南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年02月

ファッションショーに起きた収斂進化

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 バーバリーがコレクション発表時期を後倒したことが話題となっている。

バーバリー大胆「新商法」の大きすぎる波紋
半年前倒しのコレクションを廃止へ

http://toyokeizai.net/articles/-/105213

ファッションブランドの新作発表の場であるニューヨーク・ファッション・ウイークの開幕を目前に控えた2月5日。英高級ブランドのバーバリー は、今年9月からコレクションの発表と発売の時期を合わせると発表した。つまり、新作発売の半年前にファッションショーで披露するという従来の方式をやめるということだ。



コレクション発表後すぐに消費者が買えるにようにしたいという考えに基づく。
これにトム・フォードやトミーフィルフィガーも追随する動きを見せており、今後、欧米ブランドのコレクションは発表後すぐに消費者が買える時期に変更になる可能性が高い。

これまでコレクションを開催するブランドは、発売の半年くらい前にコレクションショーを開催するのが通例だった。
春夏物なら前年の秋口に、秋冬物ならその年の2月~3月に、と言った具合だ。

これを商品発売時期にコレクションショー開催を合わせるということである。

こうなると、欧米ブランドの半年前のコレクションショーを見て、デザインや商品企画を「インスパイア(笑)」していた国内アパレル各社は苦しくなる。
なぜならインスパイア(笑)する対象がなくなるからだ。

現在はバーバリーやトム・フォード、トミーフィルフィガーなど数ブランドが表明しているだけだが、今後はその数が増える可能性が高いことから、インスパイア(笑)先がどんどん少なくなるだろう。
さてどうする?

今回、バーバリーが発表時期を後倒しした原因は、完全にビジネス上の構造によるものである。
別に日本ブランドにインスパイア(笑)されることを嫌ったわけではないだろう。

先の記事の中に答えが書いてある。


これほど大がかりな動きに出られたのは資金力があり、生産から販売までの垂直統合が進んでいるバーバリーだからだ。バーバリーは直営工場をいくつも持ち、売上の70%は直営店から得ている

とのことだ。

要するに卸売りよりも、直営店での売上高の方が多くなったからだ。
卸売りブランドは、小売店に仕入れてもらわなくてはならないから、早めに商品を見せる必要があった。
小売店側に検討する時間が必要だからだ。
半年前にコレクションショーを開催せずとも、我が国の卸売りブランドもだいたい3か月前には展示受注会を開催する。
そこにバイヤーが来場し、商品を発注するという仕組みだ。

ブランドが展示した商品をすべて量産するかというとそんなことはない。
展示受注会を開催したものの、受注数量が少なかった商品は生産しない場合が多い。
例えば、5枚や10枚くらいしか受注できなかった商品は生産しない。
なぜなら、ミニマムロットに達しない商品を製造するとコストアップになるからだ。
コストがアップしたからといって販売価格を変更することはできない。
小売店側はその価格だと思って仕入れているからで、高い物が売れにくいと考えられている環境下において、値上がりした商品をそのまま受け入れる小売店はほとんどないと言っても過言ではないだろう。

展示受注会で一定の枚数の受注があった商品が量産されて、各小売店へ配送される。

この製造におよそ3カ月くらいはかかるという見込みである。

しかし、卸売りが限りなくゼロに近い、もしくはゼロになって直営店のみのブランドならどうだろうか。

こんな展示受注会を開催する必要なんてない。
なぜなら小売店に仕入れてもらう必要がないからだ。
せいぜい、発売の少し前にマスコミ向けの商品発表会を開く程度である。
それで十分に事足りる。

バーバリーの場合も、直営店比率が7割に達しているし、我が国内の展開を見ても主要な店舗はすべて直営となっている。

となると、わざわざ半年前に商品を発表する必要はなくなる。
当たり前の結論である。

この動きを見ていると何とも感慨深い。

我が国の東京ガールズコレクションや神戸コレクションと、その発想元は異なるが、最終形態は同じようになったからだ。
むしろ、「すぐ買える」という点においては東京ガールズコレクションや神戸コレクションの方が、何年も前から先行していた。

