南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2017年03月

リストラ時には、優秀な人から辞める・優良なブランドから売れる

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 瀧定大阪がスタニングルアーをジャパンイマジネーションに売却した。
瀧定大阪は赤字続きのブランド事業の縮小を発表したが、その中にあって、スタニングルアーは優良なブランドだった。売却額は公表されていない。

おそらくスタニングルアーなら欲しいという企業はほかにもあったのではないかと思う。
企業でリストラが行われると優秀な人から先に辞めていくが、それと同じで優良なブランドほど早く引き取り手が見つかるものである。

ジャパンイマジネ、スタニングルアー譲り受け
https://senken.co.jp/posts/STUNNING-LURE-Japan%20imagination

セシルマクビーなどを展開するジャパンイマジネーションならスタニングルアーとのシナジー効果はあると考えられるから、スタニングルアーにとっては瀧定大阪傘下でいるよりも良かったのではないかと思う。

ここ数年瀧定大阪は経営の多角化を目指して、ブランド事業を積極的に買収したが赤字が続いていた。

瀧定大阪がブランド事業を大幅縮小、17年1月期に特損300億円を計上
https://www.wwdjapan.com/338457

オリーブ・デ・オリーブを中心にした消費ブランド事業の2017年1月期の事業見通しは、売上高が前期比15.1%減の87億円、営業損失が22億円(前期は18億円の赤字)、経常損失が22億円(前期は20億円の赤字)、税引前純損失が51億2500万円(前期は21億3500万円の赤字)と、赤字が拡大する見通し。

220億円のデリバティブ取引の大型損失と構造改革費用100億円の計上に伴い、瀧定大阪(単体)の純資産は521億円から221億円に減少、自己資本比率は74.4%から50.6%になる見通し。

という状況にあり、ブランド事業そのものは減収赤字が続いており、その額は増える一方だった。

瀧定大阪はスタニングルアー以外に、オリーブ・デ・オリーブ、ミリオンカラッツ、シアタープロダクツ、ライオンハートなどのブランドがあるが、

この数年積極的にM&Aを進めてきたブランド事業は大幅に縮小。売上高の9割を占め、子会社のスタイレムが展開するテキスタイルとOEM事業に経営資源を集中する。

とのことなので、各ブランドは売却先を見つけるか、独立するか、しなければ縮小や廃止になることは間違いない。現在の規模のままで活動が継続できる可能性は極めて低い。個人的にはその可能性はゼロだと見ている。

だが、関係者の多くはブランドの売却先を探すことはかなり難しいという意見を述べる。
なぜなら、先ほどの記事にもあるように事業自体が赤字だったからである。
赤字だということは経営状態が悪いということになり、現在の厳しい衣料品業界において、わざわざ不振ブランドを引き取ろうという会社は極めて少ない。

「売るんじゃなくて、逆にカネを付けるくらいでないと難しいのではないか」とまで言い切る業界人もいるほどだ。

個人的にはこれらのブランド群は、顧客ターゲット層も商品価格帯も商品テイストもすべて異なっており、シナジー効果を発揮するのが難しい組み合わせだと感じていた。
相互補完にも相互競合にもなりえないので、単に存在するだけということになってしまいがちになる。

本来は本業である生地販売との連動が目的ではなかったかと思うのだが、業界で尋ねまわると、それが積極的に行われた形跡もほとんどない。

そうなると何のための多ブランド買収だったのかと外野のオッサンからすると首を傾げたくなる。

本業との連動も、ブランド間の連動もないとなると、ブランド事業そのものを瀧定大阪がやる意味すらないといえる。

おまけにブランド事業全体で赤字拡大しているということは、商品政策か販売政策、広報販促政策のどれか、もしくはそのすべてが間違っていたということになる。

200億円以上にも上る巨額デリバティブ損失が今回のブランド事業縮小の引き金になったとはいえ、仮にデリバティブ損失がなかったとしても減収赤字続きの実績を見ると、早晩、縮小という結末が待っていたことは変わりなかっただろう。今回の巨額デリバティブ損失によって縮小開始時期が少し早まっただけだろう。

瀧定大阪が抱える残りのブランドはどのような結末を迎えるのだろうか。















三越伊勢丹、自壊の予兆

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 三越伊勢丹HDの大西洋社長の電撃解任の背景の全容が各社の報道によってほぼ明らかになってきた。

その中でも日経ビジネス3月20日号の巻頭6ページ特集「三越伊勢丹、自壊の予兆」は経緯があますところなくまとめられており、自分の個人的見解とも重なる部分が多く、秀逸といえる。
ぜひ、ご一読をお薦めする。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/031300536/?ST=pc

