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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロが国内でまだシェア率を大幅に高められると思っている人はアホ

2018年3月13日 ユニクロ 0

ユニクロについて論じられた記事は多々あるが、商品面でもビジネス面でも根本的なとらえ方がおかしいものが多いと感じる。
例えば、国内のユニクロについてだが、伸び率が少なく成長性が乏しいという論調が多く見受けられる。
しかし、果たしてそうだろうか?
2017年8月期の国内ユニクロの売上高は対前期比1・4%増の8107億円だった。
この数字をどう見るかだが、単一洋服ブランドで国内で8107億円も売り上げていながら、過去のように毎年10%増・20%増で伸びることができると考えている人は頭がおかしいのではないかと思う。
経済系メディアやスタートアップ界隈の騒ぎ屋にはその手の人が多くてうんざりするのだが。
洋服の国内市場で単一ブランドとしてシェア率30%とか50%というのは果たして可能なのだろうか。
個人的にはそれは無理だと思っている。
経済系の記事はこの論点ではまったく参考にならないことが多いのだが、少し前に読んだこの記事は非常に冷静で参考になったのでご紹介しつついろいろと考えてみたい。
ユニクロvsゾゾの見方は正しいか? 「真のゾゾエフェクト」を読む
https://forbesjapan.com/articles/detail/19344

ゾゾスーツ発表後しばらくして冷静な論調で書かれた記事で、当時の「騒ぎ屋」どもの狂騒ぶりとは対照的である。
ゾゾスーツについての見方は繰り返さない。あれから何ら進展もないし、いまだに手元に届いていない人の方が多く、移り気な人なんて最早申し込んだことさえ忘れているのではないかと思う。
さて、シェア率についてだが以下の箇所が参考になる。

一方シェアベースとみると、国内のアパレル市場約9.2兆円のうちユニクロは約9%のシェアであり、一見まだ上昇の余地があるように見える。ただし、ユニクロが位置するマスボリューム市場は約5.5兆円であり、この中では約15%のシェアに達している。実はこれらのシェアの数値は、グローバルでみると高い水準にある。
アパレル市場は元来フラグメント(一社で大きくシェアをとるのが難しく、様々なプレイヤーにより市場が構成されていること)であり、弊社の調べでは一国の中でZARA、H&MやユニクロのようなグローバルSPAが占めるシェアは、複数ブランドをあわせたトータルでも市場の約15~20%で頭打ちとなることが多い。

とのことで、アパレル市場規模で9%、マスボリューム市場で15%のシェアを占めるユニクロの伸びしろはもうほとんどないといえる。
ちなみにジーユーの2000億円の売上高をプラスするとファーストリテイリングの2ブランドで1兆円の売上高となり、国内アパレル市場で10%以上のシェア率となる。またマスボリューム市場では18%強のシェア率となり、国内では圧倒的シェア率となる。
売り上げ規模の大きさとシェア率の高さでは、最早、他社が追随できるレベルではない。
その2点だけでいえば、他社が少々小手先のことをやったってまったく何の影響もない。
またスタートアップ界隈の騒ぎ屋が夢想するようにシェア率30%とか50%のブランドなんて世界的にも存在しないのである。
スタートアップ界隈が誉めそやすZARAだってそこまでのシェア率ではない。

国内のユニクロの場合、この中で既に9%を獲得しており、伸びしろが十分にあるとは言い難い状況だ。消費者の目線で説明すると、ヒートテックなど人から見えにくいアイテムは良いが、ウルトラライトダウンのように分り易いアウターを着ると、街中ですぐ人とかぶってしまうという状況にある。このように単一ブランドで大きくシェアを獲ることはアパレル業界では元来難しいのだ。

記事はこのようにまとめており、「伸びしろが十分にあるとは言い難い状況だ」というのは極めて正しい分析だといえる。
ただ、すでに「アウターでかぶっている」ことも珍しくなくなり、多くの消費者はそれが恥ずかしいことだとは思わなくなっている。
試しに真冬に繁華街を歩いてみたらいい。
どれほどの数の人間がウルトラライトダウンを着用しているか。
3~4年前に心斎橋商店街で観察したところ、わずか30分くらいの間に、少なくとも20人前後の着用者を発見することができた。
それもみんな隠す風でもなく堂々と闊歩している。
「ユニかぶりを恥じる」なんて風潮はすでに過去の遺物になり下がっており、いまだにそれが継続していると考えているファッション業界人がアホすぎるのである。だから各ブランドは苦戦を続けている。
以前に紹介したディマンドワークスの齋藤孝浩さんの著書の中には「10万枚売れれば『かぶり』が発生すると考えられる」というような意味のことが書かれてあり、それこそ数百万枚を販売したウルトラライトダウンならかぶって当たり前といえる。
当方が4枚も所有しているコットンカシミヤ混ケーブル編みセーターだって今となれば、かぶっている人を相当数見る。
一昨年の春、白×ネイビーのボーダー柄を値下がりした990円か1290円で買ってラック・ドゥの店頭に立っていたら、隣の1000円ぽっきりの帽子屋のおねえちゃんも同じ柄のセーターを着ていたことがある。
それほどにこのセーターも「かぶっている」人が多い。某専門学校の営業マンは今年2月にくすんだブルーを着ていたし。
しかし、だからといってそのセーターを着るのをやめようとは思わない。帽子屋のねえちゃんだって専門学校の営業マンだってそうは思わないだろう。それが現状である。
どうして、シェアが15%以上伸ばすことがアパレルでは難しいかというと、かぶるから嫌だというよりは、全身同じブランドを何日も着ていると絶対に人は飽きるからだ。当方だって何日も気が付けば全身ユニクロということがあるが、そういうときは「何か違うブランド久しぶりに買いたいな~」と思う。品質やデザインに大きな不満があるわけではない。単に飽きているだけであり、多くの人間は同様の心理を有するから、単一ブランドで15%以上のシェアを占めることは難しいのではないだろうか。
ちなみに、しまむら全体の売上高5650億円強をこのファーストリテイリングの2ブランドに加えると、売上高は1兆5650億円を越える。
国内市場の17%以上を占めるシェア率となる。
ユニクロの凋落とか意味のわからないことを夢想するなんて時間のロスしかなく、ユニクロ・ジーユー・しまむらは基本ベースとして存在することを前提として、その他大勢のアパレルはビジネスモデルを再構築すべきである。
そうでなければ、その他大勢のアパレルはさらに苦戦を強いられることになる。

NOTEの有料記事を更新~♪
「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n50ca3a6bf56c
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10万枚売るとかぶりが出始めると書かれてあった本はこれね。

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