南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2017年06月

フィクションとイリュージョンのファッション専門学校

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 「栴檀は双葉より芳し」という言葉がある。
優れた人物は若いころから優れているという意味である。

これと逆の意味の言葉が「大器晩成」である。
もっとも、陳舜臣氏によると「大器晩成」のもともとの意味は、「大器ができるには時間がかかる」という意味ではなく「大器はできにくい」という意味だったという。

まあ、「大器はできにくい」という方が、実情には合っていると思うが。(笑)

今年4月からファッション専門学校で週に1度だけ「計数管理」の授業をしているが、これがなかなか難しい。

売上高、粗利益、営業利益、経常利益、値入率、掛け率、上代、下代などの言葉の意味を説明するだけでも一苦労である。
なぜなら、学生たちにとってこれらの言葉はなじみがないから、言葉を見ただけで拒絶反応・思考停止に陥る。

これが偏差値の高い大学の生徒ならまだ違うのかもしれないが、往々にして偏差値の低い学生が集まる専門学校の場合は、本当に言葉になじませるだけでも工夫が必要になる。

それはさておき。

こういう話をすると、若者批判・学生批判が出ることがあるが、じゃあ自分が19歳のときどうだったかと考えてみると、これらの学生とあまり変わらなかったといえる。

もちろんこれらの言葉になじみはなかったし、興味も持たなかった。
とりあえず教えてくれるから覚えておこうかという程度だった。

しかし、社会人になってそういう言葉に普通に接するようになると、それらの重要性が立ちどころに理解できたし、学生時代にもっと勉強しておけばよかったと後悔した。

だいたい、人間なんてその程度がほとんどである。

栴檀はほとんど存在しない。
この社会は衆愚で凡夫の集まりである。

自分がその立場になって初めて理解する、興味を持つという人間が圧倒的大多数ではないか。

先日、一人の卒業生と再会した。
自分たちで洋服店を起業したいとのことで、いろいろとプランを練っていた。

そこで、彼から質問があり、資金調達についてだった。

資金調達にはさまざまあるが、自分で貯める・家族親族に借りる(もらう)以外だと、金融機関から借りなくてはならない。

そのためには、事業計画書の作成が不可欠だ。

店の完成予想図や洋服のデザイン画だけを見せてカネを貸してくれる人などこの世には存在しない。

売上高・営業利益・経常利益が書き込まれた事業計画書を見せて初めてカネが借りられる。
カネを借りるためには、つじつまの合った事業計画書を作らねばならない。

「何のツテもコネも知名度もないけど、とりあえず初年度売上高は10億円を目指します」みたいな妄想願望垂れ流しの事業計画書では誰もカネを貸してくれない。

で、営業利益とは?経常利益とは?ということを説明したのだが、たぶん、彼は今までで一番熱心に「授業」を聞き、一番理解を深めていた様子だった。

実際に学生の時にはピンとこないが、起業を計画して必要に迫られるとたちどころに飲み込んで理解できる。
人間なんてそんなもんだろう。

まあ、だから「栴檀」の登場を過剰に期待するのではなく、できにくい大器を一つでもできるようにするしかないのだろう。

嫌がられても「計数管理」はデザイン学部・デザイン学科の学生にも専門学校は等しく教えるべきだ。
「金勘定なしでデザインさえやっていれば商品は売れる」なんて陳腐なフィクションを教え込むことは罪に等しい。

また、「卒業と同時にマーチャンダイザーとしての就職を目指す」なんていう詐欺にも等しい看板は取り下げるべきだ。

商品面だけでなく、営業・販売面、生産面、資金面までをトータルに考えるのがマーチャンダイザーであり、そんな高度な知識・経験をたかだかファッション専門学校の何年間かで教えられるはずもない。

企業に就職してそれぞれの部門への理解を深めて初めてマーチャンダイザーになれるのが実態である。

そういう意味では、フィクションとイリュージョンしか教えないファッション専門学校の存在は百害あって一利なしである。
誰か「ファッション専門学校の闇」なんて本でも書いてくれないかな~?



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あのまち、このまち失敗事例: 「墓標」シリーズ Area Innovation Review Mook
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス
2016-06-27






独立系デザイナーズブランドのゴールになるか?

