南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年05月

画像に関することを言葉だけで伝える愚

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 先日、東京テキスタイル・マルシェの会場で、たまたま、出展者とカタログとかポスターの撮影について話した。

ちなみに今回の東京テキスタイル・マルシェは2・5日間で650人強の来場者があった。
すごく良いとは言わないが、まずまずの来場者数だったといえるのではないか。

ついでにいうと、よく「南さんは出展者なんですか?」と尋ねられることがあるが、主催事務局の一員である。

それはさておき。

筆者は業界紙記者のほか、雑誌編集者、業界雑誌広告製作の仕事もしたことがある。
その経験からいうと、グラフィックやデザインの類をいくら言葉だけで説明しても、製作実務者やクライアントには1ミリも伝わらない。

雑誌編集の仕事の進め方でいうと、カメラマンに指示を出さねばならない。
そしてライターにも指示を出さねばならない。
文章と写真が出来上がったら、それをもって誌面デザイナーに指示を出さねばならない。
どの写真をどんな風に配置して、文章を流すかという指示である。

例えば「真ん中に女性が立っていて、その背景は紺色で、右肩に見出しが来るようなデザインにしてください」と言葉だけで伝えても誌面デザイナーは困惑するだけである。

女性はどんなふうに立っているのか?
その大きさは誌面上ではどれくらいなのか?15センチなのか?25センチなのか?10センチなのか?
背景の紺色の彩度は?明度は?
紺色と言っても、ブルーに近い紺から黒に近い紺まである
右肩の見出しは縦なのか、横なのか?

ざっと思いつくまま挙げただけでこれだけの疑問点が出てくる。

カメラマンに対する指示だって同じだ。
「いい感じで撮ってください」なんて指示はまったく何の役にも立たない。
それよりも「色を明るめに撮ってください」とか「陰影のコントラストをはっきりさせて撮ってください」とか具体的にいうべきだし、それも言葉だけでは伝えきれない。

じゃあ、どうすれば良いのか?

自分が描いているイメージに近い写真、誌面、ポスターを見せることである。
それを見せながら言葉で補足する。
誌面を見せながら「背景はこれよりももう少し彩度と明度を上げたいんです」というように。

業界雑誌で広告を製作する業務を3年間こなしたことがある。
雑誌の場合は社内に誌面デザイナーがいたのでやりやすかったが、業界雑誌は広告デザインを外注していた。
外注先なので余計にこちらの狙いを具体的に明確に伝える必要がある。

筆者が画像ソフトを使えれば、それでデモ版を作って外注先に渡すのだが、あいにくと画像ソフトは使えないし、しみったれた会社にはそんなものは備え付けられていなかった。
そこで、筆者は昔の脅迫状よろしく、いろいろな誌面や紙面から文字や画像を切り出して、それを紙に貼り付けてデモ版を手作りした。

これでほぼ一発で外注先に意図が伝わるようになって業務がはかどった。

最悪は手描きのラフスケッチでもないよりはあったほうが何倍もマシだ。

画像や視覚に関する案件では、言葉だけでは伝わりにくい。
「赤」といったって、さまざまな赤がある。
ある人は朱色に近い赤を思い出すかもしれないし、別の人は深紅を思い浮かべるかもしれない。
「赤いジャケットを企画しましょう」と言葉だけで言った場合、朱赤のジャケットを思い浮かべる人もいれば、深紅のジャケットを思い浮かべる人もいる。

それよりは「この色にしましょう」とイメージしている商品そのものを見せたほうが早いし、確実である。

今では産地の織布工場や染色加工場も自社のカタログやパンフレットを用意することが増えた。
当然、多くの場合は専門業者に頼んで製作してもらっていることは言うまでもない。

その一方で、これからカタログやパンフレットを用意しようという産地企業も少なからずある。
その場合は、上で書いてきたようなことを念頭に置いて発注、指示すると、早いし確実に伝わる。

発注主は画像のイメージを頭の中に描いていることが多いが(稀にノーアイディアの呆れた発注主もいる)、頭の中にある画像は他人には見えない。
製作業者はテレパシストではないから、発注主の頭の中にしかない画像やら思惑やらイメージなんてものはまったく受け取ることはできない。
それを素早く、間違いなく伝えようと思うのなら、具体的なモノを見せながら指示を出すのがもっとも賢明な方策である。

