南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2016年01月

合わないなら無理にブランド物を買う必要はない

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 今日はお気楽に。
早いものでこの土日で1月も終わる。
年々、月日が過ぎるのが早く感じられる。何歳で死ぬことになるのかわからないが、この分なら寿命が尽きるまではあっという間に過ぎ去りそうだ。

ユニクロのウェブサイトを見ても、ライトオンのウェブサイトを見ても、今週末はあまり目ぼしい物がない。

そういえば、先日、久しぶりに天神橋筋商店街の在庫処分屋(通称バッタ屋)で、スエット生地のジャケットを買った。値段を見ての衝動買いというやつだ。

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ブランド名は「NOTHENTIC」と書いてあり、どこかでこのデザインを見たことがあるのだが、ネットをググってもこのブランドの詳細は出てこない。
下げ札が少し黄ばんでいるから何年か前の商品なのだろう。

税込1000円で売っていた。

組成はポリエステル65%・綿35%で、洗濯をしても綿100%よりも早く乾くだろう。
8年くらい前にユニクロで値下がりして買った綿100%の黒のスエットジャケットがだいぶと赤褐色っぽく退色していたから、その代替品にするつもりである。

ところでみなさんは買い物をするときに「あのブランドのあの商品のあの色柄が欲しい」と思って買い物をされるのだろうか?
それとも「似たような物で安い物があればそちらでも良い」と思って買い物をされるのだろうか?

筆者は圧倒的に後者である。

正規品を定価で狙いすまして買ったのは11年前のラベンハムのキルティングジャケットくらいである。
当時は29000円くらいだった。今はもっと値上がりしている。
欧米ブランドは円安だろうが円高だろうが関係なしに自社の都合で値上がりし続ける。
なんともいえない欧米の強欲さをいつも感じる。

それはさておき。

それ以外のアイテムで「狙って」買うことは10年前からはほとんどない。

今冬セールでパンツを買ったが、黒の細身のストレッチパンツを買いたいと思っていた。
ブランドははっきり言ってなんでも良い。
でもちょっとだけ素材は気になる。あんまり肉薄すぎるのは嫌だし、ポリエステルの配合率が高いのも嫌だ。
でも綿100%も嫌だ。なぜならストレッチ素材に慣れたので綿100%の細身のパンツはしんどくって穿くのが苦痛だからだ。

そんなわけで綿主体でポリウレタンが少し含まれている物が好ましい。

値段は安ければ安いほど良い。

最初に無印良品を思いついた。
ウェブ通販を見ても、店舗を2,3店回っても売り切れている。
元値が3900円くらいでそこからセール時期は3割引きである。

じゃあ、代替品を模索する。

その結果がジーンズメイトである。
ジーンズメイトでエドウインのダークグレーのストレッチパンツを買った。
1万円の定価が半額の5000円だった。
30%割引チケットを見誤って結局5000円で買ったので、想定よりも1500円のマイナスである。
少し落ち込んだが、まあ、エドウインの日本製が5000円なら納得の価格である。

ついでに別の日に、ジーンズメイトで、半額に値下がりしていたPB「ブルースタンダード」の黒いストレッチパンツを買った。これはやや光沢のある綿サテン素材で、ライトの当たり具合では黒より少し浅い色合いに見える。
定価6000円が半額で3000円。そこからさらに30%オフで2100円になった。
まあこれはお買い得だったといえる。

いつもだいたいこんな感じで買う。

あるブランドの商品をすごく欲しいと思っても、金がないから買えないという場合が多い。
次に資金を用意したものの、そのブランドの商品はサイズ感が合わないという場合も多い。

筆者の場合は太ももが太いので、スキニーパンツなんかはレオタードみたいになってあまりにもオカシイ。
流行ブランドは得てしてタイトすぎるシルエットのものが多いから試着をしてみて諦めることが多い。

ここで頑張ってそのブランドを穿いたとすると、「買えた」という満足感はあるかもしれないが、レオタードみたいなムチムチピチピチの足をむき出しにすることになる。
それがカッコイイか悪いかを第三者的視点で考え直してみる。

スラっと脚の細い人がピタピタのパンツを穿いているのは確かにカッコイイ。
しかし、サッカー選手とかラグビー選手がピチピチすぎるパンツを穿いている姿はかっこ悪い。
やっぱり太ももに適度なゆとりがないとレオタードみたいになって不恰好である。

