最近、ウェブがらみの仕事を相談されることが増えた。
相談してくる企業は零細・小規模企業もあるが、けっこうな大手アパレル・大手繊維企業もある。
結局は取り組みに至っていないので、名前を出すことは差し控えるが、上場企業もあれば、その分野でのトップ企業もある。
自慢がしたいというわけではなく、腰が重かったこういう企業もウェブに対して「何らか取り組まねばならない」という姿勢に変わりつつあるということが言いたいのである。

そういう昭和型の大手アパレルメーカーですら、ウェブに対しては「何か取り組みをしなくてはならない」と思い始めている。
まあ、はっきり言ってその動きは遅すぎるのだが、何も思わないよりはずっとマシだ。
そういうレベルでは評価している。

そういう状況になってきているので、ようやくアパレル・繊維業界でもウェブの重要性が理解され、そういう人材が必要とされ始めたといえるのだが、考え方や人材への扱い方は相変わらずである。

マサ佐藤さんがブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b7344ef8-611d-45a1-bb46-4fd4602fcb5d

”アパレル小売業でもWEB・EC関連の求人は多くなっています。しかしながら、WEB関連の求人を出す側が、(WEB関連の)仕事の理解・関心が薄く、求人を出しておきながらどんな業務をさせるのかは相手に丸投げ。しかも給料水準は(WEB関連の)他の業種に比べ格段に低いのが現状です。”

とのことで、これはまったくアパレル・繊維業界の今の状況を象徴している。
大手企業ならまだしもスタッフが20人前後しかいない企業でさえ同じだ。

先日、ある20人規模の企業と話したが、まったくのウェブ無策であり、ウェブ系の施策は外部から来た部長に丸投げしている。
その部長はたまたま、異業種出身でパソコンやコンピューターのハードやソフトに強いため、その担当にさせられているのだが、ウェブ関連の専門家ではない。
しかし、「パソコン=ウェブ」という昭和のような発想でそういう仕事を担当させられるのだから、お気の毒としかいいようがない。

そしてこれは100人規模、1000人規模、5000人規模の会社でも同じで、だからこそ大手といえども一部を除いてはまったくウェブを生かし切れていないのである。

一方、当方が昨年から一緒に仕事をさせてもらっているスタイルピックスの深地雅也さんもブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fukaji/eb5f7242-0a13-4757-9601-ceea05ef570b

先日、とある企業に訪問した際に「ソーシャルを強化したい」という希望がありその相談に乗っていたのですが、多くのケースで勘違いされているのは、

「ソーシャルを強化したらすぐ集客できる」

と思われている点です。更に厄介なのは、専門家に任せたら魔法のようにフォロワーが増えるというイメージでもあるのでしょうか、そこからは丸投げできると思っておられるのです。

しかし、ここで言わせてもらいたいのは、

「ソーシャルでリーチを伸ばしたければコンテンツを強化」

してほしいという事です。

とのことで、同席する機会が多いので、実際にこういう場面を当方は横で眺めている。

ウェブブランディングの相談に乗ってほしいといわれ、出かけてみると、単にSNSアカウントの運用代行を求めていたなんていうことは掃いて捨てるほどある。
いやいや、ブランドの基本政策は何一つ買えないまま、小手先のSNSでの発信をいくら増やしたところで意味がない。
またSNSの発信だって、やみくもに回数を増やせば良いというものではない。

「〇月〇日、新商品の店頭投入開始!」

とか

「今日から〇〇%オフのセール開始」

とか

こんなことだけをいくらソーシャル上に流したってなんの効果もない。
これだけじゃフォロワーも増えないしアクセス数も増えない。なぜなら、これはウェブ広告と同じだからだ。
広告の効果がゼロだと言っているわけではない。広告まがいの投稿ばかりではそんなアカウントには誰も興味を持ってくれないのである。
ここの理解が重要なのだが、多くのアパレル・繊維企業には欠落している。

インスタグラムなら美しい画像、興味を持たれるような画像とストーリー(物語ではなく、そういう投稿サービス)の投稿が重要だし、ツイッターなら、興味を持たれるような面白い書き込みや主観を交えた書き込みが必要になる。
ツイッターで「〇〇%オフセール開始」とか「冬のバーゲン開始」なんて書き込みだけを百万回繰り返したところでフォロワーなんてまったく増えない。

また深地さんのブログでは

◯コンテンツの指標は「ブランドコンセプト」
ターゲットの好む情報ですが、これは運営元がブランドであるなら、ブランドコンセプトに沿ってコンテンツを企画します。ブランド価値を適切に高めるには、コンセプトを反映したコンテンツを同様に積み上げていかなければなりません。

とあり、先日、ある大手メーカーのウェブ施策の相談を受けたことがあるのだが、まったくここを理解していなかったので驚いたことがあった。

本来はマス層に販売していた老舗メーカーなのだが、現在、マス層への訴求力は弱まっている。
そこで、ある特定のユーザーとの結びつきを強化して、その分野での認知を高めてから、徐々にマスへ広げようという案を提示したところ、「うちはマス層への打ち出しをしているので、これは・・・。」と言われてしまった。

マス層への訴求力が弱まっているからその打開策であり、「でもマス層に」と言われるなら話は堂々巡りになってしまう。
それに過去何十年間も同じ手法で「マス層に訴えて」きたのだから、今更同じ手法を使っても結果は同じになる。
どうしてそこが理解できないのかがまったく理解できない。

このメーカーに限らず、過去何十年間もやってきて効果がなかった手法に固執する大手メーカー、大手ブランドは本当に数多くあり、体感では9割がたはそういう企業が占めていると感じる。

この部分はまた別の機会に「大手アパレルあるある失敗集」とでも名付けて別途書いてみようか。

ウェブの重要性だけは理解しつつも、30年前からの手法に固執し、他業界よりもウェブ関連人材への賃金が低いため、今後もアパレル・繊維業界はウェブ戦略に四苦八苦するだろう。
そしてそれはとりもなおさず自業自得であり、他社への丸投げで切り抜けられるようなものではない。
商品生産はOEMやODMに丸投げできても、ブランドのコンテンツ作りまでは丸投げできないしすべきではない。これはブランドの根幹であり、ここまでを丸投げにしてしまうなら、最早、自社ブランドなんて展開する必要すらない。それがしたいならブローカーか中継ぎ業者にでも業態転換すれば良いのである。

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値段を3割下げてもシップスは復活しない
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