各社の報道で改めて浮き彫りにされているのが、大西洋社長は現場の若手社員からはそれなりの信望を得ていたが、中間管理職や経営陣からの信望は得ていなかったということである。

大西社長はマスコミに積極的に顔を出し、マスコミでの発表を行うことで、社内を動かそうと考えていた。
実際に在職中にこれほど頻繁にテレビ、新聞、雑誌などのメディアに登場した百貨店社長はいないだろう。
これを「出たがり」「スタンドプレー」と評する人もいるが、実際に数度に渡ってインタビューしてみると「三越伊勢丹という社名の知名度をもっと高めるために、あえて積極的に出るようにしている」という答えが本人から返ってきたことがある。

それはおそらくその通りなのだろうと感じた。

一連の大西社長の独断専行は、「百貨店が今のままでは存続できない」という強い危機感からだった。
外部から来た人がその組織に対して強い危機感を抱くことは百貨店に限らず珍しいことではないが、生え抜き社長がここまでの強い危機感を持つというのは本当に珍しい。

逆に何がそこまで生え抜き社長の危機感を強めたのか不思議でならない。
ストレートにそれを質問したことがあるが、こちらの尋ね方が悪かったのか、納得のできる返事はなかった。

今回の日経ビジネスの特集でも書かれているように、大西社長の一連の行動は「百貨店事業を守るため」だったことは間違いない。
その真意が経営陣や管理職には伝わらなかったということで、伝え方が不味すぎたという部分は大西社長が反省すべき点である。
伝わらないということは、思ってもいないのも同然だからだ。

よく引き合いに出されるJフロントリテイリングと高島屋という競合他社は、百貨店事業から不動産事業や商業施設事業へと大きく舵を切っている。

強い者が生き残るのではなく、変化に対応できた者が生き残るとよく進化論が引き合いに出されるのだが、百貨店事業から他事業へと舵を切って生き残ることは正解の一つだといえる。
企業は「存続できてナンボ」みたいな部分があり、いくら理想をぶち上げても倒産してしまえばお終いだからだ。

三越との統合で生じた余剰人員を削らず、さらに百貨店事業をある程度守ろうとするなら、大西社長の取った多角化事業(個々の事業内容の正誤は別として)しか方法はなかった。

今回の一連の騒動で、週刊誌からも取材を受けたが、その中で週刊誌記者が「OBや現職に聞きまわったのですが『大西社長は優しいところがあるからリストラは避けたかったんじゃないか』という意見もありました」と話していて、それは事実なのだろうと感じる。

大西社長の一連の改革は未完のまま終わることになるが、どのような完成形を描いていたのかというは一度尋ねてみたい気もする。
日経ビジネス誌の中には、カルチュアコンビニエンスクラブとの提携が、実は「枚方Tサイト」の手法を地方店に導入する目的があったと書かれているが、これはその通りで昨年のインタビューの中でも直接聞くことができた。

解任騒動の決め手となった地方店の業態変更の具体案は「Tサイト」型店への移行をにらんでいたのではないかと推測している。

それにしても、大西社長を解任した結果、登場した新社長が「新規事業よりも構造改革を優先する」と明言したことは、中間管理職や経営陣にとっては、どう映ったのだろう。
否応なく、リストラが先行することになるのだが、大西社長を退任させたことは彼らにとって藪蛇だったのではないかと思える。

記事には「うちはJフロントリテイリングのようになってほしくない」という社員の声が採り上げられているが、杉江新社長の方針を素直に読むなら、Jフロント型百貨店への移行だと読める。


日経ビジネスでは、82年に会社を私物化して解任された三越の岡田茂社長、93年に改革を独断専行して解任された伊勢丹創業家4代目の小菅国安社長の事例も引き合いに出している。
スキャンダルまみれだった三越・岡田社長の解任は当てはまらないとしても、改革を急ぎ過ぎた伊勢丹・小菅社長の解任は、今回と重なる部分がある。

個人的に見るなら、伊勢丹という百貨店の弱みは、新宿店のみが突出し過ぎており、地方店が弱すぎて極めてアンバランスだという部分にある。
小菅社長は新宿本店依存度を下げる改革をしたかったとあり、大西社長はリストラを回避したままで百貨店事業依存度を下げる改革をしたかったという部分が重なる。
そして、その改革はどちらもほぼ独断専行で進められた点は同じだ。

