「常識とされていること」を疑えとよくいわれる。
好調業界なら「常識とされていること」を踏襲しても、業績は伸び続けるから、当面は問題がない。
しかし、不振業界や不振企業が、「常識とされていること」を守り続けている意味はほとんどない。
なぜなら「常識とされていること」を守り続けてきた結果が現在だからだ。

そういう場合は、自分の頭で考えて、「常識とされていること」を疑う必要があり、無意味だと思ったら捨て去るべきだと思う。

95年以降のワールドの躍進によって、それを支えた

1、SPA化
2、クイックレスポンス対応
3、52週MD

が業界では「勝ちパターン」だと認識された。

だから、アホな業界紙記者はどこの企業の取材に言っても
「御社のQR対応は?」「御社のSPA化について」と壊れたテープレコーダーのように質問し続けたのである。

1の「SPA化」については正解だと思うし、品ぞろえに独自性を持たせようとすると究極的にはSPA化するしかない。
これは当方が独断で言っているのではなく、カルチュアコンビニエンスクラブの増田宗昭社長がそう言っておられて、当方も深く賛同するところである。

中途半端にSPA化しようとしたのが、セレクトショップ各社が自慢気にアナウンスしている「〇〇ブランドの別注品」である。

自社企画製品ではネームバリューがない、かといって、人気ブランドの商品をそのまま仕入れたのでは同質化してしまう。
だったらその人気ブランドに当社独自の色柄物を作ってもらえば良いじゃん

別注品はこういう安易で安直な発想から生まれており、今となってはどのセレクトショップも別注品ばかりになっている。

発注する店側に世俗的な力があれば、取り得るもっともイージーな方法である。

問題は2と3だ。

クイックレスポンス対応(QR)と52週MDは今となってはそれほど有効な手段ではない。
なぜなら、これをやっている大手アパレルが軒並み苦戦しているだけでなく、これをやっていないユニクロが圧倒的な支持を受けているからである。

本当に効果があるならこれを20年近くやり続けてきた大手アパレル各社の業績はもっと伸びていなくてはおかしいということになる。
論理的に考えればそうなる。

在庫を過剰に抱えることはリスクだから、売れた分だけ欲しいときに追加生産するというのがクイックレスポンス対応なのだが、現在の工場システム、業界システム、輸送システムでは今以上の短縮化は不可能である。
最低でも2~3週間はかかる。今のところ、これ以上は縮めようがない。

だったらそれを見越して、当初計画を作るしかない。

「2~3週間後では消費者の嗜好が変わっていて対応できない」なんて言葉を聞くことがあるが、本当だろうか。
嗜好がそれほど短期間に変わっているなら、どうして売れ筋上位ランキングのほとんどを「ベーシック商品」が占めているのだろうか?
短期間で嗜好が変わるなら何年間も、何か月間も変わらないベーシック商品がそこまで支持されることはないのではないか。

次に最大の弊害だと思うのが52週MDへの過剰な信仰である。

要するに毎週新しい商品を投入するということで、正確にいうなら「マーチャンダイズ(MD)」ではなく「52週商品投入計画」なのではないかと思う。

本当の意味のMDは在庫管理から利益計算までを求められるから、毎週ではそこまで精度の高いことはできない。
この辺りは最近老眼になったローガン・佐藤正臣氏にでも専門的な講義を受けていただく方が良いだろう。

毎週の新商品をそこまで数値管理できないから、製造業者の工賃を「%表示」で管理するのである。
そして、「製造費がいつもより5%高いから値引きしろ」なんてことを言うのである。
その5%がたった50円にしかならなくてもだ。

「50円×100枚で5000円分を値引きしろ」なんて言い草はアパレル業界では普通にある。
5000円くらいを値引きしてもらってその会社の業績がどれほど変わるのだろうか。それこそ社長が月々の小遣いからでも5000円くらい払っておけよという話である。

ところで毎週毎週新商品投入が本当に必要なのだろうか。
もちろん店頭は新鮮になる。

しかし、毎週服屋に行く人がどれほどいるのか。ましてや毎週服を買っている人がどれほどいるのだろうか。

ほとんどいないだろう。だからこそ洋服不振に陥っているのではないか。
毎週服を買っている人がそれほど多数いるならアパレル各社はもっと儲かっている。

毎月服を買っている人だってどれほど存在するのか怪しいものだ。
せいぜい2か月か3か月に1度買うくらいではないのか。

100万歩譲って、みんなが毎月服を必ず1枚は買っていると仮定すると、毎週新商品を投入して「店頭を目新しくしました」とアピールしてもあまり意味はない。
だってそうだろう?多くの人は月に1度か2度しか店頭に出向かないのだから。
月に1度とすると、毎週の新商品投入だと3週間分は無駄になる。

月に2度だとしても残り2週分はまるっきり無駄だ。

さらにいうなら、業界で独り勝ちを続けているユニクロは毎週新商品を投入していない。
せいぜい多くても1か月に1度くらいである。
もしかしたら1・5か月に1度くらいではないかと思う。

新商品の毎週投入が必要不可欠ではないということがこれで証明できるのではないか。

新商品投入は月に1度か多くて2度で十分ではないか。

店頭を変えたければ、毎週マネキン人形が着ているコーディネイトを変えてもそれで充分ではないかと思う。

月に2度の新商品投入なら24回ということになり、52回から半減以下になる。
その分、企画や生産管理も業務が楽になるし、店頭の販売員・店長も品出し・検品作業が楽になる。

毎週毎週頼みもしない新商品が投入されるから店頭の販売員・店長は過重労働になるし、企画担当者や生産管理担当者も負担になる。

52週MDで飯を食っている人は今でも業界には掃いて捨てるほどいる(文字通りに掃いて捨てたいが)が、自分自身で毎週服屋に行って服を買っているのか、自分の家族はそういう行動をしているのかをもう一度考え直してみてはどうか。
当方だって毎週服屋には行っていない。めんどくさいし行く時間もない。

業界の人間やその家族ですらそうなのだから、業界がお客としている一般消費者はもっと服を買う頻度も服屋へ行く頻度も低いと考えるのが当然である。

結局、52週MDはお客を見ずに業界の都合を押し付けてきただけではないのか。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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