南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2017年08月

中途半端なアパレルはワークマンとドン・キホーテに食い散らかされる

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 メディアはもとより、その折々のトレンドに流されやすいアパレル企業経営者は、今、ユニクロとゾゾタウンと百貨店くらいしか注目していないように感じられる。

しかし、ことカジュアル分野でいえば、ワークマンとドン・キホーテが既存アパレルの牙城を脅かすダークホースになると見ている。もしかしたら、「高機能・低価格」という評価軸に限定すれば、この両者はユニクロの牙城も侵食できるのではないだろうか。

以前に、ワークマンの防水透湿ジャケット「イージス」をユニクロのブロックテックパーカと比較してみた。
発表されているスペックだけで見ると、ワークマンの「イージス」の圧勝だった。そして低価格でもイージスの圧勝である。

残念ながらというか、こちらの勉強不足で、いまだにイージスの現物が確認できていないのだが、着用してみてシルエットがおかしくなければ、もうブロックテックパーカを買う必要はなく、これからはイージスのみを買うことになる。

ワークマンには、探せばほかにもこの手の商品は山ほどあるのではないかと思う。

先日、ドン・キホーテの決算発表があった。増収増益だが、その中で「時計・ファッション用品」の売上高が2・8%増の1584億円にまで増えた。

しかし、この中には高単価のラグジュアリーブランドの商品も多数含まれているため、1584億円がまるまる通常価格のファッション用品の売上高ではない。

この分野の中で、ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)である「アクティブギア」と「レストレーション」の2ブランドが含まれる。前者がスポーツウェアで後者はカジュアルである。
もちろん、スポーツウェアといってもアスレジャー寄りなのでカジュアルとして使えるアイテムも多数ある。

中でも「レストレーション」は売上高100億円に到達したということで、次は300億円まで拡大させる計画が発表されている。

ちなみにこの「レストレーション」の売上高の方が、ジーンズメイト(売上高91・5億円)よりも大きくなっているというのが現実だ。

https://senken.co.jp/posts/donki-hd-170818

この2PB強化のニュースは様々な媒体で取り上げられたが、実際に商品写真が掲載されているものは少なかった。
そういう当方もドン・キホーテを利用することは年間でほとんどないから実際にその売り場を見ていない。どのような商品なのか皆目わからないのに感想を述べることはできないので、いくつかニュースを見ていたら商品画像が掲載されているものがあったのでご紹介しつつ、画像を少し引用したい。

http://fashion-j.com/news/2017/05/donki-fashion/


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画像からだけでいえば、商品の「見た目」はそれほど悪くないと思う。
とくにスポーツの「アクティブギア」はジーユースポーツよりもデザイン的には良いのではないかとも思う。

カジュアルの「レストレーション」も少し安物っぽさがあるが、デザインはそれほど悪いとは思わない。これよりも変なデザインの商品は珍しくない。

0531donk3


0531donk5



あとは値段が安ければそれなりに売れるだろうと思う。
これで値段が高ければ売れる見込みはゼロだが、ユニクロ並みかそれより少し安い程度で抑えれば、それなりに売れるだろう。300億円の達成は難しくないだろう。

一昔前までのスーパーマーケットに並んでいた低価格カジュアルは商品の見た目が圧倒的に劣っていたが、同価格帯の2017年のドン・キホーテの商品はそこまで見た目は劣っていない。

その理由はここで報道されていた。

https://www.wwdjapan.com/454216

PB開発の責任者としてプロジェクトを率いるのは、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)出身で、UA内で初めて本格的なSPA業態として「グリーンレーベルリラクシング(GREEN LABEL RERAXING)」を立ち上げから手掛けた、小田切正一さんです。

50歳になるのを機に独立され、ブランド開発やマーケティングなどを業容として活動されていたところ、大原(孝治ドンキホーテホールディングス)社長兼CEOから「ドンキでセレクトショップを作りたいので協力してほしい」とラブコールを受けて事業に参画。今はドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメント取締役兼ドン・キホーテSPA開発本部本部長に就かれています。

