南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年05月

バナリパの縮小とオールドネイビーの撤退は何の不思議もない

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 先日、オールドネイビーの日本撤退とバナナリパブリックの不採算店閉鎖が発表された。
この2ブランドはGAP傘下のブランドである。

米ギャップが「オールドネイビー」日本の全店閉鎖、「バナナ・リパブリック」も縮小へ
http://www.fashionsnap.com/news/2016-05-20/oldnavy-gap-close/

米ギャップは5月19日、「オールドネイビー」の成長を見通して最も有利な市場にフォーカスし、北米と中国に資源をシフトさせる戦略を発表。2012年に初上陸してから日本国内で展開している全53店舗を、2017年1月の会計年度末までに閉店する。

更に「バナナ・リパブリック」は全世界で不採算店舗の閉鎖を進め、今年度中に両ブランド計75店舗を閉める。
【追加情報】米ギャップは、今後の日本市場について「Gap」と「Banana Republic」の投資に焦点を絞ると発表。

とのことだ。

これについては専門家諸氏がそれぞれ指摘されている通りである。

身の回りの人から聞いていると、オールドネイビーは子供服の評価が高いようだ。
本体のGAPとは異なるテイストでしかも低価格なので愛用してた若い夫婦が多い。

しかし、全体的な印象でいうとオールドネイビーはGAPとの区別がつきにくい。
アイテムバリエーションの少ないメンズなんてそれが顕著だ。

もともと、GAPよりも低価格のブランドとして北米ではオールドネイビーは展開されていた。
ところが、日本では本体のGAPが先に上陸しただけでなく、価格面でも最終処分値が恐ろしい低価格まで投げ売りされていたことから、個人的には「オールドネイビーが進出する理由が見当たらない」と感じていた。

GAPは日本では元値設定が高すぎておかしいと思うのだが、たくさんの数量を店頭投入して売り減らすというスタイルなので、ほとんどのアイテムはあまり期間を置かずに半額に値下げされる。
GAPの商品はこの半額に値下げされた価格が適正価格だと感じるのだが、これでも売れ残った場合は、さらに値下げされ、最終的にはだいたい1900円とか990円になる。
ひどい場合はその価格からさらにレジで半額に下がったりもする。

筆者はいつも1900円とか990円になってからしか買ったことがない。
GAPで買った最高値の商品は2900円である。

バナナリパブリックも同様に投げ売りをする。
だいたいが最終的には70%オフくらいになるし、さらにレジにて20%オフとか25%オフとかされることもある。
昨年夏に半袖Tシャツを買ったが、それは800円くらいまで値下がりしていた。
それ以前に綿のカーディガンを買ったこともあるがそれは2000円くらいまで値下がりしていた。

個人的にはこの2ブランドの投げ売り品を買うので、オールドネイビーに興味を持てなかったし、いまだに買ったこともない。

本来は

中価格でアメカジのGAP
低価格でアメカジのオールドネイビー
GAP以上の価格でコンテンポラリーカジュアルのバナナリパブリック

というのが戦略だったのだろうが、日本市場だけで見ると、GAPもバナナリパブリックもひどい投げ売りを行うので低価格ブランドであるオールドネイビーを上陸させる必要性がまるで見当たらなかった。

そんな中で4年前にオールドネイビーを上陸させたが、タイミングが遅すぎたのではないだろうか。
H&M、フォーエバー21、しまむら、ジーユーで低価格耐性ができた上に10年間以上もGAPの投げ売りに親しんだ日本人にとってはオールドネイビーの定価は「驚くべき低価格」とは映らなかった。
あくまでも「普通の低価格」である。

53店舗まで広げたがこれ以上爆発的に広がる要素も需要もなかったと個人的には見ている。

また縮小するバナナリパブリックだが、これも当然かなという意見しかない。
関西にも何店舗かあるが、この店がにぎわっているのを見たことがない。
一昨年ぐらいから業界内では「撤退する」とか「縮小する」といううわさが飛び交っていたが、まったく不思議には思わなかった。
むしろ、昨年「上陸10周年祭」を行っていたことのほうが不思議だった。
あれ?撤退するのに上陸祭なんてやってて良いのかな?と思ったほどである。

