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南充浩 オフィシャルブログ

全社参加体制で失敗する繊維産地ブランド

2011年8月23日 未分類 0

 大阪も含めて各地方都市では、組合や連合会、協会団体ベースで共同ブランド作りを進めることがある。
早いところだと7~8年前には、繊維の産地ブランドが立ち上がっている。

しかし、知る限りでは、この「繊維産地ブランド」が発展したのを見たためしがない。

個別名を出すのは忍びないが、滋賀県高島産地に産地ブランド「高島いろは」というものがある。
楊柳やクレープ素材の産地である高島の特色を生かした、繊維製品作りがこのブランドのコンセプトである。
出来上がったのが数年以上前だから取り組みは早かった。
しかし、現在は開店休業状態である。ほとんど活発な動きは見られない。

問題点は様々あるのだが、
個人的には、産地組合加盟全社での商品作りという体制がまずかったと考えている。
通常、組合とか協会団体は、最低でも20社前後の加盟がある。
この20社全社に統一した動きを取らせることなど不可能に近い。
たった数社でも全員そろっての動きは難しい。

できるなら、1社ないし2社くらいがリーダーシップを発揮して、
それを3~4社くらいの協力企業がフォローするという体制でないと、統一感のある製品ブランド作りは無理だろう。

にも関わらず、高島以降も産地ブランド、または組合加盟企業全社での活動模索は各地方都市で続いている。
同じく、滋賀県湖東産地で、産地ブランド「麻香(あさがお)」が3年ほど前に立ちあがっているが、今後の展開がまことに心配である。

もちろん産地ブランドを否定するつもりは毛頭ないし、どちらかと言えば応援したい気持ちである。
しかし、全社が納得できる方向にしか動けないのであれば、そのプロジェクトは早晩潰れる。
まずは、1社か2社でテストケースを作り、それが成功した後に、全組合員を参加させるという体制が理想的である。
この体制が採れない限りは、産地ブランド作りは何度やっても成果は出ない。

そして、酷な現実だが、先頭に立ってブランド作りを行える気概ある企業は、すでにリスクを負って、製品作りや自社ブランド開発に取り組み始めている。

かつてホンダの創業者である本田宗一郎さんが「補助金や助成金によって成功したビジネスはない」と言い放ったそうであるが、産地ブランド作りも実際その通りになりつつある。

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