東京ガールズコレクションや神戸コレクションは、イベント興行が目的であり、その手段の一つとして「ファッション」という体裁を取った。
芸能人にランウェイを歩かせることで入場料を取り、グッズ販売するという興行ビジネスがその発想の原点である。単に手ぶらで芸能人を歩かせても仕方がないからその表面上の方策としてファッションを利用したということができる。

ただ、その場合、衣装を提供してもらうブランドに半年先の商品をねだるわけにはいかないし、出品してもらったところで意味はない。
だから、現在、販売中もしくはもうすぐ販売開始の商品を出品してもらうということになる。
出品ブランドもインスパイア(笑)して物作りをするブランドが多いので、半年先の商品なんてとてもじゃないが提供できるはずもない。

一方のバーバリーは、現在の自ブランドの販売形態と顧客動向を見極めた上での極めてビジネス的な決断である。

しかし、発想の根本は違うが、表面的には同方向に歩み寄ったようにも見える。
まあ、今後もバーバリーが芸能人にランウェイを歩かせることはないとは思うが、すぐに買える商品を見せるという方向性だけはたまたま合致した。

これは生物における「収斂進化」と同じように見える。

違う種類の生物が似たような目的のために、似たような形態に進化することである。
有名なところだと魚類の鮫と、哺乳類のイルカである。
生物としての歴史は鮫の方が古い。
鮫は魚類の中でもかなり古くから存在した種である。
一方、イルカは哺乳類なので、鮫に比べてかなり後で生まれた種である。

まったく別種の生物だが、水中生活への適応という目的のために似たような姿を採っている。

ほかにも例がいくつもあるが長くなるのでやめよう。
収斂進化でググってもらえば他の動物の事例がたくさんでてくる。

http://matome.naver.jp/odai/2140236998268676401?&page=1

欧米ブランドでも卸売り比率が低いブランドは今後、軒並みバーバリーに追随するだろう。
そして、先の記事にもあったように卸売り比率が高いブランドはどうするのかというのは今のところ不透明だ。

直営メインのブランドはジャストインタイムでの発表、卸売りブランドは半年先のコレクション発表、というように近い将来は完全に別れてしまうのではないだろうか。

ビジネスにおける合理性を考えるならこれが最も合理的であり、ビジネスでは合理性を最優先すべきだからだ。









100枚中10枚が定価で売れれば赤字にはならない

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 まだ売り場には一部セール品が残っているが、ほぼ冬のセールは終わりに近づいたといえる。

1月20日くらいから各ブランドとも一斉に投げ売りを開始したが、在庫を残すよりは投げ打った方が良いと思う。
しかし、あまりに投げ売りをすると定価設定に説得力が無くなるから諸刃の剣といえる。

2月1日から2月7日まで無印良品が「セール価格からレジにてさらに20%オフセール」を行っていた。
そこで筆者はアメリカンコットンスキニージーンズを購入した。
無印良品のジーンズを買うのも、スキニージーンズを買うのも初めてである。
筆者は腿が太いのでこれまで、スリムストレートとかテイパードジーンズを買っていたのだが、思い切ってスキニーに挑戦してみた。

定価3980円が半額になり、さらにレジで20%オフなので1592円(税込)である。

IMG_0878



これくらいの金額なら失敗しても良い。

若者ブランドにありがちなめちゃくちゃ細いシルエットではない。
太もももそれなりにゆとりがあり、前のファスナーがかなり下の方まで下げられるようになっており、オッサンにも優しい作りになっている。

ふくらはぎは通常のスリムストレートよりタイトなシルエットになっている。
もちろんストレッチデニム生地を使用している。


それと昨日、ユニクロで耳当てを買った。
最寄駅まで自転車で10分くらいかかり、2014年12月ごろから耳が霜焼けになるようになった。
栄養状態が悪化したのだろうか。
幸い今冬は暖冬傾向なので霜焼けが小さい。
しかし、筆者の肉体は年々衰えて行くばかりなので、どこかで手を打たねばならない。

そこで折り畳み式の耳当てを買おうと思いついた。
というより、たまたまユニクロに入ったら投げ売りされているのを以前に目にしていた。

定価1500円が190円(税抜)にまで投げ売られている。

IMG_0876


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先週は体調不良もあって買いに行けなかったので、昨日買った次第である。
後頭部から装着するタイプの耳当てである。
これで耳の霜焼けともおさらばさ。

