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南充浩 オフィシャルブログ

「%バカ」に惑わされるな

2018年1月5日 企業研究 0

%による増減率と実数の両方を見ないと、本質はつかめない。
昨日の各社決算まとめの続きになるが、一昨年に「ユニクロ凋落、しまむらやライトオンが成長」なんて言われたのは、単に%表記での増減率を比べただけのことで、実数を見ていた人は少なかった。
%表記に惑わされるな!
http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b69327c2-7afe-47c0-a350-b39be6cdf5bb

しかし、この業界にありがちなことですが、%表記だけしか見ないと、ときに本質を見誤ることがあります。
昨今、EC売上構成を上げることが呪文のように唱えられています。EC売上構成が10%を超えていないと、「あの企業はまずい!」「時代遅れだ!!」のように書きたてられたりもします。しかし以下のような例ではどうでしょう??
UNIQLOの2017年8月期のEC売上は487億円。EC売上構成は6%。前年度15%売上増です。この数値だけみると、「UNIQLO大丈夫か??時代遅れ??」「実店舗重視しすぎじゃねえ?」なんて声が上がりますが、1年で約63億円もの売上増です。その前の年度は100億円以上の売上増です。

ちなみにEC売上比率が30%あって、軽薄なメディア人やダメコンサルからは優良企業だと思われているTOKYOBASEのEC売上高はせいぜい30億円程度に過ぎない。
ユニクロとTOKYOBASEのどちらがECで売れているかは一目瞭然だろう。
はっきり言って、TOKYOBASEのEC年間売上高はユニクロの1年間のEC売上高増加分よりも少ないのである。
これが現実で、そもそも1兆円企業と100億円企業を同列に並べて優劣を論じること自体がおかしい。
これはZOZOTOWNにもいえることで、ZOZOSUITの発表(実物は一部の大物にしか届いていない)によって軽薄メディア人やダメコンサルは「ゾゾがユニクロのシェアを奪う」と囃し立てたし、某有名ブランドの中の人によると、ZOZOのスタッフもすっかりその気で「ユニクロのシェアを奪いに行きますよ」なんてイキったことを話していたというが、どちらも身の程しらずの寝言でしかない。
国内売上高8000億円のユニクロのシェアを「マイナー」なゾゾがどれほど奪えるだろうか。
せいぜい売上高は100億円程度ではないかと見ている。1000億円はとても無理だ。
その100億円をもって「シェアを奪った」と言えば言えないこともないが、ユニクロにしたら蚊に刺された程度だろう。
まあ、己を見失っている好例になるのではないだろうか。
それはさておき。
「%バカ」はメディアにもアパレル業界にも多いのだが、例えば、昨日決算を紹介したライトオンを例に見よう。
上場企業はTOKYOBASEを除いてだいたいは月次売上報告を発表しているのだが、ライトオンの2017年月次を見てみる。
ライトオンの既存店売上高は
9月度が対前年比11・0%減
10月度が同13・8%減
11月度が同18・9%減
12月度が同増減なし
となっている。
9月~11月までは大幅に既存店売上高を落としているが、12月は前年と同じだったということになる。
「%バカ」はこれを見て、「9月~11月は苦戦したが、12月は下げ止まりを見せた」と判断するだろうが、大きな間違いである。
2016年の既存店売上高を見てみる。
9月度 同11・2%減
10月度 同14・7%減
11月度 同12・0%増
12月度 同13・8%減
となっており、2017年9月度と10月度は減収した2016年よりさらに大幅に売上高を落としていることになる。
2017年9月度は11・2%減のさらに11・0%減であるから、2015年9月と比べると79%ということになる。
早い話、2年前と比べると21%減となっており、かなり厳しい商況だといえる。
しかし、かといって2017年12月度が持ち直したわけではない。
昨年は13・8%減で、それと同数だったというだけのことである。
2015年12月と比較すると2017年12月も13・8%減ったままということになり決して持ち直しているのではないということがわかる。
ちなみに2017年11月度も19%くらい減っているが、2016年11月は12%増だったので、そこから減って2015年11月水準に戻ったということになる。
%表記での増減率を比べることは必要不可欠な作業といえるが、単年度だけ見ていても実態は見えない。
少なくとも2年間か3年間くらいの比較は必要で、できれば5年間~10年間くらいを比較しないと本質は見えないだろう。
単年度や2年間程度の増減率だけで比較するから「ユニクロ凋落、しまむらとライトオン好調」というアホな記事が出来上がってしまうのである。
単年度や2年間くらいの増減率で一喜一憂しているからこんな間違いが起きるし、それで一喜一憂しているような単純な経営者が多いからアパレル業界の各社は凋落が止まらないのだともいえる。

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ウィゴーの筆頭株主が4か月で変更に
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na278bc65821b
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