衣料品ビジネスにおける考え方はある程度賛同することが多い株式会社せーのの石川涼氏だが、政治や経済における思想は左寄りだと感じられるのでまったく評価しない。

先日、「#FR2」ブランドについてのインタビュー記事もなるほどと思わされるところも多かったが、結末の

「日本人はほとんど自分で取捨選択ができていない。誰かが評価していたり、世界で評価されて初めて”自分も欲しい”という状況になっている。だから世界にウケれば、日本人も買う」。

https://www.fashionsnap.com/article/ishikawaryo-fr2/

という箇所には疑問しか感じなかった。
衣料品ブランドだけでいえば、世界で評価されていて鳴り物入りで上陸したものの、撤退する外資ブランドが数多くあり、業績が低迷している外資ブランドも数多くあるからだ。日本の消費者はそれなりに取捨選択しているといえる。

取捨選択できていないのは、日本のメディア業界人とファッション業界人であり、その選択のできなさは一般消費者よりはるかに劣る。

外国物なら何でもありがたがっているのはその2つの業界人だけのことに過ぎない。

先日、こんな本をたまたま見つけた。

産経新聞社から発行された「ファストファッション戦争」で、巻末の発行日を見ると平成21年12月24日になっている。
今は平成30年だが年始ということを考えると、丸8年前に発行された本で、2009年末までの当時の最新情報をもとに考察されているのだが、この考察は外れまくっている。

たった8年間でこうまで予言を外すのは、浜矩子か藤巻健史並みといえる。

このページにも書かれているように05年頃から続々とグローバルファストファッションブランドが日本に本格上陸してきた。

書かれている通りに引用する。

05年アメリカンアパレル
06年トップショップ
08年H&M
09年フォーエバー21とキットソン

そして、この本では「大本命」として09年12月に銀座店をオープンした「アバクロ」を挙げている。

09年12月のアバクロ銀座店のオープン時にはそれこそ「取捨選択できない」メディア業界人のアホみたいな提灯記事が多数の媒体に掲載されていた。
「大ヒット間違いなし」だとか「国内市場を席捲するだろう」とか美辞麗句のオンパレードで、もちろんこの本もその一つといえる。

しかし、結果はどうか?
アバクロは銀座店以外は福岡店以外に出店できず、国内市場ではまったく存在感がなく、あまりの不振ぶりに何度も日本撤退のうわさが流れている。
アメリカで流行っているから(当時)、日本でも絶対に流行ると太鼓判を押したのはメディア業界人とファッション業界人だけであり、消費者は一度か二度行ってみて、行かなくなったのである。
メディア業界人・ファッション業界人と一般消費者のどちらが「取捨選択」できているだろうか。一目瞭然ではないか。

おまけにアバクロは米国本国でも不振を極めている。

ちなみにこの本に挙げられているブランドがどうなったかというと、H&Mとフォーエバー21以外はすべて日本から撤退した。
アメリカンアパレルとキットソンは米国本国ですらブランドが消滅している。

そして、フォーエバー21も日本では店舗数を拡大できず存在感をなくしており、今後撤退することも十分にありえる。

ある程度堅調なのはここで挙がっている中ではH&Mだけである。
そのH&Mも小島健輔さんによると売上高の伸び率が鈍化しており陰りがみられるという。
この陰りはそれこそ「取捨選択できない」ファッション業界人がほめたたえるZARAも同じで、小島さんによると伸び率は鈍化しているという。

結局、「世界で売れている」と言っても、ローカライズができていない・ローカライズが下手くそなブランドは、日本の消費者によって「取捨選択」されてしまうのである。
ローカライズができない・下手くそなブランドの代表はアバクロだろう。

グローバルブランドのZARAとGAPはどうしてこのページに登場しないのかというと、この2ブランドが日本に上陸したのはもっと前だからだ。

GAPは90年代後半に上陸しており、上陸後20年が経過しており、それなりのファンを獲得した。
しかし、「アメリカで売れている」という触れ込みだったオールドネイビーは不振でわずか数年で撤退している。
GAP自体も日本ではあまり好調ではなく、買い上げ客数が半減しているという噂もあり、GAPの代名詞にもなっていた「投げ売り値引き」をやめると宣言しているが、これは失敗に終わるのではないかと見ている。

オールドネイビーなんて日本人が「取捨選択」した見本ではないか。

ZARAの上陸も2000年頃のことである。
東京のどこに1号店をオープンさせたのかはしらないが、関西だと今は亡き心斎橋ビブレに3フロアぶち抜きで入店していた。
マイカル破綻後で先行きが不透明だった心斎橋ビブレに入店してきたときにはそれなりに話題となったが、あまり売れ行きは芳しくなかった。なぜかというと、しょっちゅう投げ売りセールをやっていたからだ。
当時のZARAは今のような「コレクションブランドのコピー」ではなく、イタリアモード系のブランドで、とくにメンズはイタリアンモードっぽいシンプルなスーツやドレスシャツが並んでいて、それが毎シーズン、大量に売れ残っており、シャツは1枚1000円くらいに値下げされていた。
当然、安物好きな当方としてはその1000円シャツを何枚か買っていた。

黒無地・紫無地・ワインレッド無地などのカラーシャツであり、一歩間違えるとVシネマのチンピラになるような商品だった。

このころのZARAは独資ではなく、先ごろ三井物産による買収が発表されたビギとの合弁だった。
いつ、ビギとの合弁を解消したのかはちょっとわからない。ご存知の方が居られたらお教えいただきたい。

2005年以降に鳴り物入りで上陸してきたグローバルブランドを見ても、そのほとんどが日本から撤退しており、もちろんトップショップのように運営会社の不手際というケースもあるが、「世界で売れているから日本でも売れる」という構図にはならず、日本の消費者は確実に「取捨選択」しているといえる。「世界で売れたらなんでも日本で売れる」と言い放つ石川涼氏こそ「取捨選択できていない」のではないかとさえ思う。

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値段を3割下げてもシップスは復活しない
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