南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年10月

ユニクロがホールガーメント機を導入することは最適といえる

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 ファーストリテイリングと島精機製作所が合弁会社、イノベーションファクトリーを設立したため、業界は騒然としている。

http://www.fashionsnap.com/news/2016-10-27/fastretailing-shimaseiki/

ファーストリテイリングが10月27日、島精機製作所との合弁会社「イノベーションファクトリー」を発足したことを発表した。総出資金額は4億円で、比率は島精機製作所が51%、ファーストリテイリングが49%。

今回、ユニクロを中心としたファーストリテイリンググループの「ホールガーメント」製品を生産する会社として合弁化された。

なぜ、業界が騒然となっているかというと、今後、ユニクロを中心としたファーストリテイリング社の各ブランドにホールガーメントで作られたニットが供給されることになるからだ。
当然、ジーユーでの販売も十分にありえるだろう。

じゃあ、どうして「ホールガーメント」なるものが売られことで騒然となるのだろうか。
ホールガーメントとは、業界の人ならご存知だろうが、業界外の人はご存知ではないと思うので、非常に基本的な説明をすると、無縫製で生産できるニット製品のことなのである。

通常、ベーシックなプルオーバー(頭被り)のセーターは、4枚のパーツを縫製することで形成される。
前身ごろ、背中、両方の袖、である。
これを縫い合わせてセーターに仕上げる。

ホールガーメントはこれを無縫製で一体成型で編み上げる。
島精機製作所が開発した特殊な編み機「ホールガーメント機」を使えばそれが可能になる。

ホールガーメントを島精機が発明してから20年が経過している。

この20年間、ホールガーメントニットの拡販は断続的に続けられてきたが、その多くは「無縫製」という形状に対して希少価値を見出して、それを「高付加価値」として喧伝してきた。
凡百のヘッポコアパレルブランドは軒並みそんな売り方をしてきた。

その「高付加価値」商品が今回の合弁設立によって今後、ユニクロやジーユーで低価格で売られることが決定した。だから騒然としているのである。

しかし、個人的には多くのブランドが喧伝してきた「無縫製」が消費者にとって本当に高付加価値かどうかは非常に不透明だと見ている。

実際に筆者もホールガーメントのセーターが投げ売られた時期に買って着用してみた。
一般的には「無縫製だから着用感が良い」みたいなことが言われているが、ぶっちゃけていうと、通常のセーターと何も変わらない。少なくとも個人的に着用感の違いは感じられなかった。

まず、ニットという製品は元から伸縮性が高い。
だから、動きやすさはすでに従来品で確保されている。
動きやすさとかリラックス感なんていうのはすでに従来品で十分なのである。

次に、縫い目がないことが肌ストレスを軽減するみたいな説明があるが、これも疑わしい。
たしかに肌着で無縫製はある。
それは、皮膚の敏感な人や荒れやすい人にとっては、縫い目が当たらないことが求められているからだ。
しかし、セーターを素肌に着る人はほとんどいない。
Tシャツや肌着の上から着用する。だとすると縫い目は直接肌には触れないので、従来品でもほとんど変わらない。

ベーシックでプレーンなデザインのセーターであるなら、消費者にとってホールガーメントであることのメリットはあまりないというのが正直なところだろう。

一方で、ホールガーメントを導入することは製造側にとっては大きなメリットがある。
縫製が不要だということである。

現在、縫製は人の手によって行われる。
ミシンは使われるがそれを操作するのは人間なのである。
だから縫製工場はミシンがたくさん並んでいて、それを動かすための人間もたくさん必要になる。
しかし、日本はもとより、経済成長を果たした中国でも縫製工員は集めにくくなっている。

現在はアセアン諸国が縫製基地になりつつあるが、経済成長すればいずれ同じ状況になる。

となると、ニット製品に限定されるが無縫製で製造できるホールガーメントが広まれば、その悩みの一端は解決できる。
セーターの首元や裾はリンキングという工程が行われているが、このリンキング工場も減っているから、ホールガーメントの普及はこの部分でも製造側にとってはメリットがある。
リンキング工場も不要になる。