ただ、改革は独断専行でないと成功しないこともあるから、一概に独断専行が悪く、合議制が正しいとも言えない。独断専行ができずに潰れてしまった企業もこれまで数多くある。

記事中には「腰が低く、改革を愚直に進めようとした大西社長に『独裁者』の表現は似合わない」とあるが、それはその通りで、世の中の人が思い描く「独裁者」像とはまるでかけ離れた紳士だった。
アパレル業界にはそれこそ絵に描いたような独裁者社長は多くいる。独裁者、暴君なんて掃いて捨てるほど見てきた。

そういう人々と比べると大西社長の人間性はまったく異なっている。

さて、日経ビジネスが指摘するように、三越伊勢丹は今回の騒動によって、ブランド力は相当傷ついている。
対応を誤るとタイトルにもある通り「自壊」しかねない状況にある。

三越と伊勢丹が合併して百貨店の王者になったと目されたが、実は経営は危機に陥っていたということになる。
統合後10年が経過してその病巣が白日の下に晒されることとなったが、これを取り除くことができなければ、市場から退場することになるだろう。




誰からも信頼される 三越伊勢丹の心づかい
株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ
KADOKAWA
2017-02-24






ライザップ流の在庫一掃セール?

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 ライザップグループが衣料品販売店を相次いで買収しているが、実際のところ、買収された各社はほとんど以前と活動内容や商品構成が変わっていない。

夢展望の社長が交代したくらいだろうか。
馬里邑は先週まで大阪ではOMMビルで展示会を普段通り開催していた。

ジーンズメイトも買収された時点では随分と話題になったが、店頭は買収前と何も変わっていない。
昨年春と比べると、商品量が減ったように感じるが、それは今回の買収とは関係なくもっと前に決まっていたことである。

ここも大きくはあまり変わらないんじゃないかと思っていたら、今月上旬にジーンズメイトから「シークレットセール」のEメールが来た。

業界でいわれる「通常のシークレットセール」の多くは、シークレットでもなんでもなく、店に入るとデカデカと「SALE」と書かれたPOPが飾られているのだが、今回のシークレットセールは本当にシークレットらしく、店頭にはそんなPOPはない。

Eメールを見ずに来たお客はそういうセールが開催されていることさえわからないだろう。
通常の店頭と同じだ。

今回のシークレットセールはなかなか太っ腹だ。
セール値札になっている商品をさらにレジで半額にする。

ライザップ流の在庫処分キタコレ(・∀・)

である。

目ぼしい商品があるかどうか店頭を物色してみた。
セール値札からさらに半額なので何を買っても良いのだが、1990円とか990円に下がっている物を買う必要はない。
さらに半額になればありがたいが、半額にならずとももう十分に安い。

半額で狙うべきはエドウインやリーバイスなどのナショナルブランドジーンズである。
通常価格7000~15000円くらいで販売されているが、その型落ち品番は、だいたい3~5割引きで売られる。
今回はさらにその半額なのでだいたい2000~3000円くらいにまで下がることになる。

ユニクロの2990円パンツよりも安くなる。

そんなわけで物色してみると結構いろいろと良い商品がある。
これ全部が型落ち品番ということは、どれほどの滞留在庫があるのだろうか。ライザップが在庫一掃セールを企画する理由もわかる。

筆者の好みでいうと、ブルージーンズが1位、ブラックジーンズが2位で、どうしてもそのどちらかに目が行くのだが、すでに何本か持っており、新たに買ってみたところで、他人から見ればどれも大して違わないようにしか見えない。

せっかくの機会なので、普段買わないような色や形を買うべきだと考えた。

実はベージュのパンツを穿くのが苦手である。
ベージュを穿くくらいならグレーを穿く。
ベージュという中途半端なボヤけたカラーが苦手で、とくにこれを下半身に持ってきたときに、ひどく膨張したように自分では見える。

筆者と頻繁に会う人なら気付いているかもしれないが(小汚いオッサンのズボンなんて誰も気にしていないかもしれないが)、ベージュのズボンを穿いていることはほとんどないはずである。
なぜなら、年に数度しかベージュのズボンを穿かないからだ。

それほどにベージュのズボンを使ってコーディネイトを作るのが苦手である。

ということで、ベージュのズボンを買おうと決めた。

生地はやっぱりストレッチ混が望ましい。
50歳手前のジジイになると着ていて楽なのが一番良い。
動きにくい服は金を払ってまで着たくない。

そうすると合致するのがエドウインのジャージーズというシリーズだった。
通常のストレッチ生地をはるかに越えたソフト感とストレッチ性がある。

これのベージュを選んだ。
む、2種類ある。どちらにすべきか?

