アパレル業界は本当にロジカルに考えられない人が多い。
とくに昔ながらのやり方で育ち、独学で個店や小規模ブランドを運営している人にそういうタイプをたびたび見かける。

先日、ある高額洋服店でのやり取りをそれとなく聞いていたら、アホな指示ばかりで失笑を禁じ得なかった。
ほぼ個店といえる小規模な店なのだが、まるで的外れな指示を出していた。例えば、

 

1、ブログを1日に3回アップしてほしい
2、ZOZOTOWNに出店しているブランドに取引ができないかどうかを片っ端からアプローチしろ



である。

普通に筋道立てて考えられる人間なら、この指示がいかに馬鹿げているかが瞬時に理解できるだろう。
まず、1だが、ブログを1日に3回も更新したら読者からすれば鬱陶しいことこの上ない。
読者は専業主婦やニート、年金生活者に限られているわけではなく、仕事を持っている人も多数いる。
そういう人たちがいくらブログを愛読してくれているからといって、1日に3回も更新すれば仕事をしている人間にとっては鬱陶しくて仕方がない。
逆にいえば、その指示をした人は、自分がその立場になってなぜ考えられないのだろうか。
愛読しているブログがあったとして、毎日3本ずつ更新なんてされたら、ただでさえ仕事をしていて時間がないのに、とてもではないが全部は読み切れないだろう。更新頻度が高すぎて、そのうちに読まなくなる。

次にZOZOTOWNに出店しているブランドへのアプローチだが、現在、ZOZOTOWNに出店しているブランドは約4000あるということを知っているのだろうか。
以前のZOZOTOWNはユナイテッドアローズやアーバンリサーチなどの中級価格帯のオシャレブランドの出店しかなかったが、現在はウィゴー、ジーンズメイト、タカキューなどの低価格ブランドの出店数が増えている。
ウィゴーやジーンズメイト、タカキューの1900円とか2900円の商品を仕入れて店に並べたいのだろうか?
彼らからすれば投げ売るほどに過剰在庫を抱えているから喜んで卸してくれると思うが。(笑)

このアホな指示から導き出せる結論はただ一つ。
この人たちはウェブをまるで理解していないし、もしかしたらインターネットの画面すらほとんど見ないのではないかということである。

もし、まともにインターネットの画面を1日に20分ずつでも見ていれば、こんなアホな指示は恥ずかしくて出せないだろう。

しかし、これが個店レベルのたたき上げの年配層の感覚であることもまた事実で、アパレル業界はなるほど凋落するはずである。

一見するとウェブを重視しすぎているかのような指示だが、その根底には無理解とウェブの軽視がある。
ウェブなんて単なる道具に過ぎないから、重視しすぎるのも軽視しすぎるのもどちらもダメで、さらにいえばこの手の無理解な年配層は害悪でしかない。

それにしても、この程度の人がそれなりになんとかやってこられたのが、2000年までのアパレル業界で、勘と度胸とどんぶり勘定(K・D・D)で何とかなってきた業界だった。
バブルが崩壊していた90年代半ばでもそんな雰囲気はあった。

もちろん、商売において勘と度胸は必要だが、どんぶり勘定は不要だし、それらのみではどうしようもない。
アホな指示と場当たり的政策のオンパレードで現場は嫌気がさしてしまうし、アホな上役は確実に軽蔑される。

それにしても現在のアパレル業界はこの手のウェブ無理解派と、スタートアップ界隈の「騒ぎ屋」に毒されたウェブ妄信派との二極化が進んでいると感じる。

ウェブ妄信派はマスコミにも多く、企業やブランドの評価を「EC比率の高さ」に置いている。
しかし、何度もいうようにウェブなんてものは道具に過ぎなく、そのブランドが実店舗で売れているならウェブ通販に力を入れる必要もないし、実店舗で売れない商品がネット通販では売れるなんていうこともあり得ない。
なぜ、EC比率が高まれば、アパレル企業やブランドの業績は上向くと無邪気に信じられるのかまったく理解ができない。

一方の無理解派は、なんだか「ウェブはすごいらしい」「ZOZOTOWNは売れているらしい」というところで思考停止しており、ZOZOTOWNの現在の出店ブランド数さえ確認しない。
その結果、4000あるブランドにすべてアプローチしろなんていうアホそのものの指示を出してしまう。

また、ZOZOTOWNに低価格ブランドの出店が増え、客単価が低下しているという現状の問題点を理解していないから「ZOZOTOWNに」なんていう安易な指示を出してしまう。

その結果、ますます業績は低迷する。

いつの時代だってどんな業界だって、効果的な施策は正しい現状認識に基づいて立てられる。
勘と度胸とどんぶり勘定と思い込みだけで立てた施策なんて使い物にならない。

見切り発車で走りながら修正するという方法はあるだろうが、先の2つの指示なんて試すまでもないほどの愚策である。
それはブログというメディアの性質を正しく理解していないし、ZOZOTOWNが抱えている現在の問題点をまったく理解していない上に成り立っている。

この手の上層部が定年退職を迎えればもしかしたらアパレル業界の不振は底打ちになるかもしれない。
それまであと15年くらいは必要だろうから、その間に一体どれほどの企業やブランドが消滅するだろうか。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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