それにしても原価はいくらなのだろうか。

さて、原価ということでいえば、クロスカンパニーの洋服は原価がいくらなのだろうか?と話題になった。

というのも1月の下旬に、「定価から80%オフ、レジでさらにそこから20%オフセール」を大々的に開催していたからだ。

10000円の商品は2000円になり、そこから2割引きだから1600円になる。
5000円の商品なら800円である。

これが原価なのか原価を割っているのか。
それが話題になった。

ある製造関係者が、「おそらく原価を割っているのではないか」と知らせてきたが、原価割れセールをこんなに大々的に開催して、会社は赤字にならないのかと質問を返した。

するとその製造関係者はこう答えた。
以下はその要約である。

原価率を20%だと仮定する。
あくまでも仮定だ。

店頭販売価格1万円の商品を100枚作ったとする。
原価は2000円で、製造総額は200000円となる。

もし、この商品が定価で10枚売れて、残り90枚が80%オフからさらに20%オフセールで売り切れたとする。

定価で売れたのは10枚だから総額は10万円
残り90枚は1600円で売れたので総額は14万4000円


となる。

10万円と14万4000円を足すと24万4000円であり、これがこの商品の売上高ということになる。
製造総額は20万円なので、4万4000円の粗利益ということになる。

だから10枚が定価で売れれば損はしない。

そういう計算になる。


ということである。

なるほど。
もちろん実際はもっと様々な経費が加算されるし、こんな単純な計算にはならないだろう。
それでも根本の原理はこういうことだそうだ。

この考え方で行くならたしかに会社に赤字は発生しない。
しかし、利益は恐ろしく薄い。
いわゆる薄利である。

薄利を持って、ある程度の利益額を稼ごうとすると、必然的に多売する必要がある。
いわゆる薄利多売である。
昔のダイエーをはじめとする量販店の考え方と同じである。

ということは、多店舗化を推し進めなくてはならない。
インターネット販売という手段もあるが、現時点ではそれだけでは大きな売上高にはなりえない。

だから現に多店舗化を推し進めており、新規出店も途切れることがない。

また固定費も抑えなくてはならない。
多店舗運営するときの最大の固定費は人件費である。
さらにいえば、製造原価も低く抑えなくてはならない。

だからアパレルの人件費は総じて安いし、製造原価を1%でも下げたがる。
そういうことになる。

それを改善するためにはどうすれば良いかという話になるが、一気に消費者心理を変えることは不可能である。
経済全体を活性化すれば可処分所得は増え、ある程度支出は増えるだろうが、いくら大企業とはいえ、たかがアパレル1社に我が国全体の景気を押し上げるほどの影響力はない。

ならば、各社が少しでも定価に近い値段で売れるように努力するしかない。
その場合は商品のデザインや製造に関することだけでなく、販促や広報やディスプレイなどにも最大限の工夫が求められる。

そうやって各社が少しずつでも高く売る努力をする必要がある。
それしかないのではないか。

とはいっても、景気が完全に良くなるまでにはタイムラグが生じるから、低価格品の需要も即座に減るわけではなく、むしろ値上げしたブランドが増えれば増えるほど、購買能力のない人が増えるから低価格品への需要も増える。

だからまた新たな安売り業者は絶対に生まれるし、絶対になくならない。
安売り業者を絶対悪のように見る業界人がたまにいるが、経済のシステムをまったく理解していない現実無視の理想主義者といえるだろう。

現実無視の理想論が成功したためしは、古今東西、存在しない。


服を着るならこんなふうに (1)
縞野やえ
KADOKAWA/角川書店
2015-12-10








洋服の買い上げ客数を増やすことが難しい時代

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 昨年11月、12月とユニクロの既存店売上高が減少した。
これをもって盛んに「ユニクロ失速」という記事がメディアに掲載されたが、今年1月はセールが好調で既存店売上高が伸びた。すると、その手の記事はほとんど掲載されなくなった。
まあ、メディアなんていつも現金なものである。

個人的にいえば、ユニクロの前年実績は好調だったからそれを越えるというのはかなり高いハードルだと思うし、国内市場でいうと飽和点に達しつつあるのではないかと考えられるから、成長曲線が鈍化もしくは少しくらい下落しても不思議ではない。