とのことで、個人的にはこの小田切氏とはまったく面識がないのでどんな個性と能力の持ち主なのかはわからない。
しかし、出身母体で長く要職に就いていたということは、仮に本人に商品デザインや商品製造の能力がなかったとしても、人脈やら背景やらブレーンを持っているはずで、ドン・キホーテのPBにそれがふんだんに使われていることは間違いない。

というか、それがなければ、ドン・キホーテが小田切氏をスカウトする理由はない。

グリーンレーベルリラクシングの商品企画のノウハウが投入されているから、マシな商品デザインに仕上がっている。

実はこれはドン・キホーテだけの特殊事例ではなく、2005年以降、スーパーマーケットの衣料品も含めた低価格ブランドの商品デザインがマシになったのは、すべて同じ理由である。

この小田切氏のような人たちがあちこちにいて、その人たちにスーパーマーケットも低価格ブランドも商品企画を依頼しているからだ。

かつての一流ブランドに属していた企画担当やデザイナーが独立して(企業側からリストラされて)こういう企画請負会社を数多く設立している。
彼らは彼らで食わねばならないから、低価格ブランドやスーパー向けの商品企画だって条件さえ合えば引き受ける。

かくして、かつての大手アパレルと低価格ブランドのデザイン差異は限りなくゼロに近づいたというわけだ。

同じようなデザインでそこそこの品質が担保されているなら、よほどの変人マニアでない限りは安い方で買う。

これが低価格ブランド隆盛の一因である。

さて、ラグジュアリーブランドやその横並びの高価格ブランドは別として、かつて百貨店や専門店を席捲した「中価格帯」といわれるようなブランドは、今後ますます苦しくなる。

見た目も商品の品質も低価格ブランドとさほど変わらなくなっているからだ。
それでいていまだに価格差がある。変人マニアではない大多数の人は必ず安い方で買う。

この現実を直視できないなら、この手のブランドはますます凋落する。
いずれ、ワークマンとドン・キホーテに大きく売上高を削り取られることになる。
ユニクロだってもう「高機能・低価格」だけではこの2社にある部分では追い越されている。

「ブランド」とは何か?「付加価値」とは何か?を既存アパレルは鼻血も出なくなるほど考えなくてはならない局面に追い込まれている。



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ジーンズとデニムパンツに関する事実誤認のお手本のような記事

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 つい最近、トンデモない記事を見てしまった。

おじさんを惑わせる「デニムとジーンズの違い」とは?
http://diamond.jp/articles/-/139366?display=b

結論からいうと、「おじさんを惑わせているのはアンタだ!」ということになる。

この記事の筆者は、ジーンズ=ダサい、デニム=今風でカッコイイ、ということが言いたかったのだろうが、それにしてもいたるところに事実誤認がある。

ファッションなんて個人の主観が入るから数値的な「正解」なんてものはないが、事実誤認はそれとは異なる。こういうことを放置しておくと、工業・ビジネス的な用語の定義までが狂うことになってしまう。

まず、

デニムの語源はフランス語で「ニーム産のサージ(織物)」(serge de Nimes、サージ デ ニームが省略されたもの)の意。一方、ジーンズは「スポーツウエア・作業衣などに広く使われる厚手の綿布」をあらわしています。

とあるが、すでにここで事実誤認がある。

デニムの語源はその通りで、デニムとは生地の名称である。デニムのフランス語読みの「ドゥニーム」がかつてオリゾンティ傘下にあり、現在、ウィゴー傘下にある「ドゥニーム」というジーンズブランドの名称のルーツである。

しかし、後半は全く間違っている。
ジーンズとは、デニム生地で作られた5ポケット型ズボンの総称である。
ジーンズが綿布を指すなんてことは完全なる誤認である。

じゃあ、デニム生地の定義とはなんだろう。

経糸に紺色、緯糸に白い染色しない糸を使って織った綾織生地のことである。
もっというと、経糸の紺色は、糸の中心部分は染めずに芯白の状態になっているのが、本来である。