一つは6500円で、腰ひもがなく通常のベルトを通すタイプ
もう一つは8500円で、腰ひもが内蔵されている。

筆者は腰ひものみで穿くズボンが頼りなくて嫌いだし、2000円高いので6500円の商品に決めた。

IMG_2609


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ちなみに6500円の商品は4割引き、8500円の商品は5割引きされている。
ここからさらに半額になる。

6500円の4割引きで3900円
3900円の半額で1950円

1950円に消費税8%が加算されて2106円となる。

2106円で買うことに成功した。

2106円で買ったベージュのズボンならさまざまな実験ができる。
たとえ穿かなくなったとしてもそれほど痛い出費ではない。

このシークレットセールのURLが面白くてライザップオンラインとなっている。
これを見ても今回の在庫処分は明らかにライザップ主導だということがわかるだろう。

https://www.rizap.online/jeansmate/index.html

世間的にはコストを抑えるにはレンタル洋服を活用すべきだといわれているが、実際のところ、こういう破格値商品は店頭に結構ある。

先日、無印良品でストレッチブラックジーンズを買ったが、定価3980円(税込み)でも十分に安いのに、セールで値札から3割引きとなっており、さらにレジで3割引きされていた。

3980円×0・7=2786円
2786円×0・7=1950円

となり、1950円だったのだが、貯まっていた無印良品ポイント200を使って、さらに200円引きされて1750円(税込み)で買うことができた。

IMG_2611


こういう破格値商品を集めると、1万円あれば5枚~7枚くらい買うことができる。

ブログ読者に「毎月、洋服をよく買ってますね」といわれるが毎月の洋服代はだいたい3~7枚で数千円~1万円くらいである。

一般的な洋服レンタルサービスを利用するよりも支出は少ないだろう。

まあ、そんなわけでジーンズメイトに関しては今後もある程度のライザップ流の仕掛けが出てくるのではないかと思う。今回の在庫処分シークレットセールはその第1弾ではないだろうか。








商業施設・ブランド店単体ではエリアは変えられない

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 大阪・京橋の京阪モールが14年ぶりに改装オープンしたらしい。
らしいというのは、報道で読んだだけなので、伝聞系にしている。

京橋という地名は東京にもあるが、大阪の京橋は、JR大阪環状線と京阪電鉄のターミナル駅の一つで、大阪においては乗降客数はそれなりに多い。

しかし、買い物をするエリアかといわれると、極めて疑問である。
京阪モールは長らく京橋に存続し続けてきた商業施設であり、関西圏ならそれなりに知名度はあるが、愛用しているという人はあまり出くわしたことがない。

個人的には京橋には年に何度か出向くことがあるが、京阪モールに立ち寄ったことはもう10年近くない。

京橋は乗り換えて通過するか、駅周辺の猥雑な安い居酒屋に行くか、のどちらかしか利用しない。
おそらくは多くの人が同じ利用の仕方なのではないかと思う。

大阪・京橋をおしゃれな街に 「京阪モール」14年ぶりの改装の狙いは?
http://www.fashionsnap.com/news/2017-03-19/keihan-mall-renewal/

今回の改装についてはこの記事が詳しい。

昨今の衣料品不振を反映したような店舗ラインナップといえる。
衣料品販売店を減らして、飲食店を増やしている。

たしかに、衣料品販売店は国内に溢れかえっており、そんなにたくさんの服を買う人がどこにいるのかと思ってしまう。
飲食店も溢れかえっているが、利用頻度は洋服店に比べれば格段に高い。

たいしてコーヒーや紅茶が飲みたいわけではないが、ばったり知人に出くわして時間があるなら、「久しぶりにお茶でもどう?」という行動は多くの人がとる。

「おお、久しぶり。そこの店で洋服でも見ながら近況を語り合わない?」なんて人は絶対にいない。

だから単純に利用頻度だけを比べると衣料品店よりも飲食店の方が圧倒的に高くなる。

商業施設はずっと同じだと飽きられるから、14年も経過すれば改装して入居テナントを入れ替えるのは正しいやり方でもある。

洋服不振もあって、今後の商業施設は飲食やサロンが主流になって洋服販売店は減る一方になるだろう。

ところで、この記事が提唱している「京橋をおしゃれな街に」することは可能かどうかを考えてみたいが、個人的には無理だと思う。

大阪地区では、南船場や堀江がファッション地域に変貌したことが挙げられるが、90年代後半の南船場・堀江と、現在の京橋では周辺環境がまったく違う。

90年代後半の南船場は単なるオフィス街で、今も昔もそれほど建物が密集しているわけではなかった。
堀江は家具屋、仏具屋などが集積していた場所で、90年代後半には衰退して、開店休業状態の店が多く、店主は売るか貸すかのどちらかを願っていた。