そういえば飛ぶ鳥を落とす勢いだったソフトバンクだが携帯電話の加入者が前年実績を割り込んでいる。
いつまでも無限成長し続ける企業はないということである。

一方、ライトオンは11月、12月と好調だったからユニクロ失速の一例として挙げられることが増えた。
しかし、結論からいうとライトオンはそれまで前年実績を下回り続けており、前年実績のハードルは非常に低かった。

これを非常に上手く見つけた記事を発見した。
良記事なのでぜひとも参考にしていただきたい。

別の視点から数字を見る
http://www.apalog.com/fashion_soroban/archive/20


この記事は2011年秋冬、2012年春夏を基準として、それに対しての既存店売上高、既存店客数、既存店客単価の推移を再構成しているところが秀逸である。

これをまとめなおすのはけっこう骨が折れる。
かなりの労作といえる。
自分でもやれば良いのだが、こんなにめんどくさいことはちょっとやる気になれない。
本当に素晴らしい資料だと思う。

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この表から見ればわかるように、「失速」と喧伝されているユニクロだが、2011年から比べると2015秋冬は8%増の売上高である。
また、2012年以降はすべて基準年実績を上回っている。

ただし客数は2015年秋冬は初めて減少している。
反対に客単価は2015春夏、2015秋冬とそれぞれ上昇している。
値上げが顕著に反映されていると考えられる。


一方、メディアで持ち上げられ過ぎの嫌いがあるライトオンだが、2013秋冬から一貫して既存店売上高が減少し続けている。

記事内でも指摘されているように2015秋冬の「好調」は単に2011年当時水準まで回復しただけということがわかる。

客単価は2012年から一貫して上昇傾向だが、客数は落ち続けている。
好調と言われた2015年秋冬も客数は減ったままである。


ついでにユナイテッドアローズである。
ユナイテッドアローズは2012年以降、一貫して既存店売上高は伸び続けているが、客数は2014年から減少し続けている。
客単価は2014年、2015年と続けて高い伸び率を示している。
これは相当に値上げがあったと考えるべきだろう。

個人的な感想でいうと、値上げしたから客数が減ったのかもしれず、反対に客数減を値上げで補ったともいえるだろう。
ユナイテッドアローズの値上げ路線はこれ以上進むとさらなる客数定価を招くので危険ではないだろうか。
ユナイテッドアローズが街の個店なら「お好きにどうぞ」というところだが、仮にも上場しているので、そういう奇策は株主の反発を招く。
客数は落とさず売上高も伸ばし続けるというかなりきわどいミッションをこなし続けなければならない。


この記事でも触れられているのだが、客数を伸ばすというのは本当に困難なことになりつつあるといえる。
決算で発表される客数とは「買い上げ客数」のことだから、入店客数ではない。
「洋服を買ってもらう」ことがかなり困難なことになりつつあるということである。


洋服を買わない理由はいろいろとある。
以前にも書いたことがある。

トレンドがあまり変わらない、洋服があまり傷まない、次々と新しい服を着ることに興味がない、可処分所得が減った、などなど。

メディアではよく、現在を指して「ファッションは冬の時代」というが、冬というのは待っていれば春が来る。
しかし、現在もこれからも「待っている」だけではファッションに春は来ない。むしろ今が常態ではないか。
だから冬の時代ではない。

そこを踏まえて考える必要がある。












インターネット通販はすでにレッドオーシャン

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 昨年夏ごろから、このブログもアマゾンのアフィリエイトを貼りつけるようにした。
いつもの記事の最後に出てくるのがアマゾンのアフィリエイトである。

これを貼りつけるようになってから、アマゾンの衣料品の通販をときどきぼーっと眺めるようになった。

何を今更と思われるかもしれないが、見たこともないブランドで溢れかえっている。
その多くは低価格品だ。

通常、百貨店、ファッションビル、ショッピングセンターに出店しているリアル店舗の場合、そのほとんどは見知ったものが多い。
こんな仕事を18年近くもやっているので、商業施設に出店するブランドはだいたい見知ったものが多く、詳しくは知らないまでも名前くらい聞いたことがあるというのがほとんどである。

