南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年08月

アニメ・漫画がメインカルチャーでファッションはサブカル

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 早い物で今日で8月が終わる。
今年も残り4か月となり、早くも3分の2が終わった。
本当に歳月人を待たずである。
こんな感じであっという間に人は死に至るのだと思う。

長生きをしたいと思うほどリア充ではないから、適当なところでさっさと死ねれば楽になる。
痛そうだし苦しそうだから自殺しようとは思わないけど。

繊研新聞プラスに以前、「ファッションはサブカルか?」というコラムが掲載され、それの続きが先日掲載された。

http://www.senken.co.jp/column/eye/subcul0830/

で、まじめに答えると、すでにファッションはサブカルになっていると思っている。
サブカルとは何かというとサブカルチャーのことであり、サブだからメインのカルチャーではない。
ちょっとマニアックなジャンルの文化なんかを指して「サブカル」と呼ぶのが通常の使い方である。

20年位前まではアニメや漫画がサブカルと呼ばれていた。
いわゆる正規の文化ではなく、まともな大人が話題にするのもはばかられるという社会の風潮だった。
みんなそこそこ愛用しているのに、わけのわからないアングラ感があった。
それ以前の風当たりはもっと強かった。

さほど仲良くもない人に「好きな漫画は何ですか?」なんて尋ねることは「は?馬鹿じゃね?」というぐらいの対応をされるのが普通だった。

ところが今はどうか?
ファッション業界に属している人でもアニメや漫画についてはそこそこ詳しい人が多い。
筆者より上の世代でも多いし、筆者より下の世代ならそんな人が山ほどいる。

ワンピースやナルト、ドラゴンボール、ガンダム、ルパン3世、北斗の拳、ジブリあたりの話題が通じない人のほうが珍しいだろう。たいていの人はどれかにはひっかかる。
ファッション業界以外の人ならなおさらである。
結構共通の話題として座が盛り上がる。

逆にファッションの話題はどうか?

業界の人ならまだしも業界外の人と共有化できて盛り上がることなんてほとんどない。
せいぜい「バブル期は肩パット入ったスーツ着てましたよね」とか「ヘインズの3枚セットのTシャツってすぐに首回りが伸びましたよね」程度である。

「マルタン・マルジェラいいですよね」なんて話題は業界の人か同好の士くらいしか理解されない。
業界で話題となっているブランドなんて同好の士以外ではほとんど知名度がない。
一般大衆はファッションにそれほど興味を持っていないから話題にも上らないし、知識も蓄えない。

ファッションに詳しいということは恥ずかしいことではないが、称賛に価するものでもない。
言ってみれば「特殊な趣味」という程度だろうか。

茶器などの工芸品は高尚な趣味だとされているが、多くの人は別に興味を持っていない。
「まあ、高尚だし集めたければ集めれば?ぼくは興味ないけど」、だいたいそういう感じではないかと思う。
筆者が実際そうである。その価値はわかるが別に興味もないし深く心も揺さぶられない。
スーパー万代で特売のバナナを買い損ねるほうがよほど動揺する。

個人的には、多くの人はファッションに対しても同じように見ていると感じる。

こうなると20年前までのアニメ・漫画とファッションの立場は完全に入れ替わったといえる。
アニメ・漫画の話題のほうが多くの人とコミュニケーションが取れるし、場も盛り上がる。
ファッションは限られた業界人や趣味人としか話すことができない。

どちらがメインでどちらがサブかは一目瞭然である。

今はアニメ・漫画がメインカルチャーでファッションは完全なるサブカルチャーである。

相手を選ばずに話題にできるブランドはそれこそユニクロくらいではないか。
ヒートテックが暖かいとかそれほど暖かくないとか、今年のTシャツが細目シルエットになって窮屈だ(知らんがな、ダイエットしろよオッサン)とか、そんな感じでは多くの人と共通の話題にできる。

しかし、それ以外のブランドやトレンドの話は業界人か趣味人との間だけにとどめておいたほうが賢明だ。
経験上、こちらの言いたいことの3割も伝わらないから。
今季のトレンドなんて誰も気にしていないし、来シーズンのトレンド予測なんてもっと誰も興味を持っていない。

筆者は大学を卒業するまでオカンがイズミヤかジャスコで買ってきた1900円のトレーナーで過ごしていたから、そのころのファッションに関する社会の風潮はあまり知らないが、それでも多くの人は新しくオープンしたファッションビルや商業施設の話題をしていたように記憶している。
今、そんな話題があるだろうか?