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 昨日の書いたことの延長線上なのだが、国内デザイナーズブランドを大手企業が買収することが増えてきた。

これは国内デザイナーにとっては喜ばしいことだと思う。
90年代後半のインディーズデザイナーズブーム以降、デザイナーズブランドにはゴールがなかった。

起業したのは良いけれど、そのあと、どうなったら「上がり」なのかが見えず、多くのデザイナーはエンドレスに活動を続けている。(していた)

当時は、大手アパレルの外注企画という仕事があったが、所詮は外注にすぎず、年間契約400万円程度で何年間か契約するだけのことで、そこからの飛躍はない。

下手をすれば1年で契約は打ち切られるから、自分のブランドが売れていないデザイナーにとっては死活問題となる。

当時、オリゾンティが外注企画ではなく、いくつかそういうブランドを抱え込んだが、売れずに早々に廃止している。

良いか悪いかは別にして、欧米だと、有名メゾン、有名ブランドがデザイナーやプロデューサーにそういう独立系デザイナーを高額な年俸で契約する。(年間400万円程度ではなく)
もちろん、契約は長く続く場合もあれば、数年で終わる場合もある。

しかし、数年で終わったところで、「〇〇ブランド前デザイナー」とか「〇〇ブランド元プロデューサー」という肩書が付いて回るから、それでビッグビジネスが展開できる。

これをゴールといえばいいのか、スタートといえば良いのかわからないが、一つの区切りにはなる。
次の明るい展開が待っている。

90年代後半以降の日本ではこういう事例はほとんどない。

デザイナー自身が経営者となって、ビッグブランドに育てれば良いとは思うが、それをできるデザイナーはほとんど見たことがない。
やっぱりデザイナーというのは多くの場合、デザイナーであり経営者ではない。

ファッション専門学校のデザイン学科やデザイン学部の生徒と接する機会があるが、やっぱり彼らは「クリエイト志向」だし、「物作り志向」だ。
学校もそれを良しとしている。

企業に就職して企業内デザイナーとなるならそれでも良いが、ファッション専門学校が看板にしている「デザイナーズブランドを立ち上げるデザイナー」を目指すなら、金勘定は必須だ。
むしろ金勘定の方が重要である。
金勘定のできる人間をパートナーとするなら話は別だが、多くのデザイナーはそうではないし、デザイナー志望学生もそういう発想はない。

なぜ、専門学校がそれを教えないのかが疑問である。

「夢」だけ語って食っていけるならこの世は天国だが、現実世界にそんな天国は存在しない。

逆にそんな天国を作りたいとも思わないが。

近年だと独力で成功したといえるデザイナーズブランドは、ミナペルホネンくらいだろうか。
日経BP社の「誰がアパレルを殺すのか」では、年商30億円・従業員150人とある。
年商30億円規模のデザイナーズブランドは国内では稀だ。

知名度だけは高い東京コレクション常連ブランドも実際の年商はトップクラスで3億~5億円程度しかなく、その他は年商1億円にも満たないものが多い。

年収5000万円なら大したものだが、年商5000万円ということは、ほとんど利益がないことになる。
そこに材料代、工賃、家賃、人件費、水道光熱費、電話代、備品代すべてが含まれるからだ。

しかし、そのミナペルホネンでさえ、年商30億円に対して従業員150人は多すぎるといわれる。
直営店を複数運営するからこその従業員の多さだろうが、人件費はどうなっているのかまったくの疑問でしかない。

まあ、いずれにせよ、ミナペルホネンに並ぶくらいの年商規模のデザイナーズブランドは国内にはほとんどないということに変わりはない。


そういうデザイナーズブランドに対して、アタッチメントやファセッタズムの大手企業による買収は、喜ばしいゴールが提示されたのではないかと思う。


大手企業に買収され、もしかすれば増資されて今までできなかったような新しい展開をすることができるかもしれない。
ビッグブランドに育って、デザイナー本人は巨額のカネを手にして引退でき、「豊かな老後」を迎えられる可能性も出てくる。

ゴールが見えなくてエンドレスに細々と活動し続けることは、若いうちなら良いかもしれないが、50歳・60歳が見えてきた人間にとっては無間地獄にも等しい拷問だろう。
実際に50歳手前の筆者はそういう心境であり、夢に見るのは、巨額のカネを手に入れて引退して「豊かな老後」を迎えることだけである。まあ、実現しそうにはないが。(笑)

