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南充浩 オフィシャルブログ

期待外れ?ローゲージニットとショップコート

2011年10月27日 未分類 0

 先日、ニットの卸売りメーカーに取材したところ、夏にはあれほど受注が好調だったローゲージニットだが、
10月20日の段階では店頭であまり売れておらず、滞留在庫となっている店が多いという。

8月末ごろまで、3~5ゲージ程度のローゲージニットに注目するという声が多く聞かれ、大阪・泉州のニット工場ではローゲージニットの受注が年末まで満杯だった。
ローゲージニットは着用できる期間がひどく短いため、筆者にはそれが大きく売れるということが信じられなかった。さらに言えば、この数年、毎年秋口には「ローゲージニット」という声が出ていたのだが、大ヒットを見たことがなかった。今回は「ついにヒットするのか?」と期待して見ていたのだが、どうやら期待ほどには動かずに終わる可能性が高くなってきた。

ローゲージニットベスト2

日本の気候に照らし合わせて考えてみると、ローゲージニットは着用期間が1ヶ月半ほどしかない。
通常の衣料品に比べるとかなり短い期間しか着用できない。
今年の気候を思い返してもらいたいのだが、8月は猛暑、9月も20日ごろまで猛暑、一旦気温は低下したものの10月も夏日が多かった。気温が本格的に下がったのは今週に入ってからである。

長期予報は当たるも八卦当たらぬも八卦だが、11月は再び気温が高くなり、12月は寒くなり、1月は厳しい冷え込みになるという。

となると、今年のローゲージニットの着用期間は10月の下旬から11月末まで、長くても12月上旬までということになり、正味1ヶ月半ほどしか着用できない。

ローゲージニットは見た目はかっこ良いのだが非常に機能的ではないため、暑い頃に着用するには暑すぎ、防風性が皆無なので本格的に寒くなるとこれまた着用は難しくなる。おそらく最高気温が16度~22度の期間しか快適に着ることはできない。
そうなると、関東や関西での最適な期間は10月半ば~12月上旬ということになる。

やはり、機能性の低すぎる商品は業界が煽ってもマス商品としては広がらないということなのだろうか。

8月下旬から最高気温が25度を下回るヨーロッパにしか愛用者はいないのだろう。

同じく、ファッション雑誌が押しているが、着用者をさっぱり見かけないアイテムの1つにメンズの「ショップコート」がある。なんだかよく分からないネーミングだが、綿素材のロング丈のカバーオールジャケットだと想像してもらえると一番的確ではないか。

今秋冬のメンズのファッション雑誌には「ショップコート」のページが必ずある。
それほど雑誌は注目しているわけだが、実際に歩いてみると街でそれを着ている男性を見かけたことがない。
筆者は天王寺、難波、心斎橋、梅田あたりをうろうろすることが多いのだが、大阪でマイナーな存在だが、東京の都心ではメジャーな存在なのだろうか?

ただ、この商品もあまり機能的ではない。
Gジャンと同じくらいの生地の厚さがあるため、10月下旬くらいまでは暑すぎて着用できない。
その上、裏地も中綿も取り外し可能なライナーもないため、防寒能力は極度に低い。
また「コート」という名前ではあるものの、身幅やアームホールはジャケットサイズであるため、その下に厚手のものは重ね着できない。

こう考えると、着用期間はローゲージニットと同じく10月下旬~12月上旬までに限られてしまう。

関西でショップコート着用者をほとんど見かけないのは、やはり機能性が低すぎるためではないだろうか。

やはり、その国の気候風土に適した商品でないと、大衆層に売ることは難しいということではないのか。

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