両地域ともに街の構成員を入れ替えることはそれほど難しくなかったし、あらたな施設を建設する土地も確保することは比較的容易だった。

今の京橋はどうか。

駅周辺はびっしりと建物や商店街で取り囲まれており、新たな施設を建てる余地はほとんどない。
また駅周辺の安い居酒屋にはそれなりに利用客があり、かつての堀江の家具店・仏具店のような閑散とした状況ではないから、すぐさま店を売ったり貸したりしたい地主が多いとも思えない。

京阪モールが改装したり、ダイエーが改装したり、と個々の店舗が改装リニューアルするのが最大限の努力だといえる。

また、当時の南船場・堀江は、地元の組合や不動産業者が一体となって積極的にファッション店を誘致することで、新たな街作りを模索したが、現在の京橋にそういう気運があるのかどうか。
外野から見聞きしている範囲では、当時の南船場や堀江ほどの街作りへの気運は高まっていないと感じる。

エリアが変貌するには、商業施設やブランドショップ単体では如何ともしがたいのが実態で、地元の組合や不動産業者が一体となって街作りをデザインしなくてはならない。

それらの一体感が見られない京橋が今後、おしゃれなエリアに変貌することはちょっと考えにくく、10年後も20年後も京橋は今のままの京橋であり続けるのではないかと思う。




現実を教えないファッション専門学校に存在意義はあるのか

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 そういえば、昨日、非常勤で時々講義をしに通っているファッション専門学校の卒業式があり、画像が流れてきた。

授業ではいつもお金の流れのことばかりを話していて、学生にとってはあまり面白くないだろうなあと思うのだが、一番重要なことなのでそれを変えるつもりはない。

そんな中、18年来のお付き合いのあるデザイナー氏とお会いしたのだが、以前は母校で特別講義をしたことがあるのだが、もう何年も前に行くのを辞めてしまったという。

その理由について、尋ねると、

「資金の回し方やお金の借り方、原価と利益の計算、手元に残ったお金はすべて収入にはならず、そこから次回の製造費を捻出しなくてはならないこと、なんかを話すとエライ先生からダメ出しをされたから」だという。

そのエライ先生いわくは

「学生がもっと夢を持てるような内容を話してほしい」

とのことで、

「実情を教えずに、何が専門学校なのか」と疑問を感じて特別講義に出向くことを辞めてしまった。


学生に対して、夢や希望を与えることは重要だろうが、夢や希望だけでは社会に出て生きてはいけない。
企業人としてサラリーマンを続けるならまだしも、もし仮に独立するのであれば、それこそ資金繰りのことは予備知識を持っておく必要がある。

独立して売上高が1億円のブランドだったとして、そのすべてが自分の収入になるわけではない。
そこから家賃、人件費、光熱水道代、製造原価などが差し引かれる。
それで手元に残るのは、半分以下になってしまうだろう。

手元に残ったお金がすべて自分の収入かというと、それもまた違っていて、その中から次シーズンの商品を製作するために出ていくお金がかなりある。

実際のところ、手元に残るのはごくわずかというのが、現状である。


中には、こんなわずかのお金で派手な生活をしているように見える著名ブランドもあるが、それは親や親族、配偶者などからの資金が流れ込んでいるから可能なのであって、自腹ではとっくに破産している。


自分でも、授業ではそういう話をできるだけしているが、学生たちは「普通に生活するには予想以上のお金が必要になることがわかって驚いた」と反応する。


しかし、それが現実だし、住む国を変えたところで内情は対して変わらない。
国によって多少の社会制度が変わるくらいだ。
中には「物々交換の時代に戻って」なんていう荒唐無稽なことを口走るイシキタカイ系の人もいるが、まあ、そんな生活がしたければどこか辺境の国で勝手にどうぞ、である。


それにしても、自分を振り返っても「お金の流れ」については大学を卒業するまであまり詳細には知らされていなかった。
ファッション専門学校に限らず、一般の高校や大学でもそういう話はしておくべきではないかなあと、今にして思う。

もしそうなら、自分ももう少し、若いうちから経済観念の発達した人間に育つことができたのではないかと、後悔することしきりである。







クルーグマン ミクロ経済学 第2版
ポール・クルーグマン
東洋経済新報社
2017-03-17









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