今日は出張中ということもあり、いつもより手短に。

何事も自分一人の感覚だけでやって成功できるのはほんの一握りの「本物の天才」しかいない。

やっぱり世間相場についてのデータを持ったうえで、それに沿うのか、それを裏切るのかを考えながらやらなくては凡人は成功しない。
世の中のほとんどは当方も含めて凡人なのだから、世間相場のデータを持つことが前提となる。

低価格化に苦しむ我が国のアパレル業界だが、それでも実際のところは、洋服の平均購買額はどれくらいなのだろうか。
それを把握してビジネスに当たっているブランドは少ないと感じる。

総務省の家計調査報告書によると2016年度は月額平均で被服代への支出は10,878円だった。
1年間では12倍すると13万536円となる。

世間相場の平均では年間13万円強しか服を買わないということになる。

となると、各ブランドは個々人の年間13万円の予算の中からどれだけ分捕るのかということになる。
早い話が13万円の予算の分捕り合戦ということだ。

極端な言い方をすれば、あるブランドが、5万円の服を買ってもらったら使える予算は残り8万円になってしまう。

一方、ユニクロやジーユー、無印良品などの低価格ブランドを除いて、ちょっとしたブランドなら商品単価は1万円を越えている。
ブランド側からすると「1万円の服なんてそんなに高くもない」と考えているだろうが、買う側からすると1万円というのは月額の支出平均額であり、立派に高額品ということになる。

ここに業界と世間相場のギャップがある。

世間相場に合わせようとすると低価格ブランド志向ということになるが、かつての大手総合アパレルは散々それで失敗してきた。
ワールドしかりオンワードしかりファイブフォックスしかりイトキンしかりだ。
逆に今更、そこへ進出しようとしている周回遅れが三陽商会だ。

低価格ゾーンはそこで激しい競争がある。
物性の品質ではユニクロ、無印良品が抜きんでており、トレンド商品では現在のところジーユーが抜きんでている。
単に安いだけでは売れないことはハニーズ、フォーエバー21の不振を見れば明らかだろう。

比較的アジャストがうまかったのはユナイテッドアローズのコーエンということになる。

各ブランドは平均購買価格よりも高額な商品を売ろうとしているということを認識して、商品企画・売り方・見せ方・販促方法を考える必要があるのではないか。

月額1万円の予算しか持っていない人にどうやって1万5000円の商品を売るか?

これが各ブランドが真剣に考えるべき案件である。

いろいろなブランドの展示会に顔を出していると、まだまだ各ブランドからは「まともな服を買おうと思ったら1万円くらいは普通に払うでしょ」というふうに思っていると感じる。

ところが1万円の服を売るということは、その人の月額予算を根こそぎ奪ってしまうと考えないといけないのではないかと思う。
そうしていかに「根こそぎ奪う」のかを考えないと収奪計画は成功しない。

日本人は、高い服が売れにくくなったのは日本特有の問題だと考えている節があるが、実際のところ欧米でも同じ傾向で、むしろファストファッションのビッグブランドが欧米から生まれているのがその最たる証拠である。
需要のないところにビジネス的成功はあり得ない。

ZARAにしろ、H&Mにしろ、発祥はヨーロッパだ。
GAP、オールドネイビーの発祥はアメリカだ。

ということは、欧米にはそういう低価格衣料品の大きな需要があったということだ。
それも日本よりもはるかに以前から。

もう、「なんとなくトレンドだから」とか「なんとなくかわいいから」とか「なんとなくかっこよさげだから」とか、そんなあやふやな理由で高額な衣料品は売れにくいと考えた方が、さまざまな戦略を誤らないだろう。

それでも会社の構造上、ブランドの構造上、自分の嗜好上、高い服を売らなくてはならないというブランドや企業は数多い。
じゃあ、高くても買ってもらえるためには何が必要か、どうすべきか、を真剣に考える必要がある。

もちろん、今回書いていることは単なるデータ上だけのことなので、実際のところは高額品愛好者もいれば、好きな物なら高くても買うという人もいる。
世の中の平均値なんて上と下を足して割っているだけだから、もっと上のランクの人もいるし、月額1万円未満しか服を買わない人もいる。

その中で、富裕層を狙うという戦略もありだが、富裕層を狙うなら富裕層の刺さる施策が必要だ。
中間層を狙うなら、この月額1万円という平均値を強く意識しなくてはならない。

まあ、わざわざ、1万円未満の下層階級をターゲットにしたいと考える人はほとんどいないだろうが。

消費者の低価格志向が如実になってから各社・各ブランドは富裕層を狙うと宣言し始めた。
これは東京コレクションに出品しているような若手デザイナーズブランドも同じだ。

しかし、そうなった場合、競合するのは欧米のラグジュアリーブランドということになる。
ラグジュアリーブランドを上回る「何か」がないと富裕層は取り込めない。
それを真剣に考えているブランドはあまりないと感じる。特に若手デザイナーズブランドは、当方が接した範囲ではその思いがとりわけ薄いと感じる。(接していない人でそうではない人もおられるだろうけど)

当方の独断と偏見だが、若手デザイナーズブランドこそ、ラグジュアリーブランドには品質面・ステイタス性・販促の巧みさでは太刀打ちできないのではないかと感じる。
まだ、ファクトリーブランドや大手ブランドの方がキャッチアップが可能なのではないかと見ている。極めて難しい作業だろうが。

この辺りをもう一度冷静に考えてみてはどうか。

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