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南充浩 オフィシャルブログ

ZARAについて考えてみた

2011年8月2日 未分類 0

 先日、島田浩司さんのブログでZARAについて採りあげられていた。

http://ameblo.jp/ibdginza/entry-10943550823.html

その中で以下のような一節がある。

 「ソニー、東芝、ホンダ…、日本企業は大きな革命を起こしたことは事実です。低価格で品質も良いコストパフォーマンスに優れた製品を多く作り出してきました。しかし、今は時代が変わったのです。人々の家には商品があふれています。幸せを感じることができるかどうか、感情に訴えることができるかどうかなのです」

 物があふれる今の時代。つまり物が売れない時代と言ってもよいが、企業はなおさら儲けばかりを優先しがちになる。しかし、経済原理とは一見関係ないように思えてくる、顧客を虜にさせる特別な「セクシー」さがやはり必要になってくるのかもしれない。

とのことである。

日本企業は「より安く、より品質の良い物」を追求するDNAが備わっていると思うし、また日本の消費者もそれを追求する人が多いと思う。かく言う自分もその一人であり、衣料品の評価は物性面の優劣に大きく左右されている。

人間だれしも高い金を払って不良品を掴まされるのはいやなのも事実であり、せっかく購入したのだから、なるべく良い状態で長い期間使用したいとも思うはずである。

しかし、昨今の衣料品の安さは限界を越えている。
別にユニクロが悪いとは言わない。ユニクロの「低価格高品質」というコンセプトを他のブランドが打ち破れなかった結果である。極言すれば、他のブランドが怠慢だったとも言える。

島田さんは

物を売るんじゃない ブランド を 売るのだ !

物を売るんじゃない 体験 を 売るのだ !

物を売るんじゃない サービス を 売るのだ !

とまとめておられる。

これは販促コンサルタントの藤村正宏さんが提唱しておられる「エクスペリエンスマーケティング(エクスマ)」の考え方とほぼ同様の主張である。

ユニクロの「低価格高品質」というスペック追求は、旧来の日本企業の一つの完成型であるといえる。
これと対抗するためには、同じ土俵に乗ってはダメだった。違う土俵で勝負しなくてはならなかったのだ。
それは1点1点のアイテムのスペック追求ではなく、ブランド全体を売るという考え方が必要だった。

ZARAの店頭を見ている限りでは、ユニクロのように、万人に知られた定番ロングセラーアイテムがあるわけではない。ユニクロならフリース、ラムウールセーター、3990円ジーンズ、ヒートテック、サラファインなどがあるが、ZARAでそのように目立つ単品アイテムは存在しない。
また素材や縫製の品質は当然ユニクロより劣る。ユニクロどころかほとんどの日本ブランドより劣るだろう。
GAPと同列かそれよりも少し落ちるくらいではないかと個人的には見ている。

それでも「ブランド」として受け入れられつつあるから、国内の店舗数は50店前後にまで増えている。

これは他のブランドも大いに見習う部分があるのではないだろうか。

しかし、ZARAのバーゲンコーナーの乱れようだけはいただけない。
お客が広げた服が山積みとなっており、言葉は悪いが「ゴミ箱」みたいに見えるときもある。
どうせ、畳んでもすぐに乱れるから放置してあるのだろうけど、商品を掘り出す気力すらなくなる。

根っからの日本人気質の自分にとっては、ZARAの経営コンセプトはわかるが、買い物をする場所ではないことを来店するたびに認識させられる。
自分にとって、ZARAとは観察すべき対象として止まり続けそうだ。

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