今回の相次ぐ買収が成功するか失敗するかはわからない。
昨日も書いたように、そもそも国内に「高額デザイナーズブランド」への需要は限りなく少ない。
価格的にも商品的にも。

しかし、ある程度の実績が作れれば、これらに続く企業が生まれるだろう。
大手によるブランド買収が独立系デザイナーにとって一つのゴールになりえる可能性がある。
何とも喜ばしいことではないか。



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誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25



誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25



国内デザイナーズブランドのビジネス化は本当に難しいと感じる

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 「アタッチメント」「ファセッタズム」など最近、いわゆるデザイナーズブランドの買収がパラパラと起きている。
個人的には、デザイナーズブランドにとって企業に買収されるということは、非常に幸運なことではないかと思って見ている。

あ、そういえば「ケイタマルヤマ」もマミーナが展開するようになった。

一方で「アウラ」を展開していたコードナインは経営破綻となった。

国内デザイナーズブランドは、90年代後半からビジネスとして確立できることが非常に難しいと感じる。

売り上げ規模が増えれば何でもよいというわけではないが、売上高が極小のままでは、生活自体が立ち行かない。

「売上高じゃなくて利益だ」という声を聴くことがあるが、利益額が売上高以上になることは絶対にない。
どんなに利益率が高くても100%は越えられない。

例えば、売上高が100万円しかないのに、利益額を500万円にすることは不可能だ。

利益額500万円が欲しければ売上高を最低でも500万円には引き上げないといけない。
利益率100%として500万円だから、現実的に利益率100%なんていう商売はないから、500万円の利益が欲しければ少なくとも600万円以上は売らねばならないことになる。

売上高じゃなくて利益が重要というのは、それなりに売上高が稼げている企業にだけ当てはめられる言葉で、売れてないブランドはまず売上高を増やすことが重要になる。

現実的に多くのデザイナーズブランドは売れていない。
知名度が高いブランドでも売上高は極めて少ない。

以前に、このブログで「まとふ」について書いたことがあるが、卸売り先が5店舗くらいしかないということは、売上高はかなり少ないと考えられる。
まったくの推測だが年商は5000万円くらいが上限ではないのか。

「ファセッタズム」の買収額はたったの4182万円だった。
通常の「ブランド」として考えると、知名度からすると、その買収額は破格に安いといえる。

記事の中には前の所有会社の経営が悪化したためで、ファセッタズムのせいではないというような内容のものがあったが、買収額はその企業なりブランドなりの外部評価だから、ファセッタズムはその程度の評価しか外部からは、受けられなかったということになる。


自分と仲間数人で売上高が3億円あって、それなりに利益も確保できているからそれで十分というデザイナーズブランドも一部にはある。
それはそれで結構なことで、そういう生き方もある。


ただ、そういう立ち位置に昇れるデザイナーズブランドは極めて少なく、簡単になれるものではない。


逆に「もっと売上高を拡大して第二のギャルソン、サカイを目指すぜ!」というなら、自力では不可能なので資金力のある企業に買収してもらうほかない。


そもそも、国内デザイナーズブランドの需要というのは、日本国内では極めて小さいと見ている。
間違ってはいけないのは、日本国内の内需やアパレル市場規模が小さいというわけではない。
縮小し続けてはいるが、日本のアパレル市場規模は世界でも上位にランクインする。
そうでなくては、欧米ブランドやアジアブランドがわざわざ日本市場へ進出するはずがない。
彼らは儲からないことが一目瞭然な国には絶対に進出しない。
彼らは慈善団体ではなく、利潤追求団体だからだ。

そういう国内市場規模でも、国内デザイナーズブランドに対する需要は極めて小さいと感じる。

なぜなら、日本人の消費者も業界人も極めて舶来コンプレックスが強いから、高額なブランドを買うなら、まずは
欧米ブランドということになってしまう。
そして、手が届きやすい中価格の国内ブランドということになるが、この場合は、いわゆる国内企業や国内ファクトリーブランドがその対象となる。

さらにお手軽なのが、デザイン面で向上した低価格ブランド、グローバルSPAなどということになる。

国内デザイナーズブランドは、価格的には国内企業ブランドやファクトリーブランドよりも上だから、競合するなら欧米ブランドということになり、消費者心理的にも支持が得られにくい。