もっというと縫製工賃やリンキングの工賃も削減でき、それだけ製造コスト削減ができる。

また全自動で作られるため、大量生産すればするほど1枚当たりの製造コストは下がる。
ファーストリテイリングとの提携は理想的といえる。

まずは店舗を限定しての発売ということになるだろう。
例えば銀座店のみとか、大型店限定とか。

だが、デメリットもある。
ホールガーメント機は高額であることと、高度なコンピュータプログラムによって操作されるので、その操作ができる人間の数が限られているということである。

今回の合弁ではそのあたりの機械操作を島精機製作所の人に任せてしまおうという狙いもあるようだ。

たまたま、10月28日の夕方、ある仕事で島精機製作所の中間決算会見に出席できた。
プレスリリースに書いてある以上のことは何も決まっていないので具体的な話はこの件に関しては話すことがないというのが実情のようだ。

ちなみにホールガーメント機の販売実績としては今上期は315台だったと席上で発表があった。
前年上半期は179台で、現在は日産5台ペースで製造されており、今年下半期は6~7台のペースで製造していきたいというのが島精機の抱負である。

このように、ホールガーメントについてはメリットとデメリットがそれぞれあるが、消費者に向けたメリットはわかりにくい。とくにベーシックな定番品だとそのメリットはよく分からない。

それでもこの20年間、期待の新技術として注目され、アパレル側は「無縫製」を価値に「仕立てあげて」製品を高値で売ろうとしてきた。

販促の見地からいうと、まったく観点がズレているとしか言いようがないのだが、ユニクロやジーユーの店頭にホールガーメントニットが並ぶことになると、そういう今までの売り方は通用しなくなる。
作れば作るほどコストが下がるセーターだから大量生産のユニクロやジーユーだとかなりの安値で生産できることになるから、当然、店頭での販売価格も安値になる。

今まで「無縫製」だということだけでベーシックな定番デザインのセーターを高値で販売してきたヘッポコアパレルブランドは軒並み売れなくなる。

だから業界は騒然としているのである。

もし、他のアパレルがホールガーメントニットを売り続けたいのであるなら、製造側ではなく消費者に対するメリットをキチンと説明できるようになる必要がある。無縫製というのはたしかに物珍しさはあるが、セーター類に関しては消費者が体感できるメリットはほとんどない。
そのあたりを見つめ直さないと、アパレル各社はさらに苦戦することになる。









アパレルは他業種に比べて過剰生産対策への工夫が足りないのではないか

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 洋服の値崩れの原因はさまざまなあるだろうが、過剰供給がその一因である。
過剰供給すれば値崩れを起こすのは洋服も野菜も秋刀魚もミカンも同じである。
洋服だけが特別な存在では決してない。

現在、年間に国内に流通する衣料品は約40億点だとされている。

日本人は全員で毎年30枚以上の洋服を買わないとこれを消化できないということであり、実際これを実行するのは不可能ということになる。

逆に一部の「モノヅクリガー」みたいな人々がいうように手紡ぎに戻れだとか手織り、手縫いに戻れだとかそんなことは実行不可能だし、実際にやってみれば国内外の製造加工場は経営破綻して失業者があふれる。
ミシンや紡績機などを製造する機械メーカー、その部品メーカーも倒産が相次ぐだろう。
当然、アパレル企業も破綻して失業者だらけになる。
彼らがそういう社会を望んでいるならまだしも、単なるノスタルジーだけで主張しているならまったく有害でしかない。

容易な解決策は見いだせないが、やるとするなら、売れる見込みの枚数だけを製造するということになる。
過剰に最初から作らないことであろう。
中価格から高価格帯の国内アパレルはすでにこれをある程度実施しており、その結果、極端に製造枚数が減っている。しかし、過度にPOSデータに依存しているため、売れ筋追求か過去実績の焼き直し生産ばかりで各社ともに同質化している。同質化すれば値崩れを起こすのは当然である。
一方、低価格ブランドはこれをやっていない。
いまだに重度に「欠品させない病」を発症している。

例えばユニクロ、それからイトーヨーカドーやイオンなどのGMSである。
9月30日に鳴り物入りで発売が始まった「ユニクロU」だが、今週、さっそく一部商品が値下げされた。
これから随時各商品が値下がりしていくだろう。
ユニクロの商品を定価で買う人間はアホだと思う。

