2017年の衣料品の輸入品比率(数量ベース)は98%になったとの報道があった。
国内生産比率は数量ベースで2%になったということになる。

これを受けて、WWDジャパンの6月4日発売号でも記事が掲載されていた。

日経新聞にも同様の報道がある。

衣料品、国産消滅の瀬戸際 輸入比率98%に迫る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30973410V20C18A5TJC000/

この日経新聞の記事で気になるところは、むしろ、エドウインの国内工場の相次ぐ閉鎖という部分だ。
13あった工場もすでに一桁台にまで減っている。

エドウインが経営破綻によって伊藤忠商事に買収された時点では13ある国内工場が随分とクローズアップされて報道されたものだが、所詮は客寄せにしか過ぎなかったのだろうか。

それはさておき。

WWDジャパンの記事では国内生産数量は1億枚をついに下回って9840万枚と報道されている。

こちらでも同様の記事が掲載されている。

FISPA便り「アパレル生産、1億枚割れ」
http://fispa.gr.jp/archives/4271.html

日本繊維輸入組合が毎年、まとめているアパレル製品の輸出入統計を見ると、2017年のアパレル製品の供給では、国産の減少と輸入の増加に歯止めがかからず、輸入浸透率は前年比0.3ポイント増の97.6%になったことがわかりました。大きな変化は見られませんが、1991年には51.8%だった輸入浸透率はその後上昇を続け、限界とも思える90%に達した以降もジリジリと上昇しています。

とある。2%は正確には2・4%ということである。
そして

国内市場向けのアパレル製品の総供給量は、37億9200万枚です。前年に比べて1.8%増加しました。

とあり、前年より微増しているものの、ピーク時の41億枚からは微減している。

国内生産量はどうなのでしょう。前年比8.1%減の9840万枚でした。

とある。国内生産数量がついに1億枚を割り込んだ。個人的には、この数量が増える可能性はほとんどないと見ている。

さてWWDでは衣料品の国内生産が伸びない理由を考察している。
衣料品の国内生産というのは、主に縫製工程を指している。生地製造はまた別である。

「メイドインジャパン」とか「国産にこだわった」とかいうブランドが紙面を賑わわせているが、実際のところ数量ベースではほとんど寄与していないことになる。
話題になることと、数量が売れるということは別物だということが、この統計だけでも十分に理解できる。

例えば、「国産」を旗印にずいぶんとメディアに露出しているブランドがある。
著名なところだとファクトリエとかトウキョウベースとかになるが、あれほどメディアに出れば、どれほどの数量が売れているのかと思うが、実態はこんなもんである。国産品は数量ベースで減り続けており、彼らのスローガンは耳目を引き付ける効果はあっても、数量ベースの改善には何ら役に立っていないということである。

WWDの記事では、国産品が増えない理由として、「衣料品の低価格化」と「工場の後継者難」を挙げている。
経営者も工員も後継者難なのである。
国内の工場は経営者も工員も高齢化しており、経営者は自分の代で廃業しようと考えている。
工員には若手がほとんど入ってこない。(ゼロではないが)

理由は儲からないからだ。

外国人実習生でしのいでいる縫製工場もあるが、3年で帰国してしまう外国人実習生では技術は安定しない。
3年ごとにメンバーが入れ替わるので、また最初から教えなおさなくてはならない。

また、外国人実習生を厚遇している国内工場もあるが、法定以下の扱いをしている国内工場も珍しくなく、むしろ後者の方がクローズアップされてさらに求人難となっている。

そのほか、衣料品の低価格化が止まらないことから、国内工場の人件費も上がらないままここまできた。
一部の工場からは日本人の工員の給料も20年間据え置かれたままだという声もある。また、老年の工員は年金を支給されているため、割安で仕事をしていることも珍しくない。

WWDの記事では、「国産衣料品をこのままなくしてしまって良いのか?」と結んでいるが、かといって、無理やりに国が保護したりすることもおかしな話だろうし、人が集まらない産業は消え去るしかない。

現実的に、G7の先進国で衣料品製造がそれなりの規模の産業となっている国はイタリアくらいではないか。
まあ、そのイタリアでも繊維工場の外国人労働者は増えているといわれるが。
フランスに拠点を置くラグジュアリーブランドも自社縫製工場、工房を維持している。

アメリカやイギリスでは縫製工場はほとんどなくなってしまっており、日本の縫製工場が限界まで減ることは不自然なことではない。

もちろん、国内工場はゼロにはならない。後継者に恵まれた工場もあるし、当方の知る限りでも若い社長ががんばっている縫製工場もあるが、現存の縫製工場がすべて残ることは不可能だ。後継者に恵まれない工場は廃業するほかない。

結局の解決策としては、縫製業が儲かる職業になるほかない。
儲かる職業なら若い人が就職してくる。いくら、「国産品ガー」とか「産地を守りたい」とか綺麗事ばかり言っていても儲からなかったら、その産業は続かないし若い人も就職しない。儲からないのにわざわざ就職するのはよほどの変人か、マゾヒストだけである。

「国産品を守りたい」なんて言っているブランドはもっと真剣に数量を売ることを追求すべきだし、縫製工場は残りたいなら従来型の下請けに甘んじることなく、直販でもEC直販でも儲かるかもしれないことには何でも挑戦してみるべきだろう。

「儲かるようになる」という以外に解決策はない。

国内縫製工場の減少を見ていると金儲けの大切さが改めて理解できる。
アパレルは芸術ではなく、産業であり経済活動なのである。

NOTEの有料記事を更新~♪
ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします