのに、B社からも20枚仕入れてしまっている。

これによって、店頭にはローゲージニットが滞留していることとなる。

本当は一定数量が売れているにも関わらず供給過剰、過剰仕入れでローゲージニットが不良在庫化しつつある可能性もある。
しかし、本当にブームで万人が欲しがる商材なら、少々の過剰供給も過剰仕入れも問題ではなく、消化率が高まる。

過剰供給、過剰仕入れをはねのけられないということは、ローゲージニットは機能的要因もあって万人が欲しがる商材ではないということになる。

件のニットメーカーによると、冬本番はやはり、インナーに適したいつものハイゲージセーターに落ち着きそうだという。あと、節電によるウォームビズの本格化から、ハイゲージのタートルネックセーターが動きそうだともいう。

やはり気候要因は無視できないのではないか。

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