短期間で必ず値下がりするし、定価で売り切れるほど生産数量は少なくないからだ。
500~1000円値下がりするまで待てばいい。

さらにいうと、今春のアンド・ルメールのキャンバススリッポンはかなりの人気で店頭もネットも黒は即日完売だった。白はそれほどでもないが、もう少し期間をおいて完売に近い状況になった。
しかし、その後、一部店頭とネットは追加されて、白は1290円にまで値下がりして、いまだにネットではほぼ全サイズがそろっている。

これが過剰供給による値下がりの一例である。

なぜ、売り切れ御免のZARAのようなスタイルを採れないのか。
まったく理解に苦しむ。

イトーヨーカドーやイオンはもっとひどい。
売れる見込みもないのに過剰に製造して、毎シーズン投げ売りだ。
鳴り物入りで開始して、早々に廃止がきまったヨーカドーの「セットプルミエ」もまったくその手法から脱せなかった。
ゴルチエは半額に値下げされ、一旦格納されてから、また半年後に半額で店頭に並べられている。

だったら、高田賢三とのコラボモデルも半額くらいになるまで待っていても売り切れる心配はないだろう。

アパレルではZARAが売り切れ御免のスタイルだが他業種ではなるべく在庫を積まない工夫がなされている。

筆者は無趣味で、趣味は読書かガンプラを作ることしかない。
アウトドアは嫌いだし、スポーツは嫌いだ。せいぜい週に2回か3回、1時間ずつ走るくらいである。

で、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)は意外に大量に製造して積んでいない。
ここからはガンプラ話なので興味のない人は流し読みしてもらいたい。

ガンプラはおもに

144分の1サイズのハイグレードモデル(HG)
100分の1サイズのマスターグレードモデル(MG)

に分かれる。

それ以外にもあるのだが、煩瑣になるのでここでは省略する。

HGはだいたい1000~2500円
MGはだいたい3000~8000円

くらいの価格帯で、筆者はサイズが小さくてお手頃価格のHGをいつも20~30%オフで、家電量販店で買ってきて作っている。
いわゆる素組というやつで、多少削ったりはするが塗装はめんどくさいのでしない。
最近のは塗装がほとんど必要ないほどパーツが色分けされている。

HG(正確にはHGUC)だと11月に201番目のモデルが発売される。
発売当初はそれなりの数量を作っており、広く各売り場に配布されるが、その後、よほどの人気がないと追加補充されない。
とくに201個もモデルがあれば、不人気品番も多数あるだろうが、そういうものは如実に追加生産せずに、たまに追加製造するという仕組みになっている。

だからAmazonでときどき「あの昔のモデルはあるかな~?」なんて探すと現在製造中止で、製造再開待ちだったりする。

家電量販店やAmazonでは発売当初からだいたい20%オフくらいで発売されるもののその後も大きな値崩れは起こさず、30~40%オフ程度で推移する。50%オフにまで下がる商品は相当に珍しく、だいたいが40%前後のオフ率で「お買い得品」となる。

70%オフでさらにレジにて20%オフ、とか、80%オフでさらにレジにて20%オフ、みたいな投げ売りが日常茶飯事のアパレル製品とは様相が異なる。

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(28%オフの1090円に下がったからAmazonで買ったHGガンダムアスタロトオリジン)



また、「どれだけ売れるかわからない」と不安があるモデルに関しては、見込み製造をせずに受注生産している。
「プレミアムバンダイ」、通称「プレバン」という仕組みで、ネット上で「〇〇モデル発売」と一定期間内告知して、その期間内に注文があった数量だけ製造して自宅へと送付する。

要望が多ければ、少しの期間を開けてから「〇〇モデルの追加募集開始」と、また期間を区切って受注を集める。それの繰り返しだ。

一般発売分だと家電量販店で発売日から20~30%オフ価格になるが、このプレバンだと家電量販店には流通せずに注文者とバンダイのやり取りだけだから定価販売される。値崩れは起こさない。
逆に注文者が転売する場合、ヤフーオークションなどでは価格が高騰する。

