南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2017年09月

ジョガーパンツ風ジーンズで生じている「織物」と「編み物」の錯誤

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 今日はかなりニッチでミクロな話を。

衣料品や生地で、誤解が生じやすい原因の一つとして「名称の定義」があやふや、誤って使われやすいということがある。

例えば、ディーゼルが先行発売し、他社が追随してあっという間に消費者にも浸透したジョガーパンツ風のジーンズ。

通常のストレッチジーンズよりもキックバック性の高いストレッチデニム生地が使用されている。

ウエスト部分がゴム入りだったり、裾がリブ使い・ゴム入りになっていたりというデザインが多いので、着想の元ネタはいわゆるスエットのズボンだったと考えられる。

スエットのズボン風のジーンズがあれば面白いんじゃないかという発想ではないかと想像する。

デニム生地にもストレッチ入りは普及していたが、スエットズボンのリラックス感を再現するためには通常のストレッチデニム生地では不十分でもっとソフトで伸縮性があることが求められる。

そこで、当初の業界には二つの商品があった。

●ディーゼルのジョグジーンズのように、あくまでも織物であるデニム生地で伸縮性の高さとソフト感を追求した商品群。

●もう1つは、スエット生地(編み物)をデニム風に見せた商品群。

とこの2つである。

当初は、デニム風スエット生地を着用した商品群がけっこう店頭に出回っていたが、今はほとんど消えた。

理由は、スエット生地(正規名称は裏毛)はいくら見た目や色合いをデニムに似せても、所詮は編み物なので、ヒゲ加工を施した際にもし、1本でも糸が切れるとそこから穴が拡大して破れてしまうという欠点がある。
また、織物のデニム生地と異なり、ヒゲ加工を施してもメリハリの効いたヒゲが表現しにくいという欠点もあった。


そのため、ディーゼルのジョグジーンズに追随したデニム生地使用の商品群が現在の店頭ではほとんどとなっている。
デニム風スエット生地の商品が根絶されたわけではないが、それはあくまでも「デニムっぽいスエット」として商品デザインされていて、デニムの代わりにはなりえていない。


各店頭をざっと見まわした感じでいうと、ディーゼルはじめエドウイン、ユニクロとほぼすべてが「ニットデニム」とか「ジョガーパンツ」とか名乗っていながら織物であるストレッチデニム生地を使用している。
だから、もともとは「デニム風ニット(スエット生地は編み物だからニット)」だったのが、現状は「ニット風デニム生地」へと逆転しているのである。

「ニットデニムパンツ」ではなく「ニット風デニムパンツ」が正しい。

まあ、以上のような状況を頭に入れて、続きを読んでいただきたい。

しかし、業界人でもこの「ニット風デニム生地(織物)」と「デニム風裏毛生地(編み物)」の区別ができない人が相当数存在する。
それは、製造方法の違いだけでなく、見た目でも判別できていない。

例えば、名実ともに国内ナンバーワンブランドといえるユニクロでさえそうだ。

現在、ユニクロは「イージージーンズ」というソフトでストレッチ性の高い生地を使用したジーンズを発売している。

そのソフト感、ストレッチ性はほとんどスエットやTシャツなどと変わらないので、ニット(編み物)のように感じられる。
生地の裏面を見ても、パイル状っぽくなっているので、トレーナー類と同じ裏毛生地なのかと見誤ってしまう。

しかし、このイージージーンズに使われている生地はれっきとした「織物」なのである。
経糸と緯糸で構成された織物だ。
純然たるデニム生地ではなく、二重織の技術を応用したデニム風織物というのが正式な生地の説明になる。

それをユニクロでさえ「ニット生地」と認識しているようで、「裏地パイル」と説明してしまっている。
それは弛んだ緯糸で決して、タオル生地のような「パイル」ではない。

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イージージーンズに使用されている生地の裏面が白くて裏毛状になっている理由は、

1、二重織なので表面と裏面に出てくる色や柄が異なる
2、ループ状に見えるのは緯糸が弛んでいるから。
  それは不良品ではなく、ストレッチ性とソフト感を出すためにわざと緯糸を弛ませている

というこの2つである。

実は同じ技法で織った二重織り生地でも緯糸をもっとピンと張ることで、裏面の見え方はまったく異なる。

IMG_0682

(過去の他社製品に使用された二重織りの裏面)


しかし、ピンと張るとソフト感とストレッチ性は幾分か損なわれる。

結局どこまでソフトにするのか、ストレッチ性を高めるのか、で緯糸の張り具合を変えるのであり、それを考えることが本来の商品企画である。

ソフト感とストレッチ性を幾分か殺しても良いのか、逆に高めたいのか。
ならそれを実現できる生地はどのように織るのか。緯糸は弛ませるのか張るのか。

それが企画の仕事だ。

ユニクロでさえ見分けができないということは、そういうことをすべて生地問屋や生地メーカー、製造業者に丸投げしているから、わからないのである。

かくして、安易な誤った説明が流布され、消費者も混乱するし、メディアも混乱する。
だからファッション、衣料品業界は「ええかげん」とみなされがちになる。


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低価格・高機能のカジュアルウェアでワークマンが実演する「小売りの輪」理論

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 ワーキングウェアナンバーワンのワークマンが、カジュアルシェアをさらに拡大するのは確実なことになるだろう。

先日、商品説明会が行われたようで、その様子が各メディアで報じられている。
もっともわかりやすい内容がファッションスナップドットコムなのでこれを引用する。

「目指すはアウトドアのファストファッション」仕事着のワークマンが増産&拡充で一般層に訴求
https://www.fashionsnap.com/news/2017-09-12/workman-outdoor-sports/

スポーツ、アウトドアへの拡販ということだが、その中の何割かは確実にカジュアルシーンで使用を狙っているのではないだろうか。

ランニング人口が増えている現状では、純然たるスポーツシーンでの着用はそれなりの割合を占めると考えられるが、アウトドア人口は一時期の山ガールブームも終息しており、純然たるアウトドアでの着用というよりはカジュアル用途での着用を期待しているのではないかと思う。

すでに一昨年あたりから、ネットではユニクロをはるかに超える低価格・高機能のワークマンの商品がカジュアル用途で注目されており、今後こちらの需要が激増するのではないかと考えられる。

一部完売する商品も出るなど反響を受け、今年は増産と共にラインナップを拡充。アウトドアおよびスポーツ向けの商品群は昨年30億円、今年は60億円を売り上げ、来期は100億円を突破する見込みで右肩上がりだ。

とのことだが、100億円突破というとジーンズメイトよりも売上高が大きいということになるし、ローカルカジュアルチェーンよりもはるかに大きいということになる。

ドン・キホーテのオリジナルカジュアルブランドも100億円に到達しており、いよいよ、中途半端なカジュアルチェーン店はドン・キホーテとワークマンに駆逐されることが現実になりそうだ。

また、ユニクロも今後はある程度は牙城を侵食されることになるだろう。


価格は専門ブランドと比べスポーツ系商品は1/3、アウトドア系商品は1/2で提供し、低価格に設定することで極力値引きや特売を行わず、数年間売り続けることができるためロスが生じずに粗利率35%での値付けが可能だという。「フィールドコア」の「驚くほど軽いSTRETCH」シリーズの防寒用ブルゾン(税込2,900円)は昨年10万着を売り上げ、今年は2倍となる20万着を目指し10月から販売を開始する。

とのことで、販売数量も百貨店やファッションビル内で展開するアパレルブランドとはケタ違いになりつつある。100枚だ50枚だとチマチマ生産している百貨店やファッションビル内のブランドはもはや、追いつけない水準の生産数量となっている。


ただ、記事の見出しについては疑問を感じる。ワークマンが「ファストファッション」を目指すのなら、トレンド要素を排除したベーシック商品を数年間売り続けることでコストダウンを図るという手法は、おかしいのではないか。

この手法はファストとは正反対の手法で、かつてのジーンズメーカーやユニクロと近い「売り減らし」構造だと読めるからだ。

単に「低価格」だけを指して何でもかんでも「ファスト」とまとめるのは、さまざまな定義が揺らぐもとであり、その一端をメディア自らが担っているという笑えない状況を作っているといえる。


さて、ワークマンは全国800店舗とはいえ、郊外が中心で都心に店舗が少ないのが弱点で、都心にも店舗が多いドン・キホーテとは事業構造が異なる。
郊外店主体ということでは、ワークマンはしまむらに近いといえる。

郊外での出店が近いうちに飽和状態を迎えたときに、しまむらとワークマンは都心進出をどうするのかという決断に迫られることになる。

また、圧倒的に男性需要が多いと考えられるワークマンは、女性客を伸ばすのかどうするのか、という決断にもそのうちに迫られることになる。

盤石のビジネスモデル、永遠に劣化しない事業構造は存在しない。


男性客向けの郊外店として特化するもよし、女性客を取り込んで都心進出を果たして一気にメガブランドを狙うもよし、正解・不正解はない。

どちらの道を選んでもそれなりに苦難はあるし、失敗する可能性もある。
それらを飲み込んでどういう結論を出すのかに注目したい。


それにしてもワークマンの躍進、注目度の向上を見ると、まさに「小売りの輪」理論だと感じる。


ジーンズメーカーやカジュアルメーカーからの仕入れ商品を販売していたジーンズカジュアルチェーン店や大型スーパーに対して、低価格で価格競争を仕掛けたユニクロが、市場の王者となった。これが2005年ごろまでの話だ。

その王者ユニクロは、+J(ジル・サンダー氏とのコラボ)、UU(アンダーカバーとのコラボ)、ルメール、イネス、JWアンダーソンとブランドステイタスの向上を目的とした高付加価値路線に突入し始めた。

そうすると、今度は、ドン・キホーテやワークマンが、低価格・高機能を武器に、その牙城に侵入し始める。

まさしく「小売りの輪」理論だ。

ドン・キホーテやワークマンがこのまま成長を続けたと仮定すると、10年後か20年後には両者が今度は高付加価値ラインを導入し、そこに新たに低価格を武器にした新興企業が侵入し始めるだろう。

小売りの輪は永遠に循環し続ける。

これを見ると、人間の営みなんて意味があるのかと思ってしまうが、とりあえず自然死するまで生き続けたいなら、経済活動をやめるわけにはいかない。

反戦小説や反戦ドラマみたいに「虚しさを感じて、隠遁する」なんて行動をとることはできない。
現実から逃げて隠遁することが高潔な行動でもないし、賞賛されるべきふるまいでもない。

虚しかろうがなんだろうが、勝ち残らねば自然死を迎えるまで生き続けることはできない。

まあ、そんなわけで目の前で繰り広げられる「小売りの輪」理論の実演を楽しみながら眺めることにしたいと思う。



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低価格競争を仕掛ける業者は常に出現する

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 350ml入りの缶ジュースの定価は130円である。そのため、通常の自動販売機では130円で販売されているが、2008年ごろから大阪では100円にディスカウントした自販機をよく見かけるようになった。

そうなると、当たり前だが130円では買わない。
よほど喉が渇いて死にそうになり、さらには周辺に安い自販機がない場合を除いては、定価販売の自販機では買わなくなった。

5年くらい前から、大阪市内では100円以下で販売する自販機もけっこう現れた。
それまでなら、西成の新今宮駅周辺くらいしか見かけなかったが、普通にあちこちで見かけるようになった。
30~80円くらいで350mlの缶ジュースや500mlのペットボトルが売られている。

だから最近では、100円自販機は当たり前、100円以下自販機があればそちらで買うという消費行動になってしまった。

このように缶ジュース一つ取っても、かならず低価格販売を仕掛ける業者は出現する。
そして、多くの人は似たような物、同じ物なら安い方で買う。
わざわざ高い方で買う人はよほどの変人である。

缶ジュースに限らず、洋服だろうと家具だろうと靴だろうと、低価格販売業者が出現するのは当然だといえる。

最近、日本の物価は諸外国に比べて安すぎるといわれている。
実際に海外出張した人から聞くと、アジア、欧米を問わず日本より物価が高いと感じられるそうだ。

じゃあ、現地の人が高い商品を買うことをよしとしているかというとそうではないと思う。
あくまでも想像の域を出ないのだが。

やっぱりできるだけ安く買いたいと考える人が多いから、アメリカはブラックフライデーに消費が集中するのではないかと思う。
わざわざ高く買いたい人なんて世界中探してもそんなにいない。

以前に、「小売りの輪」という有名な理論を紹介した。

低価格競争で勝ち残る業者が現れる


その業者が高価格・高付加価値路線へと転換する


別の業者が低価格競争を仕掛ける


勝ち残った業者は高価格・高付加価値路線へと転換する


別の業者が低価格競争を仕掛ける


以下無限リピート

という理論だ。

高価格・高付加価値として認知された商品が確立されれば、それに対して必ず低価格競争を仕掛ける業者が現れる。
これは絶対になくならない。なくそうとするなら、強力な共産主義的法律を作るしかない。
自由主義経済体制を採る以上は低価格競争を仕掛ける業者が現れることは防ぎようがない。
それは経済活動の自由だからだ。

服や靴も例外ではないということだ。それだけのことである。

アメリカでこんなことが起きたらしい。

米小売業界、アマゾンが席巻=店舗苦境「パニック状態」
http://news.livedoor.com/article/detail/13595302/

Amazonショックは以前からも言われていることだが、今回は服や靴や雑貨ではなく、食料品で起きた。

「健康に良いオーガニック食品をすべての人の手に届く価格にする」。アマゾンは137億ドル(約1兆4800億円)で買収した自然食品スーパー大手ホールフーズ・マーケットで先月28日からバナナやアボカド、サケなど生鮮食品の値下げを実施。ネットと実店舗の融合を目指すアマゾンが仕掛けた「価格戦争」に、スーパー業界に戦慄(せんりつ)が走った。

とのことである。

オーガニック食品が健康に良いとは個人的には全く思わないが、そう思う人も多く、オーガニック食品は高価格・高付加価値商品として知られている。
当方は長生きすることに全く興味はないし、高価格が嫌いだからオーガニック食品は絶対に買わない。

しかし、愛好者がいるのも事実で、そこに対してAmazonが低価格競争を仕掛けるのはまことに理にかなった商行動だといえる。
物は安い方が売りやすいのだから。

逆に高価格商品を安売りする方がインパクトが強くて注目を集めやすい。
普通の1束98円のホウレンソウを88円で売ってもそれほどインパクトはないが、200円の野菜を98円にして売ればかなりのインパクトがある。

そしてそれが、効能のほどはさだかではないが、高付加価値だと認知されているオーガニック食品ならなおさらインパクトが強くて、消費者を引き付けられる。

ユニクロがかつてフリースを1900円で販売したことも、カシミヤを9800円で販売したことも同じ考えに基づいている。

そして古くはダイエー創立の思想も同じである。

これをいくら否定して排除しても新たなダイエーやユニクロが登場するのは止められない。

意味のない「ユニクロ否定論」「ファストファッション否定論」「Amazon否定論」を叫んでいてもまったく何の効果もない。

安売りしたくないなら、安売りせずに買ってもらえる方法を考えて実行するしかない。
国内アパレル業界を振り返ってみれば、それができていないブランドが軒並み苦戦しているといえる。

高く買ってもらう手法も時代とともに移り変わる。
いつまでも十年一日のごとく、テレビ番組への衣装提供とファッション雑誌への広告掲載でもあるまい。
そこに固執しているから余計に売れないのではないか。

高くても買ってもらえる方法をもっと真剣に模索すべきで、それができない企業やブランドは安売り業者に飲み込まれるだけのことである。



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エアリズムを凌駕したグンゼYGカットオフのコスパと技術力の高さ

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 トータル展開での商品の機能性の高さとそれに反比例した割安感においては、ユニクロの優位性は疑いようがないが、単品アイテムで見るとユニクロを上回る商品が業界にはまだまだある。

浅学非才な当方がそのすべてを網羅することはできないが、知っている範囲でいうなら、フットカバーは無印良品とグンゼが圧倒的に高品質で低価格である。
フットカバーは脱げやすいの問題点であり、昨年にジーユー、ユニクロともに買って試したが、履いていないのと同じではないかと思うほどに脱げやすかった。


無印良品、グンゼは価格はユニクロとほぼ同じ3足990円(グンゼはAmazonならもっと安くなるときがある。当方は3足560円くらいで買った)だが、圧倒的に脱げにくい。

また白シャツの下に着ても透けにくい切りっぱなしの肌着では、グンゼのYGカットオフがユニクロのエアリズムシームレスよりも優れていて、定価は同じ1500円だ。

さて、そのグンゼの2018春夏展示会を見た。
メンズ肌着、レディース肌着、パジャマ、靴下の4事業部合同の総合展示会である。

レディース肌着についてもなかなか面白い商品はあるが、当方が、女性の肌着のことを書くとなんだかやいやらしいような気がするので書かない。
業界新聞記者時代は、レディース肌着担当だったこともあるので、その時は仕事としてブラジャーが云々とかショーツがナンタラとか書いていたが、今はよほど仕事の依頼でもない限りレディースのランジェリーファンデーションは書かない。