ということを考え直すと、無理にそのお目当てのブランドを買う必要はない。
わざわざ高い金を払って不恰好になるようなものだからだ。
少なくとも筆者はそう考える。

となると、自分の体型と収入に合ったブランドで代替品を見つける方が効率的である。
少々細部のデザインが違っていても構わない。
どうせ筆者のようなオッサンの体の細部までジロジロ見る人はいない。
筆者だってオッサンの細部なんて気色悪いからジロジロとは見ない。

今回のスエットジャケットも価格が1000円だったし、ディテールがテイラードとは異なっていたが、テイラードっぽく見えるのでそれで良いという判断である。

〇〇ブランドの高額なケーブル編みの綿セーターはたしかに素敵だが、黒とか紺とかグレーとか白とかそういうベーシックな色ならユニクロのコットンカシミヤセーターで良いのではないか。
もちろん、そのサイズ感が体型に合うならという前提である。
〇〇ブランドの方が体型に合うならそちらを買うべきだろうが、合わないなら合う方を買うべきだし、両方とも合うなら安い方で良いのではないか。

サイズ感と色合わせさえ間違えなければ、かなりの破格値でそれなりのコーディネイトが楽しめる。

そして低価格ブランドはますます見た目は、通常のブランド品と見分けがつかなくなっている。
今後、さらにその傾向は加速するだろう。

昨年から大手アパレル各社は経営悪化から大量の社員を解雇している。
それらの多くを低価格アパレルが再雇用している。
また、リストラを免れて残った社員でも雇用形態の悪化から自主退職し、条件の良い低価格アパレルへ移っている。
となると、それらアパレルのノウハウがごっそりと低価格ブランドに移ってしまうということであり、商品の見た目は同等になるだろう。
もしかすると低価格アパレルの製品の方が見た目は良くなる可能性だってある。

そうなればますます、効率的な代替品の流通量が増えるということであり、よほど強力なファンを持ったブランド以外は淘汰されるということになる。

そんな状況である。










明確な成功モデルが無くなったアパレル業界

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 昨日からこのブログのURLが変わった。
開設5年強にしてやっと独自ドメインを取得した。

http://minamimitsuhiro.info/

である。
なぜ独自ドメインにしていなかったかというと、一番大きい理由は「めんどくさかった」からだが、いろいろな方にご指摘いただき、やっと重い腰を上げた。
これからもよろしくお願いします。



ちょっと昨日の続きみたいな内容になるが、昨年あたりからアパレル業界全体の手詰まり感が強まっていると感じる。

分かりやすい打開策が見当たらないアパレル業界の不況感
http://minamimitsuhiro.info/archives/4572161.html


70年代とか80年代のファッションビジネスは体験していないので論評を避けるが、90年代以降を見てみると、
97年に北海道拓殖銀行と山一証券が倒産して、一気に不況感が押し寄せた。

もちろん、この時も消費は低迷した。

その前後でダイエー、マイカル、そごうが倒産した。
アパレル業界でも連鎖倒産が相次いだ。
信和シャツの倒産は貸し倒れによる連鎖倒産だと報道された。

しかし、オンワード樫山、ワールド、サンエーインターナショナル、東京スタイル、三陽商会あたりの大手アパレルは堅調ないし好調だったし、98年ごろからユニクロブームが始まる。

業界には分かりやすい成功モデルがあったということである。
1つはユニクロ的な徹底した低価格品の提供である。

これ以降、各社は血眼になって低価格品の開発を進める。

個人的に印象的だったのはワールドがデザイナー田山淳朗氏と提携した「オゾック」「インディヴィ」というブランドを発表したことと、その商品デザインの先進性だった。
今の「オゾック」も「インディヴィ」も商品デザインも店作りも没個性の埋没したブランドだが、この当時はまったく違っていた。
ちょうどこのころ、「最後のデザイナーズブランドブーム」も起きていた。

これはこれで業界にとってはもう一つの分かりやすい成功事例だったといえる。

さて、このあと業界ではデザイナーズブランドブームは終焉し、ユニクロの急成長を迎える。
そのため、各社ともに低価格品の開発が一層進む。


次に景気が悪化したのは2008年のリーマン・ショックである。


もちろん、各社ともに業績は悪化したが、ちょうどこの年にグローバルファストファッションブランドが上陸しており、ここから4年か5年くらいはファストファッションブームが起きる。

低価格+トレンドというのが今度は業界的な成功モデルと見なされるようになる。

現に各社ともそういうブランドを急ピッチで開発した。
今年、会社清算される遊心クリエイションの「イーブス」もその一つである。
アーバンリサーチだと「センスオブプレイス」はそういうブランドだ。
古着屋出身のウィゴーも完全にこちらにシフトした。

この分野には一定の需要があるから、今後も絶滅することはないだろう。
安くてそこそこにトレンドがある商品というのは使いやすい。
一部の偏執的ファッショニスタは毛嫌いしているが、それはあくまでも少数派である。
大多数の人から見たらこれほど使いやすい商品はない。
利便性がある商品はその価値を正しく伝えることができれば多数から支持される。

余談だが、量販店やホームセンターを主導した渥美俊一さんという人のペガサスセミナーでは「トレンド品は低価格で売る」というのが基本的な考え方だった。
なぜなら商品寿命が短いからである。
トレンドはいつかは終わる。
終わってしまえばトレンド衣料品は着用できない。
ならそんな寿命の短い物は低価格で売るべきだというのがその主張だ。

渥美さんと面識はないが、最初に就職した会社でこの人の本を読まされた。
その会社の社長がセミナーに入会していたからだ。

この考えは、今のファストファッションブランドに採用されているといえる。

さて、それはさておき。

ファストファッションブームも沈静化した。
沈静化したというより定着化したというべきで、その分野が今後も大きな成長を続けられるとは考えにくい。


2010年を越えたころからインターネット通販への注目が高まる。
もちろんそれ以前からも存在したが、このあたりから腰が重かった大手各社も参入し始める。


しかし、2016年現在はどうか。
楽天だけで4万店の出店があり、Yahooは34万店、このほかにアマゾンやらZOZOTAWNやらの大手モールが犇めいている。
当然、各ブランドの直営サイトもある。
単にネット通販というだけではとてもじゃないが埋没してしまう。

その結果、ネット通販ブランドの苦戦、破綻というもの珍しくない。

夢展望の連続赤字、ogage japanのトライシクルジャパンの倒産、をはじめとして枚挙にいとまがない。
ビッダーズなんてどうなったのか最近では名前すら聞かない。
また今月末で全店閉鎖になるジーンズカジュアルショップ「デンバー」だって楽天とYahooに出店していたし、各店舗がブログで情報発信をしていた。
デンバーの事例を見ると、ネット通販やネットでの情報発信をしていても売り方・やり方を工夫しないとあまり効果がないということがわかる。


となって、2016年現在、業界がこぞって参考にできるような成功事例がない。

「アホみたいな高額商品」とか「自己満足っぽいこだわり商品」がダメなことは各社が身を以てすでに体験している。


そういう意味ではアパレル業界はこれから大変である。
各社が独自の成功モデルを模索しなくてはならないからだ。
それが何かというのは、各社の得意分野、配置している人材、経営者の思考、で大きく異なる。

もちろん作ることは重要だが、売り方・売ることも重要になる。
「単に安くした」とか「単にネット通販を開始した」だけでは売れないことは去年までで証明されている。
飲食店・カフェ併設とかライフスタイル提案も掃いて捨てるほどある。

カフェがあるからあの服屋に行こうなんて人はほとんどいない。
ちょろっとバッグや雑貨を並べただけのライフスタイル提案型ショップなんて意味が分からない。


これからは各社が自社の強みを見極めつつ、手探り状態で、自社に適した成功モデルを探さねばならない。
それしか方策は残されていない。
これはなかなか大変な状況であり、筆者がそんな立場に置かれたら真っ先に逃げ出してしまう。


しかし、それ故にもしかしたら、独自性の高いブランド、企業も生まれるのではないかと思う。
かなり確率は低いだろうけど。



 






分かりやすい打開策が見当たらないアパレル業界の不況感

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 分野・業界ごとにマダラ模様だとは思うが、世間的には押しなべて見れば今の景気は比較的安定しているように感じる。
バブル期みたいな好況感は永遠に訪れることはないが、97年の拓銀・山一ショックやら2008年のリーマン・ショックほどの急激な不景気感もない。
分野や業界によっては「好調です」と答えるところもあるだろう。

しかし、繊維・アパレル業界はかなりの不景気感が漂っている。

昨年発表されたワールドやTSIなどの大手アパレルの苦境もあって、その影響が川上にも川下にも表れつつあるように感じられる。

また今月末には某大手アパレルが資金ショートに陥り、どのように回避するのか、はたまたそのままショートしてしまうのかわからない状況にあるといわれている。

中規模・小規模の成長株と目されていた遊心クリエイションの会社清算、WOmBの民事再生法申請もあり、不況なのは大手だけではないことが証明されたといえる。

これらのアパレルやSPAが破綻するということは、当然ながらそこと取引のあるOEM・ODM企業も苦境に陥るし、そこが使っている縫製工場・染色加工場・生地メーカーも影響を受ける。

そんな中、知り合いのOEM業者から「創業以来の厳しい状態にある」といわれたし、また別の知り合いのOEM業者からは「経営状態がかなりヤバい状態にある」という知らせもきた。

某地域のプリント加工場も今年前半に3軒くらいは倒れそうだという知らせもあった。

そういえば、「デンバー」の店名で親しまれていた関西圏を拠点にしていたジーンズカジュアルチェーン店も今月末で全店閉鎖になる。

本当に業界の上から下まで危機的状況にあると感じる。

97年の拓銀・山一ショック時はたしかに一気に不況感が押し寄せた。
この前後で、ダイエー、マイカル、そごうが倒産した。
当然業界も不況感一色だったが、反面、ワールドやTSI(当時はサンエーインターナショナルと東京スタイル)、オンワード樫山、ファイブフォックスあたりは堅調・好調だったし、ユニクロブームも始まった。

リーマン・ショック時も不況感はもちろんあったが、ちょうどファストファッションブームも起きたし、それに類した成長ブランドもあった。

そういう意味ではこれらの時点ではまだ明るさがあった。
解決法らしきものも見えていた。それは幻覚だったのかもしれないけど。

もちろん、現在でも成長企業はあるが、これがかなり数少ない。
某社なんて大手アパレルからの退職者を高額で大量に受け入れたり、引き抜いたりしていると聞く。

しかし好調だと聞くのはここくらいであとは押しなべて不況感が漂っている。

97年時点ではユニクロブームがあったから低価格化が解決策とみなされた。
2008年当時はファストファッションブームだったのえ、低価格化とトレンド化が解決策とみなされた。

今、そういう分かりやすい解決策・打開策は見当たらない。

なぜなら低価格化は限界まで達してしまったし、トレンド化もかなりの部分まで対応している。
ユニクロも飽和状態に達している。

遊心クリエイションもWOmBもそういうブランドだったが、それすらも事業が破綻している。
大手アパレル各社もこの10年間はひたすら低価格化とトレンド化を強化してきた結果が現在に至っている。

メディアではお気楽に「高額品でもバカ売れするアレ」なんていう能天気な記事を掲載しているが、賢明な人ならそれは鵜呑みにはできない。
8万円の服とか10万円の服なんてそう簡単には売れないし、それを購買できる人間の数はそれほど多くない。

97年とか2000年くらいなら金のない女性が援助交際という名の売春をしてまで高額ブランドを買ったといわれているが、現在はそんな身の丈に合わない背伸びはカッコイイこととは思われていない。

結局は、少ない購買層を巡って高額ブランド同士での激烈な顧客争奪戦が行われることになり、そんなところにポっと出たような新参ブランドが分け入って容易に勝てるはずもない。
その世界で生き残れるブランドはほんの一握りであり、もしかすると購買人口の多い中価格帯や低価格帯での商売よりも厳しいのではないかと思ってしまう。


そういう状況だから多くの業界関係者がまったく希望が見いだせないのではないかと感じる。筆者も含めて。

低価格化は限界、高額化が難しいことは容易に想像できる。
トレンド対応もやり尽くした。
だから解決策なし。

これが今の状況ではないか。

だから、今年か来年あたりに大手アパレルが何社か破綻して、その連鎖でOEM/ODM企業、川上企業、川下企業もけっこうな割合で破綻しそうな気がする。
今年か来年あたりに業界の構図が変わるほどのガラガラポンが起きるのではないかと感じられてならない。
杞憂に終わることを祈るばかりである。















国内の繊維製造・加工業者すべてを守る必要はない

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 繊維関係の製造・加工業者は年々減っている。
これに対して「製造・加工業を守れ」という声がある。
とくにイシキタカイ系とかモノヅクリ系を気取っている人にそういう声が多いように感じる。

筆者も仕事上、そういう製造・加工業の経営陣や幹部と面識があり、さまざまなコメントを聞く機会がある。

一口に「製造・加工業」と言ってもその思惑はさまざまだ。

1、現在、経営は苦しいが何とか事業を存続したい、または止められない事情(借金など)がある。

2、経営は苦しいが、借金はなく経済的に余力があるから近いうちに廃業したい

3、経営が苦しいし、やる気もないがとりあえず助成金と補助金で食いつなぐ。なくなったら倒産させる。


まあ、大きく分けてこの3つだろうか。

個人的には1番以外の業者はさっさと事業を畳めば良いと思っている。
止めたい事業者をわざわざ国や行政、業界が支援する必要もない。

日本の製造業がなくなっても良いのか?という論調を聞くことがあるが、やる気がない業者ならなくなっても良いと思う。
現在、国内に大型生地工場や大型縫製工場、大型染色加工場が多数残っている先進国があるのだろうか?
アメリカもイタリアも一部残っているくらいだと聞く。

ということは、日本がそうなっても仕方がないし何の不思議でもないということではないか。

物の値段は安い方が売れやすい。
これはどんなに安売り嫌いが否定しても事実である。

昨今、飲料水の自動販売機が不振だと報道されている。
理由はスーパーとコンビニに押されているからだそうだ。

自動販売機は350ミリリットルの缶ジュースが130円、500ミリリットルのペットボトルがだいたい150円か160円くらいである。
しかし、食品スーパーだと350ミリなら100円以下、500ミリのペットボトルでも100円内外で買える。
最近は都心にも食品スーパーが増えたから、格別に急ぎの用事がなければそこで買うという人が増えてもおかしくはない。

一方、コンビニは自販機と同じ定価販売だが、昨今はポイントが貯まる。
実質的な割引販売と同じである。

同じ銘柄の飲料水なら食品スーパーかコンビニで買った方がお得なのである。
かくして自動販売機は衰退している。当然だろう。

だから大阪市内には格安自動販売機が出現し始めている。
100円は当たり前、80円、50円、30円のジュース類が販売されている。
筆者はもう何年も大阪市内で定価でジュース類を買ったことがない。

ジュース類は飲んでしまえば消えるから、毎日でも買う必要がある。
しかし、衣料品は一度買ってしまえば、特殊な条件で破損する以外は少なくとも3年くらいは持つ。

となると、毎月とか毎年新しい洋服を買う必要がない。
それでも買ってもらおうとするなら、一番手っ取り早い手段は値下げである。
よほど特殊な販促やらブランド作りをしない限り、衣料品は基本的に値下がりするのが当然というのが現在の状況であり、今後、日本にバブル景気が再来してもこの傾向は変わらないだろうと見ている。

となると、製造加工業者の工賃が上がらず、従事する人の賃金が上がらないのはこれもまた当然と言える。

賃金が上がらない業界に若い人が飛び込むことなんてよほど稀なケースであり、労働力不足になるのも何の不思議もない。

で、工員が老齢化して廃業か倒産を選ぶというのもまた自然な流れである。

製造加工業をすべて救うことなんて不可能だし、助成金やら補助金も無駄遣いになる。

やる気があって事業を続けたいと強く望む業者を支援するにとどめる、というのがもっとも効率的で現実的なやり方ではないか。

だから資産があって廃業できた業者は良かったと祝いたいし、資産があっていつ廃業しても困らないという状態で、しかもやる気がない業者はさっさと廃業して楽になれば良いと思う。

残った国内業者を如何にブラッシュアップするかが最重要課題ではないかと思う。







国内工場に1枚200円でTシャツを縫わせる大手セレクト

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 洋服の製造原価というのは、同一ブランドであってもアイテムによって異なる。
少し製造に携わったことのある人ならだれでも知っていることである。

例えばジーンズは原価率が32%になってしまったけど、Tシャツは25%で抑えられたとかそういうことである。
なぜそうなるかというと、それぞれのアイテムが使用する生地が異なれば当然生地値も異なる。
縫製工賃もアイテムによっても異なるし、工場によっても工賃は異なる。

例えばTシャツなら500円で縫えるが、ジーンズだと1500円くらいは最低でもする。
テイラードジャケットやコートとなるともっと縫製工賃は高いだろう。

縫製工賃や生地値が高くなったからといって、青天井に販売価格を上昇させるわけにはいかない。
そのブランド特有の価格帯がある。
ジーンズなら1万円~17000円くらいとか。
生地値が高くて縫製工賃も高くなったから、いつもうちのブランドは15000円でジーンズを販売しているけど、この品番だけは3万円で売ります。なんてことはなかなかできない。
そういうことをするブランドもあるが、ブランド側からするとその3万円のジーンズが自社の客層に受け入れられるかどうかは賭けである。
受け入れられて完売できるかもしれないが、まったく受け入れられずに大量に在庫を抱えるかもしれない。

だったら自社の利益を削って1万9990円で販売するという方針になる。
その方が幾分かは売り易い。
そうなるとこの1万9990円のジーンズは販売価格は高いが利益は薄く、原価率の高い商品になるというわけである。

低価格衣料品は当然ながら縫製工賃も生地値も安い。
販売価格が安いからだ。

これを指して「低価格衣料品が誰かを泣かせている」と指摘するイシキタカイ系の人がいる。
欧米のそういう類の人間とは付き合いがないが、日本人でならある。
彼らはほとんどの場合「ユニクロ」を槍玉に挙げる。


しかし、ユニクロの平均原価率は38%内外だといわれている。
アイテムによっては4割を越えているだろう。もちろん20%台のアイテムもある。

鎌倉シャツの原価率は60%だといわれている。

そういう「イシキタカイ系」の人は、「だから僕は低価格ではない大手セレクトショップでしか買いません」なんてことを平気でいうのだが、そういう大手セレクトショップこそユニクロや鎌倉シャツよりもよほど生産者を泣かせていることが多い。

以前、オリジナルでTシャツを作って販売したいという人が東北のTシャツ縫製工場に工賃を交渉しに行った。
その工場には某大手セレクトショップから「1枚200円でTシャツを縫ってくれ」という依頼があったが、工場側があほらしくて断ったそうだ。

この工場以外にも1枚200円でTシャツを縫ってくれと依頼された国内工場、1枚200円でTシャツを縫っていた国内工場は珍しくない。
もちろん発注主はそれ以外の大手セレクトや大手SPAの場合もある。

彼らのTシャツは安くても2900円、国内縫製ということになればもう少し値打ちこいて、3900~5900円くらいが店頭販売価格だろう。

Tシャツの生地値もピンキリだが、1メートル1000円の生地だとして、半袖なら用尺は70~80センチなので700~800円である。縫製工賃は200円で1000円。あと副資材やら雑費が上乗せされて1100~1200円というところだろう。

3900円なら原価率は30%を割り込む程度だが、5900円なら20%を割り込む。
そういう大手セレクトがTシャツに1メートル1000円もの高額な生地を使うことは考えにくい。生地値はもっと安いだろうから実際の原価はもっと低いはずである。


発展途上国の工場ならその工賃でも「平均所得」前後くらいにはなるかもしれないが、ここは日本国である。
日本国の物価水準からするとその工賃を得るために何日もミシンを踏むくらいなら、コンビニかどこかで3日ほどバイトをした方がよほど効率的である。

どちらが生産者を泣かせているのか。

イシキタカイ系の人たちはユニクロを指して「あんな値段で作れるはずがない」というが、100万枚作れば論理上は可能になる。
ならご自分たちでも借金でもして100万枚作ることに挑戦してみてはどうか?
自社製品の店頭販売価格はきっと今の製品の5分の1くらいにまで圧縮することができる。

ユニクロに限らず、H&Mでも協力工場が劣悪な環境で工員を働かせてることがときどき発覚する。
そういう奴隷労働はもちろんなくすべきだし、それのための監視ということは必要だが、一概に何もかも低価格品が悪というのは、返ってその発展途上国の軽工業育成を阻害することになる。

先日、フェイスブック上で先達が、「アースミュージック&エコロジー」が全品80%オフでさらにレジで20%オフという激烈投げ売りセールを行っていてタマゲタと書いておられた。
たしかに激烈である。

1万円の商品が2000円になり、さらに1600円になる。
5000円の商品ならわずか800円である。

さらに驚いたことに、「あのブランドは80%オフでも利益が出ます」と書いている人がおられたことだ。
これが事実だったとすると、一体製造原価はどれくらいかということになる。

仮にもしその指摘が事実だとすると、平均原価率38%を維持するユニクロよりもよほど生産者を泣かせていることになる。



 









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