商業施設自体は話題になるだろうが、その中でも飲食店だったり食料品だったりアミューズメント施設だったりそういうことが話題になることがほとんどではないか?

おっさんたる筆者が世間話をしたときに出てくる話題はだいたいそういう内容で、「あの商業施設には〇〇ブランドが入りましたよね、前から注目してたんですよ」なんていう話題は業界人からしか出てこない。
業界外の人の間は飲食店や食料品、アミューズメント施設についての話題がもっぱらである。

ファッションの話題は同好の士、趣味人、業界人としか共有できない。

つまりはファッションはサブカル中のサブカル、サブカルの王道を歩いているといっても過言ではないだろう。

じゃあ、ファッションが、今後、昔のようにメインカルチャーとして復活するか可能性があるかと尋ねられたら、筆者の答えはNOである。
その可能性はほとんどないだろう。
極限まで細分化されているファッションはすでに一般人にとって「相当にわかりにくいもの」になり果てており、今後、そういう細分化がさらに進むことはあってもその逆の状況になることは考えられないからだ。

メインカルチャーへの復活なんて無駄な努力はとっととやめて、開き直ってファッションはサブカルの立場を極めたらどうか。
業界人はサブカル従事者だと自負すればどうか。

まあ、そんなわけでサブカルとして驀進すればいいと思う。





アスレジャートレンドなのにスポーツ用品店が売れないのは当たり前

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 米国では、スポーツウェアをファッションに取り入れた「アスレジャー」に注目が集まっている。
わが国にもそのトレンドは流入しつつあり、ジョガーパンツやジョグジーンズのような商品がそれなりに動いている。
ユニクロが昨年からずっとジョガーパンツを継続していることからもわかるようにすでにマス層にも一定需要がある。

しかし、アメリカで言われるほどの大トレンドかというとそうでもないように感じる。
それこそ「アネロ」の口金リュックの方がよほどビッグトレンドではないか。

また、通常のスポーツカジュアルとアスレジャーの区別をすることも非常にむつかしい。
例えば綿100%のスエットパーカはもともとはスポーツアイテムとして区分される。しかし、もう何十年もの間、ベーシックなカジュアルウエアとして認識されてきた。
ベーシックなアメリカンカジュアルスタイルを挙げろということになるとかならずスエットパーカは挙げられる。

そしてこれを供給するのはスポーツメーカーだけではない。
通常のカジュアルブランドが市場に供給している。
むしろ、本格的なスポーツメーカーは綿100%のスエットパーカなんてほとんど作っていないし、作ったところでスポーツ色が強すぎて「ダサい」という評価を下される。

スニーカーにしてもそうで、スポーツアイテムだが、昔からベーシックなカジュアルアイテムの一つとして認識されている。今の世の中でスニーカーを「スポーツ専用アイテム」ととらえている人のほうが少ないだろう。

この辺りを指して、ことさら「アスレジャーだ」と指摘するのはどうも違うのではないかという気がする。

アメリカで言われる「アスレジャー」はもう少し本格的なスポーツウェアを日常着として取り入れているような気がする。もっと競技用に近い合繊100%で原色バリバリの、Tシャツだとかレギンスだとかナイロンパーカとかそういうものではないかというイメージがある。

しかし、これとても体育教師が常に着用しているようなジャージパンツを四六時中愛用するオッサンとかジイさん・バアさんというのは何十年も前から存在したわけで、彼らをアスレジャーだと指摘する人はいない。
むしろ今も昔も「ダサい人」として認識されている。

スポーツ用品の「ヒマラヤ」が赤字転落している。
これはすでに多くの媒体で報じられている。
東洋経済オンラインにも詳細に報じられている。

ヒマラヤ、過去最多13店舗を「閉鎖」する事情
スキー人気低下、ファッション性でも出遅れ
http://toyokeizai.net/articles/-/133438

