アパレル業界の希望の星ともいえるネット通販・ECだが、実はさらなる低価格競争を招く。
とくに「有名ブランドを仕入れる」という姿勢のショップは低価格競争に巻き込まれやすい。

例えば、最近、ナイキの「エアマックスインビガープリント」というスニーカーを買おうかどうしようか迷っているのだが、買おうと思った動機は、

1、ナイキのエアマックス95に似せたデザインだから
2、復刻版のエアマックス95よりも数段安いから

である。

かつて追い剥ぎまで出現した大人気スニーカー、エアマックス95だが、当然当方は買わなかった。
理由は品薄だったうえに高かったからだ。ネットもない95年当時、入手する方法もわからなかった。
入手する方法がわかっていたって高値なら買わなかっただろう。
当方の購買動機はすべて価格である。

で、それに似せたデザインの商品が発売され、しかも値段は1万円くらいとお手頃である。
値段の高いポンプフューリーは買わずに、値段の安いフューリーライトを買うのと同じだ。

で、できるならなるだけ安く買いたいと思うのが人としての自然な感情だと思う。
今は便利なネットというツールがあるから、それで検索するとこんな感じで表示される。

 

 

色柄にもよるが、1万円を越える物から5000円の物まである。
当方はエアマックス95に一番似ているグレーと黄色が欲しいから選ぶなら6800円くらいの商品となるが、「色柄は気にしないよ」という人がいるならこの5000円の商品で十分だろう。
あとは送料が安いか高いか、または無料になるのか、で最終的に判断する。

手持ちのスニーカーが壊れたのでできるだけ早い時期に欲しいという人もいるだろうが、当方は服のみならず靴も大量に持っているから、手元に届くのが1週間や10日かかっても問題ない。

だから当方が選ぶのは、もっとも送料が安く(できれば無料で)て、もっとも価格が安い商品になる。
ネットショップ名は関係ない。
A店で買おうがB店で買おうが物は同じだ。だったら安くて送料無料の店が良い。
出す銭は少ない方が良いに決まっている。

おわかりだろうか。これが仕入れ型のネットショップの行き着く先である。

じゃあ、価格競争に巻き込まれないためにはどうすれば良いのかということになると、「独自の商品にする」しかない。
仕入れでそれを実現するのは難しい。
卸売りメーカーは大量に卸売ってナンボだから、できるだけ多くの店に卸したい。
それを差し止めたいなら、あなたの店舗が大量に仕入れる必要がある。
大量に仕入れるのは嫌だが、広く卸売られるのも嫌だというような虫の良い話はこの世には存在しない。

商品の独自化を図るということは、SPA(製造小売り)化するしかない。

衣料品でこれができているのがユニクロと無印良品である。
もちろん、自社サイト内では両ブランドは不良品番を値下げして販売する。
しかし、他社サイトでさらに安い商品が発見されてそれと比較されることはない。
メルカリやヤフオクなどの転売市場は別として、新品でそういう比較にさらされることはない。

かつてのインタビュー時にカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)の増田宗昭社長は、「価格競争に巻き込まれないためには、商品の独自化=SPA化するしかない」と述べられていたが、その通りである。
さらにいうなら、販路を広げずに絞れば価格競争には巻き込まれない。

ただし、他店・他社との価格競争に巻き込まれることと不良在庫を値引き処分することとは別になる。
不良在庫を値引き販売するかしないかは自社のブランドに対する考え方、自社の資金繰りとの兼ね合いである。
どちらが正しくてどちらが間違っているということもない。
叩き売ってでも資金繰りの足しにしたいというのも立派な選択肢である。

例えば、今、ユニクロは売り上げが芳しくなかったJWアンダーソンとのコラボ商品を投げ売っている。
JWアンダーソンなるデザイナーにもブランドにもまったく興味がなかった当方だが、低価格に惹かれて今秋冬はアンダーソンコラボ商品ばかり買っている。逆に売れ行き好調でほとんど値引きされないイネスとユニクロUは1枚も買っていない。

このアンダーソンコラボはたしかに自店で投げ売られているが、他社サイトや他社店舗でさらに安く投げ売られていて、ネットを通じて価格比較されることはない。

無印良品も同じで、他社のECモールに出店・出品しないことで、自社の提示価格を維持している。
もしその提示価格で売れないのならもう一段下げるだけだし、無印良品ならアウトレット店へ移管するだけのことになる。

これがSPAの強みだろう。

仕入れ型、もしくは仕入れ商品が多い専門店がインターネット通販、ECに参入するのは価格競争に巻き込まれやすく、知名度が低ければ低いほど低価格にしなくては集客しにくくなる。

実店舗なら「店の内装の雰囲気」だとか「店長やスタッフの好感」だとかそういうことが評価されて、最低価格でなくても売れることもあるが、ネットショップにはそういうものは存在しない。
いくら綺麗な画像が乗っていても「知らんがな」である。

だから、低価格競争に苦しんでいる小売店が過剰にネット通販やECを礼賛しているのを見ると、「この人の頭は大丈夫なのかな?」と心配になってしまう。

実店舗のみの販路では心もとないから幾分かの足しになれば、というくらいでネット通販に参入するなら当然だと思うが、あたかも「楽園」があるように認知してネット通販に参入すると確実に失敗に終わるだろう。
そしてあたかもネット通販に「楽園」があると思わせるような報道には疑問しか感じない。

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