前回、大手有名ブランドがZOZOTOWNでの売上高が減少しつつあることを書いた。
ある大手ブランドは、現在前年比10%減~20%減の売上高で推移しているという。

理由は、ZOZOTOWNの集客手法が、割引きクーポン発行や早期割引がメインであるためだ。
それでも新規流入客が大幅に増えれば問題はなく売上高増加につながるが、新規流入客があまりないため、結果として売上高減少につながる。

当たり前のことだが、

売上高=客単価×客数

である。
このため、客単価が減って客数が増えなければ売上高が減少するのは当たり前のことである。

一般に、とくにトレンドに流されやすいアパレル業界とメディア業界は、ネット通販を救世主のように過剰に崇拝しているが、ネット通販の利用者は統計的にそれほど多くない。
ネット通販市場が16兆円あるといったって、それは衣料品以外の雑貨や日用消耗品や家具、食料品などすべて含んでいる。
その中で衣料品が占める比率はけっこう少ないのではないかと思う。

一昨年あたりからネット通販を月に2~3回利用するようになった自分自身に置き換えても、衣料品の購入比率は高くない。
もっとも買っているのが、ガンダムのプラモデルで、次にパソコン回りの備品類、それから腕時計やリュックなどの雑貨、あとは日用消耗品で、衣料品と靴の購入点数はもっとも低い。
理由は2つ。

1、サイズ感がわからない
2、素材の風合いや肉厚がわからない

である。
サイズ感のミスマッチをなくすためにZOZOSUITが開発されたといえるが、現時点ではまだ実物は誰の手にも届いておらず、これを解決できる手段にはなり得ていない。
当方がネットで買うのは、店頭で試着したことのある商品に限られている。
もしくは試着したブランドから類推して買う。

サイズのミスマッチ感が将来的にZOZOSUITで解消されたとして、素材の風合いや肉厚さがわからないというのは解消しようがない。
どれだけ画像を精巧にしても、素材の薄い厚いまではわからない。
「思っていたより素材が薄い」とか「思っていたより素材が分厚い」というのはけっこう重要なファクトであり、とくに夏用・冬用などの気温対応という性質が重視される衣服にあってはそれが最重要点の1つとなる。

だからネット通販では、衣料品よりもサイズ感が不要な雑貨や家具、日用消耗品、ガンダムのプラモデルの方が売れやすいし、それを買う人の方が多いのは当然といえ、今後もその比率は変わらないと個人的には考えている。

ZOZOTOWNは現時点ではファッション好きでネット通販好きの消費者をほぼ取り込み切っており、いくら値引きで集客しても新規客はそれほど多く集まらないと考えられる。
また、現在ZOZOTOWNを利用していない人は、将来的にもあまりZOZOTOWNを利用しないとも考えられる。
だから、値引き集客しても客数はそれほど増えずに、売上高だけが低下するという現象が起きているといえる。

今後、有名ブランドはZOZOTOWNでの販売に力を入れず、自社通販サイトを強化する方向に進むと、某有名ブランドの中の人は見ている。

さて、ZOZOTOWNの集客方法は値引きがメインだと書いたが、これはZOZOTOWNに限らず、ほとんどのネット通販サイトも同じである。

ネット通販は知名度が同じ・検索での表示が均等だとすると、究極的には低価格の方が売れやすいといえる。
またネットという特性上、異なるサイトの価格を一気に表示比較されるという宿命を持っている。

リアル店舗のように、「値段は高くてもあの店員さん・店長さんのファンだからそこで買う」とか「店舗で教えてくれるコーディネイトが好きだから高くてもそこで買う」というような客は、ネット通販には一切いない。
だからネット通販こそ、価格がすべてになりやすい。

ネット通販はアパレル再生の処方箋ではない
ファッションアプリCEOが指摘する“総EC化時代”のワナ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/092900168/121400005/?P=1

ECでは消費財とか定番ものしか売れません。ECもリアル店舗も分け隔てなく考えるのがあるべき姿ですが、今のアパレル企業は「ECやっていると言わなきゃいけない」という雰囲気すらある。結局は設計の話ですね。EC化が進んでいるから先進国というワケではないんですよ。例えば香港のEC化率は1~2%しかありません。売り場と住む場所が近いので、ECを使うまでもなく済んでしまうんです。

以前にも紹介した記事だが、ネット通販・ECについて重要なことが述べられているので再度抜粋引用する。
わけもわからず過剰にECやネット通販を礼賛しているアパレル業界人・メディア業界人は熟読した方が良い。

ライフスタイル系商品の場合、答えがない。そういうものは苦手なんです。消費財とか、ものすごくファストな欲求はネットに向かいます。一方、消費者は欲しいものがあれば、今でもごくごく普通にリアル店舗に行きます。昔は「趣味=ショッピング」というのもありましたが、今は当てもなく商品を探すのはいや、という人も多い。だからECで物を買い、気に入ったらリアル店舗もフォローして、という風にぐるぐる回っていきます。
オンラインのみの購買経験は“プア(貧困)”だと思います。消費者と売り手の間に情報の非対称性があると、マーケットが低価格に移行していきます。

とある。
さらに

店もECも、結局は顧客との接点でしかないんです。それが分かっている企業はうまくビジネスができているが、ECを赤字で続けているところもあります。いまのままECをやるなら、低価格衣料にまでタッチしないと厳しいでしょう。もしくは限定にしてECでしか買えないとか。一方で、ウェブ系の企業がリアル店舗に進出していますね。なぜなら、リアル店舗は多様なデータが取れるからです。消費者その人を象徴するような買い物は、リアル店舗でしていることが多いんです。

何度もいうように、ネット通販・ECは衣料品不振を打破する「魔法の杖」でも「究極兵器」でもない。
売れる企業もあれば、売れない企業もある。
知名度が低く、手法がまずいブランドはネットといえども売上高がゼロということも普通にある。
現に、知り合いが手掛けているブランドのネット通販の11月の売上高はゼロに終わっている。

ネット通販・ECはビジネスを拡大するための「道具」「手段」に過ぎず、ネット通販やECを開始することが「目的」ではない。
ビジネスが拡大できるならネット通販にこだわる必要はまるでない。「目的」と「手段」を履き違えているブランドやメディアがあまりにも多すぎるのではないか。またそれに踊らされる情弱もあまりにも多すぎる。

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専業ジーンズメーカーは決して新しいことに取り組まなかったわけではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd4bc9e30188b

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