2015年秋冬が暖冬でスキー・スノボ用品を得意とするヒマラヤは苦戦を強いられた。
これはその通りだろう。
ちなみにじゃあ、スキー・スノボ用品の市場規模はどうなっているのかというと、

「レジャー白書2013」によると、98年にスキー・スノボ人口は1800万人に達してピークを記録したが、2013年には770万人にまで低下しているという。
しかし、2012年・2013年は横ばい推移だともしている。

また「スポーツ産業年鑑」(株式会社日本能率協会総合研究所)によるとスキー・スノボ用品の市場規模は91年の4300億円がピークで、2012年には1100億円にまで低下しているともある。

91年のピークはバブル期とスキー人気の重なりで、スキー人気はバブル崩壊とともに崩れた。
じゃあ人口が98年にピークになった理由はなぜかというと、これはスキーに代わってスノボが若者に人気となったからだろう。ちょうど90年代半ばからスノボが注目され始める。
だが、その後、スノボ人気も低下して今に至る。

直近の動向はどうなっているのかというと、矢野経済研究所によると、2015年のスノー・スノボ用品の市場規模は前年比95.5%の496億7,000万円だとある。先にあげた1100億円とは大きく数字が異なるが、おそらく統計に含める品目などに差があるために、合計金額にも大きな差が生じたのではないかと推測されるが、ここで重要なのは2015年度の市場規模は減少しているという点である。

こういう背景を踏まえるとスキー・スノボを得意とするヒマラヤの業績が低迷することは何の不思議もない。
むしろ低迷しないほうが不思議である。

最近の東洋経済オンラインの企業分析記事は的確なものが多いが、ヒマラヤの苦戦について「アスレジャーのトレンドに乗れなかった」と指摘している点は少し疑問である。

その理由を3つ挙げる。

1、アスレジャーはトレンドの要素ではあるが、どこまでをアスレジャーに含めるかその境界線が難しい
2、ヒマラヤに限らずスポーツ用品店は、ファッショントレンド品の買い場として消費者に認識されていない
3、アスレジャーというファッション自体が曖昧で明確な境界線がない


この3つであり、ヒマラヤを筆頭とするスポーツ用品店がファッショントレンド客を取り込めるはずがない。
ヒマラヤもムラサキスポーツもアルペンもゼビオも消費者はファッション用品を買う店とは認識していない。
本格的なスポーツ用品を買う店としてしか認識していない。

アスレジャーがトレンドだからスポーツ用品店が売れるなら、地方の駅前にあるような個人経営のスポーツ用品店だって売れなければおかしい。
ところが、オッサン・オバハンが一人でやってるような5坪・10坪の個人経営のスポーツ用品店は衰退の一途をたどっている。ファッション用品店としては論外だし、スポーツ用品店としてもゼビオやアルペンやヒマラヤの足元にも及ばない。

そしてそのゼビオやアルペンやヒマラヤも一般消費者はファッション用品店としてはまったく認識していない。

だからいくらアスレジャーがトレンドに浮上してもスポーツ用品店はその恩恵を被ることはない。

そしてスポーツ用品店にはファッショントレンド品を売るノウハウ・見せるノウハウはまったくない。
いくらトレンドにスポーツテイストが浮上しようと既存の経営陣とスタッフではそれに対応することは不可能なのである。

しかもその「アスレジャー」というトレンドそのものが意外にボンヤリとしていてカテゴリーが明確ではない。
曖昧模糊としたイメージにはなおさらスポーツ用品店は対応できない。

だからヒマラヤがアスレジャートレンドに乗れないのは当然だといえる。

メディアの指摘にはときどき疑問を感じるのだが、例えば「ファッショントレンドにジーンズが浮上しているのに、ジーンズチェーン店の業績が伸びないのはなぜか」というような指摘があるが、それはジーンズチェーン店がトレンドを買う店だと認識されていないからである。
同じジーンズを扱っていても、ジーンズチェーン店の多くは「ファッション」として認識されていない。
「ファッショントレンドとしてのジーンズ」を買う店は別なのである。