言葉だけで画像のイメージを伝えようとするのは、あまりにも非効率的なやり方だし、間違いも起こりやすい。

それほどに人間同士は分かり合えないということでもある。






コスト削減だけでは縮小し続けることになる

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 経営が悪化した企業はコスト削減を行う。
これは定石だが、削減した後に新たな方策を打ち出さないと、そのまま業績は縮小し続けることになる。

先日、ワールドの2016年3月期の決算が発表された。
利益は大幅に改善されたが、これはブランド閉鎖、店舗閉鎖、首切りを含めたリストラによって生じた利益で、
本体事業が好転したわけではない。
要するに服が売れて業績が回復したのではないということである。

ワールド、営業利益2.2倍  13ブランド・479店舗閉鎖で販管費圧縮
https://www.wwdjapan.com/business/2016/05/17/00020547.html

ワールドの2016年3月期決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比93.2%の2782億円、営業利益が同221.7%の116億円、純利益が16.5%の7億4300万円だった。抜本的構造改革で推進したブランド閉鎖と不採算店舗退店によって減収したものの、販管費を約180億円圧縮したことで営業利益は倍増した。上山健二・社長が昨年の就任時に宣言した「17年3月期に営業利益100億円突破」の目標を1年前倒しで達成した。

不採算事業の整理では、上期の「アニマ」「ジンジャーエール」に続き、下期に「コキュ」「ミニマム」「フリーピープル」「ボイコット」「ラギッドファクトリー」「ブラウンバニー」「アナザーサイドスクエア」「メディテラス」「フォブコープエンテーゼ」「ラフマ」「ブールアネージュ」の13事業を閉鎖した。国内連結退店数は479店舗。終了事業の赤字総額は10億円だった。

とのことである。

ワールドが今期何か効果的な新しい取り組みがあるかというと筆者の目には皆無に見える。
ネット通販の強化を昨年に発表したが、正直なところ今のワールドのやり方でネット通販が大幅に伸びるとは思えない。
ワールドだけではない。オンワード樫山もファイブフォックスもTSIもイトキンも今のやり方ではネット通販が大きく伸びる可能性は限りなくゼロに近い。

そもそもこれらの旧大手各社はウェブ上での露出があまりにも少ない。
投稿があったとしても職務を遂行したレベルの面白みのない投稿しかない。
これではウェブでのファンは増えない。

インスタグラマーを積極的に使っている(もちろん有料で)ユニクロやジーユーの後塵をここでも拝しているわけである。

上にワールドの廃止ブランドが列挙されているが、例えばアニマとかジンジャーエールみたいな泡沫ブランドはともかくとして、ボイコットなんていうかつての著名ブランドが廃止になっているが、ウェブ上ではほとんど話題にはならなかった。
それほどまでに旧大手の各ブランドの注目度は低下しているといえる。

コスト削減だけを続けているなら、このまま縮小し続けていくことになるだろう。

大手ばかりではなく、中小零細企業でもそういう企業がアパレル業界には多い。

先日、某カジュアルアパレルに勤務する知人から連絡があった。
コンサルタントの進言を入れて、コスト削減に取り組むそうである。
まあ、他人の会社なのでどうなろうとまったく構わないのだが、聞いていると基幹ブランドだけ残して、新規ブランドはすべて廃止するそうである。

こういう企業は身の回りでけっこうある。

コスト削減に取り組むことは当然として、そもそもその基幹ブランドが凋落してきたから新規ブランドを開始したという経緯がある。
ブランドというものはいずれ勢いがなくなるので、その時に備えて複数のブランドを展開しておくほうがリスクが少ない。
新規ブランドを廃止して、凋落した基幹ブランドに特化したところでこれまでのやり方を改めることができなければこのまま縮小し続けることになる。

おそらくこのまま基幹ブランドにしがみついて縮小スパイラルに陥っていくと見ている。

基幹ブランドを大胆にリニューアルすることもできなければ、これまでのやり方を墨守して、あと10年持つかどうかではないかと思う。

コスト削減、不採算ブランドの廃止は経営回復には必要不可欠だが、次の成長戦略も同時に必要とされる。
アパレル業界は閉塞感が長らく漂っているがゆえに、新たなことに積極的に取り組める体質ではなくなりつつある。
失敗ができるほど余裕がない。もっと正確にいうと経営者に余裕がない。

今回挙げた旧大手や某カジュアルアパレルのように縮小スパイラルに突入して、遠からずなくなる企業、ブランドがまだまだ現れることだけは間違いないだろう。









縮小するGMS各社

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 GMS(大型スーパー)が本格的に縮小の時代に突入した。

