静岡の有力チェーン店と呼ばれたジーンズショップオサダが民事再生法を申請した。

静岡拠点のジーンズショップオサダが民事再生法適用を申請
https://www.wwdjapan.com/627235

地域の有力チェーン店と呼ばれていたが、最近は資金繰りの悪化が指摘されていた。
4月にお会いした某カジュアルメーカーの社長は「銀行からオサダと取引を控えるように勧告されている。理由はオサダの経営状態が悪いから」と話していた。
それほどに悪化しているのかと驚いたが、はからずもその話が現実化したといえる。

このブログでも6月8日の朝に

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ
http://minamimitsuhiro.info/archives/2573.html

を上げたが、文中に匿名で「銀行から取引中止を勧告された」と書いてあるのはオサダのことで、その日の夕方に民事再生法申請が報道された。

なお記事によると

8日付で企業再生支援のKSG(東京)との間でスポンサー契約を結んでおり、支援を受けながら再建を図ることになる。

とのことで早速スポンサーが確定している。

このオサダ以外にも業界での知名度は高いが近年は苦戦に転じていると言われている地域有力チェーン店が何社もある。
これまで何度も危機を乗り越えてきた地域有力チェーン店だが、ついに息切れし始めたといえる。
もちろんすべてのチェーン店がなくなるとは思わないが、ジーンズカジュアルチェーン店という業態そのものが時流には合わなくなってきており、今のままの業態で営業を続けると、最終的には何社かを残してあとはすべて淘汰されてしまうのではないだろうか。

衣料品業界の流れを見てみよう。
90年代半ばからSPA(製造小売り)がブームとなって大きく進んだ。
SPA化がすべて正しいとは思わないが、商品の独自化を極限まで追求すると、小売店がSPA化せざるを得ない。

これはカルチュアコンビニエンスクラブの増田宗昭社長も以前のインタビューで指摘されていたことだが、商品の独自化を追求すればするほど、SPA化に行き着く。
考えてみれば当たり前のことだ。

例えば、リーバイス501という名作ジーンズがあるが、これを何千店もが販売していたら同質化してしまう。
リーバイス501はジョイントで買おうが、三信で買おうが、フロムUSAで買おうが同じである。
だったら、安く買えるところが一番良いということになる。
実店舗の場合、店長や販売員に惹かれて多少高くてもそこで買うという人もいるが、大多数の人は安いところで買う。
そしてその安売りで人気を集めたのが昔のジーンズメイトである。

一方、同質商品を扱っているなら小型店よりも大型店の方が良いということになる。
リーバイス501は90年代前半でもブルーの濃淡だけで10色くらいあったから、3色しかそろえていない小型店よりも10色すべてそろえている大型店の方が良いと消費者は評価する。
その結果が90年代から進んだジーンズチェーン店の大型化であり、この90年代で街角の30坪くらいの小型店は軒並み死に絶えたといえる。

それによって、各地の国道沿いに大型ジーンズチェーン店が生まれたが、商品の独自性がなかったことと、98年からのユニクロフリースブームに端を発した低価格カジュアルブームによって、フロムUSAもロードランナーも三信衣料も倒産してしまった。

97年、98年というのは今から見るとターニングポイントともいえる時期で、このころ、東大阪のジーンズチェーン店だったジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を開業した。また、水戸のジーンズチェーン店だった「ポイント」は自社SPAブランド「ローリーズファーム」を開発した。

そして、2000年を越えるあたりから、他のジーンズチェーン店もSPA化を模索するようになるが、なかなかうまく行かずに、揺らぎ続けたままに2018年を迎えている。

その代表例がライトオンだろう。3年~5年ごとに「SPA化推進」を掲げてみたり、「仕入れ品強化」を掲げてみたり、を繰り返している。
リーバイスやエドウインからの仕入れ品が何割かあって、残りをSPAで埋めるのが本来は理想的だといえる。

しかし、実際の業務ではそれを守り続けることが難しく、決算によって施策が揺れ動くことを繰り返している。

ジーンズメイト、マックハウスも同様でSPA化に乗り出してはいるもののそれほどそのバランスのとり方には苦心が見える。

一方、オサダを含めた地域有力チェーン店はSPA化にはあまり取り組んでこなかった。
取り組んでこなかったという側面と、店舗数の関係で取り組めなかったという側面の両方があると思う。

オサダと仲の良かった他地域のチェーン店も構成比で2割程度のSPA商品があったが、これも多少増えたり減ったりを繰り返しているが、数年前の状況でいえば、オサダはほとんど自社製品がなかった。
売れ残るリスクを考えるとそれはそれで間違いではないが、品ぞろえの独自性ということから考えると、オサダにそろっている物はすべて他店でも買えるということになってしまう。
そうすると、品ぞろえという観点では競争力が低下する。

また、彼らが主力としてきた「ジーンズ」という商品がそこまで大量に求められているのかという疑問もある。

バッタ屋の店頭で立っていると「デニム生地のズボン」を求める割合は、明らかに50代以上の年配層が多い。
20代、30代はそこまで「デニム生地のズボン」を求める人はいない。

もちろん、身の周り検査だけのことだが、実際にメーカーに尋ねても40代半ば以上の男女の方がジーンズを求める声が大きいという答えが返ってくる。

ジーンズは決してなくならないが、それを主力にするということは、「年配向けの店」ということに自動的になってしまっている。
年配向けの店ならそれに徹した品ぞろえ、販促をすべきだが、チェーン店の多くはいまだに若者向けを目指しており、現状の品ぞろえとの乖離が激しい。ここにもライトオン、マックハウス、ジーンズメイトを含めた全ジーンズチェーン店の苦戦の原因があるのではないか。

スポンサーのサポートで再建を目指すオサダだが、従来型のジーンズチェーン店を志向するのであれば、業績が上向くことは考えにくい。早晩、二度目の経営破綻に陥るだろう。

現在の市場で求められているカジュアルはどういうものかを固定概念を捨てて考えてみる必要がある。
これはオサダに限らず、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトも含めた全ジーンズチェーン店が真剣に向き合うべき課題である。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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