ヒマラヤとアスレジャーの関係もこれと同じである。

ここを理解しないとせっかくの的確な分析も画竜点睛を欠くということになってしまう。

もし、スーツがファッショントレンドに浮上しても「洋服の青山」や「紳士服のはるやま」「AOKI」で買う人はそれほどいない。
ファッショントレンドとしてのスーツを買う店は別なのである。

とはいえ、自称ファッション店wwwが「うちはトレンドだから」とか「うちは高感度だから」という一々気取っているのも癪に障るのだが。(笑)











高額インポートブランドの売り上げが大幅に伸びることは今後もない

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 矢野経済研究所の統計をもとに、こんな記事が掲載された。
市場動向の分析としては的確で冷静だといえる。

2015年の国内インポートブランド市場規模は2兆3000億円超
https://www.wwdjapan.com/business/2016/08/26/00021366.html

矢野経済研究所が発表した2015年の国内インポートブランド市場の調査によると、同市場の規模は前年比107.6%の2兆3664億円(小売金額ベース)だった。

とある。
5年連続のプラス成長だそうで、その要因はインバウンド需要だとする。
しかし、

一方、衣料品・服飾雑貨品に限ると、前年よりも大きな伸長が予想されていたにも関わらず、同102.6%の1兆2866億円にとどまり、価格の値上げによる中間層の消費減退の深刻さを印象付けた。

とのことであり、これについては半分は正しくて半分は正しくないように感じる。
たしかに中間層の収入が減少し、下層化しつつあるのは事実だと思う。
しかし、それ以上にインポートブランドへの欲求が多くの人々から減っているのではないかと思う。

インポートブランドのほとんどは高額ゾーンから上に位置する。
高額ブランドやラグジュアリーブランドと呼ばれるのがほとんどである。
そういうものへのニーズが可処分所得の高低にかかわらず薄れているのではないかと思う。
とくに40代以下はそうではないか。

現代の20代、30代、40代で「収入が増えたら高額インポートブランドの服を買いたい」と強く思っている人がどれだけいるだろうか。
20年前には売春をしてラグジュアリーブランドのバッグを買う女子高生が多数出現したが、そういう人は今はあまりいない。
LVの刻印があるン十万円もするようなバッグを分不相応にほしがる人はほとんどいないのではないか。

「若者のおしゃれ離れ」は本当に起こっているのか
http://diamond.jp/articles/-/99973

ここではそのことに触れられている。

「シャネルやルイ・ヴィトンといった、特定の高級ブランドにこだわりはない。ネットでいろいろなブランドの品物を比較できるので、その中でデザイン的に気に入ったものを注文する」(25歳女性)

「婚活パーティーなど特定のTPOに合わせて使うことがあるが、決して『高級ブランドのアイテム=洗練されたスタイル』とは思っていない」(29歳女性)

といった具合で、高級ブランドへのわけのわからない憧れがなくなったことが指摘されており、それは正しいと感じる。

筆者は46歳の初老のオッサンだが、今後いくら金持ちになってもそういうラグジュアリーブランドのほしいとは思わない。時計も靴も興味がない。
服も時計も靴もそこそこの価格のもので十分である。
デザインも悪くないし、品質も悪くない。

そしていくら「一生物」とはいえ、トレンドは移り変わるので、その高額品が「時代遅れ」になってしまうことは必ずある。そうした場合、ン十万円の大枚をはたいていれば泣くに泣けない。
リフォームすれば良いのだが、それを持ち込むの面倒な話である。

だったらそこそこに安い物をトレンドや気分に応じて使い捨てたほうが効率的である。

おそらく同じように考える人が増えているのではないかと感じる。

毎日の昼食を500円くらいに抑えている人間が無理をしてLVのバッグを買ったって滑稽なだけではないか。
それにそのバッグ以外の服や靴は安物なのだからつり合いが取れていない。
見るからに「私は無理をして切り詰めてまでバッグを買いました」と宣言しているようなものである。