ユニー傘下の「アピタ」「ピアゴ」、閉鎖は東海以外の店舗
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160524-00000080-san-bus_all

コンビニエンスストア大手のファミリーマートと流通大手ユニーグループ・ホールディングスが9月に経営統合して発足する「ユニー・ファミリーマートホールディングス」がユニー傘下の総合スーパー(GMS)のうち、東海地区以外の店舗を閉鎖対象として検討していることが23日、分かった。同社は今後5年程度でGMSの2割強にあたる約50店の閉鎖を決めているが、具体的な地域について明らかになったのは初めて。強みがある東海地区を中心に地域密着の店作りで再建を目指す。

ユニーは、アピタやピアゴのブランドで5月16日現在で20府県に201店を展開しているが、約4割の84店が本社がある愛知県に集中している。

不採算店の閉鎖と並行して、平成31年春までの3年間で総額150億円かけて、東海地区を中心に売り上げ増や収益改善が見込める約60店の改装も進める。

とある。

ユニーは東海地方を拠点としており関西や関東での知名度は高くないが、イオン、イトーヨーカドーに次いで業界3位の規模を誇っている。
そのユニーが東海地区以外の50店舗をすべて閉鎖するというからかなりの大事件である。
例えば近年、関西にもアピタが何軒かオープンしたがあれもすべて閉鎖になるということである。

イトーヨーカドーは今年3月に20店舗の閉鎖をすでに打ち出している。
先ごろ発売された日経ビジネスでも触れられているようにイトーヨーカドー単体では売上高は減少の一途をたどっているし、営業損益は赤字に転落している。

イオンだって大減益が続いているが、なぜか閉鎖は打ち出さず逆に出店を増やしている。
あまり報じられないがこの3年位で出店したイオンモールはあまり芳しいうわさを聞かない。
鳴り物入りでオープンした岡山駅前店もかなり苦戦傾向にあると業界内では言われている。また先ごろオープンした大阪・堺の鉄砲町のイオンモールは、北花田のイオンモールと5キロほどしか離れていない上に背後が海なので商圏人口が著しく少ない。だから業界内ではあの立地で成功するとは思えないという人が多い。

GMSの苦戦の要因はさまざまあるが、一つには衣料品の苦戦が挙げられる。
食料品にはコンビニや百貨店と比べると価格メリットがあって利用者はそれほど減っていない。
それに人間は毎日食べなくては死んでしまうので、食料品に関していえば毎日必ず売れる。
ただし、単価は安いし、利益率も低い。

だからバブル崩壊直後くらいまでは、GMS各社は衣料品で利益を稼いでいた。

友人のOEM業者の言葉を借りれば「衣料品はGMSのドル箱」だったといえる。

しかし、今となっては、イオンモールやアリオ、アピタにテナント入店している衣料品店で買うことはあっても、わざわざイオンやイトーヨーカドー、ユニーの平場で衣料品を買う人はそれほど多くない。
せいぜい下着や靴下、寝間着類くらいではないか。
少しでもファッション要素のある商品は低価格品といえどもユニクロやしまむらで買う人がほとんどではないか。

だから今の若い人たちは信じられないかもしれないが、GMS各社の幹部は衣料品にそれなりのプライドを持っている。たとえば日経ビジネスの5月9日号の12ページにも

衣料品店からスタートしたヨーカ堂は、衣料品が圧倒的に強くかつては「衣料のヨーカ堂」と呼ばれた。

と書かれてあり、これは事実なのである。
今の40代前半より下の世代には信じられないことだろう。

ここまでのプライドではないにせよ他のGMSも実は似たり寄ったりである。

彼らの自己像と一般消費者が描くGMS像がまったく乖離してしまっているのが現状なのだが、それを各社の幹部は受け入れていない。だからイトーヨーカドーは起死回生を狙ってゴルチエや高田賢三とコラボをするのである。ゴルチエや高田賢三からすれば在庫リスクを抱えないで済むばかりか、多額の契約金がもらえるからビジネスとしては美味しい。

だが、このコラボは失敗に終わるだろう。
ゴルチエに関してはヨーカドー側は「大成功だった」という大本営発表を行っているが、実際の売り場ではやはり期末には投げ売られている。
投げ売られたことでブランドイメージの低下を招いたとみるべきだろう。