また、商品のテイスト・デザイン的にも企業ブランドやファクトリーブランドよりもトガっている、変テコりん、だからマスには支持されにくいし、そういう服を買ったところで着ていく場所、シチュエーションもない。

となると、圧倒的に企業ブランドやファクトリーブランドの方が使い勝手が良い。
または低価格ブランドの方が使い勝手が良くてしかも安い。

じゃあ、デザイナーズブランドをビジネス的に拡大するためには、広く世界に売って、薄く広く利益と売上高を稼ぐほかないのではないかと思う。

日本も含めてどこか特定の国だけで売上高を大きく増やすことは難しい。
なぜなら、日本も含めてどこの国も富裕層の人口は少数で限られているからだ。
欧米ラグジュアリーブランドと殴り合ってでもその少数の富裕客を強奪しなくてはならない。

だから、個人経営よりも大手資本に買収された方がやりやすい。

ただし、これまでのデザイナーズブランドの買収の多くは上手くいかなかった。

90年代のオリゾンティしかり、つい最近までの興和しかり、である。

90年代後半のインディーズデザイナーズブームなんて単なるあだ花に終わってしまった感がある。

このあたりの理屈をデザイナーズブランド側も飲み込んで、ビジネスと開発(クリエーションという言葉は嫌いなので)のバランスを取らないと、いくら大企業に買収されてもブランドとして成長することはありえないのではないかと思う。




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グンゼYGカットオフはエアリズムシームレスより圧倒的に優れた商品

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 毎年、夏になると大量の汗をかくので着るものに困る。
若いころは、「イタリアでわー」とか「欧米でわー」の意見を参考にして、素肌にワイシャツを着てみたこともあるが、汗で濡れすぎて外回りはとても無理だった。

「イタリアでわー」とか「欧米でわー」の奴らは冷房の効いた部屋で内勤しかしていないんじゃないかとさえ思う。

吸水速乾肌着も試してみたが、汗をどんどん吸ってその上に着ているシャツにどんどん放湿するので、シャツに汗ジミが目立つだけだということがわかった。

通常の綿肌着はちょっと分厚いので、ワイシャツの下には良いが、Tシャツやポロシャツの下にはゴワつく。

そんなわけで、既存の商品、着用法はどれも自分には向いていないので、なんだかんだとだましだまし夏を過ごしていた。

ところが、昨年、グンゼからYGカットオフのサンプルを頂いた。
最初のうちは、通常のあれと変わらないと思って放置していたのだが、物は試しと着用してみたところ、非常に良かった。

綿55%・ポリエステル30%・ポリウレタン15%だが、生地が非常に薄い。
生地が薄い上に、Vネックが深いので、ためしに通常のTシャツを上に重ねてみたところ、まったく表からは見えない。こりゃ良いわ、ということで、昨年の8月はその1着を毎日洗濯しては着用していた。

生地が薄いので、吸水速乾肌着のように上に着たシャツ類に汗ジミができるのではないかと思ったが、それもほとんどない。

グンゼYGカットオフはかなり優秀だという結論に昨年夏達した。

価格は税抜きで1500円だが、まあ、それくらいの価値はある。

そうしたら、今年の夏用に腋パッドが付いた新型のカットオフをいただいた。
こちらは綿30%配合で少し組成が異なっている。

これも試してみて、何の問題もないが、昨年版と生地を触り比べるとわずかに硬さが感じられる。
触り比べないと気付かないレベルではあるが。

これで合計2枚になったので、あと3枚くらい買おうと決心した。

今年6月にAmazonから20%オフのタイムセールの案内が来た。
グンゼYGカットオフを探すと、半袖のクリアベージュ色はすでに品切れしていたが、ノースリーブは残っていた。
1620円(税込み)の2割引きで2枚買った。1296円(税込み)×2で2600円弱である。

そうこうしているうちにユニクロのチラシも入った。
グンゼYGカットオフの類似品、エアリズムシームレスwが990円に値下がりしている。

ちなみにグンゼYGカットオフとエアリズムシームレスの定価は同じ1500円(税抜き)である。

そんなわけで、両商品を着用して比べた感想をまとめてみたいと思う。

結論からいえば、値引きなしの定価販売なら迷わずグンゼYGカットオフを買うべきである。

グンゼYGカットオフの生地組成は先ほど書いた通りだが、エアリズムシームレスの組成はナイロン84%・ポリウレタン14%であり、筆者は世間の中高年男性ほど合繊嫌いではないが、この合繊100%という組成にはちょっと抵抗感がある。

