先日、ワールドがクラウドファンディング大手のキャンプファイヤーとの資本業務提携を発表した。

ワールド/クラウドファンディングのキャンプファイヤーと資本業務提携
https://www.ryutsuu.biz/strategy/k060120.html

今年に入ってからのワールドの投資案件は冴えていると感じる。
4月にもラグタグとサスティナの買収を発表した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

「古着(ラグタグ)」「レンタルサービス(サスティナ)」を傘下におさめ、さらにはクラウドファンディング大手とも業務提携した。これまでワールドにない機能を持った企業を手中におさめており、外野から見た限りにおいては非常に効率的な内容だといえる。
win-winという言葉はあまり信用しないが、この3つの案件はwin-winに近いといえるのではないだろうか。

数年前まで意味のわからない新規事業ばかり手掛けて無駄な投資を繰り返していたワールドとは雲泥の差がある。
この2か月の冴えは、90年代後半のころの冴えを彷彿とさせるのは、単なるオッサンの感慨だろうか。

90年代後半にもワールドはその当時「旬」と呼ばれていた小規模ブランドをいくつか買収した。
もちろんレンタルサービスもクラウドファンディングもない時代である。それどころかインターネットすら存在していなかった。

古着はあったが、「大手」と呼ばれるような古着屋はなかった。

当時買収したのはコキュとミニマムという2つの小規模ブランドである。
この当時は、こういう個性派の小規模ブランドが注目されていたし、ワールドあたりも独立系デザイナーに商品デザインを外注していた。まあ、当時の看板ブランドだったオゾックもインディヴィもデザイナー・田山淳朗氏を起用して大ヒットを記録したから、「デザイナーや個性派はイケる」という社内ムードだったのではないかと思う。

当方も含めた業界の外野は、この買収に期待を持っていた。
どんな進化を遂げるのだろうと期待していた。

しかし、買収後この2ブランドが輝くことはなく、そのうちにまったく話題にも上らなくなった。
陳腐なそこら辺のSPAブランドに同化してしまって、不人気となって消えた。
文字通りブランドそのものがなくなったのである。

今回の買収は、この当時の愚を繰り返してもらいたくはないと思う。

先日、この当時、コキュの買収の担当だったという人と偶然にもお会いすることがあった。

ワールドの本社は神戸なので、関西での話である。
この当時はまだ神戸本社機能は相当に残っていた。

京都の藤井大丸にコキュの店があり、担当氏はそれを視察に行った。買収直前の話である。

担当氏はコキュの店を見て度肝を抜かれたという。

「回転寿司の回転テーブルに商品を乗せて開店させているじゃないですか」

で、さっそく、当時の上司に

「回転寿司のテーブルというアイデアは非常に面白いですが、あれをそのまま続けるんですか?新店出店するときなんかすごい費用になりますけど?」

とお伺いを立てたところ、上司は

「アホ。そんなもんそのままするわけないやろ。もっと平準化した店にするに決まってるやろ(ワールド基準のな)」

と答えたという。
ちなみに()内は上司の心の声を推測で再現してみた。

そして買収決定以後、コキュのそういう「個性的」な店作りはなくなり、平準化した陳腐でつまらないありふれたブランドとなった。
たしか、コキュの創業メンバーも次々に離脱して、最終的には誰も残っていなかったと記憶している。

結局のところ、「コキュ」という看板だけを付けたワールドの陳腐なSPAブランドが一つ出来上がっただけに過ぎなかったということである。

ミニマムも同じ経緯・同じ末路をたどることになる。

ワールドからすると、不採算・非効率な部分を廃止したといえるだろうが、その「不採算・非効率」な部分こそがその2ブランドの「面白味」だった。
個性派小規模ブランドなんて「面白味」を取ったら何も残らない。
だから「面白味」を取られた2ブランドは最終的に何も残らなかった。
それだけのことだ。

「角を矯めて牛を殺す」ということわざがあるが、角を矯正して良くしようとした結果、逆に牛の身体に負担がかかって牛が死んでしまって元も子もなくなったという意味であり、コキュとミニマムの平準化はまさに、コキュとミニマムという「牛」の角を矯めて殺してしまったといえる。

ことわざの再現ドラマを見ているようだった。

さて、今回、珍しく冴えた投資を見せたワールドだが、この90年代後半の失敗を繰り返すのかどうか。

当時のワールドとは経営陣もあらかた代わっているし(完全には代わっていないが)、スタッフも大きく代わっている。
まるまる同じ轍を踏むとは思えないが、完全に代わりきっていない経営陣に対して、正直なところ一抹の不安を感じる。

少し横道に逸れるが、非常な業界通も現在のワールドは社内で何が起きているかわからないという。
それは情報があまり出てこないからである。今、どういうことがトップの間で考えられているかは発表された案件以外は皆目わからない。

良い方向へ変わるのか、それとも・・・。

とりあえず外野からは、ラグタグ、サスティナ、キャンプファイヤーという3匹の牛の角が矯められないように祈るばかりである。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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