アパレル各社もアホみたいに見込み生産をせずにこういうやり方を考えてみてはどうか。
ZARAも売れ残りを値引き販売するが、その数量はあまり多くない。売り切れ御免だから初回投入を逃すと、同じ商品は二度と入荷しない可能性があるからだ。

今回はバンダイを事例に挙げたが、他業種では過剰な在庫を生まない手法を懸命に編み出しており、それを実行に移している。ネットの普及という環境を上手く取り入れている。プレバンなんていいう仕組みはまさにその典型だろう。

いつまでも、「トレンド頼みの見込み生産」と「欠品させない病」を発症し続けるアパレル業界は、他業種に比べて著しく工夫が足りないのではないか。

工夫が足りないことを棚に上げて、「物作り」だとか「クリエイション」だとかを必要以上に神聖化したところで、何の効力も出ておらず、投げ売り品を増やしているのが現在の状況だといえる。













ロゴTシャツブームで売上高が伸びたブランド

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 閑話休題的な意味も込めて、たまには景気の良い話でも。

今夏は往年の懐かしいブランドのロゴTシャツが売れた。
まあ、いわゆるちょっとしたブームだったといえる。

中でも目に付いたのがチャンピオンとリーだ。
チャンピオンのブランドロゴ入りTシャツなんて、中学・高校の部活の練習着のイメージしかない。
リーのロゴ入りTシャツなんてその昔は珍しい物でもなんでもなく、普通にフロムUSAやら三信やらイズミヤの平場に並んでいて、地元の中高生のユニフォームのようなカジュアルウェアだった。

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(リーの来春夏企画)


だからチャンピオンにしろ、リーにしろロゴ入りTシャツを見かけるたびに地元のちょっとダサめ中学生・高校生と重なって仕方がない。
若い人が着るから「新鮮」に見えるのであって、オッサンが着たなら、まちがいなく「30年前の部活の練習着を保管していたのか?物持ちが良いですね」といわれるだろう。

このブログでも触れたことがあるように、今夏はファッションビル内を歩くとショップはチャンピオンとリーだらけだった。

リーを展開するリー・ジャパンはエドウインの傘下企業である。
で、エドウインの営業マンに質問したところ、リーのロゴTシャツの今夏売上高は驚異的な増え方を見せたという。
ブランドロゴTシャツブームの影響もあり、エドウインロゴ入りTシャツ、アルファインダストリーロゴ入りTシャツも驚異的な増え方だったそうで、その3ブランドのロゴ入りTシャツの売上高は、前年比で何倍増という伸び率だったとのことである。(もちろん、これらのブランドはそれまでトップス売上比率が低かったからという要因もある)

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(エドウイン、アルファインダストリーの来春夏企画)


完全にブームに乗れたといえる。

しかし、このブームが終わると反動は必ずあるだろう。
ブームが続いているうちにそれぞれのブランドのトップスを強化しなくてはならない。
そうでないとブームの終了とともに売上高は激減するからだ。

それでも暗い話がほとんどの衣料品業界においては、ロゴTシャツブームというのは数少ない明るい話といえるだろう。

それにしても、中高生の部活の練習着が一躍人気ブランドになるというのは、オッサン世代からするとなんだか釈然としない。

エドウインの営業マンによると、エドウインブランドやアルファインダストリーのロゴTシャツが伸びたのは、ロゴブームに加えて2000円前後という比較的買いやすい販売価格のおかげもあったとのことで、たしかに半袖Tシャツが1枚5000円もするなら、ちょっと買う気がなくなる。

よほどのセレブか服マニアかだろう。

一般人が奮発して買える半袖Tシャツの値段というと2000~3000円台で、5000円を越えるとちょっと厳しい。
7000円以上はよほどのマニアかセレブかしか買わない、と筆者は思っている。

エドウインやアルファインダストリーの売れ方がそれを証明しているのではないか。

ちなみに筆者の半袖Tシャツはだいたいが値引きセールで500~1000円になったもので、ユニクロ、無印良品、ライトオンの3ブランドで8割以上を占める。
値引き後1500円以上の半袖Tシャツはもう何年間も買っていない。