見たことも聞いたこともなかったというブランドは滅多にないのだが、インターネット通販は反対に知らないブランドの方が多いくらいである。

ここまでブランドが無数に増えており、おまけに価格帯も商品の見た目も同質化している。
画面上で見える同質化は、リアル店舗の同質化よりもひどいのではないかというのが個人的な感想だ。

リアル店舗の場合、パっと見た感じが似ていても、商品をよく見ると生地の風合いが違っていたり、
店の看板のデザインが違っていたりで、区別しやすいのだが、画面上でズラっと商品だけを眺めていると、どれもこれもほとんど区別がつかない。

おまけに有名ブランドと微妙に似たようなブランド名を付けているブランドもあり、一瞬間違えそうになる。

この手法はリアル店舗でも昔からよくある。
激安の聖地と勝手に読んでいる天神橋筋商店街だが、手描きで「G-starのシャツ」と描かれたPOPがあって、以前から気になっていた。

明らかに不良在庫を格安で引き取ってきて投げ打っている店なのだが、「G-starの在庫も出回っているのか」と興味を持って、毎回眺めていた。
その割にはG-starでは見たこともないデザインのカジュアルシャツが並んでいる。

何度目かのときに手描きPOPをもう一度よく見直してみると、「G-stage」と描かれていることに気が付いた。
どうりで見たこともないデザインのシャツだったわけである。
別ブランドだったということである。謎は解けた。

先日、アマゾンでディーゼルと検索をすると、3000円弱のジーンズが出てきた。
何と激安品なのかと思って、良く眺めると何かがちょっと違う。
洋服そのもののデザインも筆者の知っているディーゼルとは異なっている。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%EF%BC%9A%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%8B%E3%83%BC-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC-DIESEL-POWER-DSP02497/dp/B00OJW2QZ2/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1455670242&sr=8-1&keywords=%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC

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(ディーゼルパワーのスキニー)

ブランド名をもう一度よくみると「ディーゼルパワー」と書いてある。
これはちょっとやられた。

ディーゼルとは本来重油を燃やす内燃エンジンのことであり、発明者の名前である。
業界だと「ディーゼル」というとイタリアのブランド名だが、発明者はフランス生まれのドイツ人である。

日常会話では、ディーゼルエンジンとかディーゼル機関という使われ方をする。

そのため、筆者にとってはディーゼルパワーというのは、何とも違和感のない響きで、すんなりと受け入れやすい。
ちょっとした工業用語のようにも聞こえる。

このブランド名を名付けた人はなかなかのセンスであり策士といえる。
おまけにあの「ディーゼル」とも混同されやすい。もちろんそれを狙ったネーミングだとは思うが。

それはさておき。

今、盛んに「EC化比率を高めよ」と言われる。
しかし、すでにインターネット通販はレッドオーシャンである。

Yahooだけで34万店、楽天だけで4万店のネットショップが出店しているといわれている。
ほかにアマゾン、ZOZOTAWNなどもあるし、中小のモールもある。
またブランドの単独ショッピングサイトもある。

はっきり言ってしまえば、無策でインターネット通販になんて乗り出したところで、埋没してしまうのが落ちである。
よほどの仕掛けを考えないと浮かび上がることはできない。

先日、coco azabu というインターネット通販事業者が破産した。

衣料品ネット通販の「COCO AZABU」に破産開始決定
http://www.fukeiki.com/2016/02/coco-azabu.html


このサイトはまだ閉鎖されていないので見ることができる。

http://www.cocoazabu.com/

なかなか綺麗なデザインのトップページであり、他の構成もなかなかしっかりしている。
従業員は30人くらいだからそれほど大きな事業者ではない。

しかし、このくらいきっちりとサイトを作くりこんでいても倒産してしまう。
「単にインターネット通販をやりました」というだけでは埋没してしまうのである。

インターネット通販をやるなとは言わないが、「インターネット通販を始めたら即座に売れ始める」という甘い考えは今すぐに捨てるべきである。

そういう視点でいうなら、ディーゼルパワーは相当な策士であると密かに注目している。
そこらのへなちょこコンサルが提案するプランよりもよほど上手である。










製造方法の提示が効果的な販促になるとは限らない

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 最近は、使用素材とか製法とかを下げ札に書いて、その価値を消費者に伝えるブランドが増えた。
何もしないよりはした方が良いとは思うが、正直なところ、すべてに販促効果があるわけではない。
まるで効果のないものも多い。