ちなみにインバウンド特需が終わった2016年度の見通しは

16年の同市場規模は同91.5%の2兆1649億円と、一転して大幅な減少が予測される。

とのことである。

まあ、妥当な見通しだろう。

個人的に高額インポートブランドがさほど売れなくなったことは我が国の社会の成熟化ではないかと感じる。
毎日の昼食を290円に切り詰めてLVやらシャネルのバッグを買ってもそれが「すごいこと」とは思わない。
それなら毎日800円の昼食を食べられたほうが良いのではないか。

そしてファッショニスタwwwwやイシキタカイ系が大好きな欧米はそういう社会である。
貧民が無理をしてまでラグジュアリーブランドを買わない。
あれは金持ちが買うためのブランドである。

そういう意味では日本の社会も欧米に近づいているといえ、ファッショニスタwwやイシキタカイ系は喜ぶべきではないか。

今後、我が国の景気がどれほど好転しようと、かつてのように無理をしてまで高額インポートブランドを買い漁るような時代は二度と来ないだろう。











2か月間で400枚弱売れたナイクロのTシャツをどう評価する?

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 山の日にこんな報告があった。

脇汗MAX!?9oclockが開始2ヶ月で400枚届かず…
http://katorimasahiro.hatenablog.jp/entry/2016/08/11/152352


6月6日からオンライン通販のみでスタートした国産Tシャツブランド「ナインオクロック」が2か月間で400枚弱売れたという報告である。

定価は税抜きで3500円。

実際のところは360~390枚くらいの販売量だったのではないかと思うが、この結果についてはどう思われるだろうか?

事業主の香取正博さんは、ビッグウェーブに乗ろうとしておられるようなのでこの販売量は予想を下回るとしていささか意気消沈している様子だが、個人的にはよく売れたほうではないかという評価を下している。

業界の人々はどんな評価だろうか?

東京に出張した際にも何人かに評価を尋ねてみたが、ほぼ全員が「無名のブランドが2か月で400枚弱売れるというのはなかなかの快挙ですよ」とおっしゃっていたが、筆者もそう思う。

しかし、この程度で満足していてはビッグウェーブになど乗ることは不可能なので、今後も引き続き頑張ってもらいたいと思う。

初月度はだいたい190枚くらい売れたと報告を受けており、次月度もほぼ同じペースで売れたと推測できる。
次月度も勢いが衰えなかったのは、一部の近隣(岩手県内)の専門店への卸売りが始まったからではないだろうか。
店頭販売価格は同じ3500円(税抜き)なので、香取さんに入る利益は極めて薄いと思われるが、生産ロットを増やせるというメリットはある。デメリットだけではない。
利益が薄いなら多売するという手もあるが、その専門店ではこのTシャツが10日間で50枚売れたという報告もある。

ブランド価値とは何だろう?タグ無しのTシャツが実店舗で10日で50枚以上売れた
http://katorimasahiro.hatenablog.jp/entry/2016/07/26/164109


これだけでも50枚の販売量は確保できているわけであり、総売り上げ枚数を押し上げていることは容易に想像できる。

話は横道にそれるが、無名の3500円もする無地のTシャツを10日間で50枚も売るというのはすごいことではないだろうか。1日平均5枚売っている。
それこそ販売員の力ではないか。
大手のチェーン店や有名店では在庫処分のために押し売りをすると聞くこともあるが、地域専門店の場合、そんな阿漕な商売をしたなら、すぐさま閉店せざるを得ない。

実質的に丁寧に接客をした結果ではないかとと考えられる。

個人的にはアホな販売員よりは自動販売機やペッパーくんの方がよほど販売力があると思っているが、プロとしての販売員となるとやっぱり売る力がすごい。
販売員をチョロっとかじった程度の筆者ならこのTシャツを10日間で50枚も売る自信はない。
しかも東京とか大阪の都心ではなく、岩手県の久慈市という田舎で。

店を訪ねたことも販売員にお会いしたこともないが、販売力がすさまじいと感じる。

こういう販売員が増えれば洋服は今よりは売れるようになるのではないかと思うが、養成するのはなかなか難しい。
だからこそTopseller.Style( http://topseller.style/ ) へ、などと書けば、どこかの感動系セミナーの勧誘とか、どこかの有料ファッションメルマガの勧誘みたいになってしまうのであえて言わない。(笑)