今では経糸が黒のブラックデニムや、経糸の紺色が芯まで染められた「色落ちしにくいデニム生地」、経糸が色糸のカラーデニムなんていう派生形もある。


一方、同じ商品を指す言葉として、少し古語になってしまった「ジーパン」というのもある。
「太陽にほえろ」でもそんなあだ名の刑事がいた。


この記事の中でもジーパンという言葉が出てくる。

ジーパンは和製英語?で、日本人が作った造語だ。
これは、GI(ジーアイ)パンツの略語だ。
戦後直後に生まれた。

GIとはアメリカ軍人の意味で、戦後直後、アメリカが中古ジーンズを我が国に輸入したときにこの名称が生まれた。

だからジーパンをもしも、英語表記するなら、G-PAN となる。

一方、ジーンズは、JEANSと英語では表記する。
カタカナで書くとジーパンもジーンズも似たような字面で発音も似たようになるが、英語で表記するとまったく異なることがわかる。

JEANSの語源だが、先のドゥニーム生地をイタリアのジェノバから輸出していたということになるらしい。イタリア語ではジェノバはGenoaと表記するが、英語ではイタリア語のGはJに変わることが多いので、JEANSになった。

イタリア語のGIAPPONEが、英語ではJAPANになるのと同じである。

そして、デニム生地で作られたズボンはすべてデニムパンツと呼ぶことができる。

ジーンズとはまったく形がちがうカーゴパンツ(両腿脇にポケットがあるので6ポケットパンツとも呼ばれる)も、一昨年ジーユーが売りに売りまくったガウチョパンツもデニム生地で作られていればデニムパンツと呼ぶこともできる。

デニム生地で作られたズボンの総称がデニムパンツであり、その中で、5ポケット型やそれに類した形状のズボンをジーンズと呼ぶ。そしてジーンズの和製造語がジーパンである。

おじさんにファッションを解説するなら用語を正しく解説すべきであり、異なる自己流の解釈を一般的かのように唱えることは、それこそ「おじさんを惑わせる」行為以外の何物でもない。
こういう手合いがスタイリストを名乗るのはいかがなものか。


さらにこのトンデモ記事では

具体的なブランド名は控えますが、数千円~1万円程度のものではなく、できれば2~3万円程度の「デニム」を1本手に入れてみてください。

と主張するが、もはや意味不明だ。

おそらく、2万~3万円の「デニム」はかっこいい、9000円くらいの「ジーパン」はダサいということが主張したいのだろうと思うが、その手のブランドのステマだろうかと思う。

9000円くらいのエドウインやリーバイスにも現代風にアレンジされた品番がある。それを穿けば良い。
また3990円のユニクロ、3980円の無印良品のジーンズもかなり見た目はグレードアップされていて、それこそ、ファッションに詳しくない人では、穿いていても「ブランドもの」と区別できないレベルに達している。

この記事を書いた人は商品知識が浅すぎる。本当にスタイリストとして様々な商品を見ているのだろうか?

今秋物で入荷したばかりのライトオンのオリジナルブランド「バックナンバー」の6900円ジーンズだってなかなかの見た目になっていて、おそらくこの人では「ブランドもの」と区別することすらできないだろう。

ジレについても書いていたことがあるが、早い話がベストと同じ商品群を指し、それのフランス語がジレだというだけのことで、日本語のチョッキとまったく同じだ。

だから、チョッキ=ベスト=ジレ であり、呼び方が今風だから云々なんてのはアホの寝言でしかない。
そもそも、イキって「ジレ」なんて、底の浅いファッショニスタどもが勝手に雰囲気づくりのために呼び始めただけのことであり、ベストで定着していた一般名称を混乱させたにすぎない。

中にはアホな販売員もいて、「ベストとジレは少し違いますよ」なんて真顔で接客してきたこともあった。コイツハナニヲイッテルンダ・・・・・

この手のアホな人たちはそのうち、「ネクタイとクラヴァットは違いますよ」なんて言い出しそうである。


こういう名称なんて一般の人が詳しく知っている必要はさらさらないが、仮にもファッションを仕事にしていて、スタイリストなんてことをやっているのだったら、名称は正しく認識してもらいたい。もちろん件のジレ販売員もである。そうでなければ、余計な混乱を引き起こすだけのことになり、消費者を惑わすだけの害悪な存在にしかならない。


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クールビズに上着は不要では?