なんだかサッカーのユニフォームのような感じがする。

実際に着用してみると、心配したほど着心地は悪くないが、綿混生地に比べるとやっぱり「合繊感」はぬぐえない。

グンゼYGカットオフが存在しなければこの商品でも良いのだろうが、グンゼYGカットオフが存在するとなるとちょっとこれを優先的に選ぶ理由がない。


サイズ感だが、グンゼYGカットオフはタイトに作られており、筆者でLサイズだが、エアリズムシームレスはゆとりがあり、筆者はMサイズである。


また、売りである「シームレス(縫い目なし)」という表記も疑問だ。

なぜなら縫い目はかなりたくさんあるからだ。むしろグンゼYGカットオフの方が縫い目が少ない。

まず、袖の取り付け部分である両方の肩口の縫い目と、ネックの両横の縫い目は両商品共通だから良いとする。

グンゼYGカットオフはこの4つの縫い目だけしかない。

一方、エアリズムシームレスwは身頃の両脇、裾に縫い目がある。
グンゼYGカットオフは胴体は縫い目なしで、裾も縫い目なしの切りっぱなしである。

エアリズム1

(エアリズムシームレスの全体)

エアリズム2

(エアリズムシームレスの裾の縫い目)

エアリズム3

(エアリズムシームレスの両脇の縫い目)



グンゼYG2

(グンゼYGカットオフ 皺くちゃで申訳ない)


グンゼYG

(縫い目のないグンゼYGカットオフの裾)

グンゼYG3

(両脇にも縫い目のないグンゼYGカットオフ)



にもかかわらず「シームレス」を名乗ってしまうユニクロの厚かましさと、「カットオフ(切りっぱなし)」としか名乗らないグンゼの謙虚さの対比に思わず笑ってしまう。

ユニクロをここまで押し上げた原動力の一つが「厚かましさ」「厚顔さ」というものがあるが、多くの人がユニクロ商品を買いながら、心のどこかで反発を覚えるのもこの「厚かましさ」「厚顔さ」にあるのではないかと思う。

990円に値下がりしたときなら、エアリズムシームレスwを選ぶという選択肢はあるだろうが、定価で買うことは今後絶対にない。

それにしても、エアリズムシームレスはどうして「ナイロン84%」という組成なのだろうか。
これは一度ユニクロに正式に尋ねてみたいが、現時点で、個人的な推測をいうと、ナイロンの方がポリエステルに比べて、「柔らかさ」「吸湿性」がある。
この部分に着目したのではないかと推測する。

だが、エアリズムの前身の「サラファイン」のときには、キュプラも混ぜられていたはずだ。
再生繊維であるキュプラはポリエステルやナイロンよりも吸湿性があるし、天然繊維に近い触感もある。

キュプラは概して高額な素材なので、サラファイン発売時には、キュプラを使ってあの価格という驚きがあったが、今のエアリズムにその驚きはまったくない。
むしろ、合繊100%という組成に驚かされる。

また価格設定も微妙だ。
合繊100%という組成から考えると1500円というのは割安感はない。

ヒートテックでもそうだが、他社の類似品の方がはるかに安い。
無理にユニクロで買う理由が見当たらない。

もちろん、スポーツブランドの本格商品に比べると安いが、吸水速乾にしろ保温にしろ、通常のサラリーマンにそんな高機能肌着は必要ない。
コスパだけで考えるなら他社の類似品の方がはるかに良い。

ワークマンとかドン・キホーテあたりでそろえるのがもっとも機能性が高くてコスパが高いのではないかと思う。

一方、グンゼの商売下手・宣伝下手にも歯がゆい思いがある。

「良い物を作っていれば必ず売れる」ということは、フィクションの世界にはありえても現実世界ではありえない。
現実にグンゼYGカットオフがそうではないか。

ユニクロよりも素材面も縫製面も圧倒的に優位に立ちながら、知名度・販売数量では圧倒的に負けている。
商品が悪いのではなく、売り方・見せ方・伝え方が下手くそだからだ。

