今回初めて、現代ビジネスというウェブメディアに寄稿させてもらった。

ヒットが出ない…!アパレル業界「トレンドの崩壊」はなぜ起きたか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56185

という記事で、この20年間の総まとめみたいな感じである。

48歳のオッサンになって、過去の業界やファッション消費の動向を振り返ると、現在と若い頃ではだいぶ違うような気がする。
これは誰でもがそう感じることなのだろうが、オッサンの単純な思い込みだけではないと思いたい。

例えば、2005~2007年まで、レディースではブーツカットパンツが大ブームだったが、2008年にスキニーパンツがブームになると、2010年頃にはブーツカットパンツを穿いた女性の姿はほとんど消えた。(一部の愛好家を除いて)

ところが、2015年にワイドシルエットのガウチョパンツがブームになってもいまだにスキニーパンツは消えない。
ユニクロやジーユーも主力商品の1つとして扱っている。

街行く人を見ていても相当数、スキニーパンツを着用している。
消費動向からすると、ワイドパンツとスキニーパンツを一人の消費者が併用しているような感じである。

これには理由はさまざまあるのだろうと思う。
思いつくままに挙げさせていただく。

1、社会の成熟化
2、所得の減少または伸び悩み
3、娯楽・趣味の選択肢が増え、ファッションという娯楽の優先順が下がった
4、過去のトレンドがそれぞれファッションジャンルとして定着した

2018年の現在から20年前というと、98年頃である。
まだ股上の深いパンツを穿いていた。パンツが一様にローライズになる直前である。

しかし、股上の深い・浅いは別にして、全体的な服装のテイストや髪型は現在とさほど変わっていない。
微妙な差異は当然あるものの、大きくは変わっていないと感じる。
40代の方なら20年前なんて昨日のことのように覚えているのではないだろうか。
現在の生活様式や服装、髪型とそれほど変わっていないことに気が付くのではないかと思う。

しかし、90年代にその20年前である70年代を振り返ると、そこ最早異世界である。
90年代にあんな重たいモッサリした長髪の男はいなかったし、あんなベルボトムのズボンを穿いた人もいない。
あんなヒッピーみたいな服装の男女もいない。

もちろん90年代には空前のキムタクブームでロン毛の男は山ほどいたが、もっと軽るめにカットされたサラサラのロン毛だった。
あんな、散髪をに行くのを2年間さぼったような重たいロン毛はいない。

70年代から90年代までの毎年と言っていいほどの目まぐるしいトレンド変化は、90年代以降はそこまで起きていないということがわかる。
もちろん、記事中に書いたようにそれでも90年代から2005年までというのは意外にアパレル業界にとっては、やりやすかった時代で、それでもほぼ毎年大ヒット商品が生まれていた。

2008年のスキニー登場以降、トレンドはほとんど変わらなくなった。

その一方で、「トレンド消費がスマホの登場で目まぐるしくなった」という意見もある。

それは個々のアイテムの人気が持続している期間が短くなったことを指しているのだろうと思う。
例えば、2015年にジーユーが100万本売ったガウチョパンツだが、今ではアンクル丈ワイドパンツに名前が変わっている。
その一方で、天神橋筋商店街のバッタ屋に飛び込んでくる大阪のオバハンは「ガウチョパンツ欲しいねん」というほど、ガウチョという名称を連呼している。

3年後には大阪のオバハンまでがガウチョを愛用するにようになっているのである。

人気ファッションブロガーのMB氏のブログで、つい先日まで大人気だったスニーカー、アディダスのスタンスミスの着用者が急速に減り、代わって田舎のオバハンがスタンスミスを着用するようになったことが触れられている。
ガウチョもこれと同じといえる。

スタンスミスの前はニューバランスのスニーカーが大人気だったが、その人気は短期間で終息した。

しかし、現在もニューバランスの着用者は普通にいるし、一時期に比べてスタンスミスの着用者は減ったものの普通にいる。

「うわ、まだニューバランス履いてるの?ダサ」とか「まだスタンスミスで消耗しているの?プゲラ」とかそういう雰囲気ではない。
普通の定番スニーカーとして少なからず着用者がいる。

ここが、オッサン世代が見てきた70年代~90年代までのトレンド変化と、現在が大きく異なっている点だと思う。

天神橋筋商店街のオバハンがガウチョを穿いてたって、若いおねえちゃんもアンクル丈ワイドパンツという名のガウチョパンツを穿いている。
田舎のオバハンと都心のファッション好きの若い衆が共通してスタンスミスを履いているのと同じである。

この辺りが社会の成熟化といえるのではないかと思う。
また、各ファッションジャンルの定着化といえるのではないかと思う。

それに加えて、所得の伸び悩みまたは減少も大きく、2000年頃までの「トレンドアイテム総入れ替え」体制だと、人気アイテムに合わせてトップスや靴、アウター類まですべて買いなおさなければならなくなる。

エディスリマンのピチピチシルエットが流行って、それに一斉に変わってしまえば、それまでのバブル期のダボダボの服はすべて捨ててしまわなくてはならない。
今は、そんなもったいないことはできないということだろう。

だから5年前に買ったスキニーパンツと、去年買ったワイドパンツを併用するのだろう。
それぞれに合わせるトップスも異なるから、スキニーに合わせるのは以前に買ったトップスで、ワイドパンツに合わせるトップスを何枚か今年買い足すという消費動向になる。

現在、ワイドパンツにワイドなトップスがトレンド最先端だが、このジャンルもトレンドが去った後も消滅することはないと思うし、このトレンドは意外に長く続くのではないかと思う。

MB氏がブログで触れているように、ワイドシルエットの上下は「試着なし」で買うことが可能だからだ。
そしてネット通販が定着すればするほど「試着なし」で買って失敗する可能性が少ないワイドシルエットの服は重宝されるということだ。
アパレル各社がネット通販に力を入れれば入れるほど、ワイドシルエットの服の寿命は長くなると見た方が良いだろう。

その一方で、スキニーも今後も消滅することはないだろう。
なぜなら、カッコよく見える着こなしには3つのシルエットがあるからだ。

1、Aライン(トップスがタイトでパンツがワイド)
2、Iライン(トップスもタイト・パンツもタイト)
3、VラインまたはYライン(トップスがワイドでパンツがタイト)

3シルエット中の2つまでがタイトなパンツであるから、確率論的に言えば、タイトなパンツを買っていれば間違いが少ないということになる。そしてそのタイトなパンツの代表例がスキニーといえるから、こちらも消滅することはなく、むしろマスアイテムとして生き続けるのではないかと思う。

当方より上の年代層のアパレル企業幹部が「2000年ごろまでの総取り換え」の消費動向を理想として思い描いているとしたら、それはあまりにも時代遅れだといえる。そんな時代はもう二度とやってこない。今後は、各ジャンルのファッションが共存並立する時代である。その消費動向に向けた商品開発や販売方法を模索できないアパレル企業やブランドは消え去るのみになるだろう。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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天神橋筋商店街のオバハンまでもが愛用しているガウチョパンツをどうぞ