それはさておき

販売量が予想より下回った要因は欠品だという。
初回にけっこうな数量を作りこんだはずだが、売れ行きが予想できないことから、おそらくどの色もメリハリをあまりつけずにほぼフラットな枚数を発注していたのだと勝手に推測する。

その結果、人気の集中した色が欠品したということだろう。

黒のVネックの人気が高く欠品したのだというが、筆者からすると黒のVネックTシャツなんてもっとも売れるから初回にもっと作っておいてもよかったのではないかと思うが、事業主は黒のVネックを着ないため、そこまで発注しなかったようだ。
事業主はお会いしても画像でもだいたい白Tシャツをユニフォームのように着ているから、おそらくそういう発想になったのだろう。

自分の好みと売れ筋は異なるのである。
業界人ならこれは常識だろう。

昔、それこそユニフォームのようにグレーの長袖Tシャツと、腿にゆとりがあって足先がピタッとしていたジョッパーズパンツのようなパンツばかり着用していたアパレル社長がおられたが、彼はレディース向けにトレンドアイテムを的確に発売していた。間違ってもジョッパーズパンツなんていうのは一度も発売していない。

それが業界人としての正しい姿勢だろうと思う。

そんなナインオクロックの補充生産分がようやく出来上がったそうだ。
それでもまだショート気味だという。

なかなか補充生産分が出来上がらなかった理由を事業主はこう説明している。

小ロット生産なので、工場の大ロット生産の隙間で少しずつ作ってもらったから。

とのことだが、洋服の製造というのはこれが現実なのである。

大ロット生産が安定的に流れていて、その隙間に小ロット生産を押し込む。
だから、大ロット生産がなくなれば多くの縫製工場は倒産してしまう。
大ロット生産があるからこそ小ロット生産を受け入れてもらえるのであり、それが不満ならサンプル縫製工場のような小ロット専門の工場を探し当てるしかない。

縫製工場の仕組みを知らないイシキタカイ系の小ロットブランドは「どうしてうちを後回しにするのか?」と不満をぶちまけることがあるが、それは彼らの生産数量が少ないからで、後回しにされたくなければ大ロットの数量を発注すれば良いのである。一枚当たりの製造コストも下がるので、店頭販売価格も引き下げられるだろう。
店頭販売価格を引き下げない場合は利益率が高まるだろう。

良いことづくめなので資金調達して大ロット生産の仕組みづくりをやってみてはどうか。
銀行は金を貸したくてウズウズしているはずだ。

ただし、大ロットで生産した場合、それを売り切るだけの販売力が求められる。
そうでなければ山のような在庫を抱えて破産せざるを得ない。

相手を変えることは不可能なので、自分が変わるほかない。
資金調達して大ロットブランドにするか、極小ロットで生産している工場を探しあてるかのどちらかしかない。









「アネロ」の口金リュックが大ヒットして「アネ被り」現象に

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 久しぶりの大ヒット商品が登場してその躍進ぶりの一端が報道された。

「アネロ」というバッグブランドが大ヒット中で、とくにゴールドのファスナーが使われたリュックの人気が高い。

リュック「アネロ」ヒットで売上倍増
http://www.senken.co.jp/news/corporation/carrotcompany-anello-160823/

バッグ製造卸のキャロットカンパニー(大阪)は、ユニセックスバッグ「アネロ」がリードし、16年6月期の売上高が前期比倍増の88億円となった。今期はブランディングを強化するとともに海外事業部を立ち上げ、業績を拡大する。

 アネロは、ヒット商品の口金リュックが14年12月に投入して以来、出荷数で200万本を超える。アパレルや雑貨のチェーン店を中心に売れ続け、SNS(交流サイト)利用者の口コミで東南アジア圏にもファンを広げている。また、アネロの人気がレディスバッグ「レガートラルゴ」や小物雑貨「パケ・カドー」の売れ行きに波及し、商品単価も底上げした。

とある。

筆者がこのバッグの人気に気が付いたのは、今年の春先である。
以前にも書いたようにAmazonで防水リュックを探していたときにやたらとAmazon内で出てきたからである。
で、特徴は口金リュックとあるように、リュックの入れ口のファスナーがゴールドなのである。





