2008年以降、さっぱり良いところがなかったアパレル業界の2トップのワールドとオンワード樫山にこのところ新しい動きがある。
起死回生の手札になるのかどうか外野から見守りたいと思う。

まず、ワールドは有力企業を2社買収した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

タイトルの通りの記事なのだが、ブランド古着販売の「ラグタグ」と洋服レンタルサービスの「サスティナ」をワールドが買収したという話だ。
このところさっぱり良いところがなかったワールドにしては目の付け所がシャープな感じがする。
メディアや業界の識者の論調を見ていても好意的なものが多く、当方もその見方に賛成する。

またオンワード樫山だが、こちらも明るいニュースである。

オンワードHDのEC売上高が203億円を達成 SC向けの新ブランドを今秋スタート
https://www.wwdjapan.com/597630

これも読んでタイトルの通りで、オンワードのEC売上高が37%増で200億円に到達したという話だ。
じゃあ、どうやってEC売上高を増やしたかというと、

具体的なEC強化策は、EC上での受注販売の開始をはじめ、EC限定商品の拡充によるプロパー売り上げの底上げだ。オンラインでのセールを強化し、店舗の催事販売からECに切り替えたことで在庫処分を効率化させた。また、3月までに実店舗の在庫一元化を実行し、8月にはEC在庫の一元化を実現する予定で、今後も商品の機会ロスを減少させていく。

とのことで、珍しいことは何もしていない。

1、EC限定品の拡充
2、オンラインセールの強化
3、それに伴う店頭催事(要は安売り催事)をECへ切り替えた

であり、極めてオーソドックスなやり方で、アダストリアホールディングスとほとんど同じである。
アダストリアの場合はこれに、EC限定のタイムセール連発が加わるのだが。

そしてSC向けの新ブランドを始めるとのことだが、これはいわゆる真っ新のブランドではない。
リバイバルのブランドである。

フィールドドリームというブランドだ。

記憶だと2000年初めに開始して、いつの間にか話題に上らなくなったブランドで、2010年くらいには廃止になっていたのかと思ったら、記事によると2016年までひっそり継続していたとのことで、逆に10年以上も良く我慢していたなというのが正直な感想である。

旧フィールドドリームのロゴマーク

 

もともと、ユニクロが牽引する低価格ブームへの対応として生まれたブランドで、当初はメンズ・レディースの両方があった。当方も実際にメンズ服を何枚か買った。
メンズは売れ行きが悪くて廃止され、中盤以降はレディースのみの展開となっていたと記憶する。(間違っていたらごめん)
これをショッピングセンター向けの低価格ブランドとしてリバイバルするということだ。

2トップ企業がようやく新しい動きを見せたといえるが、当方には懸念も少しある。

まず、ワールドの買収だが、ワールドは過去にも積極的買収を仕掛けていた時期があった。
そのときに買収されたのがコキュとミニマムである。
若い人はこんなブランド知らないと思うが、90年代後半にはそれなりに話題になった新進気鋭のブランドだった。

ところが買収された途端に、クソつまらないブランドになり下がり、そのうちに消滅してしまった。

詳しい内部事情は知らないが、コキュやミニマムが得意とした面白い商品作りがワールドの管理下に置かれてすっかり精彩を失ったというのが当方の感想である。

あれから20年近くが経過していて、ワールドの経営陣のメンバーもあらかた交代している。(全部ではない)
ラグタグやサスティナがワールド仕様のクソつまらないブランドになり下がることはないと思うが、そうならないように気を付けてもらいたいと思う。

次にオンワードのフィールドドリームだがこちらも以前とターゲット層が同じなので、また同じ失敗を繰り返すのではないかという不安がある。

90年代後半から2000年代前半に投入された大手アパレルメーカーの低価格対応ブランドは軒並み失敗に終わっている。
フィールドドリームしかり、コムサイズムしかりだ。
イトキンのオフオンやショッピングセンター向けブランド群もその失敗の一つだ。

彼らのやり方はユニクロの低価格に合わせるのが大前提だったが、生産ロットの違い(ユニクロは多い、彼らはそれより少ない)もあって、完全にユニクロと同等価格にすることはできなかった。
彼らのブランドの方が幾分かは高くなってしまった。

2004年以前のユニクロは安くて高品質かもしれないが、デザイン・シルエット・色柄はクソダサかったから、本来は彼らの持っていたデザイン性を導入すれば勝ち目はあった。
しかし、彼らはデザイン性を強調するわけでもなく、ひたすら価格を強調したために「でもユニクロの方が安いやん」ということになった。

また彼らの導入したデザイン性や意匠性は、低価格が障壁となって十分な見せ方ができなかった。
例えば、本来ならもっと斬新な色柄やデザインになっただろうはずなのに、5900円に抑えるためにそこを省略したり、簡素化で誤魔化したりた。
その結果、デザイン性も価格も中途半端な商品が出来上がることになった。

中途半端なデザインなのに中途半端に高いという商品だ。

明らかに彼らの持つ百貨店ライン・ファッションビルラインよりも見劣りした。
その結果、だれからも選ばれなくなったというのがこのブランドたちで、売れないからさらに値上がりするという悪循環の繰り返しに陥った。

フィールドドリームは廃止になり、イトキンはショッピングセンター向けブランドから撤退した。
コムサイズムは続いているが、安くもなくデザイン性が高くもないという中途半端な位置づけになっており、本来は本体とされるコムサ・デ・モードと値段もデザインもどう違うのかさっぱりわからないブランドになってしまっている。

幾分か毛色は違うがパルのチャオパニックとチャオパニックティピーも似たようなものだろう。

以前は高価格のチャオパニック、低価格のティピーと別れていたが、不振からかチャオパニックが低額化し、ティピーが値上がりして価格差はなくなった。逆にティピーの方が高い商品があるという珍現象に陥った。
おまけにテイストは元から同じだから余計に区別ができなくなった。

一方、コーエンとユナイテッドアローズは区別ができていて、コーエンはスタート当初はクソダサかったが、年々商品企画がマシになっていっており、ユニクロに飽きたら買っても良いかと思わせる商品が出始めている。

再スタートするフィールドドリームだが、前回の失敗を繰り返すのかどうか、そこに注目したい。
フィールドドリームが成功すれば、他の大手アパレルの失敗続きの低価格ブランドにも幾分が光が差すのではないかと思う。

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nebd50266b6df

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こんな古い本を改めて読んでみても面白いかも。買おうかな。