無印良品へ行くために近鉄百貨店あべのハルカス店を通ったり、テキスタイルマルシェを開催するために阪急百貨店うめだ本店に1週間通い詰めたり、13階のユニクロへ行くために大丸梅田店を上がったりするものの、「買い物客」という立場ではもう10年近く百貨店では買い物をしていない。

欧米のラグジュアリー系ブランドは高すぎてとても手が出ないし、他の国内アパレルのブランドは、低価格ブランドとそんなに見た目が変わらない物が多いから、百貨店で服を買うことはなくなった。
美肌プリンスではないので化粧品も使わないし、元から食には興味がない。
呉服やインテリアなんてもっと興味がない。

必然的に百貨店では物は買わないし、売り場にもよほどの用事がない限り行かない。

連休明けの今週、専門学校生をマーケティングリサーチの授業の一環として大丸心斎橋店北館に連れて行った。
連休明けの平日昼間はいつもにも増して売り場は閑散としている。

普段ならそれで終わるが、リサーチ目的の目で見てみると、百貨店の各ブランドのインショップは整然としているものの、POPなどが一切ないから逆に殺風景だと感じるし、店構えや洋服のディスプレイを見ただけではショップに入ろうとも思わない。

郊外型ショッピングセンターやファッションビルとはそのあたりが異なり、そちらの方が親近感が湧く当方のような人間にとっては、百貨店はますます縁遠くなる。多分今後もよほどの何かがない限り百貨店では物は買わないだろう。

郊外型ショッピングセンターやファッションビルならPOPとして「メンバーズカードに登録してくれたら〇〇ポイント贈呈」とか「会員価格10%オフ」なんていうPOPが貼られていて、どういう販促やセールが行われているかが一目でわかる。

それに比べると百貨店のインショップはファッションビルと同じブランドでもどういう販促があるのかとか、セールだとか、会員の特典情報なんかは一切わからない。
逆に不親切極まりないし、販売の機会損失を引き起こしているんじゃないかとさえ思える。
百貨店の不振の原因の一つはPOPで一切告知していない殺風景さもあるのではないかとも思う。

さて、ファッションビルや郊外型ショッピングセンターに行くと、バーゲンは夏と冬の2回だけという不文律なんてどこかに忘れ去られたかのように、常に何かしらのセールや値引きが行われている。
上場するするポーズを繰り返して見せるストライプインターナショナルのブランドが毎日何度もタイムセールを開催している。

2枚買うと2枚目半額という売り方の店もある。

2枚買うと2枚目半額という売り方はメンズスーツの青山やAOKIでも常に行われているが、フォーエバー21はよほど在庫がダブついているのか、2枚目半額どころか2枚目無料という恐るべき投げ売りをやっている。
しかも半額に値下げされたアイテムも2枚目無料だから、実質のところは4分の1の値段にまで値下げされており、バッタ屋並みの価格になっている。

昨日のエントリーにも書いたが、ネット通販はこれよりももっと激烈に常に何かしらのセールや値引き販売を行っている。
殺風景な百貨店インショップブランドでもZOZO店や自社ECサイトでは何らかの値引き販売が行われていることは珍しくない。

こういう状況になると、これまで業界が基準としていた夏と冬のバーゲンなんてもうほとんど意味がなくなっている。
常に何かしらの値引き販売が行われているのである。

そんな状況下で「バーゲンセール開始時期の後倒し」を掲げていた伊勢丹とルミネはちょっと意味が分からなかった。

ルミネは常に何らかの詭弁を弄する癖があり、うまい具合に論点をズラして昨年あたりから他の商業施設とバーゲンセール開始時期を合わせるようになった。残ったのは固執した三越伊勢丹だけだったが、頑なな後倒し論者の大西洋前社長が電撃更迭されてから、推進者は消えたといえる。

今回、夏のバーゲンセールから伊勢丹も他の商業施設とバーゲンセール開始時期で歩調を合わせることとなった。
実質的にこれで「バーゲンセール後倒し論者」は消滅したといえる。

三越伊勢丹がセール時期を見直し、6月下旬から段階的に実施
https://www.fashionsnap.com/article/2018-05-09/mi-summer-sale/

三越伊勢丹が、グループ全店の夏のクリアランスセールを6月29日から開催する。春物と初夏物、盛夏物と晩夏物のセール時期をずらし、”メリハリ”をつけたクリアランスを行う。

同社は近年、7月中旬から春物と夏物のセールを同時に行っていた。しかし「7月中旬は春物や初夏物を売るには少し時期が遅い。お客様の欲しい時期に、適正価格で販売したい」(広報担当者)という考えから、6月29日から春物と初夏物のセールを決めた。盛夏物や晩夏物のセールは7月末以降で検討しているという。

とのことだ。

ここまでネットとリアル店舗で値引き販売が常態化している中で、セール後倒しをいくら叫んだところで無駄なあがきでしかない。
同じ商品があるとするなら、だれでも先に値下げされている方で買う。別に店で買わずともネットで買ったって何ら問題ない。
いくら、伊勢丹の社長が声を大にしても時計の針は巻き戻せない。セールが夏と冬の年二回しかなかったころには戻れないのである。

毎年盛り上がらない夏のバーゲンだが、伊勢丹が歩調を合わせたことで少しは盛り上がるかもしれない。

しかし、6月末に初夏物はさておき、春物をバーゲンされたところでだれが買うのだろうか。
盛夏物を7月末にもう一度バーゲンするらしいので、2回行くのもめんどくさいなと思ってしまう。

実際のところ、本格的に暑くなるのは、関東・関西だと梅雨明けからだ。
梅雨明けは毎年平均すると、7月20日前後になる。
だから盛夏物を7月末にバーゲンするという伊勢丹の売り方は、業界人から見ると「遅い」「後倒し」と見えるかもしれないが、体感温度から考えるとまさに暑くなってすぐというタイミングということになる。
意外に悪くない政策ではないか。ただし、7月下旬まで盛夏物は動かないだろうけど。
安くなるとわかってて定価で買う人間なんてそんなにはいない。

とはいえ、これで「セール後倒し論者」は壊滅した。まさに勝負あったとしか言いようがない。

前回の「プロパー消化率」についてのエントリーでも書いたように、もうセールや値引き販売は常態化しているから、無理に「プロパー消化率」なんて珍妙な指数を持ち出すことは情勢に合っていない。客寄せのために値下げするのも立派な売り方の一つだし、ユニクロよろしく滞留在庫はその期中に投げ売ってしまう方が利益は確保しやすいともいえる。

周囲の商環境と洋服不振による過剰在庫が、往年の「セールは夏と冬の二回だけ」という構図を成り立たなくさせた。
それを無理やり後倒ししても結局のところ時流には勝てなかったということである。

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