おそらく高田賢三コラボも期末には投げ売られることになるだろう。

ユニクロのルメールも同じだ。
すでにイージーパンツは1290円にまで値下がりしている。

期末に投げ売られることがわかっていれば期初にだれも定価では買わない。

GMSは本来は実用衣料を販売しているのだが、下着や靴下などの消耗品を除いて、消費者が求めている衣料品は価格の高低は関係なく、ファッション用品の要素が強まっている。
例えば白い無地Tシャツのような定番品はファッション用品でもある程度の積み上げが必要だ。

それこそ彼らの言う「品切れは機会ロス」を起こすからだ。

しかし、ゴルチエとのコラボ商品を積み上げる必要があったのだろうか。
デザインの好き嫌いはともかくとして、到底定番とは言えないデザイン性があった。
あんな商品を機会ロスを恐れるがあまり、大量の数量を生産する必要があったのだろうか。筆者はなかったと考える。

これはユニクロにも共通する病根である。

定番の無地Tシャツやら無地セーターはさておき、ルメールや+Jを積み上げる必要はまるでない。
少量生産(とは言ってもユニクロなので最低でも10万枚くらいは必要なのだが)でして定価で売り切れ御免にすべきなのである。
ヨーカドーのゴルチエも同じだ。

おそらくヨーカドーは高田賢三とのコラボでも同じ失敗を繰り返すだろう。

定番品と嗜好品で生産数量にメリハリをつけずに「機会ロスをなくすこと」を第一義にすべての商品を大量に生産するというやり方はもう通用しない。
これはユニクロにだって言えることである。

この考え方を墨守している限り、GMS各社の衣料品が復活することはありえない。
凋落は止まらないだろうし、今後も撤退と閉鎖が相次ぐだろう。

GMSの大型店が撤退した後は広大な廃墟があちこちに誕生することになる。

その再利用法を考えないと地域の治安が悪化することにもなりかねない。








アウトドアっぽくない撥水ジャケットに注目

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 さまざまな評価はあるだろうが、個人的には素材の上質感を謳うよりは機能性を謳ったほうが需要が多いのではないかと思う。

今春夏で注目が多いと感じるのは、撥水・防水機能である。
今まで撥水・防水機能というと、ゴアテックスという素材ブランドに代表されるように本格的なアウトドアブランドが多かった。
山などで急な雨に降られたケースを想定して、それをブルゾンなどに使用するブランドが多く、日常着ではあまり取り入れられてこなかった。

しかし、よく考えてみれば日常着でもそういう機能がついていれば便利だ。

とくにバッグや靴は便利である。
ほんの15年前くらいまでは、雨用の靴というとゴムの長靴ぐらいしか存在しなかった。
そういえば、筆者の祖父はまだ現役当時、雨の日は背広に長靴を履いて出社していたが、最近そういう姿のサラリーマンは見かけない。
スーツとゴム長靴というコーディネイトはいつごろから消えてしまったのだろうか。

筆者の父もそういう服装で通勤していた時期があったと記憶している。

ご存知の方がおられたらお知らせいただきたい。

それはさておき。

10年位前からレディースではおしゃれな長靴が増えた。
それによってレディースではさまざまなデザインのレインシューズがリーズナブルな価格で登場している。

メンズのビジネスシューズだと2万円超の防水シューズは少数のブランドから発売されていたが、リーズナブルな価格の商品はいまだに安っぽい表情をしている。
あとはアウトドアブランドの防水ブーツくらいしかなく、リーズナブルな価格でスニーカーとかカジュアルシューズでの防水機能付きというのはなかなかなかった。
それがようやく5年ほど前からちらほらと表れてきた。

今度、スペルガが防水機能スニーカーを発売する。
これを買ってみたいと思う。

バッグだが、自転車で最寄り駅まで通う人間にとっては防水機能は必須である。
傘をさしていてもバッグはずぶ濡れになる。
中の本や書類が濡れるのはちょっとつらい。

そんなわけで4月と5月で防水リュックを1つずつ買った。
出張用に45リットルのナイキを、日常使いとして24リットルのホットスタイルを。

次にほしいのが撥水・防水ジャケットである。
これまではアウトドアブランドの商品しかなく、アウトドアブランドはともすると街中では着辛いデザインが多かった。
それと防水ジャケットというといわゆるレインコートだが、筆者は中学生時代にレインコートを着用したことがあるが、通気性が悪く秋冬は良いが、夏場はサウナみたいになってしまった。
これがあるので今まで防水ジャケットは着用したくなかった。