そういえば10年前に上陸したときに奇異な感じがした。
日本でのバナナリパブリック人気のピークは25年ほど前ではないかと思う。
筆者が大学生のころ、ちょっとイケてる(当時こういう言い方はなかった)学生がTシャツなんかを着ていた記憶がある。
筆者はイケてない大学生だったから、イズミヤかジャスコでオカンが買ってきた1900円のトレーナーかTシャツしか着ていなかったのだが。

あの当時のバナリパはアメカジテイストが濃厚で、そういうイメージが残っていたので今のコンテンポラリーテイストを見たときにはちょっと驚いた。
GAPに買収されてから顧客層が被らないようにテイストを変更したということである。

しかし、今のバナリパのテイストと価格帯では日本の若者は買わない。
30代・40代・50代はバナリパのブランド名をしっかりと覚えているが、この年代がバナリパに求めているのは今のコンテンポラリースタイルではなく、当時のアメカジ・リゾートカジュアルテイストである。

こうなると若い層からも中年層からも支持されなくなる。

やっぱりグローバルブランドといえども様々な意味でローカライズできないとその国の市場では残っていけない。

3年位前からGAPで買うことが減ってきた。
以前投げ売り品を買っていたのは、デザイン面もそうだが、品質的にも投げ売り価格なら価値があったからだ。
3年位前からデザイン面もそうだが、使用素材や縫製の品質も低下していると感じるので、投げ売りでも価値を見出せない。

その上、高すぎる定価設定は変わっていない。

果たしてこれで大丈夫なのかと他人事ながら心配になる。
GAP本体の日本での縮小も今後十分あり得るのではないかと見ている。









繊維製品における日本製の強みとは?

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 先日、素材関係のある会社の人と話した。
この会社はすでに海外にも営業所を複数進出させている。

近頃、「メイドインジャパン」「日本製」「クールジャパン」を売り出そうとする機運が強まっている。
国威発揚は基本的には賛成だし、自虐の100倍以上マシだと思っている。

生地、製品での繊維製品における「日本製」の長所・利点というのは何だろうか?
それはいまいち曖昧模糊としているのではないかと感じる。

一般的には「高品質」を掲げるケースが多いのだが、ここでいう「高品質」とは物性的なものと仮定すると、実際のところは中国製のほうが「高品質」である場合も増えてきた。
もちろん、いまだに高品質を誇る商品や企業はあるが、そうではないケースがこの10年で増えたという印象である。

例えば縫製でも、高品質な縫製工場もあるが他方ではかなり粗雑な工場も目に付く。
指示通りにサンプル品が上がってくるかどうかでいうと、アパレルやブランドからは「中国工場のほうが指示通りに上がってくる。国内工場はやりにくい」という声もある。

裏地が破れて仕上がってきたブランドもある。

ニットにしてもそうだ。
手編みニットなんていう製品は国内ではほとんど生産不可能になっている。
店頭に並ぶ手編みニットのほとんどは中国製か海外製(とくにアジア地区)である。

専門家の中には「旧型の機械設備を使い続けている国内工場に比べて、中国やアジア地区の工場は最新の機械設備がそろっている」と指摘する人もいる。
機械設備の差は以前からもあったが、それを工員の技術でカバーしてきた。しかし、海外工場の工員が熟練するのに対して、国内の工員の多くは高齢化しており、年数が経てば経つほど老化による衰えが顕著になるという状況もある。

そういうわけで「高品質」というのが日本製の最大の売りになるとは個人的には思えないし、今後、年数が経てば経つほど日本製は「高品質」ではなくなるのではないかとも思える。
クールなジャパンの組織がやっていることはなんだかピントがズレていると感じる。

一方、「日本製」の利点や長所はいまいち曖昧模糊としながらも、良い意味でのブランドイメージがあるらしく、今、中国国内では「日本製」衣料が需要を伸ばしているとも聞く。ただし、それは現地の中国人がMDやら企画内容やらをローカライズさせたものに限られるようだが。

そういう意味においては、「日本製」ブランドのイメージは良いといえるし、良いイメージのまま確立できる可能性も十分にあるのではないかとも思える。

このあたりの意見はその素材関係の会社の人とほぼ同じだった。

この素材関係の会社の人は、日本製の利点・長所を「アフターフォローの誠実さ」にあるのではないかと自社も含めて分析していた。
海外の営業所で活動していると、価格競争では日本製は太刀打ちできないという。
現地の素材はもっと安い。

