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南充浩 オフィシャルブログ

グローバルブランドが各国で等しく支持されるわけではない

2018年1月25日 ネット通販 0

ZARAやH&M、GAPなどのグローバルSPAブランドのことになると「その良さがわからない。世界基準なのにそれがわからない」というような反応を見ることがある。
はっきり言って当方にもわからない。(笑)
正確にいうなら、わからない商品が何割か常に含まれている。
当方は別にグローバル志向でもないし、グローバルでありたいとも思っていない。
実際のところ、グローバルに展開しているブランドだからグローバルにまんべんなく受け入れられているわけではない。
例えば、デマンドワークスの齋藤さんが以前に書かれていたことがあるが、ZARAはアメリカに進出して20年になるが、それほど店舗数は増えなかった。最近では増加に転じたという報道があったが、そうなるまでに20年以上を必要とした。
一方で、H&Mはアメリカでは好調に広がった。
同じグローバルブランドがアメリカに進出してもこれほどの差が出る。
もちろん、各ブランドのビジネスモデルの組み立て方の違いもあるだろうが、それほどに各国・各地域で人間の嗜好性には差があるということである。
日本人がZARAやH&M、GAPの商品でその良さがわからないと思うのは何の不思議でもない。
低価格ブランドではないが、スペインのデシグアルというブランドがある。
日本ではどう見ても売れてない。
デザインの色柄が激しすぎるからだ。チェック柄の上に刺繍とプリントをさらに施すような過剰な柄付けを行い、そしてその色彩は常に派手である。こんな盛り盛りの服を好む日本人はかなり少ない。
あべのHOOPの2階のグリーンレーベルリラクシングの跡地にオープンしたが、すぐさま閉店になった。
客が入っているのを見たことがないほど閑散としていたから当然だろう。
ちなみにそのスペースはいまだにテナント入店がなく、空き家になったままである。
デシグアルと多少のかかわりがあるという日本人から聞いたことがあるが、本国は日本での不振が信じられないと言っているらしい。
本社の言い分としては「スペインでこれほど好調なのになぜ日本で売れないのか」というものらしいのだが、色柄のセンスが日本人に合っていないからであり、それを早く認識した方が良いのではないかと思う。
世界各国で変わらず支持されるようなブランドなんて存在しない。
ユニクロはアジアでは強いが、欧米ではイマイチだし、オールドネイビーは米国では売れたが日本からは撤退した。
そんなもんである。
先日、こんな記事も掲載された。
欧州発ファストファッション、米国で伸びない訳
ネット通販しないプライマーク、一部店舗は縮小へ
http://jp.wsj.com/articles/SB11636997194453903320304583596910111609112?mod=searchresults&page=5&pos=17

ところが近年、米国の数都市を含む欧州外に展開していくなかで、実店舗のみで販売する戦略にひび割れが生じ始めてきた。米国進出から2年、同社は米国内の8店舗中の3店舗で規模縮小を図っている。販売実績が予想を下回ったからだ。

とのことで、ヨーロッパでは人気が高く、日本未上陸のプライマークだがアメリカ進出は苦戦している。
日本人は一括りに「欧米」というが、ヨーロッパ市場とアメリカ市場は異なる。ヨーロッパでも国ごとにその市場は異なる。
ヨーロッパで人気だからアメリカでも人気になるとは必ずしも限らず、古くはZARAがそれに当てはまったし、プライマークもその一つだといえる。
だから日本人が「グローバルブランドの良さがわからない」というのも至極当然だし、日本でグローバルブランドが売れないのも別段恥ずかしいことでも日本の後進性の現れでも何でもない。売れなくても全く不思議ではない。
さて、ここではプライマークの不振の理由として、オムニチャネルをやっていないことが挙げられている。
記事ではオムニチャネルをシームレスショッピングと表現している。

店舗とネットの垣根をなくし、消費者がストレスを感じることなく買い物ができる環境を提供する「シームレスショッピング」というビジネスモデルをプライマークが受け入れていないことで、「その戦略に大きな穴が開いている」とオーストラリアのマッコーリー・グループのアナリスト、アンドレアス・インダースト氏は指摘する。

とのことで、これに対して

だがプライマークではそうせざるを得ない、とABFのベーソンCFOは反論する。
「われわれのプライスポイントでは宅配のためのコストを賄いきれない」が、売上高成長が見込めれば低価格には十分な価値があると同CFOは主張する。「販売数量はわずかではなく大幅に伸びるからだ」
と反論しているが、これを読んだときに気付かされたのは、低価格すぎるとネット通販の宅配コストが賄えないということだった。
当方は生来、不明な性質なのでこれに今まで気が付かなかったのだが、そういわれればそうだ。

ネット通販での宅配が盛んな米国と、宅配の少ないヨーロッパではやはりそこに対する嗜好が異なるということだろう。
そして、これを読んだときに、しまむらが宅配ネット通販に参入しない(できない)理由の一つも同じなのではないかと思った。
ユニクロと並んで勝ち組低価格ブランドと称されるしまむらだが、ネット受注からの店舗受け取りは新たに発表したものの、宅配には依然として参入していない。
しまむらは2000店舗あることが強みのように言われるが、2000店舗もあってユニクロよりも売上高が低いということは、1店舗あたりの売上高は相当に低いということになる。
大雑把にいうと、しまむらグループは約2000店舗で5600億円の売上高があるから、1店舗あたりの平均売上高は年間で2・8億円ということになる。もちろん平均なのでもっと売ってる店もあればもっと売ってない店もある。
一方、ユニクロは約800店舗で8000億円なので1店舗あたり10億円ということになり、しまむらグループの1店舗あたりの売上高は低い。
おまけに従業員はほとんどがアルバイト、パートでローコストオペレーションに徹している。
だからプライマークと同じ理由で宅配は賄いきれないのではないか。
それに比べると同じようなプライスラインで宅配まで行っているジーユーはすさまじいということになる。
もちろん、ファーストリテイリングという超巨大企業の資金力があったればこそなのだが。
ネット通販に対する考え・仕組みもさまざまだし、国ごと・地方ごとにも人間の嗜好性は異なる。
グローバルブランドだからどの国でも等しく売れるなんていうのは単なる幻想・幻覚に過ぎない。

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