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南充浩 オフィシャルブログ

意味もなく品番数を増やす愚かしさ

2018年3月6日 企業研究 0

何でもある店は何もない店といわれる。
イオンやイトーヨーカドー、ユニーなどGMSと呼ばれる大型スーパー各社は、品ぞろえの幅を広げることでそういう店になり、消費者の支持を失っている。
消費者からの支持を回復するためにさらに品ぞろえを豊富にするという愚を犯し続け、悪循環スパイラルに陥っている。
「支持を得たいから、どんな客でも捕まえたいから、あらゆる商品をそろえる」というのは愚の骨頂といえる。
佐藤正臣氏も次のようにツイートしておられる。


まあ、GMSに限らずヘボアパレル各社はこの愚を犯し続けているのだが。
逆にカテゴリーは増えたものの、ユニクロは品番数はそれほど増やしていない。
品番数を絞って国内8000億円の売上高が稼げるのだから、なぜ各社はそれを真似しないのか理解に苦しむ。
もちろん、品ぞろえの少なさを真似してもダメだ。そこに至るまでのマーケティングから絞り込むまでの作業工程を真似する必要があるのだが。
大手通販各社もGMSと同じ愚を犯し続けている。
東洋経済オンラインでは「ベルメゾン」の千趣会の大不振を伝えているが、同じ「品ぞろえだけを増やし続けた」という失敗をやらかしている。
大赤字!通販「ベルメゾン」が苦戦する理由
迷走の千趣会、ファンド出資でどうなるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/211273

売り上げ増加に向けて取り扱うカテゴリを広げ、商品数を増やしたのだ。たとえば、衣料品では「どのお客さんにもリーチしようと考えた」(千趣会)という。
結果、2012年から5年で商品型数は73%も増加。実際、ベルメゾンのサイトを見れば、食器棚をとっても、素材やデザイン、棚の数などが微妙に違う商品がずらりと出てくる。同時に、企画から製造、販売まで行うSPA型を志向したものの、SPAをやることが目的化してしまい、気が付けばSPAに適さないような商品まで作るようになっていったという。

とのことでアホの見本である。
どの客にもアプローチしたくなる気持ちはわかるが、衣料品でいえば老人と若者が同じ店で買うのは、現在ではユニクロくらいしかない。
まあ、無印良品もそれに近いだろうか。
どの客にもアプローチするということはユニクロか無印良品に並ぶ大衆ブランドに成長する必要がある。
いくら、知名度があるとはいえ、ベルメゾンも千趣会もその段階にたどり着いていない。
そんな中途半端な立場のブランドが7割も型数を増やせば売れ残るに決まっている。
こだわりの工具なんかだと、ミリ単位で大きさの違う商品が必要だが、千趣会の食器棚にそこまでのこだわりは必要ない。
棚の数が微妙に違う食器棚なんて何種類もそろえる必要もない。
それこそマーチャンダイザーは何を考えているんだろうか。
売れ残れば投げ売るしかない。
大手通販各社の不振によって、バッタ屋業界には千趣会に限らず、各社からの不良在庫品が大量に出回っている。
天神橋筋商店街で何軒かのバッタ屋と話せば「うちもあそこの商品扱ってますよ~」と大手通販各社の社名がいくつも出てくる。
天神橋筋商店街だけでこの状況なのだから全国のバッタ屋にはどれほどの在庫が出回っているのかということになる。
大不振が続くニッセンも不思議な商品が多い。
型数は調べていないが「nissen」と書かれた下げ札のデザイン違い・色違いがやたら多い。
知っているだけで5種類か7種類くらいはある。
ブランド名が異なるなら下げ札をその都度変えることは理解できるが、「nissen」ブランドなのに何種類ものデザイン違いの下げ札を作る意味がまったく理解できない。
それこそコストの無駄遣いだろう。だから赤字続きなのではないか。
大量の顧客名簿を抱える大手通販各社(千趣会なら90万人)なので、本来ならマーケティングが得意なはずだが、各社ともにマーケティングがまったくできておらず、単に「住所・氏名・年齢のリスト」を90万人分抱えていたに過ぎないということだろう。
大手通販で好調なのはベルーナだけでそれ以外は不振に苦しんでいる。
アパレル商品の取り扱いをやめたスクロールが黒字回復したくらいだろうか。
今回、記事になった千趣会に限らず、ニッセン、セシールなどは何十万人分というビッグデータを抱えているにもかかわらず、これまで効果的なマーケティングがなされてこなかったということで、長く続く不振はそれを証明している。
ニッセンだってセブンアイとのシナジー効果はまるでなかったし、千趣会もJフロントとのシナジー効果はまるでなかった。
セブンアイもJフロントもカタログ通販を再生することはできなかったし、そのノウハウもなかったということである。
経営陣から現場まで意識と思考方法を変えないと大手通販各社の苦戦は当分終わることはないだろう。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n50ca3a6bf56c
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