となると、以前に筆者がブランドスタート時になんだかんだと手伝った国産Tシャツブランド「ナインオクロック」の価格設定はまあ妥当なところだといえる。

ただ、今夏のロゴTシャツブームに反して、このブランドは無地Tシャツでスタートしたので、そのブームの恩恵は被っていない。

そのナインオクロックが今月クラウドファンディングに挑戦している。
目標100万円ということだが、正直なところ目標設定は50万円にしたほうが良かったのではないかと思った。

http://ishiwari.iwate.jp/pj/IswS2701440

1枚3000円のTシャツなので、コースがいろいろとあるとはいえ、客単価は3000円だと考えたほうが良い。
100万円を達成するには300人以上の支持がなくてはならないので、無名の新規ブランドとしてはちょっとハードルが高い。
逆に無名の新規ブランドでも100万円を達成したブランドはいくつもあるが、それらは商品単価が高かった。
最低でも7000~8000円、平均は1万円を越えていた。
となると、100人の支持で達成できる。

まあ、今から言っても始まらないので、残り日数で達成してもらいたいと思う。

とはいえ、現在54万円以上が集まっている。
ラスト、といってもあと5日ほどしかないが46万円弱を集めてもらいたい。
興味のある方は冷やかしも含めて協力してあげてはどうだろうか。

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(筆者の一番好きなナイクロのディスプレイ)

筆者は草葉の陰から見守りたい。












ある程度のセンスは情報や知識の蓄積で身に付けられる

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 ファッション業界人が持っていると自任するところの「センス」だが、ある程度の水準なら努力で身に付く。
何度も書いているように、筆者は働き始めるまで、母親がイズミヤかジャスコで買ってきた1900円の服だけで生活していた。
もちろん、美濃屋の「コンバース」とかそういう量販店向けのれっきとしたブランドではない。
なんだか聞いたことのないラベルが付いているよく分からないメーカーの商品である。

今なら、プチプラブランドだけで全身を固めても選択肢さえ間違えなければそれなりに見えるが、当時の量販店ブランドと有名ブランドの服の見た目には雲泥の差があった。

形・シルエット、色・柄、すべてが異なっていた。

当然、筆者はダサかった。今でもダサいかもしれないが、まあ、それでも一般人レベルにはなっていると思う。
どうやって一般人レベルまで独力で改善できたかというと、仕事柄もあって、繰り返しコーディネイトを見続けたからである。
ファッション雑誌、売り場のディスプレイ、ショーウインドウを繰り返し見続けた。

最近でこそ、ファッション雑誌はペラっと流し読みしかしなくなったが、2005年くらいまでは、メンズファッション雑誌を1冊買うと少なくとも5回か6回は全ページを隅々まで読んだ。もちろん文字も全て読んだが、やっていたことは全ページのコーディネイトを頭に入れることだった。
別に無理をして作業したわけではなく、自然と興味があってそれを繰り返して行っていたというだけのことである。

5年位それをやればかなりの「コーディネイト像」が脳内に蓄積された。
あとは蓄積されたコーディネイト像に照らし合わせて、洋服を選べば良い。
ただし、ファッションモデルと筆者では、容貌も体型もまったく異なるから、あとは試着をして微修正するほかない。

顔が小さく、首が長い細身の男性モデルが着たら似合うコーディネイトでも、顔が大きく、首が短くてガッチリ体型の筆者が着ると、ダサくなることも多かった。それもまた微修正して記憶にとどめる。
そうすると、そのうちにだいたいどんな服が自分に似合いやすく、どんな服が自分に似合いにくいかという基準ができる。

基準ができたらそれに沿って、選んで買えば良い。
ずっと薄給だったから夏冬のバーゲン狙いだったし、2005年以降はプチプラブランドの見た目の向上もあったので、そちらに移行して今に至る。

「ぼくの指南に沿えばかならずオシャレになります」みたいなメルマガ商売もあるが、独力で最低水準までは何とかなるというのが実体験である。

マラソンや水泳も同じで、繰り返し練習すれば、走れて泳げるようになる。
運動嫌いの筆者でも3年も続ければ1時間くらいは走れるようになる。
ただし、じゃあオリンピックや国体に出場できるようになるかというとそれは不可能で、努力以外に「天性の才能」が必要だが、1時間走るだとか100メートルを泳ぐというだけのことなら努力次第で可能になる。