グンゼは物作りをさらに追求するのではなく、売り方・見せ方・伝え方を工夫すべきだ。

売れるために「素材・縫製の品質をもっと強化します」なんてことをやらかすと、昨日のブログで書いた靴下工場のような憂き目にあう。
強化すべきポイントはそこじゃない。

そのことを理解していない国内企業が繊維業界には多すぎる。



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オミクロンな物作りを追求しても消費者には伝わらない

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 衣料品やファッション雑貨類において、粗悪品は問題外として、要求水準以上のクオリティがあれば、次は「売り方」を工夫すべきである。

産地や工場に行くとよく聞かれるのが「〇〇ブランドの方が売れているけど、うちの方が品質が良い。なぜなら、うちの生地の方が経糸が〇〇本多いから」というような言葉である。

別に経糸に限ったことではない。
ニットやジャージなら目付(めつけ)だったり、目数(めかず)だったりする。
縫製工場ならステッチの幅が〇〇ミリだとかそういう類のことである。

繰り返すが、粗悪品は問題外だ。

しかし、要求水準以上の品質が実現された後、さらに目数を1つ増やすとか、ステッチ幅を1ミリ縮めるとか、そういうミクロなことを追求しても消費者にはわからないし、商品は売れない。

もちろん、物作りの姿勢は否定しない。
それはいくらでも追求すれば良いが、売るためには違うテクニックが必要になる。
「売る」のと「開発する」のとで区別をつけて取り組まねば効果がないし、それをするのが工場の経営者である。

それができないなら工場の経営は他者に譲るべきだろう。

先日、ある国内靴下工場の人に会った。
最近の業績が芳しくないそうだ。

粗悪品を作っているのではない。
むしろ、高品質品を製造している。
だけど売れない。

問題は、品質ではなく、売り方ではないか。

最近は奈良の靴下産地の尽力もあってさまざまな国産靴下ブランドが生まれている。
機能性に焦点を当てたものもあれば、色柄などのファッション性に焦点を当てたものもある。
その中で、もっともポピュラーな国産靴下ブランドといえば、タビオの「靴下屋」だろう。

タビオの靴下はたしかに高品質だが、数ある国産靴下の中でもっとも品質が高いかというとそうでもない。
同等の商品も数々あるし、この某工場はタビオよりも高品質だと自負している。
まあ、控えめに見積もっても同等レベルにはあるだろう。

だが、売れ行き、知名度はタビオと各社では段違いだ。

どうしてそうなったのか。それは「売り方」「見せ方」の問題で、タビオが上手くてその他は下手くそだったからだ。

この某工場の社長は根っからの職人肌らしく、苦境を乗り切るために「さらに高品質化を目指そう」と発破をかけているらしいが、はっきり言ってピントがズレている。

売りたいなら、広報・宣伝に力と金を使うべきだし、販促も強化する必要がある。

単に品質をさらに高めたからといって、売れると考えているなら考え違いも甚だしい。

例えば、合格点が100点満点中60点だとする。
大概の消費者は70点~80点くらいの出来であれば、満足する。
あとは価格とかデザインとか機能性とかそういうところの工夫が重要になる。

ところが、今、この某工場がやろうとしていることは、93点の品質を95点に上げようとすることだ。
大変な難業だと思うが、消費者にはその2点の差はほとんど伝わらない。
なぜなら、消費者は靴下のプロではないからだ。

目数を1つか2つ増やしたところで、何の効果も消費者は実感できない。

それなら、目数を1つか2つ減らして値段を下げたほうがよほど消費者の食いつきが良い。

今回はたまたま靴下工場の人と会ったのでこういう書き方になったが、国内の他の分野の繊維製品もほとんど同じである。
消費者には実感できないミクロを越えたオミクロンな世界を必死になって追求している。

その行為は尊いが、ビジネスには不適合である。

こういうオミクロンな物作りの良さを追求している間は、この某工場の商況は好転しないだろうし、他の国内の繊維製造業の苦境は改善されない。

オミクロンな開発は重要だが、それはあくまでも開発と位置づけ、ビジネスはビジネスとして割り切っての生産が必要とされる。

繊維の製造加工業は、1点作ることに心血を注ぐ「作家活動」ではなく、あくまでも大量生産が基盤となった工業ビジネスに過ぎないのだから、その部分をキチンと区別する必要がある。
区別できない製造加工業は淘汰されてしかるべきである。





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