メンズ肌着では、圧倒的な機能性と低価格が実現されていたので、そちらを紹介したい。

当方が注目するのは、やっぱりYGカットオフである。
そういえば、ユニクロのエアリズムシームレスは「シームレス(縫い目がない)」と名乗っているのに、YGカットオフよりも縫い目が多いことは以前にこのブログで書いた。

品番によって価格は異なるが、年間定番の半袖商品は今春夏は1500円で販売していたが、これを2018年はなんと200円値下げして1300円にする。

「低価格競争ガー」なんていう声も聞こえてきそうだが、ここは素直に感心しておきたい。

IMG_3391

(1300円に値下げされるYGカットオフの定番品)


YGカットオフの特徴は、品番によって多少含有率が異なるが、綿40~55%程度とカットオフ(切りっぱなし)でありながら、綿の含有率がかなり高い点にある。

ユニクロのエアリズムシームレスはナイロンが84%・ポリウレタンが16%で合繊のみの組成である。

50歳以上のオッサンが持つ「綿素材信仰」は当方は少ない方だが、それでもナイロン84%と綿55%なら、綿55%の方を選んでしまう。

綿の高混率のカットオフ素材を製造できる特許を取得しているのはグンゼのみで、このほかには違う工程を特許取得したトリンプがあるくらいで、トリンプは綿35%混前後の商品を展開している。

YGカットオフでは、新商品として、無縫製モデルを打ち出している。
こちらはさすがに高くて2000円となっている。

IMG_3390






グンゼはレディース肌着の「キレイラボ」では何年か前から無縫製肌着を出していたが、その技術をメンズに導入したものである。

キレイラボもYGも無縫製とはいうものの、ホールガーメントセーターのような一体成型ではない。
YGカットオフでいうと、本体に袖を取り付けるのだが、それを縫製ではなく接着している。

もともと、YGカットオフは本体と袖を取り付ける部分だけにしか縫い目がなかった。
これを縫製ではなく接着で取り付けるようにしたということで、言葉の定義的に「無縫製」「シームレス」だといえる。

いっそのこと「ゼロシーム」とでも名乗ってはどうか?
商標登録がどうなっているのか知らんけど。


こんな感じで、単品アイテムならユニクロよりも高品質・高機能で価格が安いという商品が業界にはまだまだ存在するはずだ。

今さら、トータル展開ではユニクロには勝てないし、かといって「ユニクロより少し高い(1000~2000円くらい)けどファッション性は云々」なんていうのも中途半端すぎて消費者には響かない。

あとは伝え方であり、広報・宣伝・販促の手法を見直すことだろう。
良い物を作っただけでは売れないし、タレントを使えば必ず売れるというものでもない。
ましてやファッション雑誌やファッションイベントに乗っかっただけでは絶対に売れない。

グンゼも含めて、各アイテムでユニクロを越える高品質低価格商品を持っているメーカー、ブランドはそこを見直すことが課題であり急務である。


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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37


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TGC・神戸コレの「販促効果」と「地域産業振興」を考えてみる

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 畏友の剱英雄さんが、東京ガールズコレクション(TGC)の地域産業振興と情報発信について書いておられる。

発信力は消費に?
http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/b021cbf519d2c36ada95734217cb8bcf


これは東洋経済オンラインの記事を下敷きに書かれており、たしかに東京ガールズコレクションという興行イベントは大成功しているといえる。
興行イベントという点では成功したとしかいえない。

その一方で、ブランドの販促や地方創生、地域産業振興についてはどうか?というと、これは正直なところ疑問しかない。

まず、ブランドへの販促効果という観点から見てみると、TGCに出品すれば必ず売れるとは限らない。これは事実である。
長年出品し続けているブランドもあるから、効果があるブランドもあるが、その一方で効果のないブランドもある。

例えば、2009年~2010年に出品したライトオンである。
ライトオンはこの時期、減収し続けていた。
ライトオンが増収に転じたのは2015年度からなので、販促効果はなかったということになる。

また、某セレクトショップチェーンの役員は、もともとTGCが自社ブランドへの販促になるとは考えていなかったが、当時のTGCを運営していたエフワンメディアがうるさいから、一度だけ付き合って出品したと話している。

TGCと組んだ、この形態の元祖といえる神戸コレクションも同じだと見ている。

今年9月の神戸コレクションにもビッキー、ディアプリンセスが出品している。
ビッキーは以前、傘下ブランドのクイーンズコートを出品していたこともある。
ビッキー、ディアプリンセスの2ブランドは長年出品し続けている。