ファッションセンスもそんなものだと思う。

「服を買いに行く服がない」なんて悩んでいたことがあるという人もいたが、ダサいままで買いに行って、店員に全身コーディネイトをしてもらえば済むだけの話ではないかと思う。
何も突然にその日だけダサい服装になったわけではなく、これまで散々ダサい服装で外出し、公共交通機関を利用し、場合によっては仕事までしてきたんだから、服屋に行くときだけ悩むなんていうのはナンセンスであろう。いつも通りダサいままで出かけて、店で全身コーディネイトをしてもらってそれを買えば良いだけのことである。

服屋にかっこつけたって仕方がない。服屋の店員に褒められたって何の得にもならない。じゃあそれまでダサい服装のままで公衆の面前を闊歩していたのは恥ずかしくないのかということになる。

もしくは、独力でファッション雑誌のコーディネイトを穴が開くほど研究して「標準スタイル」を脳裏に叩き込んでそれに沿ってコーディネイトして服屋に出かけるかである。

そんなくだらないことで悩んでいる時間と労力のほうが無駄ではないか。

大塚着物店の大塚直人さんがこんなブログを書いておられる。

一向に上手くならないアレのセンス
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2016/10/25/001002

いや、ちょっと待って!
 
「センスとは情報や知識の蓄積」
 
とは師匠や某デザイナーさんから聞いた言葉。
センスというのは天性のもの磨く事が出来るものではないというのは
間違っているという話なんですね。
つまり、センスが無いと言うのは → 努力が足りない
研鑽によって磨かれ高まってくるもの。
 
では、センスを高めるためにどうすればいいの?っと。
 
1、とにかく“普通”をたくさん知る
2、その中からコレは!というものを選び、抜き出す  
3、実践出来るもの、マネ出来るものは徹底的にパクる
4、自分の得意なスタイルを意識して作ってみる
 
という事でしょうか。

とのことである。

だからファッション雑誌の掲載スタイルを全部頭に叩き込んで、その中から特に真似したいコーディネイトを選ぶ。
モデルと自分には顔面と体型に隔絶した差があるから実際に着用してみて微修正を繰り返す。

そうすれば、平均的なファッションセンスは身に付く。ただし、オリンピックや国体級のセンスはそうした作業に加えて「天性の才能」が必要になり、なければその部分は諦めるほかない。

しかし、平均的なセンスくらいはそこそこの努力で身に付くのだから、それほど特別な才能ではない。
ファッションに限らずセンスなんてその程度のものということである。













アパレルも百貨店もGMSも「変化」を拒否すれば必ず淘汰される

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 SNSが普及して5年以上が経過したが、SNS間では格差が生じている。
日本では人気のツイッターだが、アメリカ本国では経営難に陥っており、身売り交渉も決裂している。

逆に「オッサンのゴミみたいな自慢話が多い」として若者に嫌われているフェイスブックは経営的には順調で世界的な使用人口ではツイッターをはるかに凌駕しているようで、このあたりの「個人の好き嫌い」という感覚もあてにならない。

ツイッターの代わりに日本でも注目されているのがインスタグラムで、こちらは使用人口が増加中であり、米国ではスナップチャットが好評らしいが、ためしにやってみたがイマイチ面白さがよく分からなかった。

そのツイッターについての記事である。

なぜTwitterの身売り交渉は行き詰まっているのか
http://diamond.jp/articles/-/105662

真鍋昭雄という教授が書いておられるが、彼の記事は基本的にいつもバランスが良く、分析が割合に的確である。
経済記事の書き手は多いが、基本的に左翼的思想に基づいている書き手の記事は内容がナンセンス極まりない。経済動向に過度な政治的イデオロギーのフィルターは不要で、不要どころか事実を歪曲する。

経済学には「絶対的正解」がなく、解釈次第である。だから同じ経済学者でもまるっきり理論が異なっているのである。

それはさておき、この記事の中で、ツイッターの凋落の原因を

ここで注目すべきポイントは、「注目の的」のスター企業であっても、需要者側の速い変化に対応できないと生き残ることができないことだ。スター企業であったTwitterの買い手は、今のところ現れていない。