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 ファッションにおける「カッコイイ」とか「ダサい」というのは、結構主観的な部分が入るから性質が悪い。
議論はまとまらないし、めんどくさい。

こちらから見たら、それこそ「ダサい」人が集まって「あいつはダサい」なんて言い合っている。
「っ鏡」と言いたくなるが、こういうのが衣料品業界には多い。

で、ことファッションだから一向にまとまる気配もないし、妥協点も合意点も見つからない。

クールビズもその一つだろう。
冷房温度を上げたいなら、「厚着」をしている男性サラリーマンは薄着になるのが当然だと当方は思う。

男性サラリーマンが薄着になるのが嫌なら冷房温度を下げる。

論理的に考えれば、そのどちらかしかない。

しかし、その論争が毎年夏前後にはかまびすしいし、あと100年くらいやり合ったって結論とか妥協点は見つからないだろう。実にめんどくさい。
いっそのこと、全職場でワーキングユニフォームでも導入すればよいと思う。

先日、日経スタイルに堀場製作所社長の意見が記事として掲載された。
これは、先日、東洋経済の記事が指摘されたように、見出しと中身が一致していないと思う。

見出しだけみると、またぞろ反対派の主観丸出しの意見かと思う。

スーツにノータイ? 世界ではあまり見かけませんね
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20040850W7A810C1000000

しかし、この記事の肝は以下にあるのではないと思う。

「その省エネという精神自体は良いのですが、『それならネクタイを外す前に上着を脱ぐべきではないか』と思います。スーツを着てノーネクタイというのはグローバルではだらしない印象を与える恐れがあります。少なくとも欧州ではビジネスの世界でそのようにネクタイを外している人はあまり見かけません。米国のカリフォルニアでは、上着やネクタイはせず本当のクールビズを実施しています」

「ネクタイを外して、上着は着用しなさいという。やはり日本人というのは、何か教科書的なルールに安心したり、言葉に踊らされるところがあって、実質的な意味を考えるところで弱いと感じますよね」

この意見は賛成だ。

ネクタイの有無は別として、上着を脱ぐのが一番涼しい。
なぜなら、単純に着ているものが一枚減るからだ。
その分通気性も熱の発散性も高まる。

当方はネクタイに関して思い入れはないから、あってもなくてもどっちでも良いが、シャツにネクタイというスタイルで過ごす方が、ノータイで上着を着ているより涼しいことは体験上間違いない。

それにネクタイをしている方が仕事をしている気分になれるという人もいるだろうから、ノータイ上着のスタイルより、シャツネクタイのスタイルの方がクールビズには適している。

また、記事中でも指摘しているように、カリフォルニアのように上着もネクタイも廃止した「本当のクールビズ」というのはもっとも理想的である。

要するに半袖シャツ1枚とかポロシャツ1枚、場合によってはTシャツ1枚で過ごせということだ。

これがもっとも涼しいことは言うまでもない。

今年8月は関東は冷夏だという。猛暑が続く関西にいると何ともうらやましいことだ。
当方は暑さが苦手だから夏という季節はなくなっても別に構わない。
海にも行きたくないし、プールにも行かない。
真夏の昼間に野外で活動することは仕事以外はあり得ない。
休日はなるべく外に出ずに冷房の効いた部屋で過ごしていたい。

中には、「男はやせ我慢しろ」という人もいるが、それはその人だけが勝手にやっててもらいたい。
もはやそれは趣味の世界でしかない。他人の趣味を押し付けられるのは不快でしかない。

ところで以前、クールビズに対して、先ごろ亡くなった人がこんな提案をしていた。

戦前を舞台にした映画などで目にすることがある、半袖開襟シャツスタイルを復活させればよいのではないか。

と。

個人的にはこの意見に賛成である。
カリフォルニアスタイルはラフすぎると感じる日本人は多いだろうし、かといって大多数の男性サラリーマンは猛暑の中でスーツ姿に逆戻りはしたくないだろう。

Tシャツ1枚、ポロシャツ1枚のスタイルよりはキチンと感もある。

このあたりが妥協点ではないのかと思う。



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ジーンズメイトに必要なことはオリジナルジーンズの開発ではない