売上高は神戸エレガンスブランドが過ぎてから下降しているが、出品し続けているということは、単に売上高だけではない何らかの効果があると上層部は考えているのだろう。
しかし、売上高だけで見ると、販促効果があるとはいえないのではないか。


これは私見だが、TGCと神戸コレの販促効果はその反響がある顧客層が限定されていて、そこに親和性の高いブランドは何らかの効果があるものの、ライトオンのようにまったく親和性のないブランドはほとんど効果がないと見るのがもっとも適切なのではないかと思う。


今後は、やみくもにターゲット層との親和性も考えずに「出品する」というブランドは減るだろう。
だからというわけでもないが、神戸コレクションの出品ブランドのラインナップは随分と固定化されてきたように見える。


今度は、地方創生や地域産業振興という点については、剱さんのブログの通りではないかと思う。

TGC、神戸コレクションの地方興行があるが、もちろん経済効果はゼロではない。
何千人かの人間が来るので、交通機関や飲食店、コンビニなどにはそれなりの売上高が期間中はある。
また、その土地のファッションビルなどの売上高も期間中は少し増えるかもしれない。

が、地域のアパレルメーカーやアパレルブランド、デザイナーズブランドが潤うかというとそれはちょっと難しい。

なぜなら、現在の国内のアパレル企業、ブランドの8割がたは東京本社・東京本部だからだ。
残りは京阪神、名古屋・岐阜、岡山・広島、九州あたりにパラパラと点在しているに過ぎない。

TGCや神戸コレの地方興行に登場するブランドのほとんどは、当然、東京本社ブランドばかりである。
まずもって九州に拠点を置くブランドは登場しない。

名古屋・岐阜、岡山・広島のブランドも登場しない。

パラっと京阪神のブランドが登場するくらいである。

地方自治体が町おこし、地域おこしで「ファッション」を選ぶことがあるが、何故それを選ぶのかが理解できない。

今挙げた地域以外にアパレル企業、ファッション企業が拠点を持つ地方はない。
もっと極端にいえば、東京以外ないに等しい状況である。

じゃあ、そこでいくら「ファッション産業を振興する」といったって、東京のブランドを誘致するのが関の山であり、それは果たして「地域産業振興」といえるのだろうか?

TGC、神戸コレの地方興行ももちろん同様で、東京ブランドを呼んで、東京のモデルを使うことが地域産業振興・地方創生になるのだろうか?

当方には東京の産業振興にしか見えないのだが。

東京で開催する本物のTGC、この手のイベントの元祖として神戸で開催する神戸コレクションは、客入りが見込める限りは続けるべき興行イベントだと思うが、これらの地方興行は何の効果があるのだろうか。

また、TGC、神戸コレクションを模倣した地方イベントもいくつかある。

これとても、出品ブランドは東京ブランドで、ランウェイを歩くのは東京タレントなので、一体これを地方でやる意味があるのか疑問である。

文化祭的にやるのは構わないと思うが、地方創生や地域産業振興を掲げるのは無理があるのではないかと思う。


TGC、神戸コレと同様の興行イベントを地方で開催し、それを地方創生や地域産業振興につなげるのであれば、地方が地元でアパレル企業やアパレルブランドを育成しなくてはならない。


しかし、それは至難の業だろう。

もともと京阪神には多くの大手アパレル、大手ブランドの拠点があった。
それがこの20年間で激減し、ほとんどが東京に移った。これを今さら、逆回転させることは不可能であり、京阪神にも他地方にも小規模零細ブランドは現存するものの、出品料がン百万円と噂されるTGCや神戸コレの地方興行に出品させることは財務的に不可能である。

またTGC、神戸コレの顧客層は広告代理店でいうところのF1層で、しかも好むテイストも限定されており、ナチュラル系・カジュアル系・トラッド系などが多い地方の小規模零細ブランドはまったく親和性がなく、ライトオンのように販促効果がゼロになる可能性が極めて高い。

それが業界の現状であり、この構図は今後も変わらないだろう。

東京開催のTGC、神戸開催の神戸コレクションは興行イベントとしては否定すべき要素がないが、販促効果は限定的で、地方興行については地域産業振興にはほとんど効果がないと考えるのがもっとも妥当ではないか。



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