その中の一つに筆者はホールガーメントがあると思っている。
いわゆる、無縫製のセーター類である。

通常のセーターは袖や身頃が縫製されているが、ホールガーメントはそれを無縫製で編み上げるという技術であり、専用の編み機が開発されたことで製品化が可能になった。

ホールガーメントという技術を否定しているわけではない。
それは製造側にとっては画期的なことである。

また、昨今はリンキング工場が倒産やら廃業で減っており、その減少をカバーできるという効果もある。

ただし、消費者サイドで考えるなら「ホールガーメントのセーターです」と言われたところで、「だから何?」としか言いようがない。

「無縫製です」と言われても、それによってどういう効果があるのかはさっぱりわからない。
例えば、シルエットが綺麗になるとか、フィット感があるとか、そういう意味での「効果」である。

「ストレッチ混素材を使用しました」という説明なら、消費者は「あ、生地が伸縮して動きやすいんだな」とその効果が容易に想像できる。

ホールガーメントについて「無縫製のセーターです」という説明を売り場で受けるが、それで得られる消費者の利便性なり満足感なりはちょっと思いつかない。

実際に筆者も買ってみたことがある。
もう5年以上前のことだが、ジーンズメイトでホールガーメントのジップアップカーディガンが売られていた。
素材はウール100%。

「ホールガーメント」と書かれた下げ札が付けられていた。
たしか定価は5900円くらいだった。
興味深く見ていたが、その時は買わなかった。
筆者は定価では服を買わない。

それからちょうど1年後くらいに同じ商品を同じ売り場で見つけた。
前年の在庫品である。
1000円に値下がりしていたので購入した。
ひとつにはホールガーメントのセーターがどういう着心地なのかを試してみたかったこともある。

で、購入して何度か着用したわけだが、至って普通である。
通常品と何も変わらない。

それが筆者の感想である。

最近は肌着にも無縫製という物がある。
これはホールガーメントで製造されているのではないが、縫製せずに圧着テープで接着されていたりする。
肌着の場合は、直接肌に触れるものなので、縫い目が擦れてかゆいとかイタイということがある。
無縫製肌着はそれを解決できるという機能を持っている。

しかし、セーター類の場合は、素肌に直接触れることは考えにくい。
大概が、Tシャツとかカジュアルシャツの上からセーター類を着る。
となると、縫い目があろうがなかろうが大した違いはなくなる。

動きやすさとかフィット感がさらに向上したかというとそうでもない。
もともとセーターは編み物で伸縮性が高いため、動きやすいものだしフィット感もある。

また、熟練の職人による手作業でもない。
個人的には手作業自体に意味はないと考えるが、それでも「こんなすごい物を手作業で作るなんて」という驚きは理解できるし、それを評価したいという心理も理解できる。
しかし、ホールガーメントはそういう類のものではない。

製造は限りなく自動化されている。
専用の編み機さえ導入すればだれでも作れる。

現段階においてホールガーメントというのは、製造側に大きなメリットをもたらす技術ではあるが、消費者側にはあまり効果のない技術ということができる。
今後の技術進歩によって消費者側にも何らかのメリットを供与できるようになる可能性もあるが、現時点ではその部分が低いと感じる。

何が言いたいかというと、今回はホールガーメントを例に出したが、こういう「効果のない販促」が多々あるのではないかということである。
ブランド側、小売店側ももう少し販促手法を吟味する必要があるのではないか。

昨今は、洋服のデザインや色柄だけでは差別化しにくくなっており、使用素材や製造方法で差別化を図る事例が増えている。
それ自体は決して悪いことではないと思っているし、いろいろと工夫してみるべきだと思っている。
しかし、何でもかんでも使用素材や製造方法の提示が効果的な販促になるとは限らない。

〇〇製法で作られました
〇〇素材を使用しました

こういう下げ札を付ける際に、それで消費者の何が解決できるのか、消費者のどういう満足が得られるのかを考えてみるとより効果が高まるのではないか。
それが見いだせない物は逆にわざわざその手の下げ札を付ける必要はないのではないか。

















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