防水しながら湿度を逃がすゴアテックス素材ならそういう悩みを解決してくれることはわかっていたが、これを使った製品はかなり価格が高い。
5万円を超えるような商品も珍しくないし、低価格品には使われていない。

防水または撥水機能があって透湿機能があって値段が安くて街中でも着やすいデザインの商品があればよかったのだが、これまではそういう商品をあまり見かけなかった。

が、今春夏はそういう商品がいろんなブランドから発売されており、撥水・防水ジャケットの需要が高まっていると感じる。逆にそれくらいしか消費者が注目するような機能を見つけられなかったということだろうか。

ビューティ&ユースでは18000円くらいで防水ジャケットが売っている。
しかもテイラードタイプだから街中でも着やすいし、ビジネスでも着用できる。
ほかに3万円台のもあるし、もっと高いのもある。

18000円のがほしいとも思うが買えないので、さらに低価格代替品を探してみた。

あった。
ライトオンに6900円でテイラードタイプのがある。
帝人フロンティアの機能素材だそうだ。そうタグに書いてある。

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(ライトオンの通販ページの画像1)


同じ素材でデザイン違いでコートタイプとM65タイプの2型がある。
こちらは両方とも7900円である。

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(ライトオンの通販ページの画像2)

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(ライトオンの通販ページの画像3)


透湿機能もついている。
しかし、筆者は極力低価格で買うことを目指しているから、これが値下がりするまで待つつもりでいる。
3割引きくらいになったら買おうとテイラードタイプのを買おうかと思う。
半額に下がるまでには売り切れるというのが個人的な予想だ。

かわりに同じライトオンで1900円の撥水パーカを買った。
黒と紺の2種類があるが、黒はオンラインショップではすでに売り切れである。

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なんだか知らないブランド名を書いたタグがつけられているが、製造元は岐阜のメンズカジュアルメーカー水甚である。
だいたい量販店系のところに卸売りをしている老舗である。
同業他社には岐阜武というメーカーもある。
量販店やメンズカジュアルチェーン店を両社とも得意先としている。

昔はもっと野暮ったいいかにも量販店系のデザインの商品が多かったが最近では随分と見た目はマシな商品が増えている。
そういう意味では進歩しているといえる。

ポリエステル100%で、撥水、透湿機能がある。
防水ではないので大量の雨だと濡れる。

ユニクロのポケッタブルパーカと同じような素材感だが、こちらは新価格で3990円である。
旧価格なら4990円だ。撥水機能があるとはいえ、ちょっと高額すぎる。
これなら水甚のこれを買ったほうがずっとお得感がある。

素材名はダルシャインとタグに書いてあるが、素材メーカーの名前はない。
決して「だる社員」ではない。筆者もサラリーマン時代は相当に「だる社員」だったが、そういう社員は世の中掃いて捨てるほど存在する。

で、気になってちょっと尋ねてみた。

関係者から寄せられた答えは、水甚が決めた名称で、基布自体は中国製だそうだ。
中国で作られた機能素材に日本のメーカーが自社用の名称を与えたということだろう。

国内の素材メーカーが開発した機能素材が全般的に優秀だと考えているが、簡単な機能素材であればもはや中国でも開発できるようになっている。圧倒的な機能差があれば別だが、ほとんど差がないような場合は価格が安い中国製が選ばれるということである。
単なるスペックだけでの打ち出しならいつかは負ける可能性もある。
国内素材メーカーはその部分に注意が必要だろう。

まあ、そんなわけで「だる社員」ならぬダルシャインのパーカを購入して着用してみたのだが、なるほど35年ほど前に着用したレインコートよりは蒸れが少ない。たしかに透湿機能はある。
お買い得商品の一つと言って差し支えないと思う。

それにしても便利な時代になったものである。低価格で機能商品が手に入り、しかもデザインも悪くはない。

衣料品ブランドに限らず各分野の商品はこういう競争を強いられており、それが嫌だというなら違う売り方を模索するほかない。






高いモチベーションだけでは繊維関連の工場は維持できない

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 繊維関係では、撚糸・染色・整理加工・織布・編立・縫製などの各工程の工場が存在する。
これらの工場なくしては服は生産できない。

メイドインジャパンだ、日本製だ、クールジャパンだといわれながらも実際のところ国内の各工程の工場は年々減り続けている。
原因は後継者不足、資金難、モチベーションの低下である。
この3つが混然一体となって工場の廃業、倒産を引き起こしている。