いわゆる「品質」が高いかというと上に書いたような理由で、一概にそうともいえない。

それでもその会社がある程度の売上高を稼げるようになった理由は「アフターフォローを評価された」からだという。
トラブルが起きた際、日本企業はかなり誠実に対応するが、海外企業は売りっぱなしという場合が多いようだ。
そこを評価されて全面的に契約に結び付いた例もあるそうだ。


このあたりを再度きちんと考えずに根拠なき「日本の物作り神話」を構築するのは危険ではないかと思う。
自虐に陥り卑下する必要は微塵もないが、冷静に強みを分析して、それを育成することを考えないと夢想や空想や妄信だけでなんとかなるほど現実世界は甘くない。
夢想や空想や妄信だけでクールなジャパンを売り続けるほうが我が国の価値を棄損するのではないか。












ブログのアクセス数を増やすコツとは?

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 自社発信のツールとしてブログが有効だとされている。
しかし、その一方で自社発信の役割をきちんと果たせているブログはそう多くない。

もちろん、何も書かないよりは書いたほうが良い。
ネタがなかったら「今日は昼飯にカレーを食いました」でも構わない。

でも「今日は昼飯にカレーを食いました」という一行だけのブログを誰がわざわざ読みたいと思うのか。
書いた人が超有名な芸能人やスポーツ選手ならそれでも多くの読者がつくだろう。
彼らが日ごろどんなものを食べているのか知りたいという人は数多くいるからだ。

けれどもそこら辺のおっさんの昼飯なんて知りたいと思う人がどれほどいるだろうか。
隣の家の親爺が何を食ってようがどうでもよい。興味の対象外である。

これが趣味のブログならそれでも良いが、自社発信のツールとしてブログを使うのであればある程度の読者を獲得しないと意味がない。
そのためには、いくつかのフォーマットが存在すると考えている。

1、なるべく本業について書くこと

2、本業ならではのお役立ち情報を書くこと

3、ネタがなかったら今日の昼飯でも夕飯でも構わないが、利用した店をみんなに紹介するつもりで書く



最低限はこの3つだろうか。

例えば洋服ブランドの経営者なのに毎日、今日の夕食とか趣味の釣りの話ばかりだとそんなブログは誰も読んでくれない。しかもそれが一行や二行くらいの感想ならさらに読まれない。

やっぱり自社発信の一環として書くならメインは本業について書くべきである。

つぎにお役立ち情報だが、自社や業界では常識でも広く一般的には知られていない事柄はたくさんある。
例えば、「カシミヤニットは水洗いできる」とか「デニム生地が色落ちする理由」とかである。
同業者からすれば、当たり前のことだが、それを知らないという人はたくさんいる。
そういう人に向けて書くことで自社なりブランドなりのファンが増える。

こういうことを説明すると「同業者から笑われるから書きたくない」という人がたくさんいる。
しかし、あなたのそのブランドの顧客は同業者か?
同業者に自社製品を買ってもらっているのか?

これが答えである。

最後は書き方の問題である。
「今日は〇〇でカレーを食べました」という文章なんて何の面白みもない。
他人がわざわざ読む必要がない。

しかし、その「〇〇」という店をなぜ愛用するのかとか、その〇〇のカレーのどこが好きなのかとかそういうことを書いたなら読む価値がある。

ブログについてのブログでちょっと面白かったエントリーがあった。

ブログのアクセス数なんて気にすることない!と言われても気になりますよね~アクセスアップのために!
http://ameblo.jp/reuse-fashion/entry-12161519545.html

ここでは仲良しのアクセサリーメーカーの社長さんからブログについて相談されたことが書かれている。

試しにこのアクセサリーメーカーの社長さんのブログも1本か2本読んでみた。
文字数としてはそこそこに多い。決して一行二行の文章ではない。

でも個人の趣味の日記みたいなエントリーが多い。
自社の発信ツールとしての内容としてはどうだろうか?

詳しくは本文を読んでいただければわかるが、2年間書いておられて1日のアクセス数は8だそうである。
多いときで26。

読んでいる人はこの社長さんの数人の仲良しさんだけではないかと推測できる。

ブログ主による指摘はこれだ。

1.誰が書いているのかわからない

2.タイトルがくそ興味がわかない

3.誰に書いているのか(誰に読んでもらいたいのか?)