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 経済系のメディアでは一挙手一投足が注目されがちなライザップグループによるアパレル買収だが、正直なところ短期間でのV字回復は難しいと見ている。

ジーンズメイトも何かと話題だが、今のところ、売り場を見ている限りにおいては新方針は具現化されていない。

その一環で、東洋経済オンラインに新しい記事が掲載されたのだが、いろいろな意味で興味深く読んだ。

ジーンズメイト、RIZAP傘下で再生できるか
2人のユニクロ出身者によるジーンズが武器
http://toyokeizai.net/articles/-/184981

1つには、ライザップも手をこまねいているわけではなく、様々な策を講じている点
もう1つは、この記事で紹介されている施策は業績回復にはほとんど効果がないだろうという点
3つ目は、元ユニクロ社員といっても、モノづくり担当は、所詮モノづくり担当に過ぎないという点

である。

大まかにまとめると、ジーンズメイトの回復の切り札として、自社ジーンズブランド「メイト」を開発したとのこと。価格は4900~6900円。

メイトジーンズは裏地のオレンジが映える、独特なデザインが印象的だ。おしりポケットのステッチはmateのMと富士山をイメージ。正面のポケット下には隠しリベットを仕込ませるなど、細部の作りにもこだわった。

とある。

しかし、読んで写真を見た限りではこれを消費者が買いたいと思う決め手はゼロだ。
裏地がオレンジだろうが赤だろうが関係ないし、バックポケットのステッチがあろうとなかろうと関係ない。
それが消費者が「買いたい」と思うポイントではまったくない。

そもそもジーンズメイトが自社企画製品(プライベートブランド)を手掛けるのは初めてではない。
あまり売れておらず、話題にもならなかったがすでにいくつかやっている。

例えば、プレイン、ブルースタンダードなどだ。
またジーンズだけでいえば、ビッグジョンとのコラボ別注品やビッグジョンにOEM生産させたものなども過去にあった。

直截な言い方をするとそれらはいずれも不発だった。

今後、この「メイト」もジーンズだけではなくトータル展開を考えているとのことだが、それならトータルに展開しているブルースタンダードとの棲み分けはどうするのか?

ジーンズメイトの直近の2017年2月期決算は、売上高91億9500万円(対前期比1・2%減)、営業赤字、経常赤字、当期赤字で9期連続赤字を更新した。

その前年も売上高は93億円にとどまっており、すでにローカルチェーン並みの売り上げ規模にまで縮小している。

そんなジーンズメイトが売り上げ回復を目指すのであれば、やることは「商品の単品開発」ではない。
単品の商品で戦局を一変させるには、1年戦争当時のガンダムや、波動砲を装備したヤマト並みの超兵器でなくてはならない。

しかし、今回の「メイト」ブランドのジーンズは、「普通のジーンズ」でしかない。
じゃあ、同じ価格帯のライトオンの「バックナンバー」ジーンズとどう違うの?
グローバルワークやその他の同価格帯ブランドのジーンズとどう違うの?

ということになる。

そしてそれらを押しのけて、「メイト」を選ぶ理由がどこにあるの?

ということになる。

裏地のオレンジとかバックポケットのM字ステッチとか、そんな些末なディテールなどまったく意味はない。

単品で戦局を一変させた例としては、例えばユニクロのフリース、ヒートテックがある。
どちらかというとフリースよりもヒートテックの方がそういう実績にふさわしいと思う。

フリースもいろいろと開発秘話はあるだろうが、買ってみた感想は「安かろう悪かろう」だった。当方にとって低価格以外に魅力はなかった。

ユニクロはフリース大ヒットの反動で既存店が大幅に前年割れする。
そんな中で2度目の大ヒット商品となったのがヒートテックで、寒さが苦にならない当方にとっては無用の長物だが、世の中からは圧倒的な支持を受けた。
初ヒットは一発屋が数多くいることから考えても、まぐれ当たりでできることもあるが、2度目のヒットはそれよりも難しい。

単品での戦局を変えることを望むなら、ヒートテックほどの超兵器でなくてはならない。

単なるジーンズの色違い、ステッチ違いでは戦局を一変させるどころか、戦局に飲み込まれて終わりである。

ジーンズメイトに今、必要なことは、

1、マーチャンダイジングの見直し
2、販促方法の見直し
3、広報・宣伝方法の見直し
4、各店舗の改装・リニューアル

である。単品開発ではない。

文中にもあるように、中高生時代にジーンズメイトを愛用していた学生も、卒業後は利用しなくなるのはなぜか?

