先日、久しぶりに古くからの知り合いとお会いした。
古くからといっても知り合ってからまだ8年ほどにしかならない。

もちろん衣料品業界の人だが、その人がこんなことを言った。

「ウェブ業界やウェブのことはよくわからないから、その価格が適正なのかどうか判断できない」

と。

それゆえにその人は自分である程度ウェブを触れるように勉強した。
これについては良い面と悪い面の両方があると個人的には見ている。
何でも自分でできるということは良い面も多いが悪い面もある。

ウェブに関していうと、自分で触れるということはコスト削減もできるし、業者の嘘も見抜けるようになる。
一概にはいえないが、その反面として、ウェブデザインやウェブの活用についてはいくら詳しくなっても、プロではないからその分クオリティが落ちることが多い。

クオリティが低いにもかかわらず、なまじ自分で触れるから、余計に業者を信用しないという悪循環にも陥る。
くどいようだが一概には言えないのだが。

このウェブに関する感想については同意する人が多いだろう。

しかし、翻って考えてみれば、衣料品業界も同じなのである。
どうして高い服が売れなくなったか。
その理由は様々あり複合的に絡み合っているが、その中の一つには、「よくわからないからその価格が適正なのかどうか判断できない」というものが確実にある。

トップセラーを一緒にやっている四元亮平氏のブログにこんなエントリーがある。

アパレル販売員がいまだにお客さんから嫌われる理由が分かってないので教えてやる。
http://ryoheiyotsumoto.com/to-be-disliked/

相変わらずの四元節全開のタイトルで、ドSなオラオラ感満載である。
気の弱い当方はいつもびくびくしっぱなしだ。そう、例えていうなら、小さな物音にも敏感に反応してしまう野兎のように。

そんな野兎の感想は置いておいて、ここで書かれていることを要約すると、

「お客は洋服について知識を持っていないことが多いから、販売員のセールストークを胡散臭く感じる」

である。

一方服屋での「購買経験」は外食に比べると1/3しかなく、
圧倒的に売り手の情報量の方が多い
たとえ最終的に自分の判断で買ったとしても、帰って気に入らなければ
「相手の方がよく知ってるから騙しやがった!丸め込みやがった!」につながる。

と書かれていて、まあ、それは確かにそうだと思う。

続いて、不動産屋の事例が出されているが、自分自身の身に置き換えてみると、洋服を買う際にはさほど騙されることはない。
なぜなら、洋服については相応の知識が当方にもあるからだ。
多くの場合、販売員が言っていることは嘘がないと見抜ける。

しかし、不動産の場合どうだろうか。
家でもマンションでも土地でも構わないが、これに関してはまったく知識がない。
不動産屋の言っていることが嘘なのか本当なのかほとんど見抜けない。
しかも不動産の値段は安くても100万円くらいはする。
1万円なら失敗しても笑い話で済ませられるが、100万円では笑い話にできない。

だから不動産屋の意見を1度では信じられないし、何軒か問い合わせてすり合わせを行う。
それでも知識がないから騙されるときは騙されてしまう。

よく、家を建てる時は、

3軒くらい建てないと思い通りの家はできない

と言われるが、1軒目を建てるときはよくわからないままに建てる。
2軒目は前回の反省の上で建てる。それでも物覚えが悪い人はどこが悪かったかを覚えていないだろう。
だから3軒目でようやく経験を生かして、自分の理想が反映した家が建てられるというわけだ。

ちなみにこれは大工の視点ではなく、施主の視点である。蛇足ながら。

ウェブに関していえば、業者に騙されないようにするにはそれ相応の知識を身につけなくてはならない。
四元氏は例として外食や食品を挙げているが、外食する場合、食品を購入する場合、それほどくどくどしい説明は必要としない。
中には例外的にモンスタークレーマーみたいなのもいるが、多くの人はそこまで説明を求めない。

それはなぜかというと、1日に3食食べてきた食という分野に関しては、それぞれがそれ相応の知識を蓄えているからだ。

経験と照らし合わせて、だいたいどれがどんな味がするかは容易に想像できる。
粒餡といえば、あんな味であんな食感だと多くの人が想像できる。
だから粒餡ですと説明されれば、ああそうですか、とすぐに納得する。

それに加えて食は衣料品より絶対的な価格が安いということもある。

一部の例外的な高級食を除けば、食材は衣料品よりも安い。
外食だって衣料品より安いものが多い。
2000円のランチといえば結構高級だが、2000円の服といえば安い部類に属する。
絶対的価格は多くの場合、食の方が安い。

だから、衣料品よりも気軽に試せる。

1着1万円の服を試すには勇気がいるが、1回1000円のランチなら気軽に試せるというわけだ。
だから食に関する知識は蓄積されやすく、衣料品に関する知識は蓄積されにくい。
だから衣料品に関する知識よりも不動産に関する知識の方が蓄積されにくいということになる。

四元氏は解決法として

お客さんの潜在的な意識の中にある「購買経験が少ないハンデで売手優位」を取り除いてあげない限り
「嫌われる」事への解決策にはならないんです。
僕はお客さんにいつも「自分が持っている情報」を1から10までを教えることを徹底しています。
同じ情報を共有できれば、たとえ多少失敗しても「自分が判断して買った」と
売手に嫌悪感を示すことも少なくなります。

とまとめている。

洋服の消費不振を嘆くなら、これを徹底するしかないんじゃないかと思う。
そしてメーカーや販促はこの知識差をどのように埋めるかを考えないと服は売れない。

いまだに勘違いしたアパレル業界人は多数いるが、

「カッコイイんです」「誰それタレントが愛用してます」「日本製ガー」「コダワリノ」

なんて念仏のように唱えていたって服は売れない。この手法が通用したのは2005年までだ。

業界を挙げて「ECが好調」と言われるが、まあ、それは単なる思い込みも含まれている場合も多いが、ネット通販が好調というのは、意外に画面上で、店頭販売員よりも文字と画像でキチンと説明できているからではないかとも思う。

これを認識したなら実店舗でもまだまだ戦いようはあると思うがどうだろうか。

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nebd50266b6df

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