1についてはこう指摘している。

平手さんは「会社のホームページから社長ブログで飛べるので社長の僕が書いているとわかるよ。」といっていましたが、私は平手さんに興味はあるけどミレーヌの社長には興味がありません。私は知ってますが平手さんがミレーヌの社長だってことを知らない人も多いんじゃないかな。だから写真やプロフィール、ブログのメインタイトルにも個を出したほうがいいと思います。

である。
逆にミレーヌという会社に興味のある人だっているだろう。
となると、個人の日記みたいなエントリーばかりではそういう読者も獲得することができない。
アクセサリーについてのお役立ち情報とか会社経営についての考え方みたいなことをもっと書かれたほうが良いのではないかとも思う。
とりあえず、書いている人が何者なのかをもっとわかりやすく明記すべきという意見は賛成である。

2について

例えば、下から3つ目の「物流センターの引越し」どうですか?ブログが読みたくなりますか?あ~ブログ読みてぇ~!ってなりますか?

ならないですよね。平手さんのところの物流センターが引っ越そうが全く興味ありませんから。でもタイトルをこう変えてみたらどうでしょうか?

「物流センターの引越しが社員研修になった!その秘密は?」

今回の物流センターの引越しは社長である平手さんはほとんど関わらず、社員達が率先してやったことが書いてありました。素晴らしいですよね。でもタイトルからはそんなことはわかりません。モッタイナイですよ~

である。
これについて補足すると、ウェブニュースも「タイトルのつけ方が重要」なのである。
WWDのウェブ担当はこう言い切っていた。
紙のメディアと違って、ウェブはタイトルを見ていかに興味を惹くかが勝負になるから、タイトルはかなり直截的につけるほうが良いそうである。

例えば「〇〇が中期経営計画を発表」というタイトルよりも「〇〇が新ブランド立ち上げを軸とした経営再建案を発表」としたほうが記事へのアクセス数が増えやすい。

タイトルが具体的、直截的だから読者の興味を惹きやすい。

「物流センターの引越し」と言われたところで、ミレーヌの物流センターの引越しについて「すごく知りたい」と思う人がどれほどいるのだろうか。自分とかかわりのない会社だったら「勝手に引越しでもなんでもしてろよ」というのが多くの人に共通する感想ではないか。

3については

ブログを書く時に特定の人を思い浮かべてその人に向けて書くといいですよ。今日の私は 平手さんに向けて書いています(笑)

であり、相手が毎日変わっても問題がない。
自社の社員に向けて書いても良いし、自社の顧客に向けて書いても良い。
すごく仲良しの業界紙記者に向けて書いても良い。

ただ漫然と相手も思い浮かべず、引越しのことや事故のことなんて書いても誰も興味を持たない。

先日もあるレディースアパレルの人とブログについて話したが、そのブランドはかなりパターン(型紙)に工夫を凝らしているそうである。
だったらそれを書いたほうが良いのではないか。

たとえば、「ゆったりとしながらも細身に見えるように肩の部分のパターンづくりを工夫しました」とか、「ウエストを高めにわざと持ってきて、全般的にスリムに見えるようにしていますが、実際のサイズはワイドパンツ並みです」とかいうようなことを書くべきではないか。

これも立派に「お役立ち情報」である。

それにして、2年間書いてきて1日のアクセス数8という少なさはかなりすごい。
けっこう心が折れそうな数字だが、折れずに書き続けられているというところもすごい。
この心の強さだけは筆者も含めて見習わねばならないだろう。









東京テキスタイル・マルシェの概要

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 東京テキスタイル・マルシェの概要
 今日は告知を一つ。

1年ぶりに東京でテキスタイル・マルシェを開催することが決まった。

産地企業による生地の切り売り販売会で、なんだかんだと言って開始してから6年になる。
今回の出店は14社。ラインナップは以下の通りである。

荒井(福井)薄地シルク

はらっぱ(福島)会津木綿

福田織物(静岡)特殊織物

林与(滋賀)麻

大江(丹後)厚地シルク、縮緬

万定織物(丹後)裂き織り

棉生テキスタイル(京都)柿渋・加工

アートファイバーエンド(京都)リボン、ボタン

YS企画(京都)プリーツ加工生地

松尾捺染(大阪)プリント生地

細川毛織(泉州)ウール、カシミヤ

宏和産業(泉州)アクセサリーパーツ

島田製織(西脇)綿先染め織物

セコリ セコリによる各産地からのセレクト生地

である。

日時:5月26日15:00~18:00 18:00~レセプションパーティー
    5月27日11:00~18:00
    5月28日11:00~16:00(16:00閉場)