工賃が上がらない、注文が増えないから資金難に陥る。
資金難に陥っているからモチベーションが上がらない。
後継者もいないし、余力のあるうちに工場を閉鎖しよう。

これが廃業である。

赤字に陥って余力がなくなっての閉鎖なら倒産である。

なぜ後継者がいないかというと儲からないからだ。
儲かって笑いが止まらない産業なら息子や娘、親類がどんどん跡継ぎになってくれるだろう。
儲からない産業をわざわざ継承したいという人はゼロではないがかなりの少数派である。

モチベーションの低下で廃業したのは八王子のみやしんだろう。
その後、文化・ファッションテキスタイル研究所として生まれ変わっており、このニュースに安堵の声を挙げた業界人は多いが、こういう幸運な結末は稀有な例である。
宝くじで1等が当たるくらいの幸運ではないか。ちなみに年末ジャンボで1等が当たる確率は180万分の1だと言われている。
大概の工場は廃業・倒産してそのままになる。

紡げ発想力、生まれ変わった織元 みやしん元代表・宮本英治さん
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130719/bsc1307190500002-n1.htm

この記事中に興味深い一節がある。

90年には衣類の輸入品比率は48・5%だったとある。
国産が51・5%を占めていた。
それが現在では97%が輸入品比率である。ほとんどが中国製だが、中国製は減少しつつあり、ベトナムやミャンマー、タイ、カンボジア、バングラディシュなどのアジア諸国からの輸入が3年位前から急増している。

2011年当時で輸入品比率は96・4%、そこから微増ではあるがまだ上昇しているのが現状である。

こういう状況を鑑みて、国内工場を残そうという気運が一部では高まっている。
40代以下の若い世代にもそういう人が多い。
そういう彼らは「モチベーションを高めることで工場が残る」という趣旨のことを主張するのだが、個人的にはその主張は疑問だ。
なるほど、高いモチベーションを維持した工場が少数は残るだろう。
少数残すことが目的ならモチベーション向上というのは有効な手段の一つである。

しかし、モチベーションだけでは多くの工場が廃業・倒産することは避けられない。
筆者のようなライターとか、業界を徘徊する怪しげなコンサルタントとか、そういう人らなら収入があまりなくても仕事を続けることができる。なぜなら出費もほとんどないからだ。
あとは自分の生活水準を切り下げていけばいくらでも続けることができる。

一方、工場はそんなわけにはいかない。
工場を稼働させるには電気料金、水道料金から始まって莫大な金が要る。
工員を雇用していたなら人件費も発生する。
経営者が収入がないのは勝手だが、被雇用者には最低限の賃金は支払わなくてはならない。
もしくは最低限の時給の支払いは必要だ。
法律的にも人道的にも。

となると、モチベーションだけでは工場は稼働し続けられない。
カネは必要だ。
カネとモチベーションの両輪が備わっていないと工場を続けることができない。

カネがなくてもモチベーションでなんとかなる
カネなんてもらわなくても高いモチベーションで働くべき
カネなんて度外視してモノづくりという尊い仕事を残すべき


こういう主張は一歩間違うとワタミと同じである。
ワタミの創業者が言ってることもそういうことである。

新たな収益構造、新たな収益事業、新たな収益スタイル、これを確立しないことには各工場の廃業・倒産は止まらない。

こういう現実に対して「今の日本人は~」という論調もあるが、繊維関連の工場はすでに中国でも工員が集まりにくくなっている。経済成長した中国では繊維関連の工場よりも華やかで、金回りの良い働き口が増えた。
そちらに行く人が多いのは当然だろう。
わざわざ、キツくて金回りの悪い職場で働きたいなんていうマゾヒストのほうが異常だ。

いずれ、ベトナムやミャンマー、バングラディシュなどのアジア諸国も経済成長すれば繊維関連の工場での働き手が不足するだろう。

ときどき、ブログ内で筆者を紹介してくれる縫製工場のファッションいずみは、個人からの洋服のお直しも受注するようになった。
おそらく、今の売上高は知れているだろうが、注文数が増えれば一つの収益源になるだろう。
こういう新しい事業を手掛けることは工場の自助努力の一つだと思う。

そういう新規事業の立案なくして「モチベーションを高めろ」というイシキタカイ系の提案だけでは工場の廃業・倒産は絶対に止まらない。









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