それはジーンズメイト各店の内装、店づくり、品揃え、雰囲気が圧倒的に中高生向けだからである。
実際のところ、探せば大人でも着られる商品もあるし、価格の割に品質・デザインの良い商品もあるが、そんなものはすべて帳消しにされるし、そこまで丁寧に見てくれる消費者なんていない。

どうみてもジーンズメイト各店は、中高生向けの店にしか見えない。
そんな中高生向けの店に、「37・5歳がターゲット」というブルースタンダードを突っ込むのだから、売れなくて当然である。

中高生向けの店に、オッサン向けブランドを並べて売れると思っている方がおかしい。

中高生とオッサンが一緒に買い物をするユニクロやジーユーとは、ジーンズメイトの置かれた状況、品揃え、世間のイメージは大きく異なる。同じようなことが再現できるとなぜ考えられるのか不思議でしょうがない。

ジーンズメイトがいずれ規模拡大に転じる局面があるかもしれないが、それは直近のことではなく、数年後以降のことだろう。

反攻の狼煙として、商品開発を掲げる気持ちはわからないではないが、過去にもさんざん失敗した商品開発の総括なしに新たなブランドを立ち上げるのはいかがなものだろうか。

そんな小手先のことではなく、必要なことは根本的な部分の見直しではないか。


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ゾゾタウンと百貨店の比較はまったく意味がない。百貨店が「小売りの王様」なんて化石の認識

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 おそらく、ゾゾタウンの株式時価総額が1兆円を越えたことも影響しているのだと思うが、ニュースピックスでも三越伊勢丹の凋落と比較したシリーズ特集が組まれている。

「ゾゾタウンは次世代百貨店」
「ゾゾタウンが百貨店の『王座』奪った日」

などのタイトルの記事がたしか8回に分けて掲載されていた。

もちろんゾゾタウンの好調は特集すべきだが、百貨店との比較はピントがズレているし、それを総力特集してしまう認識もどうかと思う。

まず、驚くのはいまだに百貨店を「小売りの王様」だと思っている人が多いことである。
何をもって彼らは「王様」を選んでいるのか判断基準はわからない。
ステイタス性ならそれなりに今でも残っているから、まあ「王様」と言えなくもない。
中元や歳暮、贈答品を送るときにやっぱりバラの模様の包装紙は効果がある。東京だったらあのタータンチェック柄の包装紙だろうか。
その包装紙のステイタス性はいまだにある。同じアサヒスーパードライの詰め合わせをもらうにしたって、そういう包装紙でもらった方が良いと感じる人は多い。イオンやセブンの包装紙にはそこまでのステイタス性はない。

売り上げ規模でいえば、百貨店の王座なんてとっくの昔に陥落している。

例えば、日本チェーンストア協会によると、スーパーの売上高は2006年に14兆円にも達している。
百貨店が20年前に9兆円弱あった売上高を毎年減らし続けてきているので、2006年当時はすでにスーパーの売上高の足元にも及ばなかったことになる。

すでに売り上げ規模でいえば、2005年あたりに百貨店の王座なんてスーパーに奪われているといえる。

2016年の百貨店の売上高は5兆9780億円しかないが、ドラッグストアチェーン店は6兆4900億円もあり、ドラッグストアの方が百貨店よりも売り上げ規模がはるかに大きくなっており、百貨店が「王様」なんていう認識は化石時代の遺物かと思ってしまう。

そういう観点での議論は無益でしかない。

また、ゾゾタウンを百貨店と比較するのもナンセンスだ。

百貨店の主要な販売物としてはファッション衣料はあるものの、それ以外に食料品もある。
現に食品強化をした百貨店はそれなりに善戦している。地上1階を食品売り場にした大丸東京店がそれを証明している。