場所: ふくい南青山291(東京都港区南青山5-4-41グラッセリア青山)

IMG_3714

(会場外観)


で、入場料は無料で、生地や副資材に興味のある人はどなたでも入っていただける。
いわゆるアパレル業者も来られるし、手芸やクラフトを趣味とされている方も来られる。
プロしか買えないとかそういうことはない。

昨年5月に開催した際には、3日間でだいたい1000人強の来場者があった。

筆者も事務局員として期間中は会場に詰めているので、もし、筆者に会ってみたいという方がおられたら、ご来場いただきたい。(笑)

IMG_3757


(昨年の会場風景)









鈴木イズムは衣料品には通用しなかった

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 セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長の退任を巡るお家騒動はさまざまな見方で報道されており、事実関係はほぼ表面に出尽くしたのではないかと思う。

各社の報道も鈴木派と反鈴木派にわかれるように見える。
筆者は直接の面識がなくて思い入れも親近感も一切ないので、一連の報道に対しては「へー」という感想しかないが、記事の切り口としては、日経ビジネスオンラインに掲載されていた

セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/040700304/


がもっとも適切ではないかと見ている。

鈴木氏が開いた会見を報じているが、記者の分析をナレーション替わりとしながら、発言が進んでいくという手法を採っており、この分析に共感を覚える。

例えば、

井阪氏をセブンイレブンの社長に登用したのは鈴木会長だ。当時の狙いを説明した後、鈴木会長は井阪氏への不満を執拗に訴え続けていく。

とか

顧問の佐藤氏、後藤氏は、確かに古くからセブン&アイと深い関係があり、鈴木会長や伊藤名誉会長とも親しい間柄だ。しかし、鈴木会長から紹介されて最初にマイクを握った後藤顧問の語った話は、日本を代表する企業の実態とは思えないようなお粗末な中身だった。「伊藤名誉会長と鈴木会長のお部屋を行ったり来たりする役割」「井阪社長のお父様と昵懇の仲」など、理よりも情実や縁故が物を言うような、極めて属人的に経営の意思決定がなされてきた様子が浮かび上がった

とか

だがそもそも、こうした顧問らを間に挟まず、伊藤名誉会長と鈴木会長が直接話し合えばよかったのではないか。またこれまでの説明は伊藤名誉会長にとっても、井阪社長にとっても、ある種の“欠席裁判”とも言える。まっとうな企業としての普通の解決方法があるのではないかという問いに、鈴木会長はこう答えた。

という部分はまさにその通りだと思う。
各報道を読み比べても発言内容は同じなので、発言は記事の通りだったと推測されるが、もし、筆者がこの会見に出席していてもナレーションと同じ感想を抱いたと思う。

伊藤名誉会長と井阪社長を除いた鈴木氏とその側近のみの会見というのはやはり異様だ。
もう老境に足を踏み入れた人たちが取る行動とは思えない幼稚さを感じる。

これに続いて、5月9日号の日経ビジネスでは

「ヨーカ堂100億円在庫買い取り要請が挫折」という記事が掲載されている。
これについては畏友である釼英雄さんもブログで述べられており、

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/058ed3639848f7edf400b8ffc318d107

にわかには信じがたいが、もし事実だとするならイトーヨーカドーはどんな杜撰な企画・販売・営業戦略を立てていたのかということになり、それを黙認した鈴木氏の責任は重いということになる。

記事によるとこれほどまでの過剰在庫を生んだのは衣料品だとしている。
例えば、11ページでは「前期は139億円の営業赤字で、衣料品の大幅値下げなどによる在庫処分が105億円の利益の押し下げ要因となった。さらに、前期に処分しきれなかった在庫を今期も引き継いでいるため、その値引き販売などで今期も在庫処分損失として44億円を見込んでいる。それが、伊藤名誉会長に買い取りを依頼した不良在庫の一部だと見られる」と指摘している。