今日のビジネス環境では、IT化がヒト・モノ・カネの動きを速め、競争は激化している。しかも、強力なライバル企業は次から次へと出てくる。そうしたビジネス環境の変化に対応できないと、たとえトップ企業であってもその座から引きずり降ろされ、企業の存続が危ぶまれる状況に陥る。それが今日の企業が直面する“栄枯盛衰”の法則だ。

企業が競争に勝ち残るためには、常に、需要者が求める新しいサービスや製品を常に生み出すしかない。

とある。

これはその通りであり、ひとえにツイッターのみ、IT企業のみに適合される考え方ではなく、すべての業種に当てはまる考え方だといえる。

国内のアパレル企業、アパレル業界が停滞・失速している理由もこれだと個人的には見ている。

もちろん、企業には変えてはならない核のような部分があり、横文字ではコアコンピタンスなんていっている。
コアコンピタンスが何かを見極める作業は重要だが、何もかも変わらないという選択肢はありえない。
しかしながら、国内のアパレル企業・アパレル業界の「変わりたくない」という姿勢はほとんど病的だと感じられる。ついでにいえば百貨店や大型スーパーも同じ轍を踏んでいる。

記憶に新しいところではZOZOTAWNが提供したWEARのバーコード読み取りサービスを業界の総力を挙げて廃止に追い込んだ。その結果、WEARは単なるコーディネイトアプリになってしまっている。
それでもそれなりの需要、ユーザーはあるが、それ以上の発展性は今のところない。

もっと古いところで行くと、ユニクロへのバッシングであり、これはいまだに続いており、20年近くもアホかいなと呆れ果てるほかない。
98年にユニクロのフリースブームがあった際には、低価格品への抵抗が随所で見られた。
何事も出始めには抵抗がつきものだから当然だろう。
それから18年が経過しているが、いまだに業界には「良い商品は相応の値段で売るべきだ」なんてことを言っている化石のような人がいる。

それは真理ではあるが、それをユニクロにいまだに言い続けたところで無意味である。
ユニクロはすでに自社のモデルを完成しており、高価格帯で売りたければファーストリテイリングはセオリーで売る。ユニクロが高価格帯品を販売する意味は全くない。

「良い物を相応の値段で売る」努力はユニクロに押し付けるべきではなく、自社・自ブランドの課題として取り組むのが正しい思考である。

そういえば、今でこそ、猫も杓子もアホの一つ覚えみたいに「EC化」とか「オムニチャネル」なんて口をそろえているが、10年前に洋服のネット通販なんて注目した企業やブランドはほとんどなく、名の通った大手や中堅はこぞって否定的だった。

80年代・90年代・2000年代的手法で2010年以降に洋服が売れないのだったら、

1、売っている商品自体を変える
2、売り方を変える
3、見せ方を変える
4、伝え方を変える

最低でもこのいずれか1つを実行しないことには、売れ行きが回復することはありえない。
場合によっては4つすべてを実行する必要があるだろう。

どれも変えずに売り上げだけを回復したいなんていうのは、それは単なるワガママでしかない。

例えば「伝え方」にしたところで、十年一日のごとく「うちはファッション雑誌だけで」なんて言っている化石のようなアパレルやブランドは世間が想像しているよりもはるかに多い。
化石だったら石油が取れて社会に貢献できるのだが、化石的アパレルからは大量の在庫と負債くらいしか出てこない。
ファッション雑誌がまるっきり無駄だとは言わないが、広く伝える手段ではなくなっている。
どちらかというと同好の士に向けたミニコミ的な存在である。

より大勢に広めたいなら現在なら、インスタグラムなどのSNSかもしれないし、経済雑誌かもしれないし、ウェブメディアかもしれない。

断っておくと、こじんまりと数人で食えるだけの金を稼げるのが目的なら変わる必要はない。
熱烈なファンを数百人くらい作ればそれでいい。

しかし、100億円だとか200億円だとかの売上高を回復させるためには、時流に合わせて変わるほかない。
売り上げ規模設定の問題であり、多くの大手・中堅アパレルは売上高の回復を目指している。だったらどこかを変えるという選択肢しかない。

「変化」を異様に嫌うようになった時点で国内のアパレル業界が凋落するのは当然の結末だったといえる。







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