他方、ゾゾタウンはどうだろうか。売り物はファッション衣料・用品しかない。
食料品はない。

また百貨店がステイタス性を保ち、富裕層を顧客化できている理由の一つに「外商」がある。
いわゆる富裕層と直接、個別に商品を販売するやり方で、詳細はあまり明かされていない。
一般的に高島屋や松坂屋、三越のような老舗は外商が強いとされていて、新参百貨店やファッション特化した百貨店はあまり外商は強くないとされている。

ゾゾタウンに外商なんていうシステムはない。
ツケ払いはあっても外商はない。

ゾゾタウンが扱っているのは徹頭徹尾衣料品とファッション用品のみである。

となると、ゾゾタウンは百貨店ではなくファッションビルだといえる。

ゾゾタウンの形式も、いわゆるネットの仮想商業施設に各ブランドをテナント出店させ、そこでの売上高の何%かをゾゾタウンへ納めるというもので、これはファッションビルの形式と原則的には同じだ。だからゾゾタウンは「取扱高」という表現で、テナント各店の売上高総額を発表している。
取扱高のうちの何%かがゾゾタウンの収益となるから、純粋なゾゾとしての「売上高」ではない。

さらに、ゾゾタウンの看板の一つにユナイテッドアローズやナノユニバースなどの人気セレクトショップの入店がある。ゾゾタウンが一気に成功した理由の一つにはこういう人気セレクトショップが先駆けて入店したことがある。
しかし、百貨店には例外を除いてセレクトショップは出店しない。

三越・栄店にはセレクトショップは一切出店していない。しかし、三越が運営するファッションビルの「ラシック」にはセレクトショップがひしめいている。
となると、ゾゾタウンは百貨店ではなくファッションビルだ。


一方、ゾゾタウンにはタカキューやジーンズメイトといったベタな低価格チェーン店も出店している。
どこの百貨店にタカキューやジーンズメイトが出店しているのか?
ファッションビルならこういうベタな低価格店も出店できるが、百貨店には出店できない。

この方向から見てもゾゾタウンが百貨店ではなくファッションビルであることがわかる。

だからゾゾタウンを比較すべきは百貨店ではなく、ルミネやアトレ、パルコ、ルクアなどのファッションビルであるべきで、基準が違うものを比較してあーだこーだ言っても何の意味もない。

そして、この手の記事に共通するのが、Jフロントリテイリングのギンザシックスの賞賛である。

一部を除いたラグジュアリーブランドを集めたという狙いは面白いが、実際に賞賛されるほどの売上高があるのかというとそれは疑問だ。
すでに小島健輔さんもブログで、売上高が芳しくないことを指摘しておられる。
オープン後わずか3か月強でその状態なのだから、旧JR大阪三越伊勢丹と同じ推移だといえる。

そして、ギンザシックスとは百貨店形態ではなく、ブランドをテナント入店させるファッションビル形式であり、百貨店が不動産業・デベロッパー業へと大きく舵を切った事例になる。

現状の既存社員・既存役員だけで従来の百貨店事業を立て直せるような状況では、もはや、なくなっているから、良くも悪くも効率しか見ていないジェイフロントがデベロッパー業へと転身するのは、それなりに評価はできるが、全百貨店の再生モデルがあれだというのはおかしいのではないか。
現にギンザシックスもオープン3か月後くらいで失速しているではないか。

なら、全百貨店が全部ルミネとかアトレとかパルコになれば事態は解決するのか。

これらの議論が大手を振ってまかり通り、それをまたアホな経営陣が真に受けるから、さらなる悲劇が生まれるのである。百貨店に限らずアパレルでも。

ニュースピックス編集部に限らず、メディアも評論家も一般大衆も、ファッションといえば百貨店とユニクロとゾゾタウンしか見ていない。
そして、まるで立脚点が違うその3つを比較して語り合っているにすぎない。
これが酒飲み話ならそれはそれで楽しいが、大真面目にやる議論ではない。

個人的には百貨店に対しての共感も同情も利害関係もまるでないが、この手の「酒飲み話」に振り回されることなく、再建したければ工夫を凝らしてもらいたいと思う。


noteで有料記事を始めてみました。


三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro


ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd2f9baabd416?creator_urlname=minami_mitsuhiro



あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/















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