また12ページでは「過去数十年間で衣料品の売上高はほぼ半減したのに、売り場面積はあまり減っていない。その結果、衣料品の在庫回転期間は適性水準の約2倍の90日以上になってしまっている」とも指摘しており、さらに機会ロスを異様に恐れるあまり「リミテッドエディションIYコラボ」のワイシャツを60万枚以上作って大量に売れ残りを発生させたとも指摘している。

セブン&アイホールディングスを今の形にし、セブンイレブンというコンビニを業界トップに押し上げた鈴木氏のこれまでの実績は決して否定されるものではないし、過去の手腕が賞賛されることに関しては異論はない。
しかし、こと衣料品に関していえば、大型スーパーの限界が露出したともいえるし、鈴木氏の手腕では通用しなかったともいえる。

「鈴木会長はヨーカ堂を再生できなかった」という見出しでグラフが掲載されているが、鈴木氏が社長に就任した92年に売上高はグンと伸びて1兆5000億円を突破している。しかし、営業利益はその92年をピークにこの24年間下がり続けている。売上高も10年ほど前から1兆5000億円を下回るようになっている。

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93年に営業利益率が低下し始めているのは、トップとしての鈴木氏の責任だけではないだろう。
その前年のトップの責任も大いにある。
常識的に考えて95年ごろまではその前任トップの責任も大いにある。
あらゆる施策はだいたい3年~5年後に良くも悪くも結果が出るからだ。
長く見積もると97年か98年ごろまでは前任の伊藤社長の責任はある程度大きいといえるが、2000年以降の業績低下は確実にトップである鈴木氏の責任である。
トップとしての施策が誤っていたからである。

鈴木敏文という天才——セブンイレブンのすべてをつくり、追われた男
その「才能」と「限界」を語り尽くす特別座談会
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48647


という記事が掲載された。
これは親鈴木派記者の座談会みたいなものだと読めるのだが、その中でもとくに勝美明氏はシンパともいえる。
彼によると「鈴木氏は未来の視点から今を見ていた」そうだが、その未来の視点では衣料品については皆目見えなかったといえる。もしくはまったく現実離れした景色を見ていたか、視点が別方向に流れていたか、幻覚でも見えていたのだろうか。
それにいくら天才といえども老いれば絶対に衰えるのである。それは鈴木氏も逃れられない。
過剰に神格化するのは害悪である。


かくいう筆者も何度か鈴木氏のテレビ出演を見たり、いくらか著作を読んだりしたが、その発言のほとんどは食品に集中している。弁当がどうのとか漬物がどうのという内容ばかりであり、個人的には彼の目利きは食品に対してのみ発揮されたのだと見ている。


日経ビジネスに戻ると、「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という一節が再三再四登場する。
これこそが鈴木氏の思想だったと思えるのだが、その考え方では衣料品は過剰在庫が増える一方である。
だからヨーカ堂は復活できなかったのである。

元来、大型スーパーの低価格衣料品は実用衣料だが、現在の日本において「明日着用する実用衣料がなくて困っている」という人がどれほどいるのか。またいたとしても肌着、靴下程度ならコンビニでも売っている。何も大型スーパーに駆け込む必要がない。

それゆえ、大型スーパーも低価格衣料品専門店もある程度「ファッション」的な味付けをした売り方を模索せざるを得ない。ファッション的な売り方は嗜好品の部分を増やすということであり、万人が受け入れる嗜好品なんていうのはほとんどない。嗜好品なので好き嫌いがはっきりする。
そうすると全サイズ、全色柄をビッシリそろえると必ず売れ残りが大量に発生する。

ユニクロで奇抜な色柄のアイテムが大量に残って投げ売りされているのを見れば理解できるだろう。

売れなさそうな色柄・デザインの商品は生産数量をグっと絞って堂々と欠品させれば良いのである。
それこそが「ファッション的需要」を喚起する一つの要因となるからである。

「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という鈴木イズムに縛られている限りにおいては、イトーヨーカドーも他社大型スーパーも衣料品に関して業績が好転することはあり得ないだろう。
日経ビジネスは、ヨーカ堂は食品を柱とした営業力強化を柱として再建案を発表していると結んでいるが、妥当な再建案だといえる。















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