で、それを頭にインプットして繁華街を歩けば必ず数人はこのリュックを背負った女性を見かけることに気が付いた。
大阪でいえば、心斎橋筋商店街、梅田、天神橋筋商店街あたりを歩くと口金リュックを背負った女性を必ず数人は見かける。

記事中にもあるように、この「アネロ」というブランドは大阪のキャロットカンパニーという会社が企画製造しており、このバッグの大ヒットのおかげもあって、売上高が倍増で88億円に達したという。倍増で88億円ということは昨年の売上高は44億円だったということになる。
たった1年で44億円の売上高が88億円になったのはすごいヒットぶりといえる。

ジーユーのガウチョパンツが昨年100万本売れたと報道されたが、色・柄が様々ある上に「アイコン」となるような特徴がない。いわゆるそれとわかるブランドタグだとか革パッチだとかそういうものがない。
だからどれがジーユーのガウチョパンツなのかさっぱりわからない。
ジーユーはそういう主張は一切しないので、例えば、襟裏のラベルにさえブランド名は書かれておらずサイズ表記のみに留まる。
しかも商品の色・柄・デザインに無印良品ほどの特徴もなく、いわばパーツに徹している。

アネロは逆にゴールドのファスナーというアイコンが存在するから、このブランドの存在を知っている人にはすぐにわかる。

一時期の「ユニ被り」に匹敵するほどの所有率の高さで、「アネ被り」現象とでも名付ければ良いだろう。

大ヒットの要因について、筆者のネット友達数人から様々な要因が指摘されている。

1、価格が割合に安い
2、転売目的を疑われる外国人が大量に購入している
3、東南アジアでも大人気(記事中でも言及されている)
4、収容量が多くて便利なうえにエイジレスなデザインで持つ人を選ばない

ざっとこんなところである。

Amazonで「アネロ」の商品を検索するとかなり品番が多い。
そのどれを見てもそんなに高くない。
2000~6000円台の価格幅であり、フリーターでも買える価格帯である。
バッグでこの価格なら低価格に属するだろう。

その割にデザインセンスが悪くない。

大ヒットのリュックで見てみると、低価格でデザインセンスも悪くない上に、大容量で機能的である。さらに持つ人を選ばないエイジレスなデザインなので、売れるべくして売れたといえるだろう。

たった2年弱で200万本を出荷しているから相当な勢いで売れている。
平均すると1年で100万本強の出荷量ということになる。

洋服の場合、10万枚の販売量を越えると「○○被り」が出てくるといわれているが、1年で100万本以上も出荷したなら当然「アネ被り」が現れてもおかしくない。

売れた要素を考えると、価格が安くて機能的でデザインも悪くなく、持つ人を選ばないから日本人だけでなくインバウンド需要もかなり取り込めたということだろう。

記事ではキャロットカンパニーは今期、海外販売を強化すると書いてあるが、これまではおそらくあまり海外向けには販売していなかったのだろう。
海外ではほとんど見かけないからこそ、観光に来た外国人が大量に買うという現象が起きた側面もあるのではないか。

現地では手に入らない珍しい物をお土産として買ったというわけだ。
これが高額品なら少ししか買えないが、それほど高くないからまとめ買いができる。
しかもゴールドのファスナーというワンポイントアクセントがあってわかりやすい反面、他の部分のデザインはエイジレスで持つ人を選ばないから、それこそお土産にも適しているし、海外での転売もしやすかったのではないか。

昔の日本人が低価格のオールドネイビーの洋服を安く買いこんできて、そこに利益を乗せて国内で転売したのと同じではないか。

それにしても大ヒット商品になるための条件は「価格」という要素は強いと感じる。
このリュックが2万円とか3万円だったらここまで売れなかっただろう。
もちろんそういう市場に向けて、一定量をキチっと販売して利益を確保するというビジネスもあってしかるべきだが、100万本を越える大ヒットを狙えるのはそれなりの低価格でないと難しい。

3万円台のジーンズが飛ぶように売れた2005年という時代があったが、そういう風潮が支配する